補完財とは、互いに補完し合って効果を出す財のことを言います。この補完財は一方の財の値段が下がれば、補完財の需要が増えるといった関係性を持っています。
■補完するということは
この補完財とは言葉のとおり、相互に補完する財となります。例えば、紅茶とレモン、コーヒーと砂糖、といったようなものです。
この補完財は、補完し合って効果が出るようなものですから、例えば、紅茶の価格が上昇すれば砂糖の需要は減るといった関係性があります。(需要の交差弾力性を参照)
■価格が上がると需要が減ります
経済学には、市場では常に競争を繰り広げていて、価格が安い方を消費者は好むといった考え方があります。
そのため、補完財は次のような論理で考えられることとなります。
1.コーヒーの価格が下がれば、コーヒーの需要が上がる。
2.コーヒーの補完財である砂糖の需要は、コーヒーの需要が増加すれば一緒に増加する
3.ゆえに、補完財の場合は一方の価格が下がれば、もう一方の需要が増加する
といった形になります。(論理に飛躍はないのですが、1.と2.が定義では説明されないので難しいのですね。)
■逆が成り立たない場合があることに注意が必要です
この例で「あれ?」と思った方も多いと思います。
確かに
コーヒー→砂糖
紅茶→レモン
の関係は成り立つと考えられます。
でも、レモンが安くなったから紅茶をもっと飲もうと思う人や、砂糖が安くなったからコーヒーを飲もうなんて考える人はほとんどいないはずです。
この点は、あまり触れられませんが注意しておく必要があります。
今日も、狐君の小判のお問い合わせが来たわね。なんかウチではぜんぜん売れないんだけど、隣町のファンシーショップでは狐君が売れまくってるらしいわね。
らしいですね。でもなんで小判ばっかり問い合わせが来るんでしょうか?
縫製が良くなくって、簡単に外れてなくなるらしいよ?まあ、狐君が手に持ってるから、小判と狐君は補完財ってわけだね。
■一緒に需要が増減するということです
と、難しく書いていますが経済学を経営に役立てたいと思っているぐらいの人にとっては、補完財は一緒に需要が増減する財であるぐらいで考えておいて間違いではありません。
例えば、ゲーム機と、そのゲーム機で使えるゲームソフトは補完財になります。
この時、ゲーム機の需要が高まれば、ゲームソフトの需要も高まります。また、大人気のゲームソフトが発売される等の事情でゲームソフトの需要が高まれば、ゲーム機の需要も高まります。
経済学的には、価格の増減で需要の増減について分析してきますが、経済人モデルのように完全に合理的に行動する人たちを実際の経営で相手にするわけではありませんので正確な分析よりも、経営に役立てることを考えていった方がよいと思います。(満足できれば完璧でなくてもいいという経営人モデルもあります)
なお、自社の取り扱っている製品がある製品の補完財である際には注意が必要です。
例えば、固定電話のカバーを販売するようなビジネスを営んでいた企業は、固定電話の需要が激減したときに、自社で作っている固定電話のカバーの需要も激減してしまっているはずです。
このような場合、自社の固定電話のカバーの需要予測には、固定電話自体の需要予測が欠かせないということができます。
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