
ベンダロックイン(vendor lock in)とは、ある特定のメーカや販売会社がユーザを囲い込むことを言います。ひとたびこのベンダロックインが起こると、ほかの同種の製品への乗り換えが困難になります。ベンダーロックインとも表記されるときがあります。
■顧客側と販売側の立場でベンダロックインの
ベンダロックインが発生すると、ユーザ側としては価格が多少高くても購入しなければならなくなってしまうといったデメリットが生じます。
ひとたびこのような状況になってしまうと、買い手側(顧客側)は不利な状況に陥ります。具体的には,多少高くとも現在の依頼している業者に依頼し続けなければならなくなります。
逆に、販売側からすると顧客の囲い込みをすることができるので非常に好都合な現象です。
そのため、ベンダロックインを巡るアドバイスとしては、利用者側に対しては「ベンダロックインが発生しないように気をつけて対応してください。」となります。
逆に、提供者側(販売側)の立場では「ベンダロックインになるように対応していきましょう」といった感じになります。
■ベンダロックインが発生すると
このベンダロックインは発生すれば、提供者側が経済学でいうところの独占企業に近い振る舞いができるようになります。
どうしてかというと、同等品が存在はしていますがスイッチングコスト等の問題で実質的に、その製品やサービスを使い続けなければならなくなります。
そのため、多少高くされたとしても、購入側が価格交渉力を持てなくなるのです。
■ベンダロックインがどうして発生するのか
では、このようなベンダロックインはどうして発生するのでしょうか。それは一言で言うと、代わりが効かなくなるからです。
例えば、あなたの会社が特定の企業の販売管理システムを導入したとします。その販売管理システムのデータベースソフトは少し特別なものであり、そのデータベースに適合するように、周辺機器も含め導入を行いました。
その後、販売管理システムが少し古くなり更新しようと考えたとします。
この時、販売管理システム内には非常に貴重なデータが多数存在していたとします。そのため、仮に他社の販売管理システムへ乗り換える場合は、非常に困難な移行作業を行う必要が生じてしまいます。
また、自社で働いている人たちも、現行のシステムを前提に業務を行っているので、新システムの使い勝手になれるまで非常な混乱が予想されます。
どうでしょうか?この状態で他社のシステムを導入することは非常に困難だと思えませんか?
非常にスイッチングコストが高そうですよね。こんな感じの事が発生する結果、ベンダロックインといった現象が生じるのです。
■その要求がベンダロックインを生みます
例えば、システムの開発を行う際に、自社の要求をたくさん飲んでもらえれば得をしたと考えると思います。
例えば、通常の開発費では1から5の機能しか提供されないところ、発注者といった交渉上の有利な地位を利用して5改や6や7までカスタマイズして提供してもらっているといったイメージです。
担当者ベースでは上手くやったと考えるかも知れませんが、開発側は次回の契約更新などの時に、当然そのお金の回収にかかります。
この例では、他社のシステム会社に相見積もりを取ろうとしても、カスタマイズした部分も開発してもらわなければなりませんので、他社の見積もりは当然高くなりがちです。
また、スイッチングコストも考えると、通常の意思決定レベルではシステム開発会社を乗り換えられない状況となってしまいます。
そのような状況となってしまうと、既存の業者が色々理由をつけて値上げ要求をしてきた場合飲まざるを得なくなります。
そのため、開発者側としては短期的には開発費で赤字となっても顧客の要求をのむ余地があるのです。
そのようにすれば、ある程度関係性が構築できたら競合他社の参入は難しくなるので、保守費用などの名目でお金の回収にかかることも可能です。






お店の運営に使うシステムを一式変えませんかという営業が来ています

今更お店の仕組みは変えられないんです。私も高いとは思っているのですが、全てウチのお店用の仕様になっていまして。で、当時の担当の人がとってもいい人で、私の考えた仕組みを盛り込んでくださったんですよ。ほら、発注システムの画面、かわいいキャラクターが動いて、計算してくれるでしょ?

このキャラクターの動きも必須だとすると…結構高くなっちゃいますよ?

営業に来てくれる人ってみんなそう言うのよね。でも、ここは譲れないわ。楽しくお仕事するってとっても大切だと思うのよ。

結局、値段の折り合いが合わず、少し高いと思いながらも今までの仕組みを使っています。
■関係性を構築できるのは悪いことではない
このように、発注側にとっては良くないイメージあるベンダロックインですが、取引先と長期的な関係性を築くことができると言ったメリットもあります。
自社で人材を育成する余力がない場合は、多少高くとも、どこか一社にお願いし続けるという発想はアリなのです。
このまんがでは、製品の売り込みに来ています。機能強化が図られていることを理由に価格アップを迫っていますが、実質的に別の選択肢がないので、結局は買わざる得なくなりそうです。
ベンダロックインが生じるとこういった現象が起こる場合があります。
■ベンダロックインを回避するには(IT等の業者側は逆に考えてください)
このような、ベンダロックインを回避するためには、以下のような対策が有効となります。
- 標準的な仕様や技術を利用する
特定ベンダーのみが扱う特殊仕様やプロトコルは避け、できるだけオープンスタンダードに基づいた製品や技術を採用することが大切です。
独自仕様を声高に主張する社内の偉い人がいたら「それは長期的にはとても高くつきますよ?」とやんわりと説得してみてください。
独自仕様を声高に主張する社内の偉い人がいたら「それは長期的にはとても高くつきますよ?」とやんわりと説得してみてください。
- ドキュメントや仕様書を整備しておく
システム導入時には、「どのようなカスタマイズを行ったか」「どんな設計思想か」を文書化しておくことで、他社ベンダーへの引継ぎが可能になります。
あたり前と捉えているかもしれませんが、システムベンダー側が作る仕様書だけでなく、自社が機能に込めた意図などをちゃんと残しておくのが大切なのです。
「(なんだかわからないけど、)現状の仕様通りで作り直してください」と、「(あれとこの機能は今の時代では使わないから)この仕様で作ってください」だったらどちらが安くなるか直感的に判断できると思います。
あたり前と捉えているかもしれませんが、システムベンダー側が作る仕様書だけでなく、自社が機能に込めた意図などをちゃんと残しておくのが大切なのです。
「(なんだかわからないけど、)現状の仕様通りで作り直してください」と、「(あれとこの機能は今の時代では使わないから)この仕様で作ってください」だったらどちらが安くなるか直感的に判断できると思います。
- 初期契約で出口戦略を設ける
契約段階で「乗り換えが必要になった場合のデータ移行」や「カスタマイズ引継ぎ」の条件を明文化しておくと、将来的な移行がスムーズです。
特に、データは皆様が考えている以上にバラバラにされて保存されていますので(データベースの正規化)あらかじめ吐き出し要件を明確にしておくことが大切だったりします。
- 社内に一定のITリテラシーを保持する
完全外注ではなく、最低限のIT人材を育成しておくことで、ベンダー任せになりすぎない体制を作ることができます。
システムベンダーに依頼したから、「情報システム担当の人は全員明日から営業に回ってください」なんてやったらダメですよ。
そして勘の良いベンダ側の皆様は、誠実に対応しつつ、上記のベンダロックインを回避する条件を上手く回避する提案をしていくのがポイントになります。「自社しか提供できない独自技術でお客様の問題を解決する」ってすごく良いですよね?
解説で出てきた用語・関連用語
アフターマーケット
アクティベーション
参入障壁
スイッチングコスト初出:2012/06/29
更新:2025/07/29












