
本記事ではクラウンジュエルを「株主との関係」「取締役の義務」といった法的観点からも整理し、他の買収防衛策との違いを明確にし理解を深めていきます。
<用語解説>
クラウンジュエルとは、買収を仕掛けられた企業が、自社の魅力をあえて手放してしまい買収のうまみをなくすという対抗策のことを言います。
<用語解説>
クラウンジュエルとは、買収を仕掛けられた企業が、自社の魅力をあえて手放してしまい買収のうまみをなくすという対抗策のことを言います。
このクラウンジュエルという言葉は、王冠についている宝石から来た言葉です。
■クラウンジュエルってどういう事?
素晴らしい宝石がついている王冠を想像してみてください。そして、あなたは想像もつかないの富を持っているとします。今回、あなたは素晴らしい宝石がついている王冠が売りに出ているのを見つけ、買い取ろうとしたとします。
この時、あなたは王冠の価値だけではなく、宝石の価値も含めて買収したいと考えているのです。
そのため、王冠を買い取ろうと考えた後、王冠についている宝石が取り外されたら、王冠を買おうという意欲が減退するはずです。
これと同様に、買収されそうになった自社の魅力的な資産などを、あえて譲渡してしまい自社の魅力を失わせる。その結果、買収を断念させるという買収への対抗策がこのクラウンジュエルという方法なのです。
■クラウンジュエルのイメージ
例えば、ほとんど追加の投資が必要ないけれども安定して稼ぐ事業(PPMでいうところの「金のなる木」ですね)を、あえて譲渡してしまう。または、非常に許認可を受けにくい分野の許認可を受けている事業を譲渡してしまうといった事が考えられます。
いずれにしても、重要な資産を譲渡するわけですから、株主の価値を損なうようなやり方でこのクラウンジュエルを行うと、株主から取締役の善管注意義務や忠実義務への違反として訴訟を起こされる危険があるので注意が必要です。
■クラウンジュエルの価値を利用するという視点
クラウンジュエルでは、重要資産を手放して買収を断念させることが目的ですが、実際にはこれらの宝石をあえて温存し、「交渉の材料として高く売却する」という逆の戦略も存在します。
例えば、酒造免許などはすごく取りにくい種類の免許だったりします。そして酒造免許を狙った買収だが実際に行われた場合、酒造免許を持っている部門だけを切り離して高値で売却するといった方法が考えられるのです。
価値のある資産を「敵に渡したくない秘密兵器」として破壊するか、「希少価値を武器にした交渉材料」として活かすかは、経営判断が問われる重要な分岐点です。
そして、その判断の余地があるため、買収防衛策としてクラウンジュエル(重要資産の破棄)が行われると株主から判断の妥当性を厳しく問われるのです。
そして、その判断の余地があるため、買収防衛策としてクラウンジュエル(重要資産の破棄)が行われると株主から判断の妥当性を厳しく問われるのです。
■訴訟なんて大げさじゃない?
株価が100円の株価の企業を一株当たり200円で買収したいという会社が現れたとします。そしてあなたはその会社の株を持っていたとします。
しかし、現経営陣が経営陣としての地位を保全するためにクラウンジュエルを行って、企業価値を決定的に損なったとします。
その結果、買収したいと考えていた企業は手を引きました。現経営陣は良かったと胸をなでおろしましたが、株価は50円に低迷してしまいました。
さて、現在の経営陣にとっては良い結果ですが、株主であるあなたはどのように考えるでしょうか?
このまんがにあるように、このクラウンジュエルは、取締役会の決議で行う事ができます(重要な資産の譲渡が行えます)。そのため、クラウンジュエルはある意味、現経営陣にとっては簡単な方法ではあるのですが、株主価値を損なうようなやり方をすると、株主から訴えられるリスクもあるのです。
ただし、クラウンジュエルは「敵対的買収に対する有効な手段」して機能しますが、その実行には株主代表訴訟のリスクが大いにあります。そのため明示的な成功例・失敗例が公開されにくい(または開示されない)傾向があります。
関連用語
焦土作戦
ゴールデンパラシュート
ティンパラシュート
スーパーマジョリティ(絶対的多数条項)
第三者割当増資
ホワイトナイト
ポイズンピル
期差任期制度
パックマンディフェンス
このまんがにあるように、このクラウンジュエルは、取締役会の決議で行う事ができます(重要な資産の譲渡が行えます)。そのため、クラウンジュエルはある意味、現経営陣にとっては簡単な方法ではあるのですが、株主価値を損なうようなやり方をすると、株主から訴えられるリスクもあるのです。
■ クラウンジュエルのメリットとデメリット
クラウンジュエルの最大のメリットは、敵対的買収を阻止する強力な手段を比較的簡単に行えることです。
自社の重要資産を譲渡することで、買収側が魅力を感じなくなり、買収そのものを断念するケースが期待できますので。
自社の重要資産を譲渡することで、買収側が魅力を感じなくなり、買収そのものを断念するケースが期待できますので。
ただし、一方でデメリットもあります。それは、自社の将来の収益源や成長の芽を自ら手放すリスクです。
また、上で挙げたように株主価値を毀損することになれば、取締役が株主代表訴訟を受けるリスクもあるため、実行には慎重な判断が求められます。
また、上で挙げたように株主価値を毀損することになれば、取締役が株主代表訴訟を受けるリスクもあるため、実行には慎重な判断が求められます。
■実例を挙げないで考えるクラウンジュエルの例
敵対的買収を受けた某大手企業が、自社の中核となる医療機器部門を第三者に譲渡することで、買収の魅力を下げるといったことも考えられます。実際のビジネスの現場でも有効に機能する場合がありますが(誰でも思いつく方法ですよね)、経営陣の自己保身の手段として使われた場合には問題視されることもあります。(実際にやると問題になります)
ただし、クラウンジュエルは「敵対的買収に対する有効な手段」して機能しますが、その実行には株主代表訴訟のリスクが大いにあります。そのため明示的な成功例・失敗例が公開されにくい(または開示されない)傾向があります。
このクラウンジュエルの本質は、敵に狙われている重要な資産を自らの意思で破壊する事です。特撮物で秘密兵器を開発していた博士が、敵に渡すぐらいなら自爆するといった感覚に近いと思います。
そのため、やるかやらないかは別として割と簡単にできるのです。
そのため、やるかやらないかは別として割と簡単にできるのです。
関連用語
焦土作戦
ゴールデンパラシュート
ティンパラシュート
スーパーマジョリティ(絶対的多数条項)
第三者割当増資
ホワイトナイト
ポイズンピル
期差任期制度
パックマンディフェンス












