期限の利益_001

期限の利益とは、期限が決められていることによって債務者が受ける利益の事を言います。債務者は「期限が到来するまで債務を履行しなくてもよい」という利益を得ていると考えます。(民法136条)

債務者は期限が到来すれば債務を履行しなければなりませんが(つまり期限が来たらお金を返さないといけないということです)、逆にいえば期限が来るまでは債務を履行する必要がない(お金を払わないでもいい)と言うことです。

そして、このことを指して期限の利益と言います。

■すぐに返さなくても良いという利益とは

例えば、あなたが友人から翌月の20日に支払うという条件で3万円を借りたとします。この条件は文字通り、翌月の20日になったら3万円を返さなければならないという事です。

でも、逆に言うと債務者(お金を借りたあなた)は翌月20日の期限が到来するまで債権者(お金を貸してくれた友人)に支払わなくてもよいという利益を得ているわけです。

この「期限が到来するまで支払わなくてもよい」というのが期限の利益です。

そして、期限の利益を与える見返りとして債権者の方は利息を得るのです。

■期限の利益の放棄と喪失

この期限の利益は放棄できます。せっかく得た期限の利益を放棄するとはちょっとわかり難いのですが、繰り上げ返済などはこの期限の利益の放棄にあたります。

期限の利益があるのにもかかわらず、その期限の利益を捨てて、速めにお金を返すということですから。

また、似ていますが大きく違う言葉で期限の利益の喪失といった言葉もあります。

こちらは、期限の利益を一定の理由で失ってしまい、一括でお金の返済を求められるといった状況です。

こちらは、非常に困った状況に追い込まれてしまう言葉ですね。

なお、法律で決まっている期限の利益の喪失の理由だけでは、実務的にお金の貸し手側が不利となりますので、いくつかの条件を加重すると言ったことが行われます。

そのため、どのような条件がついているかについて、しっかりと契約書を読んで契約をすることが重要なのです。

■期限の利益と契約実務

期限の利益に関する条項は、契約書では基本的に謳われます。その場合、「期限の利益を失ったら一括返済」と書かれるのが相場です。

イメージで言うならば、約束を守らないで何回も支払いを遅らせるような相手には、支払いを猶予するのではなく、「あとは全部まとめて返してね」といった条項にしておく感じです。

身近なところでは、スマホなどを分割払いで購入するときもこの期限の利益についての条項がありますから、何回も払わなかったら一括請求されるというわけです。

なお、期限の利益を喪失(期限の利益の喪失)させる場合、契約書では一発アウトではなく、「支払いを◯回以上遅延する」とか「担保が毀損された」など理由を借り手側(債務者側)に多少有利に定めることが一般的です。

これによって、事務上のミスでトリガーを引くのではないですが、債務不履行が連続した場合に一括請求できるようにしています。