管理可能費とはその人の責任部門で発生する費用で、その人が実質的に影響を及ぼす事ができる費用です。
例えば、自分のクラスの生徒たちの成績は自分の頑張りで良くすることができると考えられます。このように、自分が影響を及ぼすことができる事を管理可能費と言います。
一方、管理不能費とは、その費用の発生に対して影響を及ぼす事が出来ない費目の事を言います。
この例のように学校全体の成績には一年生の担任であるこの先生たちは実質的に影響を及ぼす事ができないため管理不能費となります。
■管理可能費か管理不能費かはその人の権限で変わります
■1.まんがの例だと
この先生達が言っているように、校長や教頭にとっては学校全体の成績は管理可能となるので、それで費用が派生するならば管理可能費となります。
他方、1年生の担任の先生にとっては権限の及ばないところなので、どうやっても管理できませんよね。(3年生のクラス運営に口出しをするのは越権行為です)
そのため、同じ対象であっても、その人が保持している権限や判断する期間が変わると管理可能・不能は変化します。
これは持っている権限で管理可能・不能を考えた例です。(そして、意思決定できる範囲には階層構造があると言われています。意思決定の階層構造)
■2.一般的な企業の例だと
例えば、営業担当部長と製造部門の運営を任せられている製造部長がいるとします。
このときに、製造部長に取っては製造原価については管理可能費となるため、責任を持つこととなります。
しかし、営業部隊の人件費については管理不能費となり、責任は持ちませんし、持たすべきではありません。
このように、同じ部長級であっても、権限が及ばないところは管理不能費となります。
■時間軸でも管理可能か管理不能かは変わります
他の例では、工場の減価償却費はたとえ社長であっても一年など短期では管理不能費ですが、長期では工場をつくる・移転する・壊すなどの意思決定ができるため管理可能費となります。
これは時間軸で管理可能・不能を考えた例ですね。長期的には、ほぼ全ての費用について管理可能となります。
■一部しか管理できない場合もあります
例えば人件費について、どれだけ効率的に働いてもらうかといった意味でそれぞれの部署毎の管理可能費となります。
しかし、どういった人件費水準で雇用するかは人事部や総務部が決めることになりますので、その意味で管理不能費です。
残業が発生しないように効率よく働いてもらい、超過勤務手当を抜本的に削減したとしても、会社全体で10%のベースアップを行った場合、人件費は増加します。
そして、この増加分については管理不能費ですので、管理責任を問うのは酷なのです。
オーナー店長になって一番良かったのはね、基本的に費用を全て管理できることなのよ。
そうですわね。自分で決められる事は管理可能費なので、権限も責任もあるんですわ。
でも、役所から固定資産税を上げるって言うのは管理不能費ですよね?
そうね、当面は管理不能費よ。でも将来的にはお店を移転するという選択肢もあるから、長期的に見れば管理可能費ね。
■管理可能費については責任を負う
このように、管理可能・不能は切り口によって変わってきますが、ある人の業績を測定しようとした際は、自分の管理できる事に対してのみ責任を負わせることが原則です。
このまんがの例のように、自分の力でどうにもならないことで業績を測定されたらやる気が無くなってしまいますよね?そのような事があるため、管理可能・不能を分ける事に意味があるのです。
解説で出てきた用語・関連用語
意思決定の階層構造
減価償却費
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