機会原価(opportunity cost)とは排他的な複数な案(一つしか選べない案)があった場合に断念した方の案で得ることができた収益のうち最大のものを言います。経済学でよく使われる考え方になりオポチュニティーコストや機会費用ともいいます。
■選択するということはあきらめるという事です
選択するということは常に他の選択肢は諦めるということです。なんだか哲学的な話ですが 、何かを選ぶということは他の何かを諦めるということになります 。
■1.100万円を投資するという例
例えば100万円を持っているとします 。その100万円をどう活用するか を考えるときにこの機会費用・機会原価の考え方が出てきます。
機会費用とは、ほかの選択肢のうち、最大の価値が得られるものがその選択に費用であると考えられます。
例えば日本国債を買っていればその100万円が1年後に101万になるとします。このことからこの100万円の機会費用は1万円であると考えられますので、その他の投資、例えば誰かに貸し付けるなどをする時は1万円以上の利益を得る必要が出てきます。
逆にいうと、1万円以上の利益が見込めないならば、その投資はうまくいっていないと考えることができるのです。
■2.あんパン工場の例で機会原価を考えてみます
次に、アンパンを製造している工場の例でみていきたいと思います。例えば、原価30円でアンパンの餡を作りました。また、この餡をアンパンに加工するためには30円かかるとします。
この場合、アンパンの原価は60円となります(餡30円+アンパンへの加工費30円=60円)。
また、半製品の餡はそのまま売れば100円で販売することができるとします。但し、餡のまま売ってしまうとアンパンを作ることができなくなりますので、餡のまま売るかアンパンに加工するかを選択しなければならないとします。
この場合アンパンの価格が130円より大きくないのであれば、アンパンに加工せずに餡のまま売ってしまう方がよいのです。
機会原価の考え方を使ってアンパンの原価を考えてみると次のようになります。
餡の機会原価100円+アンパンへの加工費30円=130円
上記のようになりますので130円以下で売る場合、餡のままで売るよりも儲かっていないと簡単に判断することが可能となります。
例えば120円でアンパンを売る場合の利益は120円-60円(かかった原価)=60円となりますが、餡のまま売っていれば利益は100円-30円(かかった原価)=70円となります。
餡が一個100円で売れるんだったら、餡のまま売っちゃった方がいいよね 。
でもこの場合の製造原価って60円なんだから120円で売ってもいいんじゃない 。
そうすると機会原価的には、130円のものを120円で売ることになるから損しちゃってるんだよね。
うーん何となく直感的に理解しにくいなぁ。
■応用して考えよう
またこの機会費用の考え方を応用すると 、 時間の価値も考えることができます。例えば1年間学校に通う費用はその学費だけではありません 。
その学校に行かず働いていたら得られるであろう収入も費用となります。経済学的にはこのように考えるのです。
これらの費用を合わせても学校に行く方が合理的であるならば学校に行って教育訓練を受けるという判断になります 。そして概ね我が国では、学校に行って教育訓練を受けることはペイすると見られております。
■目先の利益を追いかけると余計なコストがかかるということを示唆しています
この機会費用の考え方は目先のささいな節約のために大きな時間を使ってはならないということを示唆しています。
例えば卵が10円安いからと言って1時間かけて隣町のスーパーに行く費用は1時間ぶんのパートやアルバイトの時給と同じです。ですので一般的には合理的ではないと考えられます。
また資格試験などを勉強する時に独学で勉強すると、必要な費用は圧縮できます。しかしそれで一年余計に勉強するならば、玉一年文の勉強時間はまるまる機会費用発生すると考えられますので、大きな損失となる可能性があります。
このように機会費用の考え方を持ってば、本質的な節約が可能となるのです 。
■サンクコストに囚われることの費用
サンクコストというどうやっても取り戻せない費用という考え方があります。例えば途中まで作ったダムにかかった費用がサンクコストです。この費用はダムを完成させても今の段階で辞めてもどっちにしても取り戻せないコストです。
そのため意思決定にあたってはサンクコストは無視をしなければならないというのが経営学の結論なのです。
この途中まで作ったダムに10億円かけていますが、完成までもう20億円かかるとします。
他方この20億円を適切に投資すると30億円の価値を生むとします 。
今やめてもその10億円は取り戻せませんのでダムを完成させた時に、 30億円以上の便益が得られないのであればサンクコストである10億円無視してダムの建設を止めるべきですなの。
このように機会費用の概念は意思決定にも役立つのです。
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