株式消却_001
株式の消却とは、企業が買い戻した自己株式を消却して発行済み株式を減少させることを言います。

自己株式を市場から買い戻すことを自社株買いと言いますが、この自社株買いを行うと市場の株式数が減少するので、一株当たりの利益が増える、純資産の圧縮によるROEの向上などといった効果があるため、株価の上昇に結びつくとされています。

■自社株買いと株式消却のイメージ

これは、塩水が入った鍋を沸かして、水が少なくなると、残った塩水の塩分濃度が高くなるといったイメージが近いと思います。希薄化の逆のイメージですね。

そして、この自社株を消却する(自己株式の消却)することにより、取得した自社株が再び市場に流通しないことが確定するので、こちらも株価の上昇に結びつくと言われています。

なお、自社株買いをして償却しない場合は金庫株と呼ばれる状態になります。

他方で、増資して株式が増える場合、塩水を薄めるイメージになりますので希薄化と呼ばれます。

■株式消却のメリットと注意点

株式消却には、株主にとってプラスとなる面が多くありますが、すべてのケースで株価が上昇するとは限りません。

株式消却のメリットとしては以下のような点があります
  • 発行済株式数が減るため、1株あたりの価値(EPS)が向上
同じ100円の利益でも、100株発行している会社と50株の会社では一株あたりの利益がバイになりますよね?
  • 企業の自己資本が圧縮されることでROEが向上し、効率的な経営を印象づける
  • 株主に対して利益還元を行っているというポジティブなシグナルになる

一方で、株式消却の注意点は以下のとおりです
  • 株式消却に使われた資金は、将来の投資や配当に使えたはずの資金である
  • 経営陣が株価対策として一時的に行っているだけで、企業価値の本質的な改善に繋がらない場合もある
このような構造があるため、株式消却すると言った発表がなされても、その効果は企業の財務状況や消却の意図をよく見極める必要があります。

本質的には、市場平均よりも大きな価値を自社の事業を通して提供するのが経営者の仕事ですから、株式消却で株主にお金を返すというのはいかがなものかと個人的には思ったりします。

■まんがで言っている株式消却

このまんがでは株式消却の授業を受けている男子生徒が授業中に眠ってしまったようです。

自分の体が消えていくイメージの夢を見たようですが、この株式消却には、株式が消えてしまうというイメージと、夢の中で言っていた「われわれ一人一人の価値が向上する」(残った株式の価値が上がる)というイメージが近いですね。

■株式消却の手続きと流れ

会社が株式を消却するためには、ちゃんと手続きをする必要があります。まずは、他人の株式を勝手に消却することはできませんので、持ち主から株式を買い集めます。(自社株買い)

そのうえで、この株式を会社法に基づいて消却していくのです。手続きとしては、取締役会の決議(会社法178条第1項)を経て、登記手続き(会社法第915条)と言った形になります。

ここで注意は、細かい手続き論を覚えようとするのではなく(実際にやる場合は専門家の助言を受けてやる形になると思います)、こういった手続きが必要がという事を知っておくことです。

いずれにしても、ちゃんと法的に消却を行うことが重要で、償却を行うと株主の議決権比率なども変わってくるため透明性を持ってちゃんと開示していくことが重要なのです。