商圏_001
商圏とはお店に来てくれる人が住んでいる範囲の事を言います。小売業側から見ると「お客様を集められる範囲」、消費者側から見ると「行く可能性があるお店の範囲」ということができます。

一口に商圏と言っても取り扱う商品によってその範囲は異なってきます。例えば一般的に最寄品を取り扱うようなスーパーやコンビニの商圏は小さく、買回品専門品を取り扱う百貨店や専門店の商圏は大きくなります。

食料品を買うためにわざわざ隣町まで出かけることは稀だと考えられますし、楽器などの専門品は大きな町に出て買い物に行く事もあると考えられます。

また、同じ最寄品であるコメとか水といった商品でもちょっとした買い物なら近くのコンビニでもいいですが、利用目的が大量買いだった場合は、郊外の大型店まで足を伸ばすことになります。


このまんがでは学食と売店の選択肢があったようですが、男の子は近くにある学食に行ってジュースを買ってきたようです。

今回のジュースのような最寄品は商圏が小さいため、基本的には近いお店に行くことになります。

■商圏って距離の概念なの?

距離と移動時間は非常に近いのですが、実際の消費者は直線距離よりも時間で考えることが多いです。

例えば、800メートル離れているお店とは考えずに、10分ぐらいかかるお店といった感覚です。

そのため、消費者が自転車に乗って入れば徒歩よりも同じ10分でも商圏の範囲は大きくなりますし(お店は駐輪場を用意するという配慮が必要です)、車で来店するなら10分でもそれなりの距離が商圏となります。(同様に駐車場の確保が必要です)

ここから、駐車場のない商店がなぜ不利になるのかということが見えてきます。昔ながらの商店で駐車場がないと、車での来店が見込みにくいため、商圏が狭くなるのです。

■だったら移動時間が短ければいいの?

プラスで、気持ちの問題もあります。例えば、ものすごい勢いで吠える怖い犬がいる道は子供の頃通るのが嫌じゃなかったですか?

とすると、その道は心理的に通りにくいため、移動時間以上に商圏の範囲は狭くなりがちです。

また、駐車場があっても停めにくい駐車場の場合、運転があまり得意でない人からするとやはり遠いお店≒行きにくいお店になりがちです。


実務面からの加筆:
商圏分析なんて大変だーって声が聞こえてきますが、今はとても便利な道具を国が用意してくれています。最初に本記事を書いた2011年から2025年になって世の中は本当に便利になっています。

jSTAT MAPというとても便利なサービスが無料で使えますので、ぜひ使ってみてください。これはスグレモノで、

・車で○分圏内に住んでいる人口や世帯数
・年齢層や世帯構成の分布
・自店舗からの同心円/等時間圏マップの作成

などがすぐに分かります。

↓リンクはこちらです
https://www.e-stat.go.jp/gis/gislp/

とても示唆に富んだ良いレポートを出すことができますので、ぜひ本記事をご覧になられてご商売をされている方は、自分のお店を分析してみてくださいませ。

レポートを眺めていると、誰に向けたご商売をするとよいかが見えてくるかもしれませんよ。

初出:2011/11/19
更新:2025/06/13