先発優位_001
先発優位とは、新市場に先に参入する事や新製品を世に出す事によって、後追い的に参入してくる競合に対して発生する優位性の事を言います。先行者利益とも言います。

新市場への参入や新製品の投入を行う場合、どこかの企業が上手くいくのかを見た後に参入した方が安心ですよね。それに、前例があれば稟議書などを用いての社内調整(稟議制度などを利用)もやりやすいと思います。

このように、後発だとリスクを抑えることが可能となります。しかし、リスクを取って新しい市場や新製品を果敢にチャレンジすると以下のようなメリットがあるのです。
  • 価格の選択が可能
最初に利幅を大きくとるのか(スキミングプライス)、市場シェアを確保するために低価格で販売する(ペネトレイティングプライス)のいずれかを選択することができます。
  • 製造数量を積み上げることができる
一般的に、累積生産量が多いほど(たくさん作った実績があるほど)製造コストが下がると言われています。(経験曲線効果)
  • 業界標準を狙える
新市場や新製品の標準(事実上の標準であるデファクトスタンダードもしくは公的な標準であるデジュールスタンダード)を狙う事ができます。
  • 先発優位の具体例
先発優位(先行者利益)がどうして狙えるかというと、一般的には経験曲線効果で説明されます。

単純に言うと、累計生産数が増えれば増えるほど(企業内の様々なプロセスが効率化して)総コストが下がる。

つまり、低コストで提供することができるというわけです。

このことから、先んじて取り組めば累積生産量は素早く増えるため、先行者利益が狙えるという理屈になります。

例えば、イチゴ大福がまだ一般的に売られていない地域でイチゴ大福を製造販売する場合を考えます。この場合、売れ行きが良ければ競合他社が模倣してきますが、模倣して販売されるまで1年かかったとします。

この1年の間に、製造方法のノウハウの確立や仕入れ先との関係性の確立、廃棄ロスが出ない原材料仕入れノウハウの確立など、実際に生産することによってコスト低減のノウハウがたまってきます。

そして、このコスト削減のノウハウを活用して1年後に競合他社を迎え撃つ事ができるというわけです。

また、消費者の心理に参入障壁を築けるといった点も見逃せません。人は慣れ親しんだ行動を変えるのを嫌がります。

このことは別に不合理ではなく、切り替えをするためには新しいやり方を覚えたりするためのコストがかかるのです。

そのため、一度先行して商品やサービスを市場に投入してしまえば、利用者にとっては切り替えコストが発生するため、

特に生産財の場合はこの傾向が強く、特別な理由がなければ同等品であっても別のモノを使いたくないといった気持ちは理解いただけると思います。


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ファーストムーバーズアドバンテージ
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廃棄ロス


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