定量発注方式_001
定量発注方式とは、在庫量があらかじめ定められた水準(発注点在庫)を下回った段階で、定められた一定の量を発注する方式です。

この定量発注方式が適している物品は、ABC分析の結果比較的重要でないとされたBランクの物品や、需要の変動が少ないものであると言われています。

在庫量に着目して発注をかけるため、発注時期は不定期となります。しかし、発注量はあらかじめ定めておいた一定の量を発注しますので、運用が簡単となります。

情報システムを用いて在庫管理を行えば自動発注を行うことも可能となります。そして、この時の発注量には一般的にEOQ(Economic Order Quantity)を用います。

このように、あまり重要でない物品に際限なく手間暇をかけていてはコストばかりかかってしまうため、このような定量発注方式を採る事があります。

このまんがでは発注処理が大変でめんどくさいといっており、自動発注をしたいと言っています。自動発注の方式として定量発注方式を考えているようです。

■定量発注方式の利点

マンガでも触れていますが、自動発注であれば、

面倒ではない=発注工数の削減

といった利点があります。この面倒ではないというのはバカにできなくて、

人的な発注ミス(発注数量を一桁間違う等)や発注忘れによる欠品による売れないロス(機会ロス)の削減にも繋がります。

■定量発注方式の問題点

と、良さそうな定量発注方式ですが、あくまで『自動』ですから需要の急激な変化には対応が難しいです。

例えば、急にメディアに取り上げられるなどで特定の商品の売上が急増した場合、欠品するリスクがあります。

また逆に、急に需要が減少した場合は、不良在庫が積み上がってしまうといった問題もあります。

■具体的には何に使っているの?

この定量発注方式は、管理にかかる工数を削減できるため、あまり重要ではないが欠品させるわけには行かないような商品の管理に特に向いています。

例えば、コンビニなどで売っている家庭用品(ラップとかゴミ袋)などが挙げられます。

多分そんなに売れるものでないので、手間暇をかけて管理するようなものではありませんが、欠品していると機会ロスが発生するだけでなく、品揃えが良くないお店といった望ましくない印象を与えるような商品です。



このように、定量発注方式はうまく使えばとても便利な方法ですが、「自動=万能」ではありません。

みなさんの職場で扱っている商品には、定量発注が向いているものと、そうでないものがあるかもしれませんね。

ぜひ、在庫管理のヒントにしてみてください。

■定量発注方式と定期発注方式との違い

定量発注方式は在庫が減ったら発注するという、在庫量をトリガーにする考え方です。

この場合は、あらかじめ手決めている在庫水準を下回ったら自動的に発注がかかるため、在庫切れの心配も少なくなりますし、過剰在庫になる危険性も少なくできます。

ただし、その反面自動的に発注するので在庫切れを防ぐための安全在庫の水準を定める必要があり、その部分は必然的に過剰になります。

これに対して、定期発注方式はあらかじめ決めた日にちや曜日がきたら発注するという日付けをトリガーにする考え方になります。

例えば、毎週金曜に発注する場合は、在庫水準と今後の需要見通しを鑑みつつ発注数量を決めることとなります。

この場合はベテランの意思決定を挟みますので職人芸みたいな精緻な発注が可能だったりします。

ただし、これらの方策はどちらが優れていると言ったものではなく、組み合わせて実施することが望ましいでしょう。あくまで目的は在庫管理の手間を削減しつつ、必要十分な水準の在庫を持つことにあるわけですから。

■自動発注システムと定量発注方式

近年では定量発注方式の考え方をベースとしてた自動発注システムが普及しています。POSデータなどでいくつ売れたかがわかるわけですから、理論在庫はリアルタイムで把握することができます。

とすると、定量発注の考え方だけ設定しておけば、自動発注できるというわけです。

ただし、需要予測の精度によっては発注点の設定があまり良くなく、過剰在庫を抱えてしまったり欠品するリスクもあります。

そのため、人の目でみて最終的な判断をすると言った仕組みを一部残す運用が取られたりします。

なお、理論在庫はあくまで理論在庫で、棚卸減耗(謎の力が働いて在庫数が減っているケース)もあるため、定期的な棚卸しは欠かせません。