一物一価の法則_001
一物一価の法則とは、自由な市場では同じ商品は同じ価格になると考える経済学の経験則です。

本記事では一物一価の法則の意味や具体例、裁定取引との関係、現実に必ずしも成立しない理由までわかり易く説明します。

■簡単な説明

一物一価の法則とは、自由な市場経済では同じ市場の同じ商品は同じ価格になるという経験則を言います。英語ではlaw of one priceと表記されます。

これは、簡単な例を考えてみると納得できると思います。例えば、同じ市場に二つの雑貨屋さんがあったとします。

片方の雑貨屋さんでは塩を1キロ100円で販売していたとします。ではもう片方の雑貨屋さんは同じ塩を1キロいくらで販売しているでしょうか?(差別化できていない商品の例ですね。参考:コモディティ化

もう片方の雑貨屋さんが塩をちゃんと売ろうと思ったら、少なくとも100円以下で販売しているはずですよね?(ワザワザ120円出して買いますか?)

もちろん片方が抜け駆けをして95円に値下げをするかもしれませんが、そういった場合も、100円のままでは売れませんので、もう片方のお店もいずれは95円で販売するようになります。

しかし、際限なく値下げを行う事はできませんので、最終的には同じ値段に落ち着くはずです。

この、を同じモノならば同じ値段になるという事から、一物一価の法則と言っているのです。
  • 実際に成り立っているか?
さて、この一物一価の法則は実際に成り立っているでしょうか?

現実の世界でこの一物一価の法則を成り立たせる力として、裁定取引があげられます。これは同じモノを片方で100円、もう片方で95円で売っているのならば、95円で買ってきて100円で売れば確実にもうかります。

その様な取引が簡単にできるような市場(金融市場が代表的ですね)ならば価格の差異は自然に解消します。いくつかの市場で同じ商品を売っていれば(例えば、銀という商品を大阪の取引所とロンドンとニューヨークで売っているならば)微細な価格差を裁定取引で収益機会にすることが可能になります。

その結果、地球のほとんど反対側にあるような市場でも同じような価格に収斂して一物一価の法則が成り立つのです。

しかし、完全競争市場というものは現実にはほとんどありません。(大きな会社が価格を支配できたり(プライスメーカー)、買い手と売り手側に情報の非対称性があったりします。)

また、輸送費もこの法則では考慮されていません。例えば、千葉の産地で買って100円の生花を東京で買ったら300円のモノでも、輸送費を考えれば裁定取引を行えない場合もあります。

その為、実際にはこの一物一価の法則はなかなか成り立たないのです。

■一物一価の法則が成り立つ条件は

一物一価の法則とはどのお店でも自由に商品を買えたり売れたりすることが前提になります。

上で述べたように比べやすいというのがポイントになります。2つのお店でも比べられるならば値段は近づいていきます。コレは沢山のお店があってもそうで、5つお店があって1つのお店だけ10%高く売っていたら売れにくくなりますから、価格は近づいていきます。

ただ、この前提を満たすのがなかなか難しいです。

固い言葉で言うならば、市場に自由に参加でき、商品の品質に差がなく、消費者も販売者も十分に情報を持っている場合は価格差が解消されるといえますが、これらの条件を満たすのが難しいことはイメージできると思います。

このため、一物一価の法則は現実をそのまま説明すると言うより、価格がどのように決まるかを考えるための基準であるということができます。