ファンクショナル組織とはそれぞれの担当する職能に関してのみ部下を指揮命令する権限を持った組織です。(専門化の原則を重視しています)
ライン組織と並ぶ組織の基本形態とされていますが、担当者を専門分野毎に指揮命令するため運用が難しい組織形態です。
■専門分野で部下を監督します
このファンクショナル組織は、それぞれの専門分野のみで部下を監督します。
例えば、5Sを専門にしている人は、5Sの指導を、組み立てを専門にしている人は組み立てについて指揮命令を行います。
組織図にすると、次の通りです。
万能な能力を持った人はいないので、自分の専門分野ならば容易に指揮命令できるでしょうといった発想から生まれた組織形態です。
と、なんだか思いつきで生まれたような気もしますが、テイラーの科学的管理法が理論的背景となっています。
ただ、組織図を見て直感的に「うわぁ」と感じた人もいると思いますが、そのような直感はあたっています。複雑な組織なので、混乱が生じやすいですし、調整も大変になるのです。
■ファンクショナル組織の短所は
1.複数の上位者から同時に命令を受ける事があるので、混乱が生じる。
上位者が何人もいると、誰の話を聞いたらいいかわからなくなるケースがあります。マンガの最後のコマのように、同時に異なる指示をされるケースがありうるのです。
このような状況となると働く人のストレスは非常に大きくなると考えられます。
2.それぞれの職能間の調整が難しい。
また、上長は自分の管轄する分野については掌握していますが、他分野の動きがわかりにくいので調整が難しくなります。
3.責任の所在があやふやになる
権限を明確に分割するのは難しいため、責任の所在があやふやになりやすいといった短所もあります。
また、誰の支持で仕事しているのかが不明確になりやすいことも責任の所在をあやふやにしがちです。
4.とにかく運用の難易度が高い
最後に実務的な観点では、とにかく運用の難易度が高くなります。このような管理ができる組織ならば、わざわざファンクショナル組織といった形態を取らなくても、しっかりと経営できると考えられます。
■ファンクショナル組織の長所は
と、悪いことを強調していますがファンクショナル組織にも長所があります。
1.統制の範囲が広くなる。
専門化の原則が生かされるので、部下の仕事全般を管理しなくて済むため、通常のライン組織より広い範囲の(数多くの)部下を統制できます。
このマンガの例だと、各指導者は自分の得意分野に集中するため部内全員を指導できます。
2.それぞれの職能が専門化するので、管理者が確保しやすい。
管理者の資質として求められる範囲が狭くなるため、管理者の確保が容易になります。
クリンリネス担当のヒヨコさん。教えてやってください。
はい、クリンリネスは…
接客担当のキツネ君よろしくね。
接客の基本は…
システム担当のクマ君。指導を頼むわよ。
システムの基本は…
ちょっと待って、なんでみんなで僕ばっかりに指示するの?あと、誰の指示に従ったらいいの?
管理者を確保しやすいから、専門で分けてみました。
解説で出てきた用語・関連用語
科学的管理法
ライン組織
ラインアンドスタッフ組織
クリンリネス
5s
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