資本提携_001
資本提携とは、企業が協力関係を築くために、双方の会社が株式を持ち合う事(相互に株を持ち合う)や、一方的に、片方の企業の経営権に影響を与えない程度に株式を保有する事を言います。

お金を出しているので、相手先企業の価値が損なわれるような事があれば自社も損をしてしまいます。逆に資本提携先の企業の価値が増せば、自社は得をします。

このように、相手の会社の業績によって自社が損をしたり得をしたりするため、単なる競争相手として競争を行うのではなく、協力関係を築いた方が得になるのです。

単に「協力しましょうよ」と業務提携技術提携を結ぶだけではなく、お金を出した資本提携は、より強力な協力関係を長期的に築くという意思表示になるのです。

いわば協力関係を確認するために、お金を出すといったイメージになりますね。

■資本提携のメリットとリスク

資本提携の最大のメリットは、長期的な関係性を前提とした戦略を構築することができるということです。株式を持っている(つまり相手の会社の所有権の一部を持ち、議決権も持つ)わけですから、ある意味運命共同体的な深い協力関係を構築することが可能となるのです。

そのため、共同研究、共同開発や共同物流、共同販売、共同仕入れなど様々な方策を一緒に行っていくことが可能となります。このことから大きなシナジーが期待できるのです。

他方で、かなり深く長い協力関係を前提としますので、相手の会社の業績と自社がある程度連動してくるというリスクがあります。

特に相手企業の業績が低迷し株価が毀損してきた場合、株価の下落を通じて自社の資産価格の減少にもつながります。そうなってくると、資本提携を行った当時の経営判断についても株主から問われたりしますので経営面のリスクとなってしまうのです。

また、出口(提携解消)の手続きなどはあらかじめ設定しておく方が揉め事を少なく提携解消ができますので、最初からうまくいかなかったときのことを考えるのは後ろ向きであるかも知れませんが、これからだからこそ当初から設計しておくほうが望ましいでしょう。

■FAQ

Q:業務提携と資本提携の違いはなんですか?
A:業務提携は2社以上の企業がお互いの独立性を守ったまま業務上の提携関係を結ぶことになります。これに対して資本提携はお互いに株式を持ち合うなどで、資本関係を持ったうえで協力関係を結ぶことになります。

Q:我が国の資本提携の実例は?
A:例えば楽天と日本郵政の資本提携(2021年)の例があります。事業拡大を目指して、両グループの経営資源の強みを持ち寄って(楽天は1億人ほどの楽天会員、日本郵政は全国を網羅する郵便局などの物流網)シナジー拡大を図ることでした。内容は、楽天の株式約1500億円分を日本郵政が引き受ける(楽天の8%程度を出資する)という内容でした。
ただし、2023年時点で楽天株が下落したことから、日本郵政側の850億円に及ぶ減損処理につながってしまい、資本提携のリスクが顕在化した例ともなってしまっています。