外国為替資金証券_001
外国為替資金証券とは、政府短期証券の一つで、為替介入などを目的として外国の通貨を購入する際に、その対価となる円を調達するために発行される証券です。外為証券とも呼ばれます。

「外国為替資金証券って何?」と聞かれてピンと来なくても、実は私たちの事業活動にも影響を与えている存在です。

この外国為替資金証券を発行して得た円で、外貨を購入し(外貨準備高が増える)、為替相場を円安に誘導するというのが、為替介入のイメージとなります。

このように、外国為替資金証券は円売り介入を行う際発行される証券で、外国為替資金特別会計法にもとづき発行されるのです。

■外国為替資金証券が発行される場合(円売り介入時)

と、かなりコアな金融寄りの論点となりますが、私達中小企業にとってはこの介入が行われる場合は円安に誘導することを目的として行われると理解することが重要です。

円安方向を目指すわけですから、輸出する財の価格は言質の消費者にとっては下がる方向になります。

(1ドルと70円が交換できたのを1ドルと140円を交換するような方向にするということですから。)

一例として、

東日本大震災前後には1ドルと70円を交換するような超円高になっていました。このときは、輸出業者は頑張って7000円の値段をつけても、ドルを使っている経済圏では100ドル払わないとこの商品を入手することができませんでした。(いろいろな費用は無視して説明します)

他方で、2025年現在の為替レートは140円程度で推移していますので、同じ7000円の商品はドルを使っている経済圏では50ドル支払えば手に入れることができます。

つまり、為替相場が動いただけで、日本の製品は半額になっている。つまり、海外の人からすると日本の製品が安くなり、価格競争力が強くなったということです。

他方で、

輸入業者からするととんでもないことが発生しています。

海外で100ドルのものを1ドル70円の時代に輸入してきたならば、7000円で日本の消費者に届けることができていました。しかし、現在の1ドル140円時代では、海外で100ドルのものは、14,000円もしてしまうのです。

■便利な介入ですが

このような介入ですから、自国にとって有利なタイミングで有利な方向に介入すれば皆が喜ぶと考えるかもしれません。しかし、このような強力な方策であることから、為替介入は国際的には「為替操作」と批判されるリスクがあります。

このように、外国為替資金証券はただの短期証券ではなく、「為替レートという我が国の信頼と競争力」にかかわる道具なのです。

我々中小企業の立場としては、自社に有利な方向に為替が動けば嬉しいですが、そのようなことは期待せず、環境に適応するように事業を運営していくことが重要なのです。

■どうすればいいの?:公的支援機関の活用

為替レートに限らず、事業環境が大きく変動しているときはチャンスであるとともにピンチであったりもします。

そのような際は、お近くの商工会や商工会議所、よろず支援拠点などの公的な支援機関に相談してみるのも一案となります。

専門家がたくさんいますし、商工会や商工会議所は会員にならなくても相談に乗ってくれますので(とはいえ何度も活用するなら会員になった方がより安心です。なによりマル経融資という特権的な融資制度を活用できる可能性がありますので)相談してみるのも一つの手です。

初出:2013/06/04
更新:2025/06/30