負債コスト_001
負債コストとは負債として資金を調達した際に支払う必要があるコストの事です。他人資本を利用した場合に支払うコストと言い換えることもできます。

他人のお金を使わせてもらうわけですから、何らかの対価は必要ですよね。通常はこの対価は利息として支払う事となります。そのため、この負債コストは借入金にかかる利息などが該当します。

また、あまり該当しないのですが社債などを発行するならばその発行コストも負債コストとなります。

要するに、お金を借りることにかかるコストといった意味合いの言葉なんですね。

■負債コストは税金の分だけ安くなります

さて話は変わりますが、企業が儲かった場合必ず取られるものがあります。それはなんでしょうか?

そう、税金ですよね。そして、この税金の分だけ、負債コストが安くなると言ったらびっくりする人がいると思います。

■1.税金の負債コストへ対する影響

では、利息を支払うという事は税金の額にどのような影響を及ぼすでしょうか?

まず、支払利息は損金に算入することができます。そのため負債コストは税金の分だけ低く考えることができます。

例えば、A社は営業利益の段階で120円儲けていましたが、営業外費用として負債の利息50円を支払っています。この場合税金の対象となる儲けは70円となるという事です。

そしてもうけが70円なので、税率を40%とすれば28円の税金の支払いとなります。その結果会社には
70円-28円=42円
が内部留保として残ることになります。

一方B社は無借金経営で同じ120円の営業利益を上げたとします。その場合、税金の対象となる利益は120円となるので、税率を40%とすえば48円の税金を支払うことになります。

こちらは、
120円-48円=72円

とすると、会社に残るお金は、50円の利息を支払ったにもかかわらず、前者の方は30円しか少なくなりません。

つまり、負債コストの利息は、税率の分だけ安くなるということがいえるのです。

■2.負債コストを計算式で示してみます

負債コストは以下の式で算出されます。

負債コスト=負債の時価×支払利率×(1-税率)

この計算式を書き換えると以下のようにも言うことができます。

負債コスト=負債の金利×(1-税率)

上の例では利益の額も出していますが、利益が出ている限りそれがいくらであっても負債コストには関係しません。

例えば、上の例で、負債の利息が50円、税率が40%とした場合の負債コストは

負債コスト=50円×(1-40%)=30円

となります。どうでしょうか、1.の計算結果と一致しましたよね。

■3.どうして負債コストは税金を考慮するのか表にしてみます

計算式は1.と2.の例を使って再度計算してみます。

A社は120円の利益を上げたましたが借入金があるため50円の負債の利息を支払います。
B社は120円の利益を上げ、借入金がないため負債の利息を支払いません。
また、税率40%だとすると

A社 B社
営業利益 120円 120円
支払利息 50円 0円
税引き前利益 70円 120円
税金(税率40%) 28円 48円
税引き利益 42円 72円

となります。このように最終的に残るお金が50円の利息を支払ったにもかかわらず、差は30円なのです。

このように、税率分だけ実質的な負債コストが安くなることから負債コストの計算式には税金が出てくるのです。

なお、利益が出ていない企業にとっては税金は関係ないので負債コストは圧縮されない事に注意が必要です。


このまんがでは負債の利息が損金扱いとなって税金が少なくなると言っています。そして、この節税分だけ負債として資金を調達した場合の負債コストは引き下がります。


解説で出てきた用語・関連用語
無借金経営
営業利益
デットファイナンス
他人資本
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