一時帰休制度_001
一時帰休制度とは、業績悪化を理由として工場などの設備の操業を停止する場合に、従業員を在籍にしたまま休業させることを言います。一時帰休とも呼ばれます。

この一時帰休を行う場合、従業員に平均賃金の60%以上の休業手当を支給しなければなりません。しかし、従業員を在籍したまま一時休業することができるのです。

■一時帰休はリストラよりも有利です

従業員が仕事に習熟するためには非常に長い時間がかかります。しかし、仕事に習熟した従業員が持っているノウハウは非常に貴重なものです。

このようなノウハウは目には見えませんし、財務諸表にも表れてきませんが企業の競争力の源泉になっているという事ができます。

仕事をしているからこそ見えてくる改善点もあり、その改善点はコスト削減や品質の向上につながるのです。文字通り「人は宝」なのです。

それを、不況で業績不振だからと言って簡単に解雇してしまっては短期的には業績は向上したように見えるでしょうが、長期的な競争力は決定的に損なわれてしまいます。

その様な事を避けるために、一時帰休と言って在籍にしたまま操業を休むことができるという制度が用意されています。

もちろん、企業側も平均賃金の60%以上を支払わなければなりませんし、従業員側も収入が減ってしまうためあまり望ましい形とは言えません。

しかし、安易に解雇を行うよりも企業側・従業員側双方のためになると思われますね。

onnanoko_bustup
ねぇ。業績が悪くなったときに一時帰休っていう手が使えるらしいのよ。

neko
会社の都合で休業させるってあれですよね?

onnanoko_bustup
そうよ、60%以上の手当を払わないといけないんだけど、逆に言えば、4割近くの人件費は固定費じゃないって考えられる訳よね。

hiyoko
でも、そんなに都合良くは行かないとおもうわよ。お給料の6割じゃ生活が厳しくなるし、そもそも将来性が疑わしくなるから、会社を辞めちゃう人もいると思うわ。

onnanoko_bustup
そうよね、せっかく一緒に働いて仕事を任せられる人が辞めちゃう危険性と、節約できるお金を考えるとあんまり良くないかもね。


■レイオフとの違い


類似の制度で米国などではレイオフといったモノがありますが、レイオフと異なり一時帰休の場合は籍を置いたままであり、お給料も出るのでレイオフよりも従業員にとっては優しいということはできます。

また、レイオフの場合は一時帰休と異なり解雇となってしまうため、再雇用を約束していると言っても生活が成り立たなくなってしまうので人材の流出は止められません。

また、我が国では解雇は難しい事もあり、レイオフはほとんど活用されていません。

■一時帰休はリストラではありません

一時帰休はあくまで会社の都合で休業させるので解雇を伴うリストラとは違います。

そのため、籍は残りますし、会社の業績が回復すれば一時帰休状態も解除されます。しかし、収入がかなり減ってしまうため従業員にとっては厳しい対応です。

また、かつては一時帰休時であっても雇用は継続しているといった事から、副業の禁止も行われるケースがあり、その場合は生活が立ち行かなくなる危険性が多くありました。

そして、生活が立ち行かなくなった場合は、いくら雇用されているとはいえ転職を誘発してしまいますので、このような取り扱いは望ましくありません。(そもそも公務員を除けば副業の禁止自体が法的に定められたモノではありませんので。)

 

解説で出てきた用語・関連用語
リストラ
レイオフ

関連法令
労働基準法(26条 出来高払制の保障給)

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