ハード・ディスカウンター_001
ハード・ディスカウンターは、品目を極端に絞りPB中心・簡素陳列と物流圧縮で、徹底したローコストにより超低価格を実現する小売業態です。
本記事では、なぜ安く売れるかを、品揃え圧縮・PB・陳列や物流の工夫から解説。業態の強み弱み、既存スーパーとの違いまで一気に把握できます。


<簡単な説明>
ハード・ディスカウンターとは、小売業の業態の一つで、超低価格販売を志向しているお店です。

安売り業者を意味する。「ディスカウンター」にハードという言葉を付けているように、ハードに安売りするという業態です。

■どうしてそんなハード・ディスカウンターが可能なの?

さて、なぜそこまで安く販売することができるのでしょうか?そんな秘密があるなら、マネをしたいですよね?

これには、極端な商品の絞り込みと、プライベートブランド(PB)主体の商品構成という秘密があります。

極端な商品の絞り込みを行って、商品を管理する手間を削減し、プライベートブランド(PB)主体とすることによって、低価格での販売を目指しています。

さらに、陳列もカットケース陳列が多く、徹底したローコストオペレーションを志向しているのです。(参考:ボックスストア

なお、このようなお店はドイツの「アルディ」が有名です。

■ ハードと単なる「ディスカウントストア」の違い

「なんでも安い店」と「少ない種類をずっと安く売る店」は似ているようでちょっとちがいます。

ハード・ディスカウンターは、置く商品をぐっと絞り、箱ごと並べるなど陳列などの準備を簡単にします。安く売るための方法論を追求するイメージですね。

そのため、毎日安い値段(特売に頼らない安さ)を保っていく工夫をします。ちょっと硬く書くならば、取り扱いSKUを最小化して仕入れや在庫管理の効率を徹底的に上げ、EDLPを軸にPB比率を高め経費率(人件費・物流費)を圧縮して行く感じです。(特売って結構めんどくさくてコストがかかるので、やらないと割り切っているのですね。)

正直お店としての陳列や商品構成としては面白みにかけると感じるかもしれません。しかし、安さが正義という割り切ったコンセプトで運営しているのです。

一方、ふつうのディスカウントストアは種類が多めで、チラシの特売も使います。たくさん選べるけど、常に一番安いとは限りません。

一般的なディスカウントはナショナルブランドを多品種で取り扱うとともに、Hi-Lo (HighLow戦略とも言う特売サイクル)で顧客流入を稼いていく構造を持っています。お店としては、ちょっとおもしろい感じになります。

前者は運用の標準化と仕入れ集中が鍵、後者は販促最適化とカテゴリの広さが強みという整理です。

これをまとめると以下の通りになります。

項目 ハード・ディスカウンター 一般的なディスカウントストア
品揃え(SKU数) 極端に絞り込む(少品種) 多品種を揃える
価格戦略 EDLP(毎日低価格) Hi-Lo戦略(特売と通常価格を組み合わせ)
商品構成 プライベートブランド(PB)主体 ナショナルブランド(NB)主体+一部PB
陳列方法 カットケース陳列など簡素でローコスト 通常什器を使った見栄え重視の陳列
コスト構造 低粗利・低経費率(効率化重視) 中〜高粗利・販促費や陳列コストが高め
代表的事例 ALDI、Lidl(欧州) ドン・キホーテ、ビッグエー など

■どうやって利益を出すかの仕組みとコスト構造

ハード・ディスカウンターが値段を安くしてもつぶれない理由は「仕事を徹底的に減らす工夫」にあります。商品ごとの粗利率を低くしてでも安売りを狙う。その安売りの原資は販管費率を徹底して低く抑えることを志向するのですね。

商品構成は定番品を継続していきます。そしてその少数の定番品への需要予測を徹底して行い(予測資源を集中させる)ケース単位補充で作業生産性をドンドン向上させていきます。また、広い通路で品出しを早くするなどの工夫も行っていきます。

このような対応で人手を徹底して少なくして運営できるようにするのです。販管費でかかったお金が少ない分、安く売ってもお店にちょっとずつ利益が残ります。

また、とにかく在庫回転を加速させていく(100円の商品を販売し粗利が30円で1回在庫を回転させるより、粗利20円で2回転を目指すイメージです)感じです。

■ 日本で広がりにくい理由と導入時の注意点

と安くてなんか良さそうなお店ですが、あんまり見ないですよね?

それは、日本のお客さんは「いろいろ選びたい」気持ちが強く、メーカーの有名商品(ナショナルブランド)も好きです。

また、小売の商圏も広くなりにくく(とにかく競合店が多いですから)このような割り切ったコンセプトのお店はあんまりうまくいかないのです。

なお、中小企業がこのハードディスカウンター業態を考えるのは基本的にはおすすめしません。割り切って仕入れを絞り込んだとしても、大手企業のプライベートブランドのほうが結果として安くなったりしがちです。

似たような商品の業態で現金で窮境に陥った会社の商品を仕入れてきて、極端な安売りをするような業態はたまに見ます。しかしそのような商品は、仕入れが安定しにくく定番品を長く販売することが難しいので、ハードディスカウンターとはちょっと違う商売です。

なお、仮にハードディスカウンター業態の開発に中小企業が成功したとしても、おそらくですが大手企業が開発した商圏に競合となる店舗をぶつけてくると予想します。その結果後発優位を取られて苦労して業態開発した割には報われにくいと言ったことが予想されます。

経営資源に優位性がある企業は、上手く行った企業の戦略をとりあえず真似するという戦略定石がありますので。(参考:リーダーの戦略定石


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