
繰延資産とは、既に支払ったけれども効果が将来にわたって現れるような費用を、経過的に資産として計上するものです。単に経過的に資産として計上されているだけですから、その繰延資産は基本的に換金することはできません。
繰延資産というのはこういったモノなのですが、それではどうしてこのような考え方をする必要があるのでしょうか?
既に払った費用だったら、交通費とか、人件費のように支払った期の費用にして良いと思いませんか?また、お金に換えられないのに資産って変ですよね?
これを説明するためには、企業会計の目的にまでさかのぼる必要があります。
- 企業会計の目的
企業会計の目的の一つとして、期間の利益を正しく算定するという事があります。そして、この期間の利益を正しく算定するためには、費用と収益を対応させる事が必要であるとされています。
この考えから、売上という収益を上げたなら、その収益を上げるために使われた費用のみが対応する費用になるという、売上原価といった考え方が生まれています。(どれだけ仕入れても、売れた分しか企業会計上は費用にならないのです。)
この考え方からいくと、例えば企業を創業するために支払った費用はどうでしょうか?その費用は企業が続く限り効果が続きますよね?
そういった事から例えば企業を創業するために支払った「創立費」は繰延資産として計上することが認められています。
もっとも、この「創立費」は換金することができない資産なので、いつまでも資産にしておいては貸借対照表上、資産の額が過大になってしまいます。そのため、一定の期間で償却することが必要であるとされています。
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