ライフタイムバリュー(lifetime value:LTV)とは顧客生涯価値と訳され、顧客がその取引を始めてから終わるまでの期間を通じてもたらす利益の事です。
自社の製品やサービスに対し、顧客が高いロイヤルティを感じれば、長期にわたって(時には文字通り生涯にわたって)リピート購入が期待できます。
何度もリピート購入して頂ければ、企業にとって非常に多額の収益をもたらすことにつながります。
- 長く顧客であり続けてもらうと利益が向上します
さてどうしてこのLTVが大切なのでしょうか。単にリピート購入を目的としている方でしょうか。
それは新規顧客の獲得が難しいからです。 難しいだけではなく多額の費用がかかってしまいます。
例えば、新規の顧客と取引を開始するためには、広告宣伝に費用をかけたりといろいろな費用が発生しますよね。
しかし、既存のお客さんならばそういった費用は最小限に抑えることが可能となります。
そのことから新規顧客を獲得するよりも、既存顧客に反復して購入してもらう方が利益につながりやすいという考え方があります。
読者の皆さんも、好きなお店に通ったり、好きなブランドの商品をいつも買っていたりしませんか?
このように、一旦ファンになってくれたお客様は何度も何度も反復して購入してくれるという考え方がライフタイムバリュー(lifetime value:LTV)の考え方です。
一説によると1:5の法則と呼ばれるものがあり、新しいお客様を獲得するコストはお客様をつなぎとめておくコストの5倍かかるという法則があります。
このような法則を鑑みると、やみくもに新規顧客を追いかけるという方法は経済的にあまり合理的な行動ではありません。
そして、この考え方に沿うならば、個々の取引での収益を最大化するのではなく、顧客と長期的にみて良い関係を築くことが重視されます。まじめにコツコツと顧客との関係を築くというイメージですね。
このまんがではメガネ君が雨の日も風の日も、日差しの強い日も学食に通っています。このように、常連さんをしっかりと作っていくことが大切なのです。
- 具体的にライフタイムバリューをどのように活用するか
さてこのLTVという考え方を具体的にどのように活用するのが良いのでしょうか?
まず考えられるのは、顧客獲得にかける費用の目安を得るために活用することです。
例えば、LTVが5000円と見込まれるのであれば、顧客獲得にかける費用は5000円以下でないと最終的には赤字になってしまいます。
一人の顧客からもたらされる利益が、5000円であると見込まれるならば、その顧客を獲得するための費用は5000円以下でなければならないという考え方です。
と、このように考えればそんなに特殊な考え方ではないと理解していただけると思います。
- ライフタイムバリュー(LTV)はどうやって計算するの?
このライフタイムバリューは顧客が取引を始めてから終わるまでの期間を通じてもたらす利益という定義です。
そこで、次のような計算式を考えることができます。
LTV=顧客からもたらされる収益×購買頻度(年何回買ってくれるか)×顧客の継続年数
ここで、顧客からもたらされる収益とはいろんな考え方がありますか、 単純に粗利益で考えていきます。
すると
LTV=(購入単価×粗利益)×購買頻度×顧客の継続年数
となります。
- 具体例
では具体的に LTVを計算してみたいと思います。
粗利益率30%で平均購入単価が1000円の釣具屋さんのネットショップを考えて見ます。
このお店では、一度顧客になるとおおむね年4回リピート購入をしてくれる傾向があります。
また一人のお客様は、大体5年間お客様で続けてくれます。
このことからライフタイムバリューを計算すると
LTV=(1,000×30%)×4回×5年=6,000円
となります。
このようなケースで、一人の顧客獲得のために6000円以上の広報費をかけてしまえば赤字になるということが明確になります。
最も、このライフタイムバリューという考え方は長期にわたっての考え方になります。 そのためLTVがプラスだからといって短期的な費用をかけすぎてしまうと、資金繰りの面で問題が発生してしまいます。
ライフタイムバリューと広報費を比較してプラスになるなら強気でどんどん広報費を掛けられるね。
って、同業の人がマーケティングの本を読んで学んだらしいのよ。
たしかに、そんな風に思えますけど、本当ですか?
で、そのお店のお客様はLTVが5万円なので広報費に3万円掛けて頑張ってお客様を確保したのよね。
だったら、たくさん儲かったんですか?あ、でも将来の100円と今日の100円は価値が違うって考え方もあるし…
ううん、そんな複雑なことを考えなくても結果良くなかったの。短期的に広報費を掛けすぎて資金ショートをしてしまったのよね。
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