資産効果_001
資産効果とは、持っている資産が値上がりすることによって、消費や投資が促される効果の事を言います。

例えば、あなたが100万円の株を持っていたとします。この時、株が値上がりして200万円になったとしたら、「資産が増えたから少し贅沢しようか。」となりませんか?

なるとしたら、それが資産効果です。

また、投資が促されると言う効果もあります。この投資が促される効果によって、

資産価格の値上がり→投資の増加→さらなる資産価格の値上がり

といった循環も生まれるのです。この循環によってどんどん景気は拡大していくのですね。これは、資産が値上がりしたから、更にリスクを取って投資をしていくというイメージの行動です。

この逆で、資産の値下がりが消費や投資を抑制する効果もあります。こちらはそのものズバリ、『逆資産効果』といいます。

■資産効果が発生しやすい状況

例えば、株価の上昇局面、不動産価格の上昇局面、仮想通貨(暗号通貨)の高騰局面など、どんどん自分の資産が増えるタイミングです。

そのようなタイミングでは、

資産が増える

資産効果

消費増大

景気拡大

企業業績上昇

株価などの資産価格上昇

といった形で良いスパイラルが回ります。

■ただし、資産効果が加熱しすぎると。。。

ただ、この資産効果が加熱しすぎると、いわゆるバブル状態となり、過剰消費や過剰投資の問題が生じてきます。また、厄介なインフレなどの問題も生じてきます。

過剰消費ぐらいならば環境に良くない・拝金主義的な不健全な文化が育まれる程度ですみますが(どっちも大問題ですね)、過剰投資はその後にも尾を引くので厄介です。

例えば、負債で資金調達して過剰投資した場合は、(割高な価格で購入してしまった資産を損切りできなければ)その負債の返済負担が長く続きます。

また、仮に現金で一括購入したとしても企業業績には減価償却費(減価償却についての解説はこちら)の増大や設備等の維持管理費用の増大といった点で長い期間ダメージが入り続けます。

バブル経済の崩壊後、我が国企業はこの悪影響に長く苦しみ、非常に長期にわたる景気悪化に苦しんで来たわけです。

■政府や中央銀行の役割

この資産効果が加熱した際、政府や中央銀行は景気の加熱を抑え持続的に経済発展できるようにソフトランディングさせるように動きます。

例えば、金融政策による段階的な引き締め(金利を徐々に上げる)を行い、資金供給を徐々に減らし、投機的な資金の流入を減らしていきます。

また、劇薬ですが不動産融資の規制(融資の自己資本比率規制や不動産評価額の制限)や株式の信用取引を制限するなどの動きもありえます。

■我が国はバブル経済をハードランディングさせてしまった

と、歴史のお勉強になってしまい恐縮ですが、バブル景気はプラザ合意の円高不況に対応するために大規模な金融緩和を実施したことにより、この資産効果のスパイラルが制御不能になってしまったことを発端としています。

そして、「これではまずい」ということで日銀は政策金利を急激に引き上げ(6%台へ急騰させた)、さらに、不動産融資への総量規制まで行ったので地価の下落が、以下のような逆資産効果を発生させてしまったのです。

不動産価格の下落

担保価値の既存

貸し渋り貸し剥がし(用語解説あり)

倒産

さらに時系列的には若干錯綜しますが、消費税が導入されたのもこの時期です。

以下あるべき姿と、我が国がバブルを崩壊させた時にやってしまったことをまとめます。
項目 ソフトランディング(あるべき姿) ハードランディング
(我が国がやってしまったこと)
金融政策 段階的に金利を引上で景気過熱を抑制 急激な利上で資産価格を急落させる
資産市場への対応 規制などの導入で、投資家心理を落ち着かせる 総量規制などを急激に導入し信用収縮を招く
政府・中央銀行のメッセージ 市場との対話し、過熱感を和らげる 「バブル退治」など強硬姿勢
経済への影響 資産価格を安定させ、持続的成長へ 景気後退、不良債権問題、長期停滞

■われわれ経済人が取る対応とは

と、資産効果はいっけんすると問事尽くめのように感じますが、加熱した際の悪影響や、加熱を冷ますための政府や日銀の対応いかんで大惨事を招く危険性すらあるのです。

そのため、資産効果が亢進し「今回はいままでと違う(何処まででも資産価格は上がる)」と周りが振る舞い始めたら、立ち止まって収穫の秋の後に訪れる冬に備える事も重要かもしれません。

なにより、現在の我が国を代表する任天堂やキーエンスといった企業はバブル景気に踊らされず、無理な設備投資や不動産登記などを行わなかったといった実例もあります。

われわれ経済人が冷静に利を見ることが結果として我が国の社会全体の安全弁になれるのですから。

※資産価格が下落することによる影響については、別記事「逆資産効果とは?」もご覧ください。

初出:2013/01/30
更新:2025/07/07