ワンイヤールールとは、一年基準とも呼ばれ、資産や負債が貸借対照表上の流動○○に分類されるか否かを判定するための基準の一つを指します。
これは、単純に一年以内に現金化されるor現金が出ていくものは流動○○にしましょうというものです。英語ではそのままone year ruleと表記されます。
厳密には貸借対照日(要は決算日)の翌日から起算して1年以内という考え方になります。
■先に正常営業循環基準がある
この基準は、正常営業循環基準を適用したうえで、それで流動○○と判断できなかったものに対して用います。
判定の順番は以下の通りです。
1.正常営業循環基準
判断できなかったら↓
2.ワンイヤールール
■わかりやすくワンイヤールールの例を示します
売掛金や買掛金はどうでしょうか?これは正常な営業循環の流れに入っていますので、流動資産、流動負債と判別します。
また、棚卸資産(要するに商品)も正常な営業循環の中に入っていますので、流動資産と判別します。
では、どこかの金融機関から借りてきた借入金はどうでしょうか。また、経営者へ対して貸し付けたお金はどうでしょうか?
これらは営業循環の中には入っていませんよね?
そのため、ワンイヤールールを適用して判断します。
これを仮に、貸借対照表上の流動と固定を正常営業循環基準だけで判断するのであればどうなるでしょうか。
この場合は、営業循環の中に入っていないので『固定資産』『固定負債』となります。
しかし、決算日の翌月が返済期日であった場合に固定負債として問題ないでしょうか?
また、決算日の翌々月に返ってくる貸付金を固定資産として問題ないでしょうか?
少し考えると、すぐに返ってくる、すぐに払わなければならないモノだとわかりますので、固定○○に分類するのは不合理ですよね。
また、利害関係者(ステークホルダー)の判断を誤らせる可能性がありますよね?(流動比率が200%で短期的には安全だろうと判断した企業だったのですが、翌月多額の返済があって資金ショートしたなんてことになったら、何のために財務諸表を見たのかわからないですよね。)
そのため、このワンイヤールールは正常営業循環基準を適用した後に、この基準を補うように適用されます。
固定資産
固定負債
ウチは流動比率がいいから潰れませんよ。だからご融資を…
融資の件はどうでしたか?
断られちゃったよ。ウチの流動比率を見たら問題ないと判断されると思ったんだけどなぁ。まあ、平気だけどね。
役員貸付金がワンイヤールールで流動資産になってるけど、この貸付金って期限が来ると借り換え借り換えでやっていて返ってこないから、実質的に固定資産、もっと言うとすでに貸し倒れているんだよなぁ。
何か言ったかしら?
固定資産
固定負債
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