ダーウィンの海とは、開発した製品が市場に出回って生き残っていくことの難しさを表した言葉です。製品が市場で淘汰されてしまって利益を生むまでに至らないことを表した言葉です。
■技術が産業化されるまでの障壁
基礎研究が直接製品開発とつながるような研究となるためには、魔の川を越える必要があります。そして、研究開発が行われた新技術は、製品化されるまでに死の谷と呼ばれる壁を越える必要があります。
そして、死の谷を越えて、なんとか製品と製品になったとしても、市場はサメがウヨウヨ泳いでいるような厳しい生存競争の舞台となっており、嵐も吹き荒れています。
このサメ(競争相手の比喩です)に食べられることなく、嵐(技術的困難や企業化リスクの比喩です)にも耐えたもののみが、新事業という対岸にたどり着けるといったイメージです。
■素晴らしい技術が製品化されたとしても
例えば、素晴らしい塗料を開発したとします。しかしその塗料という製品が市場内で生き残っていくためには、顧客のニーズを的確にとらえるようなマーケティング活動や、効率よく生産する能力、流通チャネルの管理、競合相手の競争戦略など様々な事を考えていく必要があります。
これらの事を怠れば、どんなに素晴らしい技術であっても成功することは難しいのです。
例えばその素晴らしい塗料が、顧客が望んでいないものであったとしたらどうでしょうか?「確かに素晴らしいけれどもそんな機能は必要ない。」「確かに素晴らしいけれども、価格が高すぎる」「確かに素晴らしいけれども、用途がわからない」このような事があれば、売れることは難しいので、市場から淘汰されてしまいますよね。
では、この塗料は顧客が望んでいるものであったとしても、既に強力な競争相手が市場に存在していた場合はどうでしょうか?
「確かに素晴らしいものだけれども、今日子はもっといいものを安く出している」「確かに品質はいいんだが、既存企業がしっかりと押さえている流通に食い込むことができない」等と言ったことがあれば、競争に打ち勝つことは難しくなります。
このように、この競争相手に打ち勝つことができなければ、やはり生き残っていくことは難しくなってきるのです。
ようやく汚れがつかないぬいぐるみが開発されたらしいよ。
それは画期的だね。ずっと汚れがつきにくい糸から汚れのつきにくい布を作って、それがぬいぐるみになったんだね。
基礎研究が魔の川を越えて、具体的な製品を念頭に置いた研究が死の谷を越えて製品化されて来たんだね。
でもここまで来ても油断は禁物よ。あとダーウィンの海を越えないといけないのよぉ。
■市場に投入した後は考えなければならないことが変わります
このように、市場に投入する段階になると、技術に焦点を合わせるというよりも、どうやって顧客のニーズをつかむか、競争に勝つか等の事を考える事の方が重要となってきます。
そして、このような障壁を喩えて、「ダーウィンの海」と言うのです。
そしてこのダーウィンの海を超えることで初めて対岸の産業化フェーズという所にたどり着けるのです。そして対岸の産業化フェーズまでたどり付ければ、継続的に利益を確保していくことができる、一つの作業となり得るのです。
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