満足化基準_001
満足化基準とは、人は求めうる最高の水準の効用を得ようとするのではなく、十分満足できる水準ならば、その選択を行うというものです。

人間の能力には残念ながら限界があります。極大化基準のように全ての情報を集めたうえで、考えうる代替案すべてを評価するような事はできませんし、たとえできたとしても、その判断が正しい保証などありません。

その様な制約のある条件の中で、人は可能な限り満足できる意思決定を行うとするものがこの満足化基準です。

そして、この満足化基準に基づいて行動する人間観を経営人モデルと言います。

このまんがでは、メガネの先輩は極大化基準で物事を考えているようで、最良の意思決定を行おうとしていつまでたってもPCを手に入れることができていません。

 これに対して、満足化基準で考えると十分満足できる水準ならば意思決定を行う事ができます。最終コマでは気になった機種を買うと言っています。

この満足化基準は、極大化基準に比べて現実的な基準ですね。

■満足化基準で意思決定が可能となる

情報は常に不完全ですし、時間的制約も常にあります。そのような状況でも現実的な意思決定を行おうとした場合、基本的には満足化基準になるはずです。

その意味で、満足化基準で妥協するからこそ意思決定が可能となるということもできます。

極大化基準のような最適解を探索しようとすると、いつまで経っても意思決定ができずに時期を失ってしまうリスクがあります。そうではなく、十分満足できる選択肢を探して採用するほうが効果的な事は沢山存在します。

新市場へ参入する際のすべてのリスクを洗い出すことは困難です。また仮に可能だとしても膨大な時間を投入することになってしまい、折角の機会を逃すことになりかねません。

人間は結局限られた情報の中で最適だと思える選択を重ねるしかない存在なのかも知れませんね。


関連用語
経済人モデル