インタレストカバレッジレシオ_001
インタレストカバレッジレシオとは、企業の定常的な活動によって生じる利益で、支払利息をどの程度カバーできるかを示した指標です。英語ではinterest coverage ratioと表記されます。

このインタレストカバレッジレシオは企業の信用力を測る指標の一つです。

ココで、インタレストは利息という意味になります。直訳すると『利息をカバーしている割合』といった意味合いの言葉なのですね。

■言い換えます

さて、この直訳を踏まえてインタレストカバレッジレシオを言い換えると、企業が特別なことが無かったら稼いで来ることができるお金で、支払う必要がある利息をどれだけカバーしているか?(それは何倍なのか?)を表した指標です。

計算式で表すと
【インタレストカバレッジレシオ=(営業利益+金融収益)÷金融費用】

となります。どうでしょうか?この計算式から、「支払利息の何倍を通常の企業活動で稼ぎ出しているか?を見る指標なんだな」といったふうに考えていただければと思います。

(ここで金融収益とは、金融活動によって生じる収益、つまり受取利息や受取配当金を指し、金融費用とは、金融活動によって生じる費用、つまり支払利息や支払割引料などを指します。)

■営業利益って?

さて、ここで営業利益についても簡単に説明したいと思います。

営業利益とは、売上高から売上原価を差し引き(これを売上総利益と言います)、そこからさらに販売費及び一般管理費を差し引いたものとなります。

簡単に言うと、事業を運営していて稼いだ本業の利益の事になります。視点を変えれば、資金調達にかかわる費用や資金運用にかかる収益はこの営業利益には含まれていません。
・営業利益に金融収益を足します

この営業利益には、本業のほかで稼いだ利益(投資の結果得た利息や配当などのインカムゲインや、有価証券の売却によるキャピタルゲイン)は含まれませんし、資金調達のためにかかった費用(支払利息)なども含まれません。

このほかにも本業ではない投資にかかる費用や収益も加えると経常利益という、企業が何か特別なことがなければ稼ぎ出せる利益の考え方となります。

■本業の儲けと金融収益を足して、金融費用で割ります

さて、このインタレストカバレッジレシオは経常利益とは異なり、金融関係の費用だけで考えます。

その意味で
経常利益-金融以外の費用・収益が計算式の分子となります。
(ここは定義されていないので覚えなくていいです。)

つまり、このインタレストカバレッジレシオは、本業の儲けと受取利息などの金融収益の和を金融費用で割って算出する事となるのです。

例えば、営業利益が500万円で、金融収益を50万円得ている企業があったとします。

この企業が、利息を10万円支払っていたとしたら

【インタレストカバレッジレシオ=(500万円+50万円)÷10万円=55倍】

となります。

このような指標なので、インタレストカバレッジレシオが低くなってくると苦しくなる事は想像できますよね?その為、金融機関などがお金を貸し出す際は、こういった指標をチェックするのです。

■損益計算書との関係で示すと

インタレストカバレッジレシオを損益計算書との関係で示すと次の通りになります。




科目  金額
 中略    
 営業利益   500円
Ⅳ 営業外収益    
 受取利息・配当金 50円  
 受取地代 150円  
 雑益 20円 220円
Ⅴ 営業外費用    
 支払利息 10円  
 有価証券評価損 50円 60円
 経常利益   60円
この場合

インタレストカバレッジレシオ=(営業利益+受取利息・配当金)÷支払利息 

となります。(緑色にした部分だけ関係します)

(500円+50円)÷10円=55倍

損益計算書に様々な数字が出てきても定義通り計算することが重要です。

■インタレストカバレッジレシオの高さは安定度のしるしです

さて、様々な安定性の指標がありますが、インタレストカバレッジレシオも安定性の指標です。

利息の支払い能力をはかるための指標ですので、高い方が安全性が高いということができます。

なお、この比率が1倍以下になってしまうと、事業の収益で支払利息がまかなえない状態なので、極めて危険な水準です。貸し倒れの危険があるため、そういった企業との取引には厳重に警戒をする必要があります。

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