
委託販売とは、商品の所有権は自分が持ったまま、販売だけを小売店などに委託することを言います。
委託を受けた小売店など(受託者)は商品を保有するリスクから逃れることができ、販売できた場合に、手数料を受け取ることができます。
■通常の販売と比較した委託販売の特徴は
委託販売の場合、小売店などの委託を受けた人(受託者)には値段を決める権限がありません。委託販売の場合、委託販売の場合は所有権は委託した人が持っているためです。
このことを詳しく見るために通常の販売活動と比較してみたいと思います。
通常の商品販売の場合、小売店が商品を販売しようとする場合には、小売店がその商品を買い取って(所有権を手に入れて)販売します。
そのため、価格は原則として小売店が自由に設定する事となります。(希望小売価格が設定されていてもそれはあくまで作り手の希望する価格にとどまります。)
また、在庫を保有するリスクを引き受けることから、委託販売の手数料に比べて高い粗利率となります。
このように、受託側(小売店側)は、在庫保有のリスクを避けられます。しかしその代わりに、通常の粗利率と比較して低い販売手数料で我慢する必要があります。
■委託のメリットは
委託販売をしている方は、在庫リスクをそのまま負担するため、一見すると不利なように考えられます。
しかし、委託販売側は販売を委託することができるため、販路が拡大します。自社で店舗網を構築するだけの体力がなくとも販売することができます。
また、価格の管理を徹底することができます。そのため、決して値引きして販売したくないような場合もこの委託販売は有利です。
■書籍は委託販売です
あまり知られていないかも知れませんが、書籍は委託販売方式で販売されています。実は本屋さんは売れ残った本は返品できるといった条件で取引をしています。そのため、在庫保有にともなうリスクはありません。
しかしこのことの裏返しで、同じ本はどこで買っても同じ値段となっています。また、利益率も引く設定されているため、経営は決して楽と言ったわけではありません。

あ、その商品は端っこに陳列しておいて。委託品だから、売れなくっても返品できるからさ。

でも、委託販売の業者が昨日来て、ゴールデンゾーンにおいて欲しいって言ってましたよ?

いいのよ、ウチはファンシーショップだからリアル路線の「戦う企業戦士」なんておじさまの人形は客層に合わないから。

…だったら、どうして取り扱ってるんですか?

リスクなく品揃えを増やせるかなって思ったのよね。
■簿記的には
さて、この委託販売ですが会計的には以下が簿記上の取引となります。
以下、委託販売の仕訳例を示しておきます。
1.委託者が商品を送ったとき
(借方)積送品***(貸方)仕入れ***
(借方)積送諸掛***(貸方)現金預金***
積送品の送付などにかかる費用を積送諸掛で処理します。
2.受託者が商品を実際に売ったとき
(借方)仕入***(貸方)積送品***
3.受託者が売上を報告した時
(借方)売掛金***(貸方)積送品売上***
(借方)積送諸掛***
委託販売先に支払う手数料等も積送諸掛で処理します。
※2.は3.の報告があった時に計上されることが多いです。(報告がなければいくら売ったか把握できませんので。)また、計上日は実際に販売された日付で計上されます。
4.決算時
まだ売れていない積送品にかかる積送諸掛を繰り延べます。
(借方)積送諸掛繰延***(貸方)積送諸掛***
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