予防保全_001
予防保全(Preventive Maintenance:PM)とは、故障や性能の低下発生前に対策を取って、故障や性能の低下が生じないようにすることを言います。文字通り、故障などの問題が発生しないように(予防)、メンテナンスしておく(保全)といったイメージです。

■予防保全と事後保全

この予防保全も事後保全と同じように、設備保全の方法として、古くからおこなわれた保全方法の一つだと言われています。簡単に言うと、壊れることを防ぐためにメンテナンスをするという事ですから当たり前と言えば当たり前ですよね。

そして、この予防保全は一定の周期でメンテナンスを計画する時間基準保全(TBM)と、状態を監視して問題が発生しそうならばメンテナンスを行う状態基準保全(CBM)に分けることができます。

■時間基準保全(TBM)と状態基準保全(CBM)の違い

時間基準保全は「稼働時間や使用回数」で判断して定期的にメンテナンスを行うといったイメージです。

例えば時間基準保全では、電球を使い始めてある程度の時間がたったら交換してしまいます。この他には、自動車のオイルなどは切れたりする前に半年や5000キロ走ったら交換するなどの一定の基準が定められています。

これは、予防保全の一種で、エンジンオイルで問題を起こしてエンジンが焼き付くようなことがないように時間基準保全の考え方を取っているのです。

これに対し、状態基準保全は「センサーや点検」により設備の劣化兆候を監視して、必要なときだけ対応します。

例えば、状態基準保全では、電球に切れる兆候が見えたら交換するといったイメージとなります。この他にオイルの例では、オイルの劣化状態をセンサーで監視し、劣化した時点で交換といったことも考えられます。

いずれにしても、故障や性能の低下が発生する前にメンテナンスを行うのがこの予防保全です。

■予防保全が有効な設備の例

予防保全は、止まると困る機械、そして、止めないために多少のコストをかけることが正当化されるような設備に有効です。

一例として、生産ラインの主要機械(突発停止が許されないもの)や、ビルの空調・電気設備、医療機器やインフラ設備(安全性が重要)等が挙げられます。

このような種類の設備はメンテナンスのために停止しているのを見聞きしたことがあると思います。その停止している時間はこわれてから直しているのではなく、殆どの場合は予防保全となっているはずです。

■予防保全は事後保全の上位互換か?

予防保全には次のようなメリットとデメリットがあります。そのため、メリットしか無いような夢の保全方法では無いのです。

予防保全のメリット 予防保全のデメリット
・故障を未然に防げるため安定稼働が実現できる ・定期メンテナンスのためコストが発生する
・突発停止や大規模故障を防止できる ・不必要な交換や作業が発生する可能性がある
・長期的な設備寿命の延長につながる ・作業計画・人員確保が必要

予防保全のポイントは多少のコストを掛けてでも壊れないようにしたほうが良いものに適するということです。

逆に言えば、壊れてから直すといった方法で問題が生じないなら事後保全のほうが総コストが安くなったりします。

電球の例が続いてしまっていますが、電球が切れても問題ない(設備も止まらないですし、安全上も特に問題なく、交換するコストも殆どかからない)ような設備は、切れたら交換するで十分に正当化されるのです。

このまんがでは、日ごろのメンテナンスが大切だと言っています。一言でいえば予防保全の大切さを訴えているのです。
改良保全

初出:2012/06/07
更新:2025/07/29