無限責任とは出資した団体や法人が破たん・倒産した場合、その事業に伴って発生した経済的損失について、その出資の金額のみならず、私財をなげうってでもその債務を弁済しなければならないとするものです。
■無限責任という直感的に恐ろしい言葉は本当です
責任が無限という無限責任ですが、直感的に恐ろしげな言葉ですよね。実際のところどうなのでしょうか?
「無限と言っても、そんな風に言っているだけでしょ?」と考える人もいるかも知れませんが、この無限責任は文字通り無制限に責任を負うと言うことを意味しています。
■1.無限責任の場合、損失は無制限です
この無限責任の場合、出資額以上の損失を被る可能性があります。
通常の株式会社などは有限責任と言って、出資額を諦めればそれで許してもらえます。しかし、無限責任の場合は出資額がいくらであるかなどにかかわらず、その会社が倒産した場合においては無制限に責任を負います。
まさに無限の責任なのです。このように、有限責任に比較して、責任の範囲は非常に重くなっています。
■2.無限責任になる例は
この無限責任の例としては、合資会社の無限責任社員、合名会社の社員などがあげられます。(ここでいう社員とは従業員の事でなく、出資者の事を言います。)あと、個人事業主も無限責任という事ができます。
例えば、あなたは合資会社の無限責任社員として事業に取り組んでいたとします。しかし、事業が思わしくなく市場から撤退することにしました。
現在、会社の総負債額は100万円、会社持っている資産は50万円だったとします。(債務超過ですね。)こういった場合あなたは個人の財産から、会社の持っている資産すべてを使って払っても、払いきれなかった残りの50万円を支払う必要があります。
このように会社などが倒産しても責任の範囲を限定されないことを無限責任と言います。
■有限責任という考え方もありますが
逆に、清算しようとした会社が株式会社だった場合には、あなたは出資した額をあきらめるだけでそれ以上は1円も支払う必要はありません。それは株式会社の株主は有限責任だからです。
非常に有利に感じるかも知れませんが、我が国においてオーナー社長については事実上の無限責任となっています。
どういうことかというと、事業の経営者は金融機関などから融資を受ける際には個人保証を求められることが非常に多く、会社の財産で債務を弁済できないと個人が残った債務を引き受ける必要が出てきます。
このように、事実上無限責任になっているのですが、理屈の上では株式会社等は有限責任となっています。
合資会社で無限責任社員なのよね。わ・た・し
えーそうなんですか?無限責任社員って怖くないですか?
平気よ。確かに会社が潰れたら、会社の債務は全て私が支払わないといけないけど、潰さなければいいんでしょ?
会社を潰したくって潰す社長はいないんだけどなぁ。
■個人事業主は無限責任となります
個人事業主が法人成りするタイミングは、基本的には税金と社会保険料の額で考えられます。
また、取引先が法人としか取引しないとなったような場合にも法人成りを検討するケースが多くあります。
しかし、株式会社や合同会社と言った形態は、無限責任ではないといった点も考慮すべき内容となります。お金は金融機関から仲達するだけでなく、企業間信用でも調達することになりますので、その点では無限責任から逃れることができますので。
■歴史的には無限責任の方が先にあった
有限責任という考え方は後から生まれたもので、それまでは無限責任しか存在しませんでした。
ただ、それでは多額の出資を集めたプロジェクト、例えば船を出して貿易するなどが生まれないので、有限責任という考え方が発明されたのです。
このまんがでは先生は毎月お金を支払っているようです。これは出資していた会社が倒産してしまい、借金が残ったためであると言っています。
通常は、会社が倒産した場合、投資額だけをあきらめれば済むのですが(有限責任)、この先生は無限責任を負っているようで、会社の倒産では免責されていないようです。
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