継続性の原則_001
継続性の原則とは、会計処理の方法を毎期同じ基準で続けることが原則で、勝手に変更をしてはいけないという会計ルールです。

本記事では継続性の原則の意味と、それが必要な理由などを利益操作との関係で具体的に見ていきます。

■硬い言葉での定義

企業会計原則の一般原則の一つで、厳密な定義は「企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。」とするものです。

これは企業会計原則の、1.真実性の原則、2.正規の簿記の原則、3.資本取引損益取引区分の原則、4.明瞭性の原則、5.保守主義の原則、6.継続性の原則、7.単一性の原則の7つのうちの一つの原則です。

■ちょっと具体的に考えてみます

例えば、減価償却を行うときには、定額法や定率法といった方法が認められています。そして、このどちらを選択するかは基本的に企業の自由です。

しかし、だからと言って会社の都合でコロコロと変えていたら、財務諸表を過去と比較することも難しくなりますし、利益を操作する余地が発生します。(損失がでそうだから、より費用の発生が少ない方法に切り替えるといった事を許していたら何が何だかわからないですよね。)

そのため、といった事は許されないとするのがこの継続性の原則です。

■認められた他の方法

この他には、在庫の評価方法などもいくつかの方法があります。例えば、先入先出法(FIFO)という先に仕入れたものから先に使ったと仮定するという有名な方法があります。

コレに対して会計理論上は存在している後入先出法(LIFO)という後から仕入れたものから先に使っていくという方法もあります。(不合理に思えるかもしれませんが、砂利など山積みにして在庫を持つものなどは実際の物の動きと近いです。なお、現在の日本では原則として認められていない処理です)

これらの方法はインフレが進行している場合に大きく違いが出る場合があります。

先入先出法の場合は昔仕入れたもの(まだ安い頃に仕入れたもの)から使ったとしますから原価が低くなりますし、後入先出法だと今仕入れたもの(インフレで高くなったもの)から使われたとするので原価が高くなります。

これらを自由に変更したら、利益操作ができてしまうのですね。

■変更が認められるケースもあります

もちろん、正当な理由があれば(現状をよりうまく表示できるなど)会計処理の変更することは許されています。この場合、その理由を財務諸表に変更理由や影響等を注記しておく必要があります。 

■継続性の原則が必要な理由

この継続性の原則は、去年と今年を比べられるようにするために必要と言い換えることができます。

例えば、学校の通知表が学年によって5段階評価だったり、10段階評価、またはABCD評価になったとすると比較が難しくなりますよね。

更にその評価方法が絶対評価の年もあれば相対評価の年もあったりすると、成績が良くなったのか悪くなったのかがよくわからなくなってしまいます。

コレと同じように会計の世界もルールを自由に変えられると比較がとても難しくなってしまいます。

また、経営者は株主や金融機関には良い成績を見せたいと考えるものですし、税務署や従業員などには業績をよく見せないことで賃上げ圧力をかわしたり節税したいと考えるものです。

このように、会計の世界ではルールを自由に変えられると、企業の業績を過去と比較する「比較可能性」が失われてしまうのです。

■会計は自己採点です

企業の会計は学校のテストで言うならば自己採点のようなものです。認められた様々な基準の中から自社の状況をよく表すと考えられる基準を使って自分で会計処理を行って株主、銀行、取引先、課税当局などの利害関係者(ステークホルダー)へ報告します。

そのため自分の都合で採点基準(使用する会計基準)を変えてしまえば、継続比較ができなくなってしまうのです。


このまんがでは先生が成績の評価基準を変えてしまったようです。このような評価基準の変更が起こると、過去との比較がとても難しくなってしまいます。また、このような評価基準の変更が好きなように行えるのであれば、自分の気に入った生徒の成績を良くする(利益操作に該当しますね)ことは簡単にできてしまいます。

このように、みだりに評価方法を変更する事を防ぎ、過去との比較をできるようにしよう、利益の操作を防ごうというのが継続性の原則の趣旨です。