インターンシップ_001
インターンシップとは、現に就労していない人を対象として、企業で実際に働いて業務を体験する事ができる制度を言います。

このインターンシップは主に、大学生等を対象として長期休暇中(夏とか春休み)に実施されます。通常の授業では学ぶことが難しい社会での仕事のやり方や人との関わり方を知るチャンスになります。

なお最近では通年の長期インターンも増えています。

■インターンシップの狙いは?

インターンシップには、上でかるくふれたとおり夏休みや春休みに行う短期型と、数か月〜1年ほど続ける長期型があります。

短期型は多くの会社の仕事を体験しやすく、長期型は一つの会社の業務を深く学べます。

短期型は主に企業説明や職場見学、簡易業務の体験を通じて業界理解を深める形式で、複数企業を比較しやすい利点があります。業界特有の問題意識を持ち帰れれば、その後の学校で学ぶ方向性を見定めることにも使えますし、何より学びに当事者意識が生まれてくるでしょう。

一方で、長期型はプロジェクト参画や業務改善提案など、本格的な業務を担当するケースもあり、実務スキルの習得に直結します。こちらの場合は、業界全体の理解も得られるのですが、インターンシップで入った個別企業について特に深い学びを得られるのがポイントです。

長期型のインターンシップでは、実際の業務を通じて学ぶ OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング) の要素も含まれることがあります。



このようにインターンシップに参加すると、自分がどんな仕事に向いているかを考えるきっかけになりますし、「もっとこの分野の勉強をしてみよう」と思えることもあります。逆にこのまんがに書いたように向いていない仕事が分かると言ったのもポイントです。

企業側からしても向いていない仕事が分かることで、潜在的に不満を抱えてしまうような人を採用し内ですむといった利点があります。

なお、近年はオンラインインターンの普及により、地域を超えて参加できる機会が広がっていますよ。

■わざわざインターンシップを用意する個別企業側の意味は?

では、なぜワザワザこのような事をするのでしょうか?学生側としては、働かなければなりませんし、企業側としてもインターンシップに来ている学生に体験してもらう仕事を用意しなければなりません。


このように、学生・企業双方に負担がかかる制度なのですが、その負担を上回るメリットがあると言われているので行われているのです。

■学生側のインターンシップのメリットとは

自らの特性を知る事ができ、企業社会への適応力を身に着けられる。

大学等での学習意欲を高めることにつながる。(仕事をしてみると、○○の分野の知識をぜひ学びたいって思う事がありますよね。)

大学等の単位として認められる。

就職活動に有利になる(と考えられる)。

このように学生さんにとっては、職業適性の確認、学習意欲の向上、就職活動での自己PR材料の獲得などのメリットが享受できます。


企業側のインターンシップのメリットは

採用後のミスマッチを防ぐことができる。

受け入れ元の大学等と関係性を深めることができる。

自社の知名度の向上を図ることができる。(知名度が低い企業であっても、受け入れた学生やその周りには知ってもらえます。)

無給もしくは限りなく低い報酬でインターンに雑用をやらせることができるので、コスト削減につながる(あ、念のため言っておきますが、これは冗談ですよ?)


企業側はこのような将来の採用候補となる学生さんを知ることができ、採用後のミスマッチを減らす効果があります。また、大学など教育機関との関係強化、自社ブランド力向上といった利点を享受できます。



このように、双方にメリットが大きい事や、国が推進していることもあって広がってきています。インターンシップで得た経験は、働く力= エンプロイアビリティ の向上にも直結します。

インターンシップは、学生にも企業にもメリットがある制度で、採用活動と教育活動の両面で価値を持つ制度です。

社会を知り、自分の将来を考えるための貴重な経験になるので、チャンスがあれば積極的に参加すると良いでしょう。

なお、インターンシップは参加する際は期間、内容、報酬、評価基準を事前に確認し、自分の目的に合ったプログラムを選ぶことが重要です。

■インターンシップの報酬と労働

インターンシップは多様化しており、報酬があるかどうか、労働契約に当たるかどうかが論点となっています。

一般的には教育訓練や職業体験を目的としている場合、無休(報酬なし)で行われます。他方で、実務を補助したり実質的に労務提供を行っている事となることも多いため、有給インターンシップとして労働契約の対象となることも多いです。

なお、受け入れ側として、しっかりとした受け入れ態勢を構築せずに、接客や清掃、データ入力などを漫然とやってもらうなどでは、実質的な労働になってしまうため労働契約が必要となってきます。

いずれにしてもアルバイトとは違う事を明確にしておかないと受け入れ側としてもリスクが出てきてしまいます。

このような判断が難しいケースに備えて、文部科学省、厚生労働省、経済産業省は共同で「インターンシップの適正な実施に関する基本的考え方」を公表し、


「インターンシップの実施にあたり、受け入れる企業等と学生の間に使用従属関係等があると認められる場合など、労働関係法令が適用される場合もあることに留意する必要があり、その場合には、企業等において労働関係法令が遵守される必要がある。」
出典:インターンシップの適正な実施に関する基本的考え方
https://www.mext.go.jp/content/20210125-mxt_senmon02-000012347_11.pdf


と、指揮命令の下で働いていたり、教育目的を欠いたものは「労働関係法令の適用対象」であるとしています。