回収サイト_001
回収サイトとは、取引先から資金を回収するために必要な期間の事を言います。

事業を営んでいると売上が上がったとしても、スグにお金を回収できないケースが発生するため、この回収サイトについて考えておく必要があるのです。

例えば、あなたが小売業をやっていて「おまんじゅう」を売ったとします。お金はどうなるでしょうか?通常はその場で受け取れますよね?

でも、あなたが卸売業をやっていて「おまんじゅう」を小売業に卸したとします。その場合、現金の回収条件は「二十日締めの翌月末払い」とか言われます。

これは、売上高を二十日に締めて(集計して)翌月末に支払ってもらうという事を意味しています。

つまり、今日卸した「おまんじゅう」の代金はスグには受け取れないわけなのですね。

いくらたくさん売り上げたからと言って、現金が回収できないのであれば、自分の支払に回すことができませんよね。

そのため、この回収サイトと支払サイトに気を付けないと現金が足りなくなってしまい、事業の継続が難しくなってしまうのです。(このような状態を資金ショートと言います。)

関連用語
黒字倒産 

■回収サイトが長いとどうなるの?

上で言っている通り、たとえ売上が順調に伸びたとしても「現金」が手元に入ってこないととても困ることが発生します。

仕入れの代金や、お給料、家賃などは現金が無いと払えませんよね?また、現金が手元に少なくても約束通り支払う必要もあります。

そのため、回収サイトが長いと資金繰りが悪化してしまうのです。

例えば、下の表を見てください。

日付 内容 支出 入金 残高
6月1日 初期残高 100円
6月10日 家賃の支払い 50円 50円
6月15日 仕入れ代金の支払い 40円 10円
6月20日 売上の回収 100円 110円
6月25日 給料の支払い 50円 60円

ここで6月20日に売上の回収ができなかったら大ピンチになることが分かると思います。(現金の残高がゼロを下回ったらそこで会社は終了です。)

このように、「そのうちお金が入ってくるから大丈夫だよー」と呑気に構えていると、とても大変なことが発生してしまうのです。

■支払いサイトとのズレに注意

上のように資金繰りはプールの残高をゼロ以下にしない事を考える仕事なのですが、以下のような支払いサイトと回収サイトだったらどうでしょうか?

・回収サイト(入金サイト) :60日
・支払いサイト      :40日

いっけんするとあんまり大変そうではなさそうですが、実はこれは大問題です。自社が支払う仕入のほうが、入金よりも先になるため、資金繰りがとても厳しくなります。

そのため、いわゆる運転資金の調達などを検討する必要が出てくるのです。

■回収サイト(入金サイト)を短くする方法

回収サイトを短くしましょうと、世の中の本には書いてありますし、私達みたいな支援者も簡単に指摘します。

しかし、「それができたら苦労はしないよ」といったのが実情だとは思います。

ただ、できませんでは本記事が提供できる価値はなくなってしまうので以下のようなアイディアもありますよと列記しておきます。

・与信管理の徹底
これは回収サイト云々ではないですが、いちばん大事なので敢えて書いておきます。どんなに売上が上がっても回収できないとどうにもなりませんので、与信管理の徹底はとても重要です。

また、一日でも支払いが遅れたら、直ぐに電話したり訪問してください。嫌がられるかもしれませんが、長い目で見ればあなたの事業がお金をしっかりと管理しているという評判に繋がりますのでメゲずに励行してください。

お金を滞納しがちな人は、沢山借りている人から払うわけではありません。「うるさい、面倒な人から順番に払っていくのですから。」

・業界団体として取り組む
支払いサイト短縮について業界団体として取り組んでいるケースが多くあります。一昔前はこのまんがのような180日手形すらまかり通っていたのですが、最近はそのようなことはなくなっています。

ただ、それでも回収サイトが慣習として長くかかるような取引先もまだいますので、機会を捉えて集団で交渉して行くと良いでしょう。

もちろん、下請法などで2024年11月1日以降は60日を超えるような支払いサイトは行政指導の対象になるという事も念頭に置いたうえで取り組むと良いです。(正論だけで交渉できないのが厳しいところですけどね)

・力関係を自社に傾ける
最後には面白くない正論を書かざるを得ないのですが、最終的には自社の製品やサービスが簡単には代替できない、あなたの会社から買うしか無いといった境地を目指していく必要があります。

そうなれば、回収サイトの短縮にも応じてくれる可能性は高まるでしょう。


この他に商社金融を活用するなどといった方法もあったりします。

■資金繰りについて(ファクタリングとABL)

手元資金が足りないイザとなった場合、売掛債権をもとに資金を得る方法として以下の2つがあります。

■ファクタリング(売掛債権の買い取り)

ファクタリングは売掛債権(未回収金)をファクタリング会社に買い取ってもらい現金化する方法です。

重要なのは、誰の信用力で資金を動かすかですが、ファクタリングの場合「あなたの取引先の信用力」が重要になります。(ファクタリング会社は売掛債権を買い取るのですから、取引先の信用力が回収可能性を左右します)

・3社間ファクタリング(取引先に通知されるタイプ)
 ファクタリング会社を恒常的に利用していることが取引先に知られると、資金繰りが厳しいと見られる危険性があります。

・2社間ファクタリング
 取引先に知られにくいため、取引先や外部への影響は限定的となります。ただし、手数料は高めになります。

■ABL(売掛債権担保融資)

ABLは売掛債権(未回収金)を担保に金融機関などから融資を受ける方法です。こちらの場合はあなたの会社の信用力が重要です。、(信用力を補完するため金融機関に売掛債権を担保として差し出すイメージ)

・ABLでは売掛債権が担保となるの、取引先には通知される事に留意が必要です。

・ただし、制度設計や契約形態により通知無しで運用される場合もあります。

いずれにしても、金融機関に相談してどのような取引なのかを理解してから対応するようにしましょう。

<ファクタリングとABLのまとめ>
項目 ファクタリング ABL(売掛債権担保融資)
内容 売掛債権を「売却」して資金を得る 売掛債権を「担保」にして融資を受ける
資金の出し手 ファクタリング会社 銀行・信用金庫など金融機関
重視される信用力 取引先(売掛先)の信用 自社(債務者)の信用
資金調達までのスピード 比較的早い(数日〜1週間) やや時間がかかる(審査・契約に時間)
通知の有無 3社間では通知あり/2社間では通知なし 原則通知あり(ただし契約によっては通知なしも可能)
手数料・金利 手数料制(やや高め) 金利制(低めのことが多い)
バランスシートへの影響 オフバランス(債権を売却するため) オンバランス(借入として計上される)
与信管理への影響 3社間では取引先に知られ信用低下リスクあり 通知が必要な場合は取引先に把握されることも
向いているケース 緊急性のある資金需要、創業間もない企業 中長期の資金需要、信用力のある企業


どちらの方法も売掛債権を元にお金を得る方法ですので、あなたが取得する売掛債権をどんな手段で売掛金を現金化しても気にしないという立場の企業も多くありますが、相手がどのように受け取るかも慎重に見極めて対応することをオススメします。

■むすびに

いずれにしても、回収サイトが長い状態を放置していると、いつか資金繰りに行き詰まる可能性が高まります。

回収のタイミング・支払のタイミング・そして信用の維持。この三者をバランスよく設計しておくことが、安定した経営の鍵なのです。

単に「お金が足りないから調達する」ではなく、「なぜ足りなくなるのか」「それを防ぐにはどうするか」を冷静に見つめていくことが大切なのです。


解説で出てきた用語
行政指導

初出:2013/03/14
更新:2025/07/10