まんがで気軽に経済用語

「知らないから動けない」をなくしたい。 中小企業診断士が、現場視点で経営用語をまんがでわかりやすく解説しています。 読むことで、生産性が上がり、心に余裕が生まれ、社会全体がちょっと良くなる。そんな循環を目指しています。

2025年08月

生産管理
2025年8月26日

BTO

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BTOとは、注文を受けた後に製品の製造を行うといった生産方式を言います。いわゆる受注生産方式ですね。英語ではBuild To Orderと表記されます。

■BTOの生産側のメリット

BTOは受注生産のイメージとなるので製品在庫を減らすことができるというのが非常に大きなメリットとなります。

しかし、全体の在庫を削減できるかどうか(部品の在庫を削減できるかどうか)は、どの程度の納期で発注者に納品するかによります。

例えば、注文を受けたらすぐ製品の製造を行うようなBTOでも、ラーメン屋さんみたいな仕事ならばスープや麺などすべての材料を持っていないとならないので在庫削減は図れません。

しかし、PCの受注生産などで顧客がある程度待てるのであれば、部品在庫も合わせて削減することが可能となるかもしれません。(この場合、部品を仕入れすぎても部品だけで転売することもできますので、上記のラーメン屋さんと比べれば在庫のリスクは小さくなります。)

■BTOの顧客側のメリット

顧客側にとっては、ある程度は自分の望む仕様で製造を行ってもらえるというのが大きなメリットとなります。

また、製品に対して、ある程度の知識があればメーカがつけている不要なオプションを削除するといった事も可能となります。

(国内メーカのPCを買うと、PCメーカが開発したソフトウエアが山のようにインストールされていますよね?このようなソフトについては、使いそうなものだけインストールして、使わない分については値引きしてもらった方がうれしいと感じる人もいるはずです。)

また、製造側が在庫リスクを削減している分、割安な価格で調達できるといった点もメリットとなります。

■BTOと見込み生産の違い

BTOはいわゆる受注生産方式となりますので、在庫を少なくすることが可能です。とはいえ、部品などの材料をある程度持っておいたり、すぐに納品してくれる取引先があったりしないと短納期対応が難しいため、部品在庫まで含めると在庫が必ずしも少なくなるとは言えないのが難しいところです。

今回のまんがの例でも、注文を受けてから作ると言っていますが、注文を受けた段階で材料の発注から始めたとするとそれなりに納品までに時間がかかってしまいますよね。そのためある程度の材料については在庫として持っておく感じになります。

他方で、見込み生産方式の場合は製品として在庫をある程度持っていますので、基本的には即納することが可能です。また、ドンドン自社の都合でコストが最小になる生産計画を組んで製造することができますので、コストは安くすることにつながります。

ただし、受注予測に誤りがあったりするとせっかく製造した製品がそのまま不良在庫になってしまうと言ったリスクがあります。

簡単にまとめるといかのような違いがありますので、上手くBTOと見込み生産を組み合わせて対応することが重要です。

項目 BTO(受注生産) 見込み生産
生産タイミング 注文を受けて製造 事前の需要予測に基づいて生産
在庫リスク 完成品在庫は少ないが、部品在庫は必要 完成品在庫で持つため、売れ残りや過剰在庫のリスク大
納期 やや長め 短納期
コスト構造 在庫削減で効率的だが、小ロット対応で単価が高くなる場合も 大量生産で単価は安くなるが、在庫コストがかかる
顧客メリット 仕様をカスタマイズ可能 入手が早い。価格も低価格になる傾向あり
適用例 パソコン、オーダーメイド家具 飲料、食品、日用品など需要が安定している商品(需要予測がしやすい)

■まとめ

BTO(受注生産)は在庫リスクを抑えることが可能で、また、顧客の要望に沿った製品を柔軟に提供できる方法です。

他方で、見込み生産は、短納期対応や同一仕様で大量に作れることからコスト削減に有利ですが、需要予測の精度が甘いと過剰な在庫を抱えるリスクがあります。

実際にはどちらが優れているというものではなく、商品や顧客の特性を見つつ組み合わせることが望ましいでしょう。

初出:2013/06/09
更新:2025/08/26
店舗管理
2025年8月24日

欠品

欠品_001
欠品とは、顧客が欲しがっている商品が在庫として存在しておらず、顧客の要望に応じることができない状態を言います。(お店によっては品切れという言葉を使う事もあります。)

あなたがお店に買い物に行った際、「あの商品は、売り切れちゃったよ。ごめんね。」みたいに言われるイメージです。

■欠品の問題点ってなに?

さて、この欠品の何が問題なのでしょうか?「売り切れは残念だけど、仕入れすぎて廃棄ロスを出すよりもましでは?」といった意見もあると思います。

また、過剰在庫とか滞留在庫といった風に、在庫を沢山持つとあまりよくないといった趣旨の経営用語もたくさんあります。

それでも欠品が良くない理由は、一言で言うと売り逃しが発生するからです。

顧客は欠品している商品が欲しくて、あなたのお店に来店しているわけです。しかし欠品している。すると、商品は売れません。(逆に言うと、その商品は存在してさえすれば高い確度で売れたはずのものです。)これは、別にお金が出ていくわけではありませんが損失ですよね?(機会原価という考え方ですね。)

こういった種類の損失を特に、機会ロスと呼ぶのです。

■お店の信用にも欠品は悪影響を与えます

また、買いたいものが売っていなかったという事から、お店の信用といった大切な財産を傷つける可能性もあります。そのため、欠品は極力避けたいと考えられるのです。

いつ行っても欲しい商品が売っていないお店だったら、そのうちお店に行きたくなくなりますよね?そのようなことが積み重なっていくと、大切なお客様が減ってしまうのです。

このように欠品すると機会ロスが発生しますし、仕入れすぎれば今度は過剰在庫になる。なかなか適正な在庫数量を管理するのは難しいために、様々な在庫管理の手法が生まれてきているのです。

■欠品が続くことの問題点

上で述べた通り、なによりも信用を失います。お客様が「欲しいものが売っていない」「当てにできないお店」と認識してしまうと、中長期的には別のお店にお客様を取られてしまいますし、あえて行くまでもないお店と認識されてしまいます。

そうすると、硬い言葉でいうと購買頻度が低下したり他店舗へのシフトが発生しまうのです。

このことを逆手に取って、シビアな商品管理を行っているコンビニエンスストアなどでも、お線香やろうそく、香典袋などあんまり売れない死に筋だとわかっていても、必ず売れるときは売れる。無いと困るようなものを取り扱っているのです。

このことで、欠品している他店舗のお客様を奪うことができる可能性があるからです。(逆に、香典袋が急に必要になった人が、あると思っていたお店で買えなかったときのがっかり具合も想像できると思います。)

■欠品しない信用

欠品率の高いお店は、お客様からの信用を失いがちです。イザという時に頼りにならないお店と、ちょっと割高だけど、必要な商品が必ず手に入るというお店では信用度が違いますよね。

このように、欠品させないというのはとても重要なことだったりするのです。


なお、最初から取り扱っていない場合も「買えない」という観点では同じかもしれませんが、お店の経営としては大違いになります。
  • 顧客の信頼・期待
最初から取り扱っていないお店なら、「このお店では売っていないんだな。」とお客様は考えますが、欠品状態では、「ココで帰るはずなのに売っていない。期待を裏切られた」という失望を感じます。
  • 機会ロス
最初から取り扱っていない店なら機会ロスはそもそも売っていないから考えなくてもいいですが、欠品状態では機会ロスです。(あれば売れたわけですから)

特に売り場をその商品のために占有しているので、欠品状態の場合は売り場自体が空白になっているのもマイナスです。
  • 信用のダメージ
最初から売っていないなら、「専門外の分野だから仕方ないよね。」ぐらいでお客様からの信頼は傷つきませんが、欠品状態の場合は「期待外れのお店」「管理が甘いお店」などのマイナス評価がつきます。これが積み重なると顧客離れに直結してしまいます。

■欠品率について

この欠品している比率を計数管理する指標として欠品率があります。

これは以下のような計算式で計算できます。
スクリーンショット 2025-08-24 123757
例えば、30日の間で5日間在庫が切れていた場合

欠品率=5÷30✕100=16.7%

となります。一般的な欠品率の目安などはあまりありませんが、業種・業態ごとに欠品率の許容されるレベルがありますので、どのレベルで管理していくかが重要になります。

【許容される欠品率のイメージ】
製造業・BtoB<コンビニ等<スーパーなど<季節商品・アパレル


なお、欠品率は「売上を失う確率」とも捉えられますので、売れ筋商品の欠品率1%は死に筋商品の欠品率10%よりもダメージが大きくなります。

初出:2013/05/29
更新:2025/08/24
店舗管理
2025年8月22日

LSP

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LSPとは、効率的な経営を行う為に、人員計画や作業の標準化などを支援する、作業要員管理の事を言います。英語ではLabor Scheduling Programと表記されそれでLSPと略されます。

お店が売り上げを上げていくためには、しっかりと労働力を投入してサービスの水準の向上や在庫管理の強化を図っていく必要がありますよね。

ただ、発生する仕事の量に対して労働力を投入しすぎても上手くはいきません。

このように適正な人員配置を考えていくことが大切なのです。

■適正でない人員配置の問題点

少なすぎる人員で業務を行う問題点は、お客さんがたくさん来ているのに、動いているレジの台数が少なくてお客さんをすごく待たせているとか、商品の補充が間に合っていなくて、欠品が多発して機会ロスが発生している状態を考えてみればご理解いただけると思います。

人件費をケチって人を減らし、売り場が荒れ放題になったり、顧客サービスがないがしろにされたら本末転倒ですよね?

しかし、逆に人が多すぎる事も問題です。商品が適切に補充陳列されているにもかかわらず、追加で商品の補充人員を投入しても仕方ないですし、レジが4台で、お客様が並んでいない状態にもかかわらず、レジを追加で開けても意味はあまりないですよね?

というか、意味があまりないどころか、人が働くという事は人件費が発生するという事なので、あまり多すぎる人員が働いていては適正な利益を得ることができません。

■どうやって適正な人員配置を実現するか

このLSP考え方は、「必要な総工数を見積もり、それを満たす必要十分な人員を配置する」という発想がもととなっています。

例えば、時間帯ごとの売上水準や客数といった情報を予測してみれば、どの程度の仕事がいつ発生するか見積もることができます。

簡単な例では、夕方は顧客が多数来店するのでレジの台数を増やすといった意思決定が行えますよね?

このように、「いつどのような仕事が発生するか」という情報と、どの仕事にどれだけの作業量(工数)が発生するかが分かれば、いつ、だれが(どの職種の人が)、何人必要か?を見積もることができるのです。

■ LSPを導入するとどんな効果が?

LSP導入の効果は大きく分けて「コスト削減」と「サービス向上」の2つとなります。

コスト削減は具体的には「人件費の最適化」による売上高人件費比率の改善(数%削減)といった効果が狙えるものです。

人件費の最適化というと聞こえがいいですが、要するに必要十分な人員で運営しましょうといった形になります。お客様の来店数や忙しさを想定して人員を配置することが重要なのです。

また、サービス向上の効果は「待ち時間や欠品率の低下」が狙え、結果として顧客満足度向上(CS等といいますね)が挙げられます。

このLSPで「いつ・どれくらいお客さんが来るか」をあらかじめ想定した店の人の配置が実現できます。

これによって、混んでいる時間にレジで行列ができにくくなったり、品切れが少なくなったりします。この品切れは短期的には単純に売れたはずのものが売れない機会ロスになりますし、中長期的には欲しいものが売っていお店として顧客の足が遠のく原因となるので避ける必要があります。

逆に、お客さんが少ない時間、忙しくない時間は店員さんを減らすことでムダな人件費を減らすこともできます。つまり、LSPは「ちょうどよい人数でお店を回す工夫」ということができますよね。

狙い通り行けばLSP活用により人件費を数%削減するというコスト削減効果を上げつつ、サービスの充実によって顧客満足度スコアを改善すると行ったことも発生します。

また何より、適正配置による従業員の負担軽減効果も重要です。離職率低下も狙えますので、中長期的には組織運営全にも効いてきます。

初出:2013/05/18
更新:2025/08/22
経営
2025年8月18日

ベンチマーキング

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ベンチマーキングとは、他社の優れた事例を分析し業務や製品を改善する手法です。
この記事では、競合や異業種の成功事例を活かして自社の効率化や競争力向上を図る方法がわかります。

<簡単な説明>
ベンチマーキングとは、自社の製品・サービス、業務プロセスといった要素を測定し、自社の非効率な個所を、競合他社の優良な事例(ベストプラクティス)を分析して、取り入れ、改善するという手法です。

このベンチマーキングは業務プロセスなどを改善するためのアプローチなので、同業種の中から選んでしまいそうですが、そのような必要はなく、異業種をベンチマーキングしても良いとされています。

■建築業の例からみるベンチマーキング

例えば、建築業をやっている企業が、自社の工程管理の方法を改善したいと考えたとします。特に意識しなければ、おそらく「同業他社の優れたプロセスを参考にしよう」といった発想になると思いますが、あえて異業種の優れた工程管理のプロセスをベンチマークするという考え方です。

ここで、建築業の中でベストプラクティスを探すよりも、IT業界などの異業種まで視野を広げて、参考となるプロジェクト管理の手法を探すのです。

そして、その結果、業界内では全く新しく、非常に効率的な管理手法を確立することができるかもしれません。 また、何の目標もないときに比べ、迅速に競争優位を確立することができるかもしれません。

もっとも、このような手法は経営陣が強力に推進するという事が欠かせません。というのは、ベストプラクティスを達成することは困難な目標となる事が考えられるからです。

そして、この困難な目標を達成するためには既存のやり方を色々な面で変えていく必要がでてきますが、このような業務の見直しには、業務を変えたくないという抵抗がつきものです。

そのため、経営陣が「社内の抵抗を押し切ってでも推進する」といった強いリーダーシップを発揮する必要があるのです。

■ベンチマーキングの導入ステップ

ベンチマーキングはうまくいっている人のやり方を真似して、自分たちを良くする方法です。とはいえ、がむしゃらに進めようとしても何からやったらいいか全くわかりませんよね。

そのため、ベンチマーキングの導入には、いくつかのステップを踏んで実施していくことが大切です。以下そのステップ毎に注意するべき点などを考えていきます。
  • 自社の現状分析(まずは自分を知りましょう)
自社の業務プロセスや経営資源等を整理し、どこに課題があるのかを明確化します。ちょっと分けた言い方をするならば、まずは問題を特定し、どうなりたいかを分析し、そのなりたい姿になるために解決すべき課題を決めます。

言い換えるならば、今の状況はどうかなのかをはっきりさせることが大切です。たとえば、テスト勉強で自分がどの教科が得意で、どの教科が苦手かを整理するイメージです。
  • ベンチマーク対象の選定(誰を参考にするかを決める)
競合他社や異業種企業から参考にしたい「ベストプラクティス」(優れた事例)を見つけ出して抽出します。

これも簡単に言い換えるならお手本にする人を誰にするかを決めるというイメージです。例えば、同じ学校の先輩でもいいし、別の学校の優秀な生徒でもいいですね。
  • データ収集と比較分析
とはいえ、誰をお手本にするか決めても情報を集めないと始まりません。そのため、公開情報やインタビュー、事例紹介などを通じて定量・定性的な情報を収集します。そして、自社との差を洗い出すのです。
  • 改善策の設計と導入
自社との差がわかれば、その差・ギャップを埋めるための改善策を決めていく必要があります。そして、策定した改善策を自社プロセスに適合する形で導入していきます。

自社のプロセスに適合する形を言い換えれば、「自分のできるやり方で取り入れる」ことが大切です。ベンチマークといえども、全部コピーするのではなく、自分に合うやり方として組み合わせるのがコツです。
  • 効果測定と継続改善(やりっぱなしはダメ)
ここまでで導入した方法を元に、改善施策を設定・測定して定期的に見直しを行う事が重要です。

一番良くないのは改善をしようといろいろやるのはいいのですが、そのままやりっぱなしにしてしまうことなのです。そのため、よく言われるPDCAサイクルなどがとても重要なのですね。

これらの流れを踏むと、部活や勉強でも「ただ頑張る」より力がつきます。ベンチマーキングは勉強やスポーツなど日常生活にも応用できる考え方なのですね。

関連用語
経営計画

初出:2013/05/11
更新:2025/08/18


経営
2025年8月12日

SPA

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SPA(製造小売)とは、製造から小売までを一貫して行う垂直統合型のビジネスモデルです。
本記事では、SPAの意味や仕組み、メリット・デメリットを分かりやすく解説します。

<簡単な説明>

SPAとは、製造から小売までを統合して一貫して行うという業態の事を言います。日本語では製造小売といった言葉があてられています。

さて、この言葉を最初に使ったのはGAPの会長です。自社を評してSpeciality store retailer of Private label Apparelと述べたことからSPAとされているのです。

■SPAの優位性とは

製造から販売までという事ですから、垂直統合の究極の形の一つであると考えられます。このような業態では、物流の各段階でのコストを削減することができるので非常に大きな利幅を確保することができます。

垂直統合の場合、製造、卸、小売がそれぞれ存続できるだけの適正な利潤があるわけですから、それらをすべて自社でやることで利潤を総取りできるという発想です。経営資源の重複を排除できる範囲の経済も効いてくるので強いのですね。

また、小売業を営んでいることで、顧客の情報を一番近くで入手することができ、顧客の欲しがるものを提供することが容易になります。

■他方で弱い面も

その一方、自ら企画・製造して販売まで行う為、売れなかったときの損失をそのまま負う事になります。それも、製造、卸、小売にかかるすべての損失を負うためリスクはとても大きくなります。

また、製造や企画、物流、販売、店舗管理といった通常はその一つ一つに対して非常に高い専門性を持たなければならないような領域に対して、全て自社でこなさなければならないといった問題もあります。

つまり、各分野の第一線にいる競争相手と真っ向勝負しないといけないのですね。例えば洋服屋さんがSPAを志向する場合、

  • 製造では一流の縫製メーカー等と競合し、
  • 卸や物流面では、一流の物流企業などと競合し、
  • 小売面では、一流の店舗オペレーションを誇る事業者と競合します。

また、自社内に製造機能や物流機能などを抱えることは固定費の増加を意味します。市場変化を読み誤ると、大量の在庫が発生したり製造ラインや物流施設の遊休化が発生しやすく、損益への影響は甚大です。

特に消費者の嗜好は多様化・細分化していますので、トレンド予測精度と在庫管理能力の優劣が競争優位に直結します。徹底してオペレーションを磨き上げる必要があるのですね。(そのため、工場を持たないで固定費を抑えるファブレスを組み込んだビジネスモデルを採用する大手企業もあります(ZARAが有名ですね))

このようにSPAは、なかなか舵取りが難しそうですよね?なので、割と多くの人が思いつくビジネスモデルですが、実際に取り組む人は少ないビジネスモデルだったりします。

■変化にすばやく対応できるというSPAの強みと弱み

競合面から考えてきましたが、今度は変化に素早く対応できる、顧客ニーズへの対応面から考えていきます。

SPAは、商品を作るところからお客さんに売るところまで全部自分でやります。このようにSPAは製造から販売まで垂直統合しているため、情報の伝達がとても速く行うことが可能です。

その結果、意思決定から商品化、商品化から店頭に並べるまでのリードタイムを短縮できます。

例えば服屋さんなら、流行している色や形をすぐに商品にしてお店に並べることが勝負の分かれ目になります。洋服もナマモノなのですね。そのため、店頭で掴んだトレンドなどを反映した商品開発が重要となります。

初出:2013/05/05
更新:2025/08/12

SPAの形態であればPOSデータや店舗スタッフからのフィードバックを即座に企画部門へ反映し、数週間単位で新商品を投入することすら可能だったりします。

店頭に並べるという意思決定から商品化、商品化から店頭まで並べることを外の会社にお願いするよりも早く動けるので、流行に乗りやすいという強みがあるのですね。

これにより短期的なトレンドや季節需要に的確に対応できます。

他方で、極めて短期的な流行(ファッドといいます)にのってしまうと大変です。意思決定がから店頭投入までが早いのはいいのですが、様子見といったフェーズが無いので、たくさん作った商品がそのまま不良在庫として残ってしまうことが発生しがちです。


関連用語
シナジー効果
経済学
2025年8月4日

インフレリスク

インフレリスク_001
インフレリスクとは、手持ちの金融資産の価値が、物価が上昇することによって下がってしまうリスクの事を言います。

例えば、あなたがタンス預金をしていたとします。それも一千万円くらいタンスにしまっておいたとします。

そして、今なら一千万円あれば家が建てられるとします。しかし、あなたは無駄遣いするのが嫌いな性分のためか、5年間その一千万円をタンスに入れたままでした。

そして、5年後に色々と考えることがあり、家を建てたいと考えるようになったとします。

しかし、5年間のうちに物価水準は上昇しており、家を建てるのには一千二百万円必要となっていました。

この時、あなたが持っている一千万円は実質的に価値が低下していますよね?こういったリスクをインフレリスクというのです。

インフレが金利上昇を招く

例えば、年5%インフレが進む国を考えてみたいと思います。その時にあなたは2%利息が付く国債を購入しますか?

実質的に毎年3%ずつ目減りする国債なんて購入しませんよね?この場合、2%の利息の国債は買い手がつかなくなってどんどん値下がりします。

そして、この国債は購入すれば5%以上の利回りが得られる価格水準まで低下していきます。(例えば、100円で償還してくれる国債を95円で買うといったイメージです。)

こういった流れによってインフレ率が5%となった場合、国債の利回りも5%以上が求められます。

そして、国債利回りが5%まで上昇した時に、金融機関は「あなたの事業」に5%以下の金利で融資してくれるでしょうか?

安全な(リスクフリーレート)が5%の時に、リスクのある「あなたの事業」に5%以下で融資するなんて考えられませんよね?(やってもいいですが、ステークホルダーに袋叩きにされそうです。)

このように原理的にはインフレ率が上がると金利も上がるのです。(短期的には市場の歪みでそうならないケースもありますが、長期では原理原則に順張りしたほうが望ましいでしょう)

■なぜ今、インフレリスクに注目すべきなのか?

2025年現在、物価上昇が目に見えて進んでいます。少し前までデフレ傾向が強かったのですが、世の中の環境は大きく変わってきています。

そして、インフレによって、個人の預金や企業の資金計画に大きな影響がで始めているのです。

「値上げが続くのだったら、現金の価値はドンドン目減りしてしまう」ことに気づきはじめた人も多いでしょう。

インフレリスクとは、こうした「お金の価値が目減りする」ことによって、将来的な購買力が減少するリスクのことを指します。(物価が上がるとも言えますが、本質的にはお金の価値の目減りです。)そして、このような考え方は企業の資金調達や借入金利にも深く関係しています。

本サイトをご覧になっている方は経済人を想定しています。そのため、物価が上昇傾向であるとぼやくのではなく、物価が上昇傾向になったという環境に適応し、適正な利潤を上げるように行動して生きたいものです。

■インフレリスクが影響する対象

さて、このインフレリスクですが、以下のような影響が想定されます。
  • 個人の預金:現金預金のもつ力(購買力)が下がる
  • 個人のローン:固定金利なら実質的に借金の目減り
  • 年金生活者や退職金保持者:インフレによってマネープランが崩れる可能性があります
  • 企業の資金調達:金利上昇により、借入負担増加
  • 投資家:名目利回りと実質利回りの差(インフレ率を差し引いた利回り)を意識する必要が出てきます
  • 不動産:債券の利回りが上がるならば、不動産価格は下落傾向になります
   債券利回りアップ→不動産利回り<債券利回り→不動産の処分圧(リスクの低い債券のほうが利回りがいいなら投資しないほうが合理的)→不動産価格下落

良い面も悪い面もありますが、いずれにしても事業環境の変化と捉えて適応していく必要があります。

■実質金利とは?

たとえば、名目金利が3%でインフレ率が5%だった場合、実質金利は-2%となります。このような状況では、たとえ3%の利息が付いていても、お金の価値がそれ以上に減っているため、実質的には損をしていることになります。

こういった考え方を実質金利といいます。借金が目減りするのはありがたいですが、資産が目減りするのは困りますよね。

■まとめ:インフレ時代に備えるべきこと

インフレリスクは、お金の保有方法・借入戦略・資産運用すべてに影響を与えます。まさに経済というゲームのルールがデフレ時代から転換したのです。

そのため、数十年続いたデフレ時代で適切とされた行動様式を転換して、インフレ時代に望ましいとされる行動を取っていきましょう。

一例として、現金は眠らせず適切に運用すること(持っていると目減りします)、金利の固定・変動の選択を慎重にすること、実質的な価値(購買力)で資産をとらえるといった感じです。

今後も物価上昇が続く中で、このインフレリスクへの理解と対策が、経済的な生存力に直結してくると言えるでしょう。

なお、人類の経済は基本的にはインフレ基調で推移してきましたので、デフレというイレギュラーな時代と異なり、先人たちが遺した知恵を大いに活用できる時代です。少なくてもあなたの競合は、先人の知恵を研究していることを想定し、考え方を切り替えていく必要があります。

関連用語
マネタイゼーション

初出:2013/03/01
更新:2025/08/04

法務・支援施策
2025年8月2日

育児休業

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育児休業(育休)とは、原則として1歳未満の子を育てる労働者が取得できる制度です。雇用保険に加入しているパート・契約社員・正社員などが対象で、男女問わず取得可能です。

原則として子が1歳になるまで取得できますが、保育園に入れない等の事情があれば1歳6か月、最長で2歳まで延長することもできます。

さらに、2022年10月の法改正により、「出生時育児休業(パパ育休)」が創設されました。これは、子の出生後8週間以内に最大4週間まで分割取得できる制度で、男性育休の取得促進が図られています。

この制度は男女問わず利用することができます。だから、父親が育児休業を取得するといった事ももちろん可能ですし、夫婦そろって育児休業といった事も可能です。
<2025年8月に記述修正 参考:厚生労働省育児休業制度特設サイト

■当時のお話

ここまでの説明で、「あれ?うちの子が小さいときは育児休業の制度自体はあったけど、自分は対象外で取得することができなかった…」と思われた方もいるかもしれません。

それは、以前は家族に子供を養育できる人がいたら育児休業を認めない旨の労使協定を結んで、育児休業の申請を拒むことができたためだと思われます。(経営側に有利な、素敵な労使協定ですね。素朴な疑問ですが、労働者側から進んでこのような労使協定を結ぶインセンティブって、何があるのでしょう?)

なお、現在ではそのような協定を結ぶことはできなくなっています。

そして、男性の育休取得もある意味当たり前になりつつあります。社会全体で子どもを育てる大勢に少しずつ変わってきていますよね。

■育児休業の現状

現在では、育児休業の取得率も徐々に上がってきています。本稿を最初に書いた2012年当時は育児休業にはちょっと特別感がありましたが、厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」によると、
  • 女性の育児休業取得率:84.1%
  • 男性の育児休業取得率:30.1%
という結果が出ています。
(参考:https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r05.html)

この数字を見ると、女性の取得率は高い水準を維持していますが、男性の取得率は未だ3割程度です。ただし、「予定していたが取れなかった」などの回答も一定数あり、制度は整っていても実態は伴っていないという職場も少なくないことがうかがえます。

■育児休業と収入

もちろん、ただ休めますと言われても、収入の心配があればなかなか休めませんよね。そこで、育児休業基本給付金という制度を用意して、収入面の心配をなくするといった配慮もなされています。

この給付金は雇用保険から出る給付金になります。そのため、育児休業中は会社側にとっては賃金支払いの負担はありません。

■まんがと育児休業について

このまんがのように、育児休業を取る事によって、従業員の視野が広がるという面もありますので、無負担で従業員の教育訓練をしていると捉えることもできるかもしれません。(少し強引ですが。)

そして、そのように捉えるのであれば、従業員が積極的に育児休業を取得できるように支援する事は、福利厚生の一環ではなく、会社の競争力の源泉へ投資していると考えることが可能かもしれませんね。

とあえて男性育休の例で2012年当時は書いていました。その時点より前では「意識の高い企業」や「従業員思いの制度」として語られていた育児休業ですが、2025年現在では「制度として整っていて当然」な基本的条件(衛生要因)に変化しつつあります。取得できない職場は、選ばれない時代に入ったのです。(参考:動機付け要因・衛生要因

育児休業の申し出に対応できないような労務管理体制では、今後従業員の確保はおぼつかなくなると考えられます。

■男性の育児休業(パパ育休)の義務化と動き

一番上で記載しましたが、2022年4月には改正育児・介護休業法が施行され、「出生時育児休業(いわゆるパパ育休)」が新設されました。

この制度では、子どもの出生後8週間以内に最大4週間まで分割して取得できる制度です。

企業にも制度の周知・相談体制の整備が義務化され、今後ますます育児休業は「当然の権利」として社会に定着していくと考えられます。

■企業が対応すべき3つの視点

このように育児休業はあたりまえに活用されていく制度となりつつありますし、国はソレを目指しています。

そのような流れの中、育児休業を気持ちよく取れないというだけで従業員の定着が厳しくなると言ったことも実際に起こりつつあります。

そのような流れに対応するため、以下のような切り口で生産性を向上して育児休業を取る方が居る前提での強靭な組織構築を図っていくとよいでしょう。以下、3つの観点を挙げます。

■業務設計の見直しなど

ナレッジマネジメントなど企業内に蓄積られた知恵を暗黙知として属人化させずに企業全体の知恵に変えていく方向性があります。また、基本ですがECRSの原則に従って余計な業務の見直しを常に進めることも重要でしょう。

当然、業務マニュアルの整備なども合わせて進めていくとよいですね。

■DX化

これも文字にすると当たり前過ぎて陳腐ですが、上記業務設計の見直しにはDX化がとても有効です。

ただ、各自の思いつきでRPAなどを作らせると『野良システム(誰も管理していなく、担当者が異動するとブラックボックスになる)』が蔓延しますので、何らかのルール化(例えばRPAを使うなら〇〇というフォーマットに、目的と利用するデータ、集中力する結果、改訂履歴を明記する)をしておくことが大切です

■組織文化の醸成

そして何よりも組織文化として育児休業を取ることを尊重し、育樹休業する人が出ることを業務改善のチャンスだと捉えるような企業風土を育てていくことが大切だったりします。

関連用語
ハローワーク

初出:2012/11/11
更新:2025/08/02

経営
2025年8月1日

模倣戦略

模倣戦略_001
模倣戦略とは、他社が先行して販売している製品やサービスと同じようなモノを後発で販売していく戦略です。言いかえると、マネする戦略という事ができます。

■模倣と言っても完全模倣ではありません

もちろん、全く同じようなものを同じような価格で販売していたのでは、先行した企業に勝つことは難しくなります。

そのため、先行して販売されている製品やサービスを改良して販売する、先行して販売されている製品やサービスを単純化して価格を引き下げたものを販売するといった事を行います。

このような戦略は競争地位としてはフォロワー(参考:競争地位の4類型)に位置付けられるような企業が意図的に採る戦略です。

実際に売れている製品やサービスという事は、需要があるという事が実証されているため、開発リスクを負わずに販売していくことが可能となります。

■リーダーが行う模倣戦略は同質化戦略とも呼ばれる

また、このような模倣を競争地位がリーダーに位置付けられるような企業が行う場合、同質化戦略と言われます。(リーダーの戦略定石

この場合は、同じ土俵で戦えば規模の大きな企業の方が有利であるという非常に単純な理屈を利用した戦略です。

いずれにしても、他社を上手に真似するという戦略は有効なのですね。

■模倣戦略と後発優位の関係

模倣戦略はいわゆる単なる「パクリ」ではありません。先行企業が市場に出して成功した製品・サービスを分析することがまずは大切です。

その中で、「何が顧客に支持されているか」といった本質部分を把握したうえで、自社の強みに基づいた改善やコスト削減を行うのです。ポイントは自社の強みに基づいた改善です。

自社が「アンコが美味しい和菓子屋さん」だったら、美味しい餡にこだわった商品として改善をするのが大切です。

この改善により、開発コストや市場教育コスト(市場の人に新しい商品の内容を伝えるコスト)を大幅に削減でき、スピーディに顧客に届けられるという後発優位が発揮されます。

たとえば、先行商品が「高品質・高価格」であれば、後発企業は「標準品質・低価格」で勝負することも可能です。これは低価格戦略や単純化戦略と呼ばれる手法で、割と常套手段となっています。

特に2000年代の我が国家電メーカーはこの模倣戦略に随分苦しめられました。

本質的な機能以外での高品質・高価格化競争を行っていた我が国家電に対して、必要十分の性能を安く提供するといった海外家電が消費者の支持を受けていったのです。

■模倣戦略における後発優位の具体的メリット

  • 市場が育っているため、失敗のリスクが低い
  • 顧客ニーズを分析して、より適した形で提供可能
  • 宣伝・教育コストが削減できる
  • 価格・流通チャネルで差別化しやすい
例えば、2025年においては退職代行サービスは大手企業がありますが、先発起業は別の企業でした。

先発企業は市場があるかどうかわからない中で顧客を教育し、様々な論点をクリアーしていったのですが、後発企業はその部分に経営資源を投入する必要なく、本質的な価値に経営資源を集中することができたのです。

■模倣戦略と差別化戦略の違い

混同されがちですが、模倣戦略は丸パクリを目指すのではなく「他社の戦略を参考に、自社らしくアレンジし提供する」ことが重要です。

切り口の例として、成分を変えてコストダウン(例:具材のランクを下げて低価格に)したり、逆に高級路線・高付加価値路線で高価格帯を狙うといったことが考えられます。

また、限定パッケージやノベルティで差別化するのもよいですね。

■模倣戦略を成功させるためのポイント

模倣戦略を効果的するためには、ターゲットを絞り、誰にとって価値のある商品なのか明確にすることが重要です。また、いっけんすると同じように見えても、どこかが・何かが違うと思わせる仕掛けが重要になります。

そしてその違いを自社の経営資源のなかでいわゆる「強み」を使って実施することが重要なのです。

■模倣が上手く行きにくいケース

とはいえ、知的財産権(特許権や商標権)で守られている領域は模倣が困難だったりしますし、先行している事業が強いブランドを構築している場合は模倣が難しかったりします。

いずれにしても当社が気が付かない部分に本質的な価値があるケースもあるため、模倣戦略を採用する際は慎重な調査が必要です。

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リバースエンジニアリング

初出:2012/10/20
更新:2025/08/01

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