保守主義の原則_001
保守主義の原則とは、企業会計原則の一般原則の一つで「企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。」とするものです。

この保守主義の原則を簡単に言うと、将来何が起こるかわからないので利益は控えめに計上しておきましょうという事です。

これは企業会計原則の、1.真実性の原則、2.正規の簿記の原則、3.資本取引損益取引区分の原則、4.明瞭性の原則、5.保守主義の原則、6.継続性の原則、7.単一性の原則の7つのうちの一つの原則です。

■会計的に将来に備えるためにはどうする方がいい

この保守主義の原則を考える際に、財務諸表を見る人が何を判断するかを考えて見ます。
多くの場合、その企業が倒産しないかどうかを判断するために、財務諸表を見ると考えられます。

例えば、取引先は、せっかく売り上げたとしてもお金が回収できなかったら最悪ですし、金融機関も貸し付けたお金が回収できなかったら何のために金融業をやっているかわかりません。

その意味から、企業が倒産する可能性を判断したいといった動機があると考えられます。
では、この目的に沿う会計処理はどちらだと思いますか?

1.売上などの収益は不確かであってもなるべく計上し、費用は確実なモノしか計上しない


2.売上などの収益は確実なモノだけ計上し、費用は発生しそうな場合は計上しておく。

この1.と2.の会計処理の結果は

収益:1.>2.
費用:1.<2.
利益:1.>2.

となります。

この場合、1.の処理は課題に利益を計上している可能性があり、2.の処理は過小に利益を計上している可能性があります。

目的が倒産しないかどうかの判定である場合、思いもよらぬ倒産は1.のほうが危険性が大きいと考えられます。

そのため、「損失の予想はあらかじめ計上するけれども(貸倒引当金へ繰り入れる(費用)といったイメージですね。)、予想の利益は計上してはならない」といった考え方をとるのです。

また、期末の棚卸資産の簿価と時価を比較して、低い方の金額を採用する(低価法)といった会計処理もこの保守主義の原則で説明できます。

この考え方は、保守主義の原則の表れであるという事ができます。

■保守主義の原則をやり過ぎてはいけない


ここまでの説明で「これって、真実性の原則と矛盾するよね?」と思われた方もいらっしゃると思います。

そうなのです、この保守主義の原則は過剰に適用すると真実の会計報告を歪めてしまいます。そのため、過度な保守主義の適用は禁止されています。

何事もほどほどにしなければならないのです。


このまんがでは、怪しげな感じをうけた取引先に対して、貸倒引当金を設定したようです。この貸倒引当金は、貸し倒れが発生する前に予測で費用を計上するといった考え方です。

まさにこの保守主義の原則の考え方から来ている考え方ですね。
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