ニーズ志向_001
ニーズ志向とは、顧客が必要とするものに合わせて製品やサービスを開発・提供するという考え方のことを言います。

顧客が望むものを作って提供しようという考え方ですね。

例えば、高校の側に喫茶店があったとします。この喫茶店のマスターは本格志向でコーヒーを豆から焙煎して提供していました。そして、コーヒーの香りを損なうとの理由から食事類は一切提供していませんでした。

しかし、近くの高校に通う生徒は喫茶店で食事がしたいと考えていたとします。

この時、近くの高校に通う生徒のニーズを調査して、ニーズに合うように食事を提供するといった考え方をニーズ志向と言います。

この考え方は、マーケティング志向といったイメージに近いです。「顧客のほしがるものを提供する!」という言葉が表しているマーケティングコンセプトですね。


これとは逆に、美味しいコーヒーを淹れられるというシーズ側から、美味しいコーヒーを徹底して追求するというシーズ志向という考え方もあります。
  • ニーズ志向は重要
自分の製品やサービスに自信がある人が陥りやすい落とし穴が、「私のお店のラーメンはこだわり抜いた商品だから売れるはず」→「売れないなんて消費者は味がわかっていないんだ」といった思考です。

しかし、消費者は自分の満足度を高めるために商品やサービスを購入するわけであり、そこには消費者のニーズといったモノが不可欠です。

そのため、消費者のニーズを調査し、ニーズを満たすような商品やサービスを最初から開発する方が簡単だし確実ですよといった考え方がニーズ志向なのです。

・ニーズは調査できる

さて、このニーズ志向といったとき忘れがちですが大きな点が一つあります。それは消費者のニーズはある程度調査をすることが可能であると行った事です。

仮説を立てて検証するアドホック調査や一定の調査対象を継続的に調査するパネル調査といった手法があり、市場を調査すれば消費者のニーズをある程度知ることができます。

そして、ニーズを知れば、商品やサービスを市場ニーズに合わせて提供する事ができるのです。

■顕在ニーズと潜在ニーズ、ウオンツとシーズの違い

ニーズは生活をするうえで重要なものですが、単にニーズというだけではなく「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」に分かれてきます。

「顕在ニーズ」は現れているニーズですから、お腹が空いたとか、スマホが欲しいと言った本人が気がついているニーズです。

他方で「潜在ニーズは」本人も気がついていないニーズです。スマホを欲しがっている本当の理由は「良い写真を撮りたい」かもしれませんし、その場合、本人はデジカメ、特にミラーレスや一眼レフカメラを欲しがっていることに気がついていないのです。

■ウオンツやシーズとの違い

ウオンツは、ニーズをさらに具体的にしたもので、お腹が空いたというニーズを具体的に、ラーメンが食べたいと考えるようなものです。

整理すると

ニーズ→ウオンツ→具体的な需要

と言った段階で進んでいきます。

似た言葉でシーズというものもありますが、こちらはシーズ(つまり種)です。企業側が持っている新しい価値を提供できるという種のことをいいます。(シーズを意識する方向性をシーズ志向といいます)

なので、会議で鉄板の言い方をするならば(そして情報量はあんまりない言い方です)

・潜在ニーズを掘り起こしましょう。そしてソレをウオンツに翻訳して、我々のシーズと結びつけて革新的な商品を作りましょう。

と言った言い方が成立します。(うん、当たり前のことをそれっぽく言っているだけですね。)

とはいえ、この言い方にも真理は含まれていて、ニーズだけを追っているとイノベーションのジレンマが発生するのです。

関連用語・説明で出てきた用語
アドホック調査
パネル調査

初出:2012/11/26
更新:2025/11/13