限定承認_001
限定承認とは、民法によって定められている相続の方法の一つで、良い財産(プラスの財産)範囲内で悪い財産(マイナスの財産)を引き継ぐというものです。

良い財産の範囲内だけで、悪い財産を引き継ぐわけですから、良い財産の方が多ければ、単純承認と同じような利益を受けることができますし、悪い財産の方が多くても、相続放棄のように最悪ゼロになるだけです。

言い換えれば、マイナスにはならない(必ずゼロ以上になる)相続の方法という事ができます。この相続方法を選択しておけば、あとから莫大な借金が発覚しても一安心ですね。
 
非常に有利なこの制度ですが、この制度を用いて相続するためにはそれなりのハードルがあります。

それは、相続する人全員が「限定承認」しないとならないという事です。一人でも、「自分は単純承認で良いという人」がいたら、限定承認にはなりません。

また、財産目録を作成する必要があったりと、他にも色々コストがかかります。しかし、メリットのある方法なので、選択肢として持っておく事は有効であると考えられます。

このまんがでは、上級生と下級生が野球で勝負をしたようです。

勝負は、上級生側は、負けても特に罰を受けないけれども、勝ったら下級生に早朝体力トレーニングを課すといった条件の上で行われたようです。

この、上級生側の立場が限定承認を行った相続人の立場のイメージです。すなわち負けても(マイナスの財産の方が多くても)ダメージを受けないけれども、勝った場合(プラスの財産が多かった場合)得をするといった感じです。

■安全に相続するための限定承認(とはいえ実務上はハードルが高いです)

相続の中でも限定承認は安全に財産を受け継ぐための方法になります。被相続人の事をよく知らないで相続すると、思わぬ借金が出てきたりと大変なことになるリスクがあります。

たとえ生活をともにしている夫婦であっても秘密の一つや2つはあるものです。ましてや別居している親兄弟などでは、よくわからないケースが多いです。

また、「会社を経営している(いた)からお金持ちだろう」と事業をしたことがない人は思いがちですが、プラスの財産が大きければマイナスの財産もまた多くなるものです。そのためこの限定承認という安全策が用意されているのです。

■ただし実務的には難しい

この限定承認を行うためには、『相続人全員』が共同で家庭裁判所に対して申述する必要があります。

また、相続があったことを知った日から3ヶ月以内に行う必要があるという時間制限もあります。

更に、財産目録の作成と公告や債権者への弁済なども行う必要もあります。

どうでしょうか?かなりハードルが高そうですよね。そのため、実務上は専門家(弁護士さんか司法書士さん等。もし、被相続人と税理士さんにお付き合いがあったらまずは税理士さんへご相談を)のサポートを受けることが重要です。

士業のサービスは専門性の高さ故に結構高額に思われるかもしれませんが、ぜひ活用してみてください。