無関心圏_001
無関心圏とは、組織からの命令を合理性を一つ一つ判断せず、自然に受け入れられる範囲を表すバーナードの組織論です。

この記事では、無関心圏の意味や具体例、広がる・狭まる理由、組織運営との関係までわかりやすく説明します。

■簡単な説明

無関心圏とはアメリカの経営学者バーナードが提唱した概念で、この範囲の中にある命令は合理的かどうかの判断を行わずに受け入れる領域の事を言います。

無関心と言っても興味がないという意味ではなく、問題なく受け入れるといった意味で使われています。言い換えると、命令の内容については無関心に(疑問をさしはさまずに)遂行する範囲という事ができると思います。

例えば、あなたが上長に業務の進捗報告を求められたとします。その場合、通常は「そもそもなぜ進捗報告が必要か?」などと疑問を呈するようなことはしませんよね?

このように何の疑問も持たずに命令に従う範囲を無関心圏と言っています。そして、この無関心圏は組織への貢献意欲やその組織への帰属意識などで大きくなったり、小さくなったりすると考えられています。

先ほどの例で上長に業務の進捗報告を求められたとしても、あなたがいろいろ会社と摩擦を引き起こして退職寸前だったとしたら状況は変わってくると思います。

この場合、素直に進捗報告を行うでしょうか?その進捗報告が本当に必要かどうか疑問に感じたりしませんか?このように感じるという事は、この進捗報告の命令は無関心圏に入っていないというわけです。
無関心圏
この図では通常の状態の無関心圏を左側に書いています。この場合、業務の進捗報告といった事項は無関心圏に入っていますので、特に何の疑問もなく、報告しています。

一方、、右側には組織と色々な摩擦を起こして縮小した無関心圏を書いています。この場合、業務の進捗報告といった事項は無関心圏に入っていないので、進捗報告を求められたら疑問を感じるというわけです。

このように、無関心圏外の事柄が多いとなかなか組織の運営はスムーズに進まなさそうですよね。そのため、この理論では組織が効率的に動くためには、組織の構成員の帰属意識を高めるなどの方策を用いて、一人一人の無関心圏を大きくしていくことが必要であるとしています。

このまんがでは、メガネの後輩がメガネ君に心酔するあまり、非常に大きな無関心圏を持っていることが描写されています。

その結果、「うちのパートは皆メガネをかけるべし」といったちょっと合理的でない命令にも無条件で従っています。 

■無関心圏はなぜ広がったり狭まったりするの?

信頼できる先生の話は素直に聞けますよね。でもなんか怪しげな事をいう外部講師の話はちゃんと考えてから話を聞かないといけないなと思いませんか?

このように相手への信頼度によって無関心圏は広がったり狭まったりするのです。

経営に当てはめるならば、組織が円滑に機能するために、組織の構成員が命令を受け入れるような範囲(すなわち無関心圏)を維持したり拡大したりすることが重要であると考えられるのです。

給与の水準はもちろんですが、上司への信頼感や公平な評価、組織への帰属意識など複数の要因でこの無関心圏の範囲は変化します。

現在、組織論でエンゲージメントや心理的安全性などと言いますが、実質的にはこの無関心圏を広げるための取り組みであると考えることもできるのです。

■無関心圏を広げればそれでいいの?

ところで、無関心圏を広げれば効率化につながるのですが、法令違反や不正などまで無関心圏の中に入ってしまったらどうでしょうか?コンプライアンス違反が横行しオペレーショナルリスクが高まってしまいそうですよね?

また、顧客を裏切るような命令を上長が行ったとしたら、長期的には大きな損失につながりますよね。

そのため、組織への信頼は維持しつつ、不適切な命令などには異議申し立てをすることができる仕組みを作ることも重要です。

この意味で、無関心圏は従順さを意味するのではなく、合理的な組織運営のための考え方であると捉えることが重要です。