取締役会_001

取締役会とは、取締役が合議して会社の方針や重要事項を決める機関です。
この記事では、取締役会の役割・設置義務の有無・機関設計の選択肢をわかりやすく解説します。

<簡単な説明>
取締役会とは、取締役が合議して(みんなで話し合って)会社の意思決定を行う機関です。いわゆる役員会ですね。

株式会社の意思決定は必ず取締役会にて行われるというイメージがあるかもしれません。しかし、現在では取締役会を設置しない機関設計を行う事もできます。(かつて、株式会社はこの取締役会を必ず設置しなければならなかったのですが、現在は設置するかどうかを任意で決めることができるようになっています。)

但し、公開会社(注)、監査役会設置会社、委員会設置会社、大会社は取締役会を必ず設置する必要があります。

(注)公開会社とは株式全部が譲渡制限株式でない会社の事を言います。別に上場企業のみをさしているわけではありません。

また、取締役会を設置した場合、必ず監査役を置かなければならないといった条件があります。

このように、株式会社の機関設計はある程度自由にできるのですが実質的にはいくつかのパターンから任意で選択するようになっています。

■取締役会の実際の運営と決議方法

取締役会の実際の運営をちょっと見ていきましょう。会社法上では「過半数の取締役の出席」と「出席取締役の過半数の賛成」で決議が成立します(会社法第369条)。

このように、参加の定足数が決まっているため、「社長が勝手に決める場」では無いところがポイントです。一応みんなで話し合って決める会議という建付けになっています。(とはいえ一応と書いた通り、取締役相互のちから関係が実際にはものを言ってきます)

例えば学校などの意思決定を想定してみると、「体育祭の競技種目をどうするか」をクラス全員で相談して決めるのに似ていますね。決め方としては、このように多数決で決める場合もあれば、みんなが納得できる意見を探すこともあります。

■決めたら残しておく事が重要(議事録はメモじゃなく証拠資料です)

決議とあった通り、取締役会で決めることは業務執行における大切な意思決定となるため、法定の「議事録作成義務」が課されています。

議事録は10年間の保存が必要で、株主や監査役から閲覧請求を受ける場合もあります。閲覧請求などとあるように、これは単なる会議メモではなく、法的に重要な「証跡資料」です。

このように、後で「誰がどう決めたのか」が分かるようになっています。(なので株主に取締役の任務懈怠を問われるなどの裁判ざたになった時に重要な証拠となります。)

■ドラマなどで出てくる取締役会における緊急動議って?

よく反対派の役員が結託して緊急動議を取締役会に提出し、代表取締役から代表権を取り上げるみたいな光景があったりします。

ただ、実務的には結構難しい動きです。(めったにないからドラマになるんですけどね)

原則論として、取締役会では事前に通知された議題に限り決議可能となります。しかし、業務執行上やむを得ない場合には、当日になって追加の議案を上程する「緊急動議」が認められるケースがあります。

上の学校のイメージを借りて説明しますと、学校のクラス会で、「旧に台風が発生したため体育祭をどうするか?」みたいな急な話題が出ることがあります。

会社の取締役会でも同じで、議題に入っていなかったけど急いで決めないと困る問題が出ることがあります。これを「緊急動議」といいます。

ただし、何でも急に持ち出して良いわけではなく、出席しているみんなが「今すぐ決める必要がある」と納得できる時だけ取り扱われます。

この理屈なら、代表取締役から緊急で代表権を剥奪するといったことが行えるかもしれませんが、参加した取締役の同意のハードルも高く、代表権を剥奪した『元』代表取締役やその他のステークホルダーから訴えられる危険性もあるので殆どの場合行われません。

そのため、正規の議題扱いで取締役会を招集し、多数決でしっかりと解任すると言った形が取られます。

なお、与信管理的には、代表取締役の解任などをやらかした段階で、よっぽど正当な理由でない限り警戒レベルが上がるのが一般的です。企業内の組織体制の重大な問題があるわけですから。


関連用語
執行役
執行役員