移動販売_001
移動販売とは、店舗を持たず車両などで商品を運び顧客のいる場所へ販売する小売形態です。  
本記事では移動販売の仕組みやメリット、社会的意義や注意点までわかりやすく解説します。  

<簡単な説明>
移動販売とは、物品を販売する業者が、常設の店舗を構えるのではなく、売り上げが見込める場所に出向いて言って販売活動を行う小売業の事をいいます。

この移動販売は、しばしば自動車に商品を載せて、もしくは厨房設備を備えて、顧客がいるところに出向いていきます。

みなさんは、パンなどの移動販売車とかラーメンやおでんの屋台などを見たことがありますか?このような形態の店舗が移動販売のイメージとなります。

移動販売ならば、立地を自ら変えることができるため、顧客のいないところにお店を出してしまったといった致命的な問題はある程度避けられます。また、顧客の都合に合わせて、顧客のいるところに自ら出向いていくことができるといった強みもあります。

また、店舗を構える事と比較すると低コストで事業を行えるという事も大きなメリットになります。

さらに、自分で買い物に出かけることが難しいといったいわゆる『買い物弱者の人』たちが多い地域で、この移動販売事業を運営できれば、買い物に出かけられない人の側にお店が出かけていくといった、社会的にも大きな意義を持つ事業になりえます。
 
但し、移動販売という形態であるがゆえに、取り扱える商品の種類をあまり増やせないといった問題もありますし、出店する近隣住民の理解を得なくてはいけないといった問題もあります。

■移動販売とデジタル技術の活用

この古くからある業態の移動販売ですが、技術の進歩に合わせて新たな展開が生まれています。

例えば、デジタル技術の導入で効率性を高める方向へ向かっています。GPSによる位置情報を配信すれば、どこに居るかがリアルタイムで顧客に見えますし、SNSでの出店告知等によって、どこに行くかなどの情報を適時配信が可能となります。

アイスクリーム屋さんやパン屋さんの移動販売が「今日は○○公園にいます」と通知してくれたら、便利です。買い物に行くのが大変な人でも、スマホを見て近くにお店が来ているのがわかればとても便利ですよね。

さらに、キャッシュレス決済やモバイルオーダーを取り入れることで現金管理の負担や売上が上がらない『空振り』を軽減することができます。

このような取り組みを進めて、売上データ分析による需要予測も可能となっています。従来の「勘と経験」に頼る運営もノウハウが蓄積すると高い精度を叩き出すことはできるのですが、データで補完した展開も可能です。

■移動販売と地域活性化

お祭りや町のイベントとセットで取り組むことも可能です。移動販売は、ただ物を売るだけじゃなくて町を賑やかに、元気にする力もあります。

意識を高くするなら、地域資源と連動した移動販売なども面白いかもしれません。その種の取組は、地方創生施策の一環とすることも可能です。(つまり行政を巻き込んで補助金獲得の可能性があるという話です)

また、農産物直売型の移動販売は「地産地消」の促進に繋がりますし、観光地でB級グルメや地域特産品の販売をすることで観光客の滞在時間と消費額の増加につながったりします。

観光客を呼ぶだけでは、経済的にはあんまり意味がなく、どうやって街にお金を落としてもらうかが重要です。そして、移動販売であれば固定的な店舗を必要としないため、比較的低コストでこれを実現することが可能なのです。

また、地域のお祭りやイベントに合わせて出店すると、普段は人が少ない場所ににぎわいが生まれますよね。そうすると、地元の人が「またこのイベントに行こう」と思うきっかけになり、町全体が楽しくなったりします。

この他にも、空きスペースの活用やイベントとのコラボレーションで交流人口を増やす手段としても有効であり、自治体や商工会議所が支援する事例も増加しています。

■ビジネスとしての課題

ただし、移動販売にはビジネスとして在庫をたくさん運べなかったり、許認可が必要だったり(移動販売などの許認可はちゃんと取る必要があります)と始めるためには慎重に行う必要があるビジネスモデルです。

多くの人は移動販売車という形で車両を活用することを考えると思いますが、車両の届け出も必要ですし、キッチンカーなどは衛生面など慎重に考える必要があります。

なにより、意外と出店許可を取りにくかったりするので出店場所の目処をつけてから創業することをおすすめします。

また、営業時間がどうしても短くなりがちですので、短い時間でもちゃんと収益を挙げられる仕組みも一緒に考える必要もありますよ。

■移動販売と災害対応

移動販売は平常時のビジネスとしてだけでなく、災害時のインフラ代替機能としても注目を浴びています。

大規模な災害などで物流が寸断された場合、移動販売車は被災地への物資を届けることができる柳中チャネルとして機能します。

実際に、能登半島地震では大手スーパー各社が移動販売車を派遣して物資の供給にあたりました。

災害による買物困難者の支援策
輪島市内を巡回する移動販売車の運行を開始 
イオンリテール株式会社、2024年2月1日プレスリリース
また、移動販売者は地域の高齢者等と接点を持つことができるため見守り支援の社会インフラとして重視されています。

このように移動販売は防災や福祉、経済活動を結ぶ、単なる商売を超えた公共的な色合いを帯びつつあります。(とはいえ、ビジネスとして成り立つ仕組みでないと、持続性が生まれませんので適正な利潤を確保することも事業者として誠実な取り組みです。)

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