模倣戦略_001
模倣戦略とは、他社が先行して販売している製品やサービスと同じようなモノを後発で販売していく戦略です。言いかえると、マネする戦略という事ができます。

■模倣と言っても完全模倣ではありません

もちろん、全く同じようなものを同じような価格で販売していたのでは、先行した企業に勝つことは難しくなります。

そのため、先行して販売されている製品やサービスを改良して販売する、先行して販売されている製品やサービスを単純化して価格を引き下げたものを販売するといった事を行います。

このような戦略は競争地位としてはフォロワー(参考:競争地位の4類型)に位置付けられるような企業が意図的に採る戦略です。

実際に売れている製品やサービスという事は、需要があるという事が実証されているため、開発リスクを負わずに販売していくことが可能となります。

■リーダーが行う模倣戦略は同質化戦略とも呼ばれる

また、このような模倣を競争地位がリーダーに位置付けられるような企業が行う場合、同質化戦略と言われます。(リーダーの戦略定石

この場合は、同じ土俵で戦えば規模の大きな企業の方が有利であるという非常に単純な理屈を利用した戦略です。

いずれにしても、他社を上手に真似するという戦略は有効なのですね。

■模倣戦略と後発優位の関係

模倣戦略はいわゆる単なる「パクリ」ではありません。先行企業が市場に出して成功した製品・サービスを分析することがまずは大切です。

その中で、「何が顧客に支持されているか」といった本質部分を把握したうえで、自社の強みに基づいた改善やコスト削減を行うのです。ポイントは自社の強みに基づいた改善です。

自社が「アンコが美味しい和菓子屋さん」だったら、美味しい餡にこだわった商品として改善をするのが大切です。

この改善により、開発コストや市場教育コスト(市場の人に新しい商品の内容を伝えるコスト)を大幅に削減でき、スピーディに顧客に届けられるという後発優位が発揮されます。

たとえば、先行商品が「高品質・高価格」であれば、後発企業は「標準品質・低価格」で勝負することも可能です。これは低価格戦略や単純化戦略と呼ばれる手法で、割と常套手段となっています。

特に2000年代の我が国家電メーカーはこの模倣戦略に随分苦しめられました。

本質的な機能以外での高品質・高価格化競争を行っていた我が国家電に対して、必要十分の性能を安く提供するといった海外家電が消費者の支持を受けていったのです。

■模倣戦略における後発優位の具体的メリット

  • 市場が育っているため、失敗のリスクが低い
  • 顧客ニーズを分析して、より適した形で提供可能
  • 宣伝・教育コストが削減できる
  • 価格・流通チャネルで差別化しやすい
例えば、2025年においては退職代行サービスは大手企業がありますが、先発起業は別の企業でした。

先発企業は市場があるかどうかわからない中で顧客を教育し、様々な論点をクリアーしていったのですが、後発企業はその部分に経営資源を投入する必要なく、本質的な価値に経営資源を集中することができたのです。

■模倣戦略と差別化戦略の違い

混同されがちですが、模倣戦略は丸パクリを目指すのではなく「他社の戦略を参考に、自社らしくアレンジし提供する」ことが重要です。

切り口の例として、成分を変えてコストダウン(例:具材のランクを下げて低価格に)したり、逆に高級路線・高付加価値路線で高価格帯を狙うといったことが考えられます。

また、限定パッケージやノベルティで差別化するのもよいですね。

■模倣戦略を成功させるためのポイント

模倣戦略を効果的するためには、ターゲットを絞り、誰にとって価値のある商品なのか明確にすることが重要です。また、いっけんすると同じように見えても、どこかが・何かが違うと思わせる仕掛けが重要になります。

そしてその違いを自社の経営資源のなかでいわゆる「強み」を使って実施することが重要なのです。

■模倣が上手く行きにくいケース

とはいえ、知的財産権(特許権や商標権)で守られている領域は模倣が困難だったりしますし、先行している事業が強いブランドを構築している場合は模倣が難しかったりします。

いずれにしても当社が気が付かない部分に本質的な価値があるケースもあるため、模倣戦略を採用する際は慎重な調査が必要です。

関連用語
リバースエンジニアリング

初出:2012/10/20
更新:2025/08/01