アカロフのレモン市場_001
アカロフのレモン市場とは、売り手と買い手の情報量の差によって、市場に粗悪品ばかりが残ってしまう現象です。

この記事では、レモン市場が起こる仕組みや具体例、情報の非対称性や逆選択との関係までわかりやすく解説します。

■詳しい解説

アカロフのレモン市場とは、当事者間に情報の非対称性がある場合において、市場に悪い商品ばかり出回ってしまう市場の事を言います。このアカロフのレモン市場は、単にレモン市場とも呼ばれます。

最初は、良いものも悪いものも双方出回っているのですが、情報の非対称性によって、次第に悪い商品が増えていくといった経緯をたどり、最終的に悪い商品ばかりになってしまうというイメージです。

さて、このレモン市場といった状況になってしまう流れを考えてみたいと思います。

例えば、Webサイトを売買する市場があったとします。

Webサイトを売却する側は、自分が売却したいWebサイトについて当然、熟知しています。しかし、買いたい側は『買おうと思っているWebサイトの情報をほとんど知らない』といった情報の非対称性があるとします。

この時、AというWebサイトはアクセスの質などから割と価値があって、その価値が50万円と見積もられているとします。

また、一見似たようなBというWebサイトも売りに出ていて、こちらは10万円の価値があると見積もられていたとします。

このような場合、買い手に対してしっかりとWebサイトの質が開示されており、50万円には50万円の、10万円には10万円の価値があることがちゃんと説明ができるのであれば、値段相応で取引が成立すると考えられます。
  • 情報の非対称性が市場を粗悪品の集まりにする
しかし、情報の非対称性が放置されて、買い手が実際にWebサイトを購入して運営するまでその価値が分からないといった状況の場合を考えてみたいと思います。

この場合、50万円の価値があるAサイトはおそらく50万円で販売することは難しいと考えられます。逆に、Aサイトが50万円で販売できるような市場であれば、Bサイトもそれに近い値段で販売されてしまうと考えられます。

この場合、Bサイトの購入者は10万円の価値しかないWebサイトを50万円近い価格でつかまされたわけですから、市場についての信頼感は大きく損なわれます。

そういった場合、市場参加者は「あそこの市場は不良品が混ざっているぞ。」と考えるため、購入する単価を引き下げてきます。

そうすると、今度は、Aサイトのような価格相応のWebサイトが売りに出されなくなってくると考えられます。(例えば30万円でしか売れない市場に、50万円の物は売りに出さないですよね?)

逆に、Bサイトのような難のある商品については、まだ本来の価値よりも高く販売できるため売りに出され続けます。

そして、このようなことは何度も繰り返されて、最終的には市場は悪い商品であふれかえってしまうのです。

■レモン市場を防ぐためにどうすれば良いのか

レモン市場はこのように、買う人が商品の本当の品質を判断できないことから発生します。そのため、商品の品質を客観的にわかるようにする仕組みがあれば防ぐことができます。

上のWebサイトの例ですが、第三者が価格を評価したらどうでしょうか?「このサイトの価値は〇〇円で、その算定根拠は◯◯です」と言った情報があったら安心して売買できますよね。

もちろん売る側は高く売りたいですし、買う側は安く買いたいです。そのため、どちらかの立場では無く第三者の立場で価値を評価することが重要になります。

とはいえ、市場自体の価値を高めると市場の主催者は得をしますから、Webサイト売買の場を作るのであれば、Webサイト売買仲介業者は一定程度客観的な評価をすることが期待されるのです。

■金融市場はレモン市場にならないように徹底して第三者評価をしています

情報開示や情報の品質保証が市場の価値を高めると説明しましたが、金融市場はどうでしょうか?

何処かの国の金融市場がレモン市場になったらみんなが困りますよね?

そのため、金融市場は自分で財務報告をするのを原則にしつつ会計監査という仕組みを設けて徹底的に正しい情報を表示できるようにしています。

もちろん粗悪な企業が混ざることはありますが、その企業の経営成績が極めて厳しく、財政状況も良くない事を正直に報告することが求められます。

そのような会計報告は経営者はしたくない筈ですが、嘘の報告をしにくくするために会計監査という仕組みがあるのです。

■株主代表訴訟もレモン市場を防ぐ仕組みの一つ

企業の情報が信用できなくなると、投資家は「どの会社が健全なのかわからない」と考え、市場全体の評価を下げてしまいます。

これは、上で述べてきたように、レモン市場が起こる原因である情報の非対称性と同じ考え方です。

そのため、株式会社では会計監査だけでなく、経営者が会社に損害を与えた場合には株主が責任を追及できる株主代表訴訟という制度が設けられています。

このような制度によっても経営者に適切な経営を促し、市場全体の信頼を維持しようとしているのです。



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