オペレーショナルリスク_001
オペレーショナルリスクとは、業務遂行に伴って発生するリスクの事を言います。業務遂行(オペレーション)に伴うリスクという風にイメージしていただければわかりやすいと思います。

業務を遂行しているだけで発生するリスク?ちょっとイメージが付きにくいですか?それでは、企業が活動を行っている時に忍び寄るリスクについて考えてみたいと思います。

■企業に忍び寄るオペレーショナルリスクとは

例えば、このオペレーショナルリスクには、天災などの災害に襲われるリスクや、会社内部の人が法令に違反するリスク(コンプライアンス違反)、事故が起こるリスクなどが上げられます。

また、従業員が単純に重大なミスをするというリスクなどもあります。

このように、普通に業務を遂行しているだけで結構なリスクにさらされていることが分かると思います。そして、たちの悪い事に、これらのリスクは、どれだけしっかりと対策を取ったとしても、完全に避けることは難しいのです。

しかし、内部統制をしっかりと行い、法令違反のリスクを最小化する事や、防災対策をしっかりと行って、災害の被害を抑えるなど、オペレーションリスクが顕在化しにくくすることは可能です。

また、実際にオペレーショナルリスクが顕在化した時(従業員が重大な作業ミスをしてしまい事故を起こしてしまった)にも迅速に対策を講じて、その被害を最小限に抑えることも可能です。

といっても、どのようなリスクがあるのかを知らなければ対策などたてられないので、自社のオペレーショナルリスクにはどのようなモノがあるのかを把握しておくことが非常に大切なのです。

つまり、「ウチの○○は絶対安全。事故など起こらないし、事故を想定すると周りに不安を与えるから、最初から考えないよ」みたいな、根拠のない安全神話を作るのではなく、「事故は起こるよ。でも被害を最小限に食い止めるために予め考えられる全てのリスクを洗い出して、被害が広がらないように全力を尽くすよ。」という態度を取る事が大切だという事です。

■まんがとオペレーショナルリスクの例

このマンガでは真面目に事業を行っているのに、様々なトラブルが起こっていることを書いてみました。この特別なリスクではなく、業務遂行に伴って発生する様々なリスクをオペレーショナルリスクというのですね。

■オペレーショナルリスクの具体例と分類


さて例をいくつか上げましたが、分類して考えるとオペレーショナルリスクが見えやすくなってくるので、いくつかのパターンにわけてみます。大まかに分類すると以下のようなものが代表的です:

  • 人的ミス
従業員の入力ミスや伝達ミスなどが人的ミスに該当します。特にヒューマンエラーは、単純な作業でも頻発しやすく注意が必要です。

これらのミスは発生する前提で、発生しても大問題にならないように業務を設計すると良いでしょう。

また、ミスが重大な結果に繋がるような人的作業は最初から減らすこと、保険をかけてリスクをカバーすること、二重チェック体制を取るなどの対策が大切になります。(誰ですか?ミスらないように頑張るなんて言っているのは。ソレはただの精神論ですよ)
  • 内部不正
従業員による着服や不正行為などです。内部統制、内部牽制が機能していない組織では頻発します。

よく、内部牽制は従業員を疑うから良くないと誤解している方がいますが、内部牽制は従業員を誘惑にさらさないという、極めて優しい設計であると捉え直してください。

誰であってもその良心を試すような業務設計をしてはならないのです。
  • システム障害
サーバーダウンやネットワーク不具合などの、情報システム系のトラブルです。これも割と発生しがちなトラブルです。

個人的なお願いですが、動いているときにはろくに感謝もしないのに、動かないときだけエンジニアを責めるのはやめてあげてください。
  • 災害・事故
地震・火災・水害、または生産ラインの停止事故なども含まれます。これらも発生しがちなリスクです。


これらに加えて、たとえば、業務プロセスが属人化していて「その人がいないと何もわからない」といった状況も、オペレーショナルリスクの一つです。

こうしたリスクを洗い出して、BCP(事業継続計画)やコンティンジェンシープランといった文脈で対策を立てることが重要になってくるのですね。


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