まんがで気軽に経済用語

「知らないから動けない」をなくしたい。 中小企業診断士が、現場視点で経営用語をまんがでわかりやすく解説しています。 読むことで、生産性が上がり、心に余裕が生まれ、社会全体がちょっと良くなる。そんな循環を目指しています。

2025年11月

店舗管理
2025年11月17日

業種 | 業種とは何か?業態との違いまで図解でわかる基本と実務ポイント

業種_001
業種とは、どのような商品やサービスを取り扱っているかという観点で事業を分類した言葉です。

イメージとしては、野菜を扱っている八百屋さん、魚介類を扱っている魚屋さん、衣料品を扱っている洋服屋さんといった感じですね。

他には、金融というサービスを行っている金融業や、建築業といった感じです。

このように、取り扱っている商品やサービスを元にした切り口であるという事ができますよね。 
この業種と似た言葉で業態という言葉があります。「何を売っているか」という観点の業種に対して、業態は「どんなやり方で売っているか?」という観点になります。

■業種の分け方は国がある程度決めてくれています

日本産業分類というものを聞いたことがありますでしょうか?国が日本にある産業を大中小の3分類+細分類で整理しているものとなります。

例えば、

E製造業(大分類)>09食料品製造業(中分類)>097パン・菓子製造業>0973ビスケット類・干菓子製造業

といえば、クラッカーや乾パンなどを製造する事業者になります。

この分類のすごいのは、「だったら、乾いている菓子だから『せんべい製造業』もこれかな?」と考えたとしてもせんべい製造業は

せんべい製造業(米を原料とするもの)[0974]

と別に定義されているところです。

■業種は色々聞かれる

この分類は結構重要で、国などに何らかの申請をする場合、自社がどのような事業を営んでいるかをちゃんと特定して記載する必要があったりします。

また、「業種別審査辞典」といった書籍でもこの産業分類のような業種分類を使って分けられたりしています。

■事業再構築補助金で業種転換が求められた

コロナ禍の際に事業再構築補助金が脚光を浴びたことを覚えている方もいるかも知れません。この場合も、補助金を活用するために業種転換などが求められました。

ただ、うまく自社の事業を再定義できた事業者さん(自社の経営資源を再定義した結果、新たな業種で勝負できるだけの経営資源があった)はこの事業再構築補助金を活用できていましたが、補助金獲得のために再構築補助金申請をしたような事業者さんは、いつまで経っても交付申請が通らないなど非常に苦労したのを間近で見ておりました。

どのような業種であっても、すでにそこで業歴を積んで業務プロセスを洗練させた競合事業者が先行して存在していますので(なので、産業分類で定義されているわけです)、業種転換は容易な選択肢ではなかったわけですね。

■業種の変化と新しい分類

業種は以前はある意味とてもわかりやすく、八百屋さんや魚屋さん、肉屋さんと生鮮三品であっても、他の業種の商品は取り扱わないことも多かったのです。例えば、八百屋さんは青果だけを売っていたイメージですね。

しかし、近年では境界があやふやになってきており、八百屋さんでも簡単な日配品やその他の必要なものも売ったりしますし、コンビニなんかは顕著で何でも屋さんになっています。

また、大手スーパーなどは配達サービスを実施しており、ネットショップと実店舗の境界もあやふやになっています。(クリック・アンド・モルタルなんてイメージですね)

また、製造業も自社サイトでBtoCのビジネスをしていたりしますし、技術の進歩で売り方は非常に多様になってきています。

その意味で、業種をうまく分類することが難しくなってきており、「複合サービス業」なんていう「その他」みたいな業種も生まれてきています。

そのため、我々支援者は業種を特定する事を求められることもありますが、事業を営んでいる方は自社が何を売っているか?といった観点ではなく、「自社がお客様にどんな価値を提供しているか?」といった価値軸で捉えていくと良いでしょう。

■業種判断の観点

業種を考えるときは「お客様に何を一番届けているか?」といった質問が重要です。上でも触れていますが、お客様にどんな価値を一番届けているかです。

また、何をしたときにお客さんがお金を払ってくれるかも判断基準になります。修理をしてお金を払ってもらっているなら修理サービスになりますし、飲食店は料理と座席の提供にお金を払ってもらっています。

このように、分類していってメインとなる売上を基準に考えていきます。例えば、飲食店で青果も売っているといった複合の業種であっても、青果の売上メインならば青果小売業になったりします。

■補助金実務のときは事務局に確認です

なお、補助金で業種ごとに規模要件が違う場合もあります。その場合は補助金事務局に確認が必要です。

例えば小規模事業者向けの補助金(小規模事業者持続化補助金)などでは、小規模事業者の定義が製造業は従業員20名以下ですが小売業などは5名以下です。

この場合、和菓子屋さんなどは製造小売と言って製造業の仲間扱いされることが多いです。

■業態について

同じ青果を売っている小売業でも、売り方の工夫によって全然違うお店になることもあります。例えば24時間営業とか、ネット販売をするなどです。この場合は、業態という整理で業種選択とは異なる軸になります。

このように、まずは業種を特定し、その上で業態を考えていくと自社の商売が明確になってきます。

初出:2013/05/12
更新:2025/11/17
マーケティング
2025年11月13日

ニーズ志向 | 消費者のニーズにあわせて商品やサービスを提供するという考え方です

ニーズ志向_001
ニーズ志向とは、顧客が必要とするものに合わせて製品やサービスを開発・提供するという考え方のことを言います。

顧客が望むものを作って提供しようという考え方ですね。

例えば、高校の側に喫茶店があったとします。この喫茶店のマスターは本格志向でコーヒーを豆から焙煎して提供していました。そして、コーヒーの香りを損なうとの理由から食事類は一切提供していませんでした。

しかし、近くの高校に通う生徒は喫茶店で食事がしたいと考えていたとします。

この時、近くの高校に通う生徒のニーズを調査して、ニーズに合うように食事を提供するといった考え方をニーズ志向と言います。

この考え方は、マーケティング志向といったイメージに近いです。「顧客のほしがるものを提供する!」という言葉が表しているマーケティングコンセプトですね。


これとは逆に、美味しいコーヒーを淹れられるというシーズ側から、美味しいコーヒーを徹底して追求するというシーズ志向という考え方もあります。
  • ニーズ志向は重要
自分の製品やサービスに自信がある人が陥りやすい落とし穴が、「私のお店のラーメンはこだわり抜いた商品だから売れるはず」→「売れないなんて消費者は味がわかっていないんだ」といった思考です。

しかし、消費者は自分の満足度を高めるために商品やサービスを購入するわけであり、そこには消費者のニーズといったモノが不可欠です。

そのため、消費者のニーズを調査し、ニーズを満たすような商品やサービスを最初から開発する方が簡単だし確実ですよといった考え方がニーズ志向なのです。

・ニーズは調査できる

さて、このニーズ志向といったとき忘れがちですが大きな点が一つあります。それは消費者のニーズはある程度調査をすることが可能であると行った事です。

仮説を立てて検証するアドホック調査や一定の調査対象を継続的に調査するパネル調査といった手法があり、市場を調査すれば消費者のニーズをある程度知ることができます。

そして、ニーズを知れば、商品やサービスを市場ニーズに合わせて提供する事ができるのです。

■顕在ニーズと潜在ニーズ、ウオンツとシーズの違い

ニーズは生活をするうえで重要なものですが、単にニーズというだけではなく「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」に分かれてきます。

「顕在ニーズ」は現れているニーズですから、お腹が空いたとか、スマホが欲しいと言った本人が気がついているニーズです。

他方で「潜在ニーズは」本人も気がついていないニーズです。スマホを欲しがっている本当の理由は「良い写真を撮りたい」かもしれませんし、その場合、本人はデジカメ、特にミラーレスや一眼レフカメラを欲しがっていることに気がついていないのです。

■ウオンツやシーズとの違い

ウオンツは、ニーズをさらに具体的にしたもので、お腹が空いたというニーズを具体的に、ラーメンが食べたいと考えるようなものです。

整理すると

ニーズ→ウオンツ→具体的な需要

と言った段階で進んでいきます。

似た言葉でシーズというものもありますが、こちらはシーズ(つまり種)です。企業側が持っている新しい価値を提供できるという種のことをいいます。(シーズを意識する方向性をシーズ志向といいます)

なので、会議で鉄板の言い方をするならば(そして情報量はあんまりない言い方です)

・潜在ニーズを掘り起こしましょう。そしてソレをウオンツに翻訳して、我々のシーズと結びつけて革新的な商品を作りましょう。

と言った言い方が成立します。(うん、当たり前のことをそれっぽく言っているだけですね。)

とはいえ、この言い方にも真理は含まれていて、ニーズだけを追っているとイノベーションのジレンマが発生するのです。

関連用語・説明で出てきた用語
アドホック調査
パネル調査

初出:2012/11/26
更新:2025/11/13

経営
2025年11月12日

IR

IR_001
IRとは、企業が株主(現在の株主や潜在的な株主)や投資家向けに、投資判断に有益な情報を積極的に提供するような広報活動のことを言います。英語ではInvestor Relationsと表記されます。

企業は様々な利害関係者(ステークホルダー)に囲まれて存在しています。そして、企業に資金を提供してくれる株主や投資家はその中でも大切な利害関係者です。

また、株主や投資家などは、経営者と情報の非対称性がある為、経営者が自分に有利になるような行動を取るのではないのかと疑っていたりします。(このような事をエージェンシー問題と言います。)

このような疑いを晴らすためや、しっかりと投資家に対して情報提供をする事によって株価を正当で適正な水準に保つこと(安くなりすぎないようにする事)がIR活動を通じて実現できるとされています。

■IRの目的は「信頼される企業」になること

色々書いてきましたが、IRの目的は単に情報を出すことではなく、企業価値を正しく理解してもらうことになります。「うちの会社はすごいんだぞー」とまで言わなくとも「うちの会社はちゃんとやっているよ」と理解してもらうことが重要なのです。

そして、そのような地道な情報提供によって信頼してもらう。そして、長期的な視点で投資してもらうための関係性を構築することです。

こうすることで、誤解や憶測で株価が乱高下するのを防ぐ効果も狙えますし、IR活動は企業にとって戦略的なものとなっているのです。

■IRの具体的な手法って?

ではそんな重要なIRですが、どのようなことをすればいいのでしょうか?

とはいえ別に特別なことをする必要はなく、「決算説明会の開催」、「統合報告書の作成」、「投資家向けサイトの運営」、「アナリストとの面談」、「株主総会の説明資料」などです。

みなさんが株式投資をされるのでしたら、投資判断の参考にする資料を提供するといったふうに考えればよいですね。

とはいえ、本当に重要なのはどんなふうに見せるかではなく、社会に役立つ企業であろうとする姿勢であることは言うまでもありませんが。。。

■IRとCSRの関係って?

企業のIR活動として、株主や投資家向けに自社の必要性を訴えていくのですが、それでは、株主以外の社会全体に対する責任であるCSRとはどのように違うのでしょうか?


例えば、環境に優しいプロセスで製品を作ったり、障碍をお持ちの方を法定雇用率にかかわらず積極的に雇用し社会的責任を果たすと言った観点です。

これらの行動は、いっけんするとコストアップにつながるように見えますが、様々な背景の人を雇用するダイバーシティの推進は新たな組織の活力を生みますし、環境に優しい製造プロセス自体が製品の魅力を高める事もありますので、それらの取り組み自体を強みにしている企業も多いのです。

その意味で、CSRをうまく強みとしてIRで発信するといった企業も増えてきており、IRとCSRは特に相反したり、相互排他的な観点ではないという点に注意が必要です。

初出:2013/03/27
更新:2025/06/03
再更新:2025/11/12
組織論
2025年11月11日

転籍

転籍_001
転籍とは、転籍元と雇用関係をいったん解消して転籍先に雇用される配置転換のことを言います。

■転籍についての概要


例えばA社に勤めていた人が、関連会社のB社に移る場合を考えてみたいと思います。

この時、A社をいったん辞めて(A社との雇用契約を打ち切って)B社に改めて雇用されるケースを転籍と言います。

このような場合、A社を退職していますので、転籍元のA社に戻るのは稀なケースになります。この転籍はグループ会社内で人材を有効活用するという事を目的として行われると言われています。
 
但し、単に人員削減のためといった後ろ向きの目的に、この転籍を使う場合もあります。

関連用語
出向

■転籍と似た出向との違いは?

転籍と出向は本質的に違います。出向について詳しくは関連用語をご覧になっていただくとして、簡単に整理すると以下のような整理となります。
項目 転籍 出向
雇用関係 元の会社との契約は終了 元の会社との契約は継続
元の会社に戻れるか 通常は戻らない 期間満了後に戻ることが多い
雇用先はどこになるか? 『転籍先企業』と新たに結ぶ 『元の会社のまま』だが働く場所は『出向先』
※給料は元会社から

この表を単純化して一言で説明すると、転籍はいわゆる片道切符に近い感じです。

■転籍の背景と目的

このように出向とは根本的に異なる転籍ですが、以下のような背景と目的の下、行われます。

・ポジティブな目的
グループ内心事業立ち上げのための人材配置や、従業員本人のキャリア希望を叶えるための配置転換

・ネガディブな目的
事業縮小に伴う人員削減の手段としての「転籍提案」や、コスト削減や雇用責任回避手段

我々コンサルタントは、ポジティブな目的を掲げたりするようにアドバイスしますが、実務の現場ではネガティブな目的でしばしば実施されてしまいます。

■転籍を打診された時にどうするとよいの?

企業側の意図は上のとおりですが、転籍は本人の同意が原則として必要となります。(一旦退職するわけですから。)

そのため、実務的には以下のような要素を検討して慎重に考える必要があります。

1 雇用条件(給与、勤務地、役職など)はどうか?
2 退職金や福利厚生の取り扱いはどうか?
3 転籍先の企業としての評価(安定しているか?成長しているかなど)
4 拒否した場合の処遇

特に、現在の企業での勤続年数が長い場合、退職金や企業年金などについてもよく確認する必要があります。

また、元の企業云々ではなく、事実上の転職と感じられるケースもあります。そのため、転籍先の企業を冷静に見る必要もあります。

■転籍を拒否はできるの?

原則論は本人の同意が必要となっています。しかし、会社からの転籍の要請は本人にとっては極めて重い意味を持ちます。

その意味からも、拒否はできるけど一旦持ち帰って即答はしないほうが望ましいと考えます。

「持ち帰ったらどうするか?」ですが、まずは第三者的なアドバイスを求めて社会保険労務士に相談することをオススメします。(多少お金がかかるかもしれませんが、あなたの人生の必要経費です)

中立的な立場から、制度について助言してくれると考えられます。

そのうえで、圧力を感じたり、不利益な条件変更や納得感が無いなど、法的な権利行使を視野にいれるならば弁護士や労働組合に介入を求める事も可能です。

(逆に言えば、弁護士や労働組合の介入は会社側としても避けたいわけですから、不利益な変更などを巧妙にわかりにくくして伝えてくる可能性があります。その意味でまずは社会保険労務士先生に相談することがおすすめです。)

■企業側は成長機会として提示することが重要

逆の視点で、転籍を打診する企業側の立場で考えてみます。

人員整理のニュアンスがある転籍などの勧奨を、不適切な方法で行うと、上記のような法律家などの介入を招く危険性があります。また何より、働いてくれている人の不信感を招き、離職を誘発しかねません。

その意味で、あくまでキャリアパスの一つとしてしっかりと位置づけ、提示できるような制度設計が重要です。

例えば、成長分野や新市場を開拓する子会社への出向。それも、裁量を増やしやりがいも一緒に提供するといった制度設計です。

また、社内公募制を実施するなど、可能ならば「挑戦者求む」といったアプローチを取り、あくまで会社都合の配置転換・人員整理などではなく、会社も転籍対象者も成長できる機会として位置づけることが重要です。


このように、転籍制度は使い方や制度設計次第でポジティブにもネガティブにもなりうる制度です。そのため、可能な限り自社の企業文化(新しい挑戦を尊ぶなど)と連動させながら、前向きな制度として活用していきたいものです。

転籍は、会社と従業員双方にとって重要な転機となります。前向きに制度を活かすためにも、制度の趣旨や実情を正しく理解し、納得のいく形での転籍制度を運用することを目指すことが大切です。

■近年のキャリア型転籍

近年では転籍を単なる人員整理やグループ内での移動ではなく、キャリア型転籍として注目されることもあります。

従業員の専門性や能力をより活かせる企業や事業に移ることで本人のキャリア形成とグループ全体の競争力を両立させるというアプローチです。

特に新規分野の事業では、社内体制が脆弱だったりするケースが多く、管理部門で経験を積んだベテランが、管理の要として転籍すると言ったこともあります。

他方、表向きはキャリア支援でも、実際には体の良い人員調整となっているケースも有るため、声をかけられた人は、ちゃんと見極める必要があります。

ただ、いずれにしても人を減らすとかの発送ではなく、人を育て、活かす仕組みとして転籍を捉え直すことが重要です。

初出:2012/11/30
更新:2025/07/03
再更新:2025/11/11


情報
2025年11月10日

最低有効フリークエンシー

最低有効フリークエンシー_001
最低有効フリークエンシーとは、広告のターゲットとしている人たちに、広告の内容(宣伝している商品やブランド・サービスなど)を覚えてもらう為に最低限必要なフリークエンシーの事を言います。

このような考え方は、「広告を出していても消費者に覚えてもらえなければ意味がないよ。」というある意味当たりまえの発想から出ています。

このことから、「消費者に覚えてもらうためには何回広告を見せる必要があるか?」を考えた指標なのです。
  • 最低有効フリークエンシーの具体例
例えば、あなたが新しいカップめん「ソース味噌ラーメン」の広告を見たとします。一回見ただけで新製品である「ソース味噌ラーメン」を認識できれば最低有効フリークエンシーは一回です。

しかし、通常は何度か接触することでようやく新しいカップめん「ソース味噌ラーメン」を認識することができます。

今回のケースで、三回「ソース味噌ラーメン」の広告に接触した段階で「ソース味噌ラーメンが発売されたんだ。」と認識したとします。

この場合、最低有効フリークエンシーは三回という事ができるのです。

なお、最高有効フリークエンシーという考え方もあるため、広告は最低有効フリークエンシー以上、最高有効フリークエンシー以下で出すとよいとされています。

(難しく書いていますが、要するに「効果がある範囲で広告を出しましょう」という事ですね。)

■最低有効フリークエンシーの測定と活用

最低有効フリークエンシーは単なる理屈ではなく、実際の広告配信のデータを分析することでわかってきます。

具体的には、接触回数ごとに認知率、購入率を調べてグラフに書いてみると、一定の回数で成果が急増するような「しきい値」があることが分かります。

そのしきい値こそが最低有効フリークエンシーになってきます。

例えば、同じCMを数回見ただけでは覚えないかもしれませんが、ある一定回数見れば、「あ、あの商品だ」と覚える事ができると思います。これは個人差がありますが、集団として一定のしきい値があるのです。

これがわかっていれば、最低有効フリークエンシーを超えるまで広告を出していくことが肝心だとわかってくるはずです。

なお、媒体によってこの最低有効フリークエンシーは異なっており、SNS広告やバナー広告ではテレビCM等よりも低めに出てくる傾向があります。

■最低有効フリークエンシーの注意点

広告費の効率的活用の観点から、最低有効フリークエンシーという考え方は示唆を与えてくれます。それは単発で一回だけ広告を打つと無駄になりがちだということです。

すぐに反応がなくとも我慢して一定回数見てもらうまで広告露出をしないと無駄になるということです。

他方で、最高有効フリークエンシーという広告露出の飽和点もある事もわかっています。そのため、最低有効フリークエンシーに到達するする人を多くするため、届ける人の設定を適切に行うことが必要です。

効果が見込めそうだからと言って、同じ集団に広告を打ち続けると無駄になる可能性があるのです。

初出:2013/03/04
更新:2025/11/10
財務・会計
2025年11月9日

固定費 | 固定費とは?変動費との違い・損益分岐点の求め方と削減のコツ【例題つき】

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固定費とは、使っても使わなくても固定的にかかる費用の事を言います。会社で言うと工場とかお店とかで作ったり売ったりしなくてもかかってしまう費用の事です。

たとえば、工場やお店の建物の減価償却費や工場やお店で働いている人のお給料などは何も作らなかったり、お客さんが来なかったりしても一定の額はそのまま発生してしまいます。

また、お店などを借りていれば家賃がかかりますし、お金を借りていれば支払利息がかかります。 これらの費用は、使っていても、使っていなくても(操業度の増減にかかわりなく)固定的にかかる費用なので固定費というのです。

この反対の言葉として、変動費というものもあります。こちらは、お店で販売すればするほどかかる売上原価(仕入代などですね)や水道光熱費などが該当します。

■固定費が多いと

さて、この固定費ですが多ければ多いほど経営上のリスクが増します。 簡単に言うと、何もしないで出ていくお金が大きければ大きいほど経営は不安定になりそうですよね?

そのため、上手く工夫して固定費の金額を抑えていくことが重要なのです。

■コスト削減のコツは

コスト削減のコツは、この固定費の削減に優先して取り組む事です。

例えば、不要な倉庫を借りていたりしませんか?不要な営業車を持っていませんか?不要な保険に加入していませんか?

こういった固定費を一つ一つ見直していくことで、稼がなければならない粗利益の額が少なくなるため、経営が楽になります。

逆に言えば、使っていない倉庫を持っているならば、その倉庫のために売上を上げなければならないといった状況になっているわけです。

この倉庫の維持に月10万円のコストをかけているとします。この場合、小売業を営んでいるとすると、一般的な粗利率は、30%程度になりますので、売上で言うと33万円分を毎月損している事となります。

33万円×30%≒10万円 逆に言えば、不要な倉庫の維持費を削減できれば毎月33万円の売上を上げたのと同じ効果が得られるのです。

なお、固定費と変動費の分解には勘定科目法高低点法などの方法が用いられます。

■固定人損益分岐点の関係を考えよう

このように、固定費は売れても売れなくても毎月固定的に出ていくお金です。では、いくら売れば利益が出るかを知ることはできるでしょうか?

ここで出てくるのが損益分岐点の考え方です。(この考え方が管理会計のエッセンスです)

例えば、上の例で倉庫の維持に10万円、お店の家賃や人件費などに40万円掛かっているとします。これらがすべて固定費だとすると固定費50万円の会社ですね。

この時、一般的な小売業の場合は30%の粗利率となりますので100万円売れれば30万円の粗利益が出るとします。

この2つの関係性がわかっていれば、固定費50万円を取り戻すためには、50万円÷30%で166.7万円を売ればいいことが分かります。

では実際に試してみます。

<この企業の損益計算書>(単位:万円)
売上   :166.7
売上原価 :116.9
売上総利益:49.8
販管費  :50
営業利益 :▲0.2

端数が出てしまいましたが、おおよそ損益トントンになりましたよね?つまりこの会社は月に166.7万円の売上を上げることが損益トントンに必要だということがわかるのです。

■無駄な倉庫の削減がどれだけ効くか

さて、上で使っていない倉庫に10万円を毎月払っているとありました。その倉庫契約を解除(明渡し)した場合はどうなるでしょうか?

固定費は倉庫の維持に10万円、お店の家賃や人件費などに40万円でしたが、倉庫の維持が必要なくなったので40万円に変わります。

粗利率が同様だとすると固定費40万円を取り戻すためには、40万円÷30%=133.3万円となります。

改善後も実際に試してみましょう。

<この企業の損益計算書>(単位:万円)
売上   :133.3
売上原価 :93.3
売上総利益:40
販管費  :40
営業利益 :0

今回もうまくいきましたね。

ここでのポイントは、固定費をわずか10万円下げた時、必要な売上高がどれだけ変わったかです。この場合166.6万円から133.3万円と33.3万円も変わっています。

つまり、固定費の削減はとても大きな効果を企業にもたらすということなのです。

■固定費削減実践のポイント

さて、このような大きな効果をもたらす固定費削減ですがどうすればいいでしょうか?

まずは、『ほとんど使っていない』をキーワードに削減していくことになります。

上の例で使っていない倉庫の削減は誰も困らない手段でした。ただ、意識しないと払い続けていたと考えられます。

このように、「空間」に対する費用を考えていくと色々見えてくるものがあります。本当にそんなに広い事務所が必要ですか?等といった問いかけです。

また、「デジタル」に関する費用も固定費となりがちです。あまり活用していないSaaS契約はありませんか?あまり見ていないレポートを発行するためにシステムの費用を払っていませんか?

このように、まずは使っていない無駄を探していくことが第一歩になります。使っていない無駄ならば削減しても士気に影響を与える危険性は少ないですから。

そのうえで。使っているけど、代替品に置き換えられる物を探していくといったアプローチになるでしょう。こちらは注意が必要で、削減だけを目的にすると従業員の士気を下げる危険性があります。

■似た言葉のまとめ

固定費の話をすると、変動費とか準固定費、準変動費と言った似た言葉がでてきます。以下まとめておきますのでご参考にしてください。

区分 定義 代表例 特徴
固定費 使っても使わなくても発生する費用 家賃、人件費、減価償却費 固定費発生の意思決定は慎重にする必要がある
変動費 売上や生産量に応じて増減する費用 仕入代、水道光熱費 売上が増えると同時に増える費用
準固定費操業度によって階段状に増減する費用人件費(増員の判断)など 拡張に伴って段階的に上昇する
準変動費操業度がたとえゼロでも、一定額発生する費用 電話代、電気代など 一定額まで固定、以降変動

初出:2011/03/01
更新:2025/11/09
店舗管理
2025年11月8日

アウトレットストア

アウトレットストアの仕組みを解説する4コマ漫画
アウトレットストアとは、主に、メーカや卸売業が在庫処分のため割安価格で販売を行う店舗のことを言います。

どこかの業者が単体でこのような形態のお店を出すこともありますが、イメージしていただきやすいのは、アウトレットモール内に設置されたお店ですね。

このようなお店では、通常の価格に比べて割安で(しばしば格安で)販売されています。

さて、どうして割安での販売を行うのでしょう?あなたが在庫を抱えた側の会社の人であると仮定して考えていきたいと思います。

例えば、多少の傷があったり、どうしても売れ残ってしまうような商品があったらどうしますか?そのまま倉庫に置いておけば、保管代もかかりますし、在庫に投入している資金も回収できません。

そのため、企業側には多少安くとも売ってしまいたいという発想があるのです。(時には、原価を割っていたとしても、現金が多少でも回収できるのであれば良いと考える場合もあります。)

どうでしょうか?「仮に原価を割っていても販売したい。」という発想、ご理解いただけますか?
  • 何故原価割れでも売りたいの?
まず、サンクコストという考え方があります。これは、在庫を仕入れるために投入した金額は、どのような意思決定を行っても、今更取り戻せないという考え方です。そして、この取り戻せないコストは、意思決定にあたって無視するのが正しいとされています。

このため、仮に1万円で作ったモノであったとしても、5千円で買いたいという顧客が現れたならば、1万円の原価は無視し、5千円で販売するか、もっと高く購入してくれる顧客がいるかどうかを検討する事が正しいとされているのです。

(仮に原価を割っていても、その金額はもはや取り戻せないため、原価を無視して可能な限り高値で販売するという事が合理的な選択なのです。)

また、倉庫に置いておくという事は、その商品の保管代もかかります。さらに、その商品が売れて回収できたお金を再投資に回す分の機会原価も発生してしまうのです。
  • お金の回収以外の目的は?
もう一つの大きな目的は、実際に商品を販売することによって市場の情報を得るという事です。

製造業や卸売業は直接消費者と接触することが少ないため、消費者が何を好むかといった情報を入手しにくいのです。そのため、アウトレットストアを出店して、直にお客様の反応を得るという目的があるのです。

■観光資源としてのアウトレットストア

アウトレットのお店は単に安く物が買えるお店というだけでなく、地域経済にとっても重要な役割を担うようになってきています。

具体的には、高速道路沿いにアウトレットストア、アウトレットモールが大規模にオープンすると人の流れが変わるというあれです。

皆様も、「ああ、あのお店のことね。」と見当がついているように御殿場だったり軽井沢だったり、木更津にあるような大規模店です。

このようなお店があれば、地域全体の消費を押し上げるなどの波及効果が生まれてきます。

他方で、広域から集客するため道路の交通容量などが適切に設計されていないと毎週のように大渋滞を招くなど迷惑施設にもなりかねません。そのため、誘致する場合は地域全体の今後を変える可能性があるお店であると考え、真剣に取り組んでいくことが求められるのです。

■アウトレットストアとSDGs

地球に優しい持続的開発目標としてSDGsが提唱されて随分立ちます。実はアウトレットストアもこの考え方につながっています。

それは、廃棄する商品を捨ててしまうのではなくアウトレットストアで安く販売する方が環境負荷が下がるということです。

例えば、アウトレットストアで売られることの多いアパレルについて考えてみます。

アパレルは実は非常に環境負荷の高い産業であり、膨大な水資源を原材料の製造(綿花の栽培など)から紡績、染色などで使っています。

また、世界中を股にかけて原材料調達し、縫製し、店頭に並べるため、膨大な量のCO2を排出しています。

その上、供給される衣料品のほとんど(環境省によると1年に供給される衣服の9割)が手放され、その多くの部分が廃棄されます。

このように、作ったのに売れないと廃棄ロスで企業経営を圧迫するだけでなく、純粋に資源の浪費となってしまいます。

これを避けることに貢献するためアウトレットストアは企業の社会的価値向上にも貢献していると言うことができるのです。

関連用語
カテゴリーキラー
パワーセンター 
スーパーセンター
ホールセールクラブ
キャッシュ&キャリー
GMS
ハイパーマーケット
ネイバーフッド・マーケット 
ハード・ディスカウンター
ボックスストア 

初出:2013/05/08
更新:2025/11/08
店舗管理
2025年11月7日

アイテム | アイテムとは?SKU・カテゴリー・単品との違いをわかりやすく解説

アイテム_001
アイテムとは商品の種類を表す言葉で、品目とか、集合単品などと呼ばれることもあります。

さて、「商品の種類?単品の事?」とこのアイテムという言葉を単体で説明してもイマイチわかりにくいため、似た使われ方をするSKUとの比較を示しながらご説明します。


あなたは生鮮三品を扱っているスーパーマーケットの鮮魚売り場で働いているとします。そして今日は、サバを沢山仕入れてサバフェアーをする事にしました。

あなたは、一尾丸ごとサバを欲しがる人や、半身を欲しがる人がいると考えて、一尾と切り身の二種類の商品を用意したとします。

この時、アイテムはサバという1つですが、SKUでは一尾と切り身の2SKUになります。

つまりこの場合は、1アイテム、2SKUとなるのです。

また次の日は、あさりフェアーを開催しようと思ったとします。今回は、グラム数で分けて、100グラム、200グラム、500グラムの3種類にパッケージして販売したとします。

この場合は、1アイテム3SKUとなります。

■アイテム管理の重要性

お店で販売する商品はアイテム単位で管理することが一般的です。SKUレベルでの管理も悪くないのですが、ちょっと細かすぎて分析などが大変になってきます。

そのため、まずはアイテムごとに売上を把握して行くことが重要です。そしてアイテムごとに、棚割りをしたり在庫数の最適化をしたりするのです。そして、どうしても細かく管理したい場合にはSKU単位まで掘り下げるという対応が効率的になってきます。

まんがでは鉛筆の例を出していますが、鉛筆とかシャープペンなど筆記具をアイテム管理して、アイテムごとに売上管理するとどの筆記具が売れているかわかるのでお店の経営に役立つのです。

というか小規模事業者においてはアイテム単位での売上把握も疎かになっているケースが散見されますので、せめてノートでもなんでもいいので記録を取る習慣をつけることがとても重要になってきます。

■アイテムとカテゴリー、SKUの違い

お店の商品を考えるときに、アイテムとカテゴリー、SKUと言った区分で管理していくことになります。

どれも商品を管理するという言葉ですので、管理の粒感を以下のように整理してみました。

用語意味・定義例(文具店の場合)管理の粒度
カテゴリー複数のアイテムをまとめた上位分類。販売戦略や棚割りを考える単位。「筆記具」「ノート」「ファイル」など大分類(最も粗い単位)
アイテム商品群の中で同じ性質を持つ種類。型番やシリーズ単位で管理される。「鉛筆」「シャープペン」「ボールペン」中分類(管理の基本単位)
SKU在庫管理上の最小単位。同じアイテムでもサイズや色・仕様が異なれば別SKU。「赤いB鉛筆」「青いHB鉛筆」など小分類(最も細かい単位)
単品1つの具体的な商品を指す言葉。SKUとほぼ同義で使われることが多い。実際の棚に並ぶ1本の鉛筆最小単位(SKUと同程度)

カテゴリー単位では結構大きな単位になっていることが見えると思います。単品毎の管理は手間暇が非常にかかるため、お店ではどのカテゴリーが売れているか、どのアイテムが売れているかなどカテゴリーやアイテムごとの管理をしていくと改善につながってきます。

初出:2013/05/19

更新:2025/11/07


情報
2025年11月5日

死活監視 | 常に監視をして「返事がない、ただのしかばねのようだ」を見つける方法

死活監視_001
死活監視とは、ITシステムが稼働しているかどうかを監視する方法の一つで、外部から継続的にシステムは『生きているか』を監視するような方法です。英語ではalive monitoringと表記されます。

例えば、一定間隔で監視対象のシステムに対して(サーバ等に対してですね)信号を送信して、反応を見るといった方法を採ります。

システムが生きているのならば、反応を返すように設定しておけば、反応が返ってこない=システムが生きていないという事ができるのです。

一昔前のゲーム風に言うならば、話しかけたにもかかわらず返事がないといったイメージで、「返事がない、ただのしかばねのようだ」みたいな感じです。

■なぜ死活監視なのか

さて、どうして継続的に監視をしないといけないのでしょうか?その理由は、トラブルの発生がいつになるかが読めないためです。

あらかじめトラブル発生がわかっていれば、予防保全などを行い、トラブルなど発生させにくくすると言った対応が可能ですが、何処まで対応してもトラブル発生の確率をゼロにすることはできません。

その為、常に監視を行っておき、トラブルの発生を迅速に把握するというニーズがあるのですね。

■ 死活監視が使われる具体的な場面

さて、上記のような死活監視ですが、以下のような状況で活躍します
  • Webサーバやメールサーバなどの常時稼働が求められるシステム
  • 社内ネットワーク機器(ルーター、スイッチなど)
  • IoT機器やセンサーネットワークの健全性確認
  • クラウド上のマイクロサービス群
これらのサービスは基本的に止まってはいけない類のサービスとなります。

そのため、ECサイト運営企業は、24時間の死活監視を行い、「サイトが落ちた瞬間」に担当者へアラートが飛ぶようにしておくのです。その結果、復旧までの時間が短時間となり売上の機会損失を最小限に抑えることができるのです。

(担当者が気の毒だと思った「感性の鋭い」あなたは、動いているのが当たり前ではなく、当たり前を守っているITエンジニアをぜひ尊重してあげてくださいね。)

■ 死活監視のメリットと限界

死活監視には明確なメリットがあります。それは、シンプルで導入が容易(Pingなどで対応可能)ということです。

※pingは標準機能ですから、特にコストを掛けずに実装可能です。(ping(ピン)とは、「そっちにいる?」とパソコンに声をかけて、返事があるかを確かめるしくみです。)

その結果、異常検知の初期段階でアラートを出せますし、サービスレベル維持が比較的容易で合うrと言った利点があります。


ただし、次のような 限界点があるため注意が必要です。

■ゾンビなどに気をつけろ

死活監視では、表面上生きているように見えるが実際には処理不能というゾンビみたいなケースには弱いです。

例えば、アクセスが集中しているなどの理由で実際には使い物にならない程度に処理が遅延しているケースでも、「生きてるよ!」と返してきますので、検知が難しいです。

(この対応にはアプリケーションレベルでの監視が別途必要)

また、通信経路の問題で「誤検知」もありえます。「生きてるよ!」と返してきたけど、ネットワークが遅く、そのシグナルが届かないで落ちていると誤認してしまうケースもあるのです。

■死活監視とその他の監視手法との違い

  • 死活監視(alive monitoring) システムが生きているかを見る
  • ハートビート監視 クラスタ構成での相互監視。タイムアウトで障害検知
  • ポーリング監視 一定間隔で情報を取得して状態確認
  • エージェント監視 端末に監視ツールをインストールし、内部情報もチェック
ざっくりとまとめるとこんな感じになります。

■死活監視のアラートと対応プロセス

死活監視でシステムが反応しない時には、すぐにアラートを出すように作っていきます。

例えばネットショップが止まれば、担当者にメールなどで「サーバが応答していません」と通知が届いたりします。(担当者から刷ると最悪の瞬間ですよね)

この連絡を受けた担当者はすぐに原因究明を行い、再起動や復旧対応を行っていくのです。原因究明にはログの解析を行ったり、プロセスの再起動を実施し、復旧を図ります。

このように死活監視は、監視するだけではなく

監視→検知→通知→対応→再検証

という一連のサイクルの起点となるのです。

■AI時代の死活監視(アラートの意味づけ)

近年ではAIを活用して異常検知と死活監視が統合しつつあります。

単なるPing応答の有無だけでなく、CPU使用率やレスポンスタイムの変化などから予兆を検出すると言ったアプローチが取られつつあるのです。(予兆が出たら嫌ですね。予兆の段階で何か作業をして障害発生を食い止められればいいのですが・・・)

いずれにしても、反応があるけど正常じゃないという状況を検出しやすくなってきたのは良いことですし、利便性や安定性はそれだけで大きな価値がありますからね。

■まんがの解説

上記の漫画では、死活監視の本質を書いてみました。

「反応さえすれば監視を抜けられる」という仕組みは、まさに死活監視の弱点そのものです。

表面的な生存確認では、「ちゃんと働いているか」まではわからないという現場のジレンマを書いてみました。

初出:2013/07/13
更新:2025/11/05
財務・会計
2025年11月4日

配当政策

配当政策_001
配当政策とは、得られた利益のうちどれだけを投資家に還元するかの方針のことです。そして、実際に配当に充てられた比率を配当性向と言います。

企業の獲得した利益は株主に帰属しますが、経営者はその獲得した利益を株主に配分するか、内部留保として取っておくかを選択する必要があります。

内部留保を多くすれば、安定した資金の調達源(内部金融)となります。逆に、株主に多く配当すれば、株主はインカムゲインを得ることができます。

もっとも、配当が多ければ多いほど株主のためになるとは限りません。例えば、配当を行わずに事業に再投資し、企業価値を高め株価の最大化を目指すといった方法もあります。この場合株主は株式を売却した際にキャピタルゲインを得ることが可能となります。

このように、配当政策をどのようにするのが最も適切かを一概に判断する事はできないのです。

このまんがでは利益を内部留保して設備投資を行うか、株主に配当で還元するかどちらにするか株主のおじさんと、男子生徒が話していますが、今回は内部留保を増やして設備投資を行う事に決まったようです。

■配当政策の考え方

配当政策にはいくつかの考え方があります。配当は一概にたくさん出せば出すほど株主にとって良いとは限らないのがポイントです。

■配当を出さないケース(配当しないという配当政策)

例えば、企業がこれから大きくなるという成長ステージにおいては、配当よりも内部留保を重視することが多くなります。

これは、これから大きな成長が期待される中では数%の配当でのリターンではなく、成長による数十%、場合によっては数倍のリターンになったほうが株主のためになるという判断に基づきます。

このことから、創業期のベンチャー企業などはほとんど配当を出さないといった配当政策を取りがちですので、配当が得られないと理解したうえで投資することが望ましいでしょう。アメリカの大企業では配当をずっと出さずに成長で株主に報いるとしていたマイクロソフトやアマゾンがありました。

これらの会社に投資していたら非常な利益が得られた事は私達は知っていますので、配当をせずに内部留保を優先するという考え方も十分に正当化されることを知っています。

■配当を出す場合いくら出すかが問題です

他方で、成熟期に入った企業では安定的な配当を重視する安定配当政策や、業績に連動して配当を考える利益連動型の配当政策を取ったりします。

前者の安定配当政策は、利益が増えても減っても基本的には配当を一定額出していくという考え方で、利益減少局面や赤字局面での目先の配当利回りの高さだけで投資判断をしないことが重要です。

後者の利益連動型の配当政策の場合は、配当の水準が不安定となるため株主としては不満が残るケースがあります。

株主が満足するとかしないとかにふれているということは、配当政策によって株価に影響を与えることができるということにつながります。

そのため、株主など利害関係者の利益を最大化するためにはどうしたら良いのかを考えるのも経営者の大事な仕事だったりします。特に、業界の標準からかけ離れた配当政策を行うと、良くも悪くも株価への影響が大きくなります。

■配当政策と内部留保のバランス

前段では配当の出し方の考え方について述べましたが、配当と内部留保のバランスについても見ていきます。

会社は獲得した利益を「貯める」「使う」「分ける」とバランス良く考えていくことが重要です。

このバランスは配当性向自己資本利益率(ROE)資本コストなどを踏まえて考えていく必要があります。

短期的に株主還元を配当で行うと、成長のための投資余力を失ってしまいます。逆に内部留保を優先しすぎると株主価値を毀損してしまいます。

これらのバランスの鍵は、自己資本利益率(ROE)で、自己資本利益率(ROE)が十分に高いならば配当で株主に利益を分配するよりも再投資したほうが株主価値が高くなります。

多くの日本企業では配当性向を35%前後を目安としつつ(獲得した利益の35%前後を配当する)、単年度の利益増減で配当の額を増減させずに安定的に配当すると言ったことを行っています。

大きく儲かった場合は自社株買いで株主還元すると言ったイメージですね。

初出:2012/04/15
更新:2025/11/04
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