まんがで気軽に経済用語

「知らないから動けない」をなくしたい。 中小企業診断士が、現場視点で経営用語をまんがでわかりやすく解説しています。 読むことで、生産性が上がり、心に余裕が生まれ、社会全体がちょっと良くなる。そんな循環を目指しています。

2025年06月

経済学
2025年6月30日

外国為替資金証券

外国為替資金証券_001
外国為替資金証券とは、政府短期証券の一つで、為替介入などを目的として外国の通貨を購入する際に、その対価となる円を調達するために発行される証券です。外為証券とも呼ばれます。

「外国為替資金証券って何?」と聞かれてピンと来なくても、実は私たちの事業活動にも影響を与えている存在です。

この外国為替資金証券を発行して得た円で、外貨を購入し(外貨準備高が増える)、為替相場を円安に誘導するというのが、為替介入のイメージとなります。

このように、外国為替資金証券は円売り介入を行う際発行される証券で、外国為替資金特別会計法にもとづき発行されるのです。

■外国為替資金証券が発行される場合(円売り介入時)

と、かなりコアな金融寄りの論点となりますが、私達中小企業にとってはこの介入が行われる場合は円安に誘導することを目的として行われると理解することが重要です。

円安方向を目指すわけですから、輸出する財の価格は言質の消費者にとっては下がる方向になります。

(1ドルと70円が交換できたのを1ドルと140円を交換するような方向にするということですから。)

一例として、

東日本大震災前後には1ドルと70円を交換するような超円高になっていました。このときは、輸出業者は頑張って7000円の値段をつけても、ドルを使っている経済圏では100ドル払わないとこの商品を入手することができませんでした。(いろいろな費用は無視して説明します)

他方で、2025年現在の為替レートは140円程度で推移していますので、同じ7000円の商品はドルを使っている経済圏では50ドル支払えば手に入れることができます。

つまり、為替相場が動いただけで、日本の製品は半額になっている。つまり、海外の人からすると日本の製品が安くなり、価格競争力が強くなったということです。

他方で、

輸入業者からするととんでもないことが発生しています。

海外で100ドルのものを1ドル70円の時代に輸入してきたならば、7000円で日本の消費者に届けることができていました。しかし、現在の1ドル140円時代では、海外で100ドルのものは、14,000円もしてしまうのです。

■便利な介入ですが

このような介入ですから、自国にとって有利なタイミングで有利な方向に介入すれば皆が喜ぶと考えるかもしれません。しかし、このような強力な方策であることから、為替介入は国際的には「為替操作」と批判されるリスクがあります。

このように、外国為替資金証券はただの短期証券ではなく、「為替レートという我が国の信頼と競争力」にかかわる道具なのです。

我々中小企業の立場としては、自社に有利な方向に為替が動けば嬉しいですが、そのようなことは期待せず、環境に適応するように事業を運営していくことが重要なのです。

■どうすればいいの?:公的支援機関の活用

為替レートに限らず、事業環境が大きく変動しているときはチャンスであるとともにピンチであったりもします。

そのような際は、お近くの商工会や商工会議所、よろず支援拠点などの公的な支援機関に相談してみるのも一案となります。

専門家がたくさんいますし、商工会や商工会議所は会員にならなくても相談に乗ってくれますので(とはいえ何度も活用するなら会員になった方がより安心です。なによりマル経融資という特権的な融資制度を活用できる可能性がありますので)相談してみるのも一つの手です。

初出:2013/06/04
更新:2025/06/30


マーケティング
2025年6月29日

後発優位

後発優位_001
後発優位とは、既にある市場に参入する事で既に参入している競合に対するメリットを言います。

既にある市場ですから、確実にそこに顧客がいるという事ができますし、社内調整(稟議制度などを利用)もやりやすいと思われます。

新しい市場へ参入した場合、先発優位を得ることはできますが、確実に売れるかどうかは誰も保証してくれないのです。(売れると思って製品を作ってみたけど、誰もそんなものを欲しがっていなかったという事もあり得ますよね。)

さて、後発優位とはどのようなことでしょうか。以下、説明をしていきます。
  • 広告宣伝費用を節約できる
全く新しい製品を世に送り出した場合、それが「どのように消費者の生活を便利にするのか?」といった点をアピールしていかなければなりません。

しかし、既存の市場に参入する場合には、そういった事に費用をかける必要はなく、「競合と比較してウチの方がいいよ(便利だよ)」とアピールするだけで大丈夫です。
  • リスクを避けられる
先発企業が事業を行っているという事は、そこには顧客がいる事の証明になります。そのため、新市場に参入してみたが、顧客がいなかったというリスクを避けることができます。

関連用語
ファーストムーバーズアドバンテージ
セカンドムーバーズアドバンテージ

■君は退職代行業を知っているか?

筆者はこの後発優位で極めて強い優位性を発揮した業態があると考えます。

それは、「退職代行業」です。

少し前はそんなニーズが存在するなんて誰も考えつかない業種でした。そして、そのようなニーズを初期にこの市場へ参入した先発企業が、「そもそも退職代行とは何なのか?」といった啓発活動から始めていき、退職代行は「退職交渉なのか(法律的に交渉できるの?)、意思表示(代理なの?)なのか?」など様々な法律的な論点もクリアーしていって定着させる必要がありました。

このような、利用者側の法的懸念や倫理的な疑問にも対応しつつ、サービスの意義を社会に伝えていく必要があり、それをやり遂げたのです。

しかし、後からこの市場に参入した企業は、「退職代行」という言葉自体が広く認知された後だったため、その説明に広告費を割く必要がほとんどなくなりました。

加えて、先行企業が築いた価格帯や対応内容などの「業界標準」に乗ることで、比較的スムーズに顧客獲得ができるという後発優位を享受できたのです。

さらに、先行企業が法的トラブルや炎上などの失敗を経験していれば、それを教訓に「信頼性」「弁護士監修」場合によっては「労働組合としての交渉」などの付加価値を訴求しやすくなります。このように、後発企業は先行企業のノウハウや失敗事例を参考にしながら、より洗練されたサービス提供が可能となったのです。

■実務面からの追記(競合が参入してきますのでその対応が重要です)

実務的には、大企業でないあなたが考えた画期的なビジネスには必ず競合が参入していきます。

そのため、(知的財産権:特許権や実用新案)などを使って法的に参入ができなくする、(知的財産権:商標権)を確保して他社が類似の名称で参入できなくするといったことが行われます。

また、この他にもロビー活動を行って法規制をしてしまうとかいろいろな手法が存在はしています。

なお、参入障壁のセオリーとして規模の経済を追求し、多大な投資をしないと参入できないようにするなどがありますが、自分の会社よりも経営資源が乏しい企業に対しては有効ですが、自社よりも大きな企業に対しては難しい参入障壁の作り方になります。

■簡単にできる参入障壁

特許を取ったり許認可が必要な業種であると法規制してもらうなどはかなり強い参入障壁ですが、そこまでできなくても、心理的な障壁(スイッチングコストを高める)ことやブランド価値を高める、信頼感を高める(弁護士監修とかの明記)、非常に多い実績を作るなどで参入障壁を築くことは可能です。

少なくとも、何らかの参入障壁を作らないと、お城のない戦国大名のように脆弱な立場になってしまうので、意識して参入障壁を作っていく必要があります。

なお、逆にあなたが新規参入して後発優位を取ろうと考えた場合、相手はこれらの参入障壁というなの城を築いていますから、何処から攻めるか、自社が先発企業と比較して勝っている部分はどこかを冷静に見極めることが重要です。

関連用語
参入障壁

初出:2013/03/17
更新:2025/06/29

組織論
2025年6月27日

Iターン | UターンやJターンという言葉がありますが、Iターンはもはやターンしていない件

Iターン_001
Iターンとは、都会で生まれ育った人が、地方に移住する事を指します。アルファベットのUやJのように故郷やその周辺に戻るといった言葉があることに対する言葉で、行ったっきりになるからIターンなのです。

例えば、『東京』で生まれ育った人が『栃木県』に移住するといったイメージです。(栃木はいいところですからね。)

「もはやターンしていないよね?」といったツッコミはしないのがお約束です。(色んなお約束を覚えながら人は大人になるんです。)

これはおそらく、地方を『戻るべきところ』と捉えて、ターンという言葉を使っているのではなく、単純にUターン等に対する言葉としてIターンと言っているのだと考えられます。

関連用語
Uターン
Jターン 

■Iターンなどを整理すると


用語 主な出身地 移住先 備考
Uターン 地方 都会→地方 生まれ故郷に戻る
Uの字のようにもとに戻る
Jターン 地方 都会→地方 生まれ故郷近くに戻る
ターンとしてはUまで至らないイメージ
Iターン 都市部 地方 出身地とは関係ない地方へ移住

■いわゆる移住的な感じです

いろいろな地域が、地域を進行するためにこれらの人材の受け入れを行っています。地方の企業にとっては、外部の視点を持ち込んでくれるIターン人材の活用はとても有用だったりします。

ただ、どうしても縁もゆかりも無い地域への移住ですからIターンをする人は心細く感じているため、しっかりとした定着支援を行っていくことがポイントとなります。

また、一般的な傾向ですが、Iターン者は文化的な同一性が希薄なだけでなく、しっかりと権利を主張しますので(義務もしっかりと果たしてくれます)、地元のナアナアな感じで労働契約にない理不尽な指揮命令や残業などを命じると非常に大きな摩擦を生んだりします。

(尤もこれは何処の出身者であっても同じですが)

■行政が補助を出したりします

そして、実務的には肝心な点ですが、Iターンを始めとして都市部から地方部へ移住する方へは行政が様々な補助を出していたりします。(補助金サイトではないので概要だけの紹介ですが)

2025年段階では以下のような補助制度があったりします。
・移住支援金制度
東京23区に在住・通勤する人が東京圏外へ移住して起業や就業する場合に100万円程度の支援金が出る制度
・各都道府県が都市部の人材採用を手助けする仕組み
移住や就職を促すためのサイト運営や取り組みを行っています。

おおよそ国などの制度は一度できた補助制度は類似の制度が作られ続けますので、本稿を2030年にお読みになられたとしても、類似の制度がないか調べると良いですよ。


初出:2013/07/18
更新:2025/06/27

法務・支援施策
2025年6月27日

有限会社

有限会社_001
有限会社とは、会社の形態の一つです。日本においては過去に設立することができた会社形態ですが、2006年の会社法施行によって新設はできなくなりました。(現在存在している有限会社を特例として存続させることは可能です。(特例有限会社))

この有限会社は(有)などと略して表記されることもあります。

新たに設立することはできませんが、当時は小規模企業に適合する会社形態としてこの有限会社があったとされています。

■なぜ小規模企業に有限会社が多かったか?

それは、資本金の額が300万以上で設立することができ(株式会社は1,000万円以上が必要でした)また、社員の数は50名以下に限られており(ここでいう社員とは従業員ではなく出資者の事です。)、持ち分の譲渡を自由に行う事はできなかったのです。

更に、取締役が一人いれば設立することが可能であったといった事などから小規模企業向けであるということができると思います。

■責任が有限という意味です

さて、この有限会社の有限とは、期限が有限でそのうち解散しなければならないといった意味ではなく、責任が有限であるといった意味です。(有限責任

有限責任を簡単に説明すると、出資者は出資した金額以上の責任を負わなくともよいとするものです。

このまんがでは会社の設立について言っています。このまんがのように、資本金額が少なくても設立できるといった利点から小規模事業を営む会社は有限会社を設立する傾向がありました。

また、このまんがの最終コマで言っているように、有限会社を新設することはできないので、有限会社とついている会社はある程度古くから営業している会社であるという事もできます。

関連用語
無限責任

■実務的な視点

有限会社を作ることができた当時、有限会社は株式会社の資本金1000万円よりも低い、資本金300万円で設立することができたため、比較的小さな会社がこの有限会社という形態を選択していました。

今日では合同会社(LLC)と株式会社の選択で比較的カンタンに作ることができる合同会社が好まれるような違いがあったのです。

(本稿では詳しく説明しませんが合同会社は登録免許税が安かったり、トータルの費用がおおよそ半分ぐらいで設立することができたり、役員の選定などに自由度が大きかったりするのです。)

今日では株式会社は1円の資本金から作ることができるのでそんな感覚はないのですが、当時は会社を作るのはけっこう大変だったのです。

■社歴がある、資本金もある、だから有限会社は今見ると信頼感がある

このように、今日の株式会社は最低資本金の制限もないですし、社歴が長い保証はありません。

また、会社の設立は割と簡単にできますので、会社≒信用ができるといった図式はもはや成り立たないのです。

そのため、会社名だけで判断するならば合同会社や株式会社よりも、当時の厳格な基準で設立されたことが確実である有限会社のほうが信頼できるような気がする逆転現象すら発生しているのです。

■【実務視点】取引先の確認には法人番号検索が便利です

読者の皆様は取引先名を聞いたら、ちゃんと存在することを国税局の法人番号検索で確認しているとよいと考えますよ。

https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/

初出:2012/08/21
更新:2025/06/27



組織論
2025年6月27日

トップマネジメント

トップマネジメント_001
トップマネジメントとは、企業における最高意思決定機関の事を言います。簡単に言うと社長さんや取締役会のようなイメージとなります。

一般的にはトップマネジメントはその組織の長期的な基本的な方向を決定する事を担っていると言われます。いわゆる戦略的意思決定を担っているのです。

■費用が管理できるかどうかは時間軸との関係性で決まります

このトップマネジメント層にとっては長期的な意思決定を行えるとすると、基本的には企業のほぼすべての費用が管理可能費となります。例えば、工場の設置に関する意思決定ができるのであれば、工場にかかわる費用も管理可能費としてトップマネジメント層の責任とすることが可能です。

ただし、いくらトップマネジメントといっても短期的にはすべての費用が管理可能費となるわけでないことには注意が必要です。

工場廃止の意思決定をするとしても、工場が廃止されるまでの時間軸においては工場で発生する固定費は管理不能費となります。

まとめると

短期:人件費やリース契約など契約に基づいた費用はすぐには変えられない(管理不能費)
長期:契約を結ぶかどうかの事業構造自体を変えることが可能なので、ほぼすべての費用を変えられる(管理可能費)

■トップマネジメントは単なる偉い人ではない

トップマネジメントは偉い人というイメージがありますが、長期的・全社的・非定型的な意思決定を担うわけですから、権限も責任も集中してくるため偉い人となってくるのです。

長期的・全社的・非定型的な意思決定は以下のような企業の方向性を決める意思決定です。

■経営理念やミッション、ビジョンの策定をすること

企業を長期的にどのような方向性へ導きたいかを考え・決定するのはトップマネジメントが実施することとなります。

これはわかりやすいですよね。

■経営資源の配分をすること

どの分野にどの経営資源(ヒト・モノ・カネ)を配分するかを決めるのもトップマネジメントの役割となります。

上の方で工場の例を出していますが、この工場にどれだけの人員、機械を配備し、カネをかけるかを決めるのはトップマネジメントの仕事となり、配分された経営資源を最適に運用するための意思決定がミドルマネジメントの仕事となります。

そして、日々の業務を最適化する意思決定がロワーマネジメントの仕事となります。

■ステークホルダー(利害関係者)との関係性を管理すること

株主対応や顧客対応の最終責任者になりますし、従業員対応についても最終的な責任を負うのがトップマネジメントとなります。

どの利害関係者を重視し、どの利害関係者には我慢してもらうのか。そしてその我慢を許容可能な範囲でコントロールすることが重要となります。

もちろん、すべてが重要だという綺麗事は理解したうえで、現実的に限りある経営資源で誰を重視するのかのすり合わせるという難しいバランスを取ることが求められます。

このような、企業の長期的なあり方を決めるような意思決定はトップマネジメントのお仕事となるのです。

■典型的な戦略的意思決定はなにか

このようなトップマネジメントの役割を述べてきましたが、具体的にはどのような役割になるかを見ていきます。

・業務提携やM&Aなど

このまんがでは学食のおばさんがトップマネジメントだと宣言しています。それを受けて、男子生徒が近くの女子高の学食と提携しましょうと言っています。

このように、業務提携等の意思決定もトップマネジメント層が意思決定すれば可能となります。 

・新市場進出

例えば、海外展開など新たな市場に打って出るといった意思決定もトップマネジメントの仕事となります。

現場レベルは頑張り方を決めることができますが、トップレベルではどう頑張るか、何処で頑張るかを決めることができるのです。

・事業の再編や大規模な投資

このまんがでは触れていませんが、IT投資やいわゆるDX化など企業の仕組み自体を変革するような投資の意思決定を行うことも可能です。

また、事業再編の意思決定も可能です。

■実務的にはトップマネジメントだけが経営資源となっている企業もある

このように、企業にとってトップマネジメントは極めて重要となります。特に、小規模事業者においては、トップマネジメントこそが最大の経営資源となって来ます。

経営資源というか、実務的には社長がやらなければ何も決まらないし動かないといった状況すら生じます。

ただし、。このような企業においても、将来の意思決定は社長自身が行わないといけないのです。

社長の相談に乗っていると「儲かる事業を教えて下さい」などと言われることもありますが、どこで儲けるかを決めるのは社長さんご自身となるのです。

■実務面でのワンポイント

経営支援を行っている際に、『社長の意思決定力がそのままその企業の能力である』と感じることがあります。

ですので、社長さん自身の意思決定力を引き出し、本来の力を発揮できるような支援スタイルを取る必要もあったりします。

その意味で、時として「先生は何も教えてくれない」などと言われることも覚悟したうえで支援に当たる強い気持ちも大切だったりします。

■考えてみよう

あなたの職場において「トップマネジメント」に当たるのはどなたになるでしょうか?

またこのトップマネジメントが機能せず、判断が遅れるとどのような影響が出るでしょうか?

関連用語
第二創業

初出:2012/02/27
更新:2025/06/27

経済学
2025年6月24日

付加価値 | 差し引いたり積み上げたりして計算します

付加価値
本記事では付加価値についての基本的な考え方だけでなく、経営革新計画などの行政が行う支援制度での活用方法まで解説します

<用語解説>
付加価値とは、企業などが活動した結果、生み出された価値のことを言います。言い換えると、外から買ってきたモノやサービスに、自社が活動することによって付け加えられた価値のことを言います。英語ではadded valueと表記されます。付け加えられた価値といった意味ですね。

■付加価値(付け加えられた価値)って?

さて、製造業を例にして、企業が活動したことによって付け加えられた価値について考えていきたいと思います。モノを作る訳ですから理解しやすいと思います。

あるパン工場が小麦粉と勤勉な従業員の努力でパンを作っています。また、少しだけ外注もしているとします。

そして、このパン工場は一年間の活動の結果、200万円の売上を上げたとします。この際、小麦粉を50万円、外注費を10万円、人件費を50万円、減価償却費を50万円が発生したとします。(期首期末とも在庫は無かったし、作るそばから売れたものとします。)


すると、次のような経営成績となったわけですね。


売上高 200万円
売上原価 110万円
販売費及び一般管理費 50万円
営業利益 40万円
経常利益 40万円
税引前当時純利益 40万円
法人税等 16万円
当期純利益 24万円

(製造原価)
材料費 50万円
労務費 50万円
経費 10万円

※在庫が無く作るそばから売れたので、製造原価=売上原価となっています。

では、この数字をもとにパン工場が生み出した付加価値について考えてみましょう。

■付加価値イコール最終的な利益の24万円ではありません

まずは、利益の額を考えてみましょう。この金額はなんとなく付加価値と言ってもよさそうな気がしますよね?

企業が活動した結果生み出された価値ですから、最終的な利益はぴったりとくるような気がします。

しかし、そう考えるならば、従業員さんのお給料はどこから出たのでしょうか?

付加価値とは、『外から買ってきたモノやサービスに、自社が活動することによって付け加えられた価値』の事ですから、従業員さんのお給料も引いている最終的な利益では少なそうですよね?

■付加価値の計算は差し引いて考えよう(中小企業庁方式)

それでは、従業員さんのお給料も含めて付加価値を計算するためにはどうしたらよいでしょうか?それは、売上高から外から買ってきた費用を差し引いてみればよいのです。

上の例では、

付加価値=売上高-(材料費+外注費)

で計算しますので、

付加価値=200万円-(50万円+10万円)=140万円

となります。この企業が活動した結果、140万円の付加価値が生まれ、そのうち50万円を従業員に分配したと考えるのですね。

■付加価値の計算は積み上げてもいいよ(日銀方式)

さて、同じことを売上高から差し引くのではなく、積み上げ計算でも求めることができます。こちらは以下のような計算式となります。

付加価値=経常利益+人件費+金融費用+賃借料+租税公課+減価償却費

付加価値=40万円+50万円+0+0+0+50万円=140万円

となります。こちらの方だと、明示的に人件費を足していますね。

■計算方式は異なっていても同じ値になる

このようにどちらの方式でも140万円になりました。このパン工場が活動したことで世の中に140万円の価値を追加して分配したということになるのです。

そして、その価値は、人件費として従業員や、金利として銀行へ、賃借料や税金としてそれぞれのステークホルダーに分配されたというわけです。

企業が活動するということは、世の中に今まではなかった価値を生み出して色んなところに分配しているということを意味するのです。

■付加価値を高めることを行政も求めている

地域内で生み出す価値が大きければ行政も喜びますよね?

そして、付加価値✕行政といえば、何と言っても「経営革新計画の承認」が経営支援の華です。経営革新計画は補助金等のご褒美があるわけではないので、純粋な経営支援として実施する感じです。

この経営革新計画の承認を目指す際にはこの付加価値の伸びを設定していく必要があります。

もちろん、経営革新の承認を受けた場合の微妙なメリットとして、低利の融資を受けられるなど幾つかの利点があります。ただ、社長自ら活用しないならばそれほどメリットは感じないと言った所が本音です。

ものづくり補助金の加点になると効果が喧伝されたこともありましたが、補助金は筋が良い計画であれば無理に加点を狙わなくても普通に採択されますので。

ただ、経営革新の承認は都道府県のお墨付きを得ることには繋がりますので、積極的に営業推進を行おうとした場合、都道府県から一定の信用を与えられるのは強みです。

■経営革新の実際(余談です)

厄介なことに都道府県ごとに運用ルールも微妙に異なっていて、関東の某県ではめちゃくちゃ認定されるのに、他の件ではほとんど認定されないなんてことも起こっています。

専門職として差し支えがあるので何処とは書きませんが、気になる方は各県の実績を検索してみてくださいませ。都道府県ごとに結構承認件数の差があることがわかります。

とはいえ、認定基準が著しく違うと言った感じではなく、単に都道府県側の受け入れキャパの差≒担当者とのアポの取りやすさの差であるような気がします。

■付加価値を高める経営革新の目指す所

経営革新計画の承認を受けるためには、【経営の相当程度の向上】のために、毎年3%以上の付加価値額(もしくは一人あたりの付加価値額)の伸び率を計画に盛り込む必要があります。

これが3年計画の場合は9%、5年計画の場合は15%と言った形で、結構なハードルになります。

また、給与支給総額の伸び率として、毎年1.5%の伸びが必要で、3年計画の場合は4.5%、5年計画の場合7.5%の伸び率が必要です。

本記事は経営革新の記事ではないのでここまでにしますが、従業員を減らして一人あたりの付加価値を増やすなんて計画を立てても、行政はいい顔をしませんので念の為覚えていてくださいませ。

■狙う制度の定義に従いましょう

と、経営革新計画を例に書いてきましたが、制度ごとに計算方法を明示している場合があります。その場合は、制度ごとに示された計算方法で付加価値を計算し、目標の達成を狙っていきましょう。

なお、本当に革新的な計画を考えるときには、計画上の付加価値額の伸び率がとんでもないことになる場合があります。

特に小規模な事業者さんにとってはあり得る話しです。

例えば、付加価値を10億円生み出している企業が15%増大を狙うのはすごく大変ですが、この記事のように生み出している付加価値が140万円の事業であれば、この取組の結果付加価値が300万円になるみたいなことはよくあります。

この場合付加価値の伸びが100%を超えてくるので腰が引けてしまうかもしれませんが、自信と根拠を持って、どうしてこの付加価値に成るのかを明示することが重要です。

初出:2014/06/03
更新:2025/06/24

店舗管理
2025年6月21日

小売業

小売業_001
小売業とは、商品を生産者や卸売業者から仕入れて、それを一般の消費者(最終消費者)に直接販売する業者の事を言います。一般的なお店のイメージが近いと思います。

もちろん、一般的なお店も、他の事業者に販売するような事もあります。例えば、お弁当屋さんがお店に行って、コメを買うような事ってあり得ますよね。

この時、お弁当屋さんにお米を売っているような(卸しているような)お店は小売業なのでしょうか?卸売業なのでしょうか?

考え出すと分からなくなってきますよね。

このようなことがあるので、小売業の判定基準があります。それは、最終消費者に年間の売上の50%以上を販売していれば小売業者とされます。

そのため、上の「お米屋さん」の例では最終消費者(住民とかの一般の人に)50%以上販売していれば小売業とされるのです。

実務面からの加筆:

■小売業かどうかの判定はそんなに重要ではない

定義は補助金などで中小企業の判定だったり、小規模事業者の判定だったり、税理士さんに確認してほしいのですが、消費税の簡易課税の判定だったりで使うものになります。

支援者として小規模事業者向けの補助金などを支援する際に、重要な小規模事業者の判定ですが、小売業も卸売業も同じ常時使用する従業員が5人以下で小規模事業者扱いですので、あまりシビアに考える機会はないと考えます。

もちろん、中小企業の定義では卸売業と小売料では随分違うのですが、ここの定義を判定することはあまりないから気にしなくて良いと考えます。

支援の現場や経営の現場では、企業が小売業が卸売業かを厳密に分けることよりも、どんなお客様にどうやって売上を作っているかを把握するほうがよほど重要だったりします。

■実際は境界がすごく曖昧です

実際には、「小売と卸売のどちらか一方」だけ、BtoCで消費者にだけ売っているのではなく、BtoBの取引も行っている事業者さんも多かったりします。

例えば、以下のようなケースです。

・八百屋さんで一般家庭に野菜を売っている小売業だと思ったら、近くの介護施設に食品をおろしている。

・衣料品店で近所の人に洋服を売っていると思っていたら、学校の体操服を一括して扱っている。

・電器屋さんが、小売もしているけど、エアコン工事などの設置工事で多くの売上を上げている。

更に、最近ではネット販売への参入が容易なので、地域の消費者向けの店舗を持っていない、一見すると完全な卸売業に見えても小売業だったりします。

このように、実態は複合的であることが多いのです。

■カイゼンの方向性を掴むためには

さて、このような分類が難しい時代ですので小売業だからといって小売業のセオリーに従った支援だけを行うと決めつけてはいけません。

大切なのは、その企業の主な収益源(何で売上を取っているのか)、そして何で利益を得ているか、誰に売っているのかの構造を理解することです。

小売業と卸売業は別のビジネスモデルであり、収益構造なども少し違うため、最初にどんなご商売をしているかを考えていくことが重要なのです。

支援者としては最初に事実を把握すること。事業者さんとしても、漠然と取り組むのではなく、売上は誰に何を売って上げているのか、その粗利率はどれくらいかを最初に書き出してみることが重要です。

そこら辺があやふやでしたら、まずは1ヶ月分をノートでもExcelでもいいので書き出してみることをオススメします。

事実を見えるようにすることがカイゼンの第一歩です。

関連用語
購買代理機能
ラックジョバー

初出:2013/05/03
更新:2025/06/21


マーケティング
2025年6月19日

市場細分化戦略 | 誰に集中するかを選ぶ方法

市場細分化戦略_001
市場を分類する方法や細分化する変数の選び方は別記事で解説しています。本記事では分類した後、『誰に』集中するかについて考えてきます。



市場細分化戦略とはある基準によって細分化された、同質であるとみなされる集団に対してアプローチする戦略のことをいいます。

一言でいうと、みんなを相手にするのではなくある条件に合致するグループを相手にする戦略です。

これは単一市場に対して大量に単一製品を投入するようなマス・マーケティングでは消費者を満足させることが難しくなってきているためです。

例えば、日本全国老若男女すべての人に満足してもらうようなカップラーメンを作るとします。その場合、何か際立った特徴を打ち出すことはできるでしょうか?こってりし過ぎてもよくないし、あっさりし過ぎてもダメ。麺も太すぎず細すぎず、野菜の量も肉の量も万人受けする水準を目指す。

みんなが満足できるような製品を作ろうとすると、みんながなんとなく物足りない思いをしそうですよね。その結果魅力の乏しい製品になりがちだと思います。

その様な努力をするのではなく、市場細分化(セグメンテーション)を行い、細分化したある市場に経営資源を集中投入することが効率的であると考えられています。

そして、コトラーによればこの市場細分化の有効性は以下の要素によって決まってくると言われています。
  • 市場の測定可能性
その細分化した市場に対して行ったアプローチの効果を測定できるのか?という要素です。何をやっても反応を測定できないのであれば、その細分化が正しかったのかを判別することはできません。
  • 利益確保性
その細分化した市場で利益は確保できるのか?という要素です。例えばものすごくケチな人々みたいな市場を細分化して特定したとします。なんとなくこの市場では利益を生み出すのは難しそうですよね。
  • 市場への接近可能性
その細分化した市場にアプローチできるのか?という要素です。どんなに素晴らしい市場を細分化したとしても、そこにアプローチできないのであれば意味がありません。例えば、その市場は規制がかかっていて参入が不可能というのであればその分類は意味をなさないのです。
  • 差別化可能性
その細分化した市場にアプローチする際、差別化することができるのか?という要素です。せっかく市場を細分化したとしても、その市場に他社と同じものしか提供できないのであれば、その分類を行う有効性は低くなってしまいます。
  • 戦略の実行可能性
その細分化した市場にアプローチする戦略は実現可能か?という要素です。できない戦略を考えても仕方ありません。例えば革新的な製品を送り出すために接客時に細かく説明をして販売するとの戦略を立てたとします。しかし、経営資源が乏しく接客を行う人員を確保できないのであればこの戦略は絵に描いた餅になってしまいます。

このまんがではターゲットを絞り込んで新製品を開発したところ成功しています。

みんなに好かれるものはもちろん理想ですが、みんなに好かれるものを目指すとみんなが物足りないものになりがちです。そうではなく、少なくとも特定の層に好かれるものを提供していくことが大切なのです。

■誰に届けないか?も重要な観点です

このように絞り込む考え方をする際には、誰に届けるかに焦点が向きがちですが、誰に届けないかを割り切ることも重要です。

ここのいい意味の諦めができるかどうかが良い戦略とそうでない戦略を分けるカギとなります。

例えば、このマンガの「運動部の腹ペコ男子」にターゲットを絞るということは逆にいえば、そこまで沢山食べることができない少食の人に届けないという選択になりますから。

ただ、大手企業ならまだしも、経営資源に制約が大きい小規模なお店の場合は全員が満足するような戦略を取ることはできません。

ここで妥協して「なんとなく大盛り定食」等とすると、腹ペコ男子は満足しませんし、少食の人からすれば多すぎる微妙なお店担ってしまいます。

このように、思い切った絞り込みをすると『刺さる』戦略と成るのです。

■絞り込みが戦略の方向性を決めていきます

この「運動部の腹ペコ男子」市場に届けるとなると
・値段
・売り方、商品
・お客さんへの届け方(流通)
・お客さんへの伝え方(プロモーション)
といった大切なことも具体的に考えることができてきます。そのため、絞り込みは重要なのです。



合わせて読むと理解が深まる!『市場を分ける!それが成功の第一歩』そんな観点から
市場細分化(セグメンテーション)とは
市場細分化変数とは
市場細分化戦略<本記事>
といったシリーズもので書いてみました。合わせてご覧くださいませ。

初出:2012/03/16
更新:2025/06/19

マーケティング
2025年6月19日

市場細分化変数 | 市場細分化変数の4分類と最新トレンド(AI対応)

市場細分化変数_001
市場細分化変数とは市場細分化(セグメンテーション)を行う際に用いる変数の事です。分類すると言っても、何らかの基準がないと分類のしようがないですよね。この市場細分化変数はその分類のための基準となります。

この市場細分化変数には次のようなものがあります。
  • 地理的変数
国や地域などによる分類です。簡単に言うと関東と関西では好まれる味が異なるといった傾向を用いて分けてみようという事です。
  • 人口統計的変数(デモグラフィック変数)
性別、年齢、職業、所得などの個人に紐づく分類です。例えば、男性と女性では好まれるものはかなり明確に分かれると思います。また、2歳児と10歳の子どもではほしがるおもちゃは明確に分かれると思われます。
  • 心理的変数
ライフスタイルや価値観、購買動機に基づく分類です。例えば、海が好きでヨットに乗る人と、映画を見ることが好きな人の好みは明確に分かれそうですよね。
  • 行動変数
その製品の使用頻度や購買動機に基づく分類です。例えば、安かったから買った人とその製品を親子代々愛してきた人ではその製品に対する態度が異なってくると考えることができると思います。

このまんがでは明らかにされていませんが、何らかの市場細分化変数を用いて分類を行った結果運動部の腹ペコ男子をターゲットにするという結論に到達したようです。


実務面からの加筆:
幾つかの変数を挙げてみましたが、実務的にどう使っていくかを考えてみたいと思います。

■市場細分化変数(地理的変数)

これはなんといってもデータが取得しやすいというのが強みになります。最初に検討していくと示唆を与えてくれる内容になってきます。

ただ、これが決定的な内容に成ることはほとんどないため、考える際にはアイスブレイクで使うといった使い方になってきます。(幾つか思いつくままに挙げていくと、考えが加速していきますから。)

住んでいるところで好みが変わる。だから売るものの味付けを変える。といった観点は重要ではありますが、あんまり実務的ではないです。差別化の観点からはここの変数は逆張りするために使っても良いかもしれませんね。(例えば、関西に敢えて関東風の醤油が強力な物品を提供するなど)

■市場細分化変数(人口統計的変数)

個人を分類する変数ですから、客層を「見える」ようにする効果があります。所得層等を一定程度で分類すれば、生活に余裕がある層に向けるなど見え方が変わってきます。

ただ、これも多くの場合は決定的な差別化要因にはなりにくいです。また、分類した感がでるため、表面上の浅い検討に成る危険性もあります。

「フィットネスが好きなミドル世代の女性」などとターゲットを分類したくなりますが、本質的なニーズが「健康」であれば、心理的変数や行動変数で分類した方が本質的だったりします。

■市場細分化変数(心理的変数)

ライフスタイルや価値観を追いかけますので、より本質的な分類にはなります。

しかし、とても主観的でd測定することが難しいため、本当にそのような価値観を持っている人がどれだけいるのかといった市場規模の測定が難しいことが多いです。

■市場細分化変数(行動的変数)

購買履歴が残っていれば、その購買履歴を用いた分類もできます。ただ、お察しの通り新規顧客の獲得には極めて使いにくいと言った弱点があります。

■じゃあどうすればいいの?

全くの新規事業では仮説を積み上げるしかないのですが、既存の事業では最強の事例があります。

それは「お客様がどうしてうちの商品を使っているのか?」といった観点です。

この観点で見ていくと、行動変数にもとづいた無理のないターゲット像を作ることができたりします。

■市場細分化変数はあくまで市場を見るメガネ

今回の漫画では「運動部の腹ペコ男子」をターゲットにすると言っていますが、それは心理的変数と行動変数の組み合わせてなかなか妥当性があるように思われます。

しかし、市場細分化変数はあくまで市場をどのような目で見るかを分類するだけの切り口となりますので、マーケティングのSTPの

S:分類(事情細分化変数はここで使う)

T:ターゲッティング(分類した何処を狙う?)

P:ポジショニング

といったステップを踏んで考えていくことが重要です。その意味では、市場細分化に過剰にこだわらず先に進んで戦略上違和感があったら戻って考えるといったほうが実務的だったりします。

■AI時代の市場細分化変数の再定義

近年ではAIがデータ解析をうまくやってくれるため、従来の市場細分化変数の境界があやふやになりつつあります。

例えば、従来は考えられなかったような属性をSNS上の発言内容や購買履歴から特定することができる用になってきているのです。

年齢とか、性別、住んでいる場所、年収などの従来の市場細分化変数が荒く感じられるような潜在的なセグメントがあるかもしれないのです。

このようなAI活用と人間の洞察を組み合わせたセグメンテーション設計が今後のポイントとなって来ると考えられます。

ただし、事業計画を金融機関向けや補助金獲得のために作成した場合は、どういう根拠でセグメンテーションを分けたかを説明するという新たな仕事が生じます。(セグメンテーションαとβってだけを書いた事業計画だと、金融機関は稟議を通して融資するのが難しいでしょうからね。)


市場細分化(セグメンテーション)とは何か?」という基本的な内容については、以下の記事をご参照ください。


合わせて読むと理解が深まる!『市場を分ける!それが成功の第一歩』そんな観点から
市場細分化(セグメンテーション)とは
市場細分化変数とは<本記事>
市場細分化戦略とは
といったシリーズもので書いてみました。合わせてご覧くださいませ。


初出:2012/03/17
更新:2025/06/19


マーケティング
2025年6月19日

市場細分化(セグメンテーション)

市場細分化_001
市場細分化(セグメンテーション)とは、企業が市場や顧客をある基準によって細分化して分類することを言います。

この細分化の方法はいろいろ考えることが可能です。例えば、関東・関西では好まれる味付けが異なりますよね。そのため、カップうどんのような商品では関東と関西とでは味が異なってきます。

このように地理的な条件で分類を行う事や、性別・年齢のような人口統計的な条件で分類を行うことが可能となります。これらの分類の条件を市場細分化変数と言います。

この市場細分化(セグメンテーション)に対し、市場を細分化せずに単一市場に対して単一製品を投入するようなマーケティングの手法をマス・マーケティングと言います。

このマス・マーケティングとは、日本全国老若男女すべての人に満足してもらうようなカップラーメンを作るようなイメージとなります。

これに対して市場細分化(セグメンテーション)は若い男性向けにがっつりとした大盛りラーメンを提供するようなイメージとなります。

このように、分類した集団に対してアプローチを行う戦略を市場細分化戦略と言います。
 
このまんがでは、購買に来てくれる生徒さんを分類して新製品開発に役立てようとしているようです。

■代表的な市場細分化変数

市場細分化変数という上から辿れるリンクでも書いていますが、代表的には
・地理的変数
 何処に住んでいるかとかです。関東と関西では味の好みが違うことはよく知られていますよね?

・人口統計的変数
 年齢とか、職業・性別などの個人に紐づく分類です。男女差をことさらに強調する必要はありませんが、年齢等では明らかに好みが違ったりします。(未成年とシニア層では趣味趣向が違う傾向があります。)

・心理的変数
どんなライフスタイルを好むかと言った変数です。バイク乗りとか山屋さんなどのアウトドア派とインドア派はやはり好むものが違いますよね?

・行動的変数
購買歴などに基づく変数です。

と分類していきます。

■分類後の流れ

これらの変数で分類したとして、それを経営に生かさないとなんの意味もありません。そのため、

分類

ターゲットの設定

自社のポジショニングを決める

といった流れで戦略に落とし込んでいきます。

なお、ターゲットの選定には
・市場の測定可能性
・利益確保性
・市場への接近可能性
・差別化可能性
・戦略の実行可能性
といった観点でみていくと良いです。これは(市場細分化戦略という記事で詳しく説明しています)

■マンガの例で市場細分化を考えてみる

今回の漫画では生徒さんを分類したいと言っています。今回挙げた市場細分化の観点では、地理的には同質性が高いですし、年齢や職業は学生さんなのでほぼ一緒になっています。

とすると一案として、生徒さんを心理的変数で分類していく事が考えられます。

例えば、

運動部、健康志向、インドア派

などと分けられれば、

運動部を狙うなら「腹ペコさんへ沢山食べてもらう」といった展開が考えられますね。


記事の内容がかぶるのですが、市場細分化変数の記事には実務的にどのように考えればいいの?といった視点を加えてみました。こちらも合わせてご覧くださいませ。



合わせて読むと理解が深まる!『市場を分ける!それが成功の第一歩』そんな観点から
市場細分化(セグメンテーション)とは<本記事>
市場細分化変数とは
市場細分化戦略とは

といったシリーズもので書いてみました。合わせてご覧くださいませ。


初出:2012/03/15
更新:2025/06/19

経営
2025年6月18日

戦略的意思決定

戦略的意思決定_001
戦略的意思決定とは企業の方向性を決めるような重要な問題に対する意思決定です。簡単に言うと、工場の場所を決定する、出店を行う地域を決定するなどの非常に大きな意思決定を言います。

この戦略的意思決定は主にトップマネジメント層が行う意思決定となります。

戦略的意思決定の特徴として、繰り返しが少ない非定型的な意思決定であることがあげられます。また、非常に不確実性が高いですがうまくいけば非常に大きな効果を得ることができます。言い換えればハイリスク・ハイリターンの意思決定という事もできます。

例えば出店する地域の決定等は繰り返して行うタイプの意思決定ではなく、一度きりの非常に大切な意思決定です。その意味で非定型的な意思決定であるという事ができます。

さらに、出店する地域をうまく決定できれば非常に大きな効果を得ることができますが、失敗したら日常業務の意思決定以上にひどい損失を受けることになります。

このまんがでは先生がトップマネジメント層として、戦略的意思決定を行っています。今回は学食との提携に関する意思決定を行っているようです。

このように、組織の長期的な方向を決定する意思決定を戦略的意思決定と言います。 

■組織階層ごとに意思決定のレベル感がある

意思決定の階層構造といった記事で触れたことがありますが、組織階層ごとに意思決定のレベル感があります。

この戦略的意思決定は本稿の通り、トップマネジメント層が行う非定型の意思決定ですが、中間管理職が行う管理的意思決定、現場で行う定型的反復的な意思決定である業務的意思決定と言ったふうに分類されます。

とはいえこれは厳密なものではなく、相対的なものとなっています。

■経営は意思決定の連続です

例えば、仕入れ数量やアルバイトさんのシフト決定など繰り返し発生する意思決定はとても重要ではありますが、繰り返し発生し影響範囲も限定的であるため、業務的意思決定に該当します。他方で、起業の方向性や存続に直結するような意思決定は戦略的意思決定に該当します。

ただし、お店を数百と出しているような大企業にとっては新規出店検討は戦略的意思決定ではなく、中間の管理的意思決定かもしれませんが、地域で頑張っている多くの中小企業・小規模事業者にとっての新規出店計画は企業自体の存続基盤に関わる意思決定である戦略的意思決定にほかなりません。

■まんがの例と実務的追記

今回の事例は学食との提携という一見すると些細な意思決定に思えるかもしれません。しかし、この組織にとっては存続基盤を左右するような戦略的意思決定にほかならないのです。

このように、組織の規模によっても意思決定の重要性は変わってきます。多くの中小企業・小規模事業者さんの相談は、大きな企業出身の支援者からすると些細な意思決定に見えるかもしれません。

しかし、企業自体の存続に影響を与える極めて重要な意思決定に悩んで相談してきているケースもとても多いため、相談者に寄り添った支援の第一歩は相手の立場に自分をおいてみることなのです。

初出:2012/02/28
更新:2025/06/18


法務・支援施策
2025年6月17日

優越的地位の濫用

優越的地位の濫用_001
優越的地位の濫用とは、取引を行う上で力関係が強い方が弱い方に対して不利益を与える事を言います。文字通り、優越的地位(力が強い事)を濫用するといったイメージです。

例えば、大手小売チェーンが商品の供給者に対して非常に優越的な地位を持つことは想像できると思います。

この大手小売りチェーンが、「棚卸を手伝わないと購入を取りやめる」とか「売れ行きの悪かった商品を無理やり返品させろ」、「消費者に割引販売を行った商品の仕入れ代金を支払う際に、割引額を支払代金から差し引きたい」などの要求してきたらどうでしょうか?

商品の供給者はこのような要求を断れるでしょうか。なかなか難しいですよね。

そのため、優越的地位の濫用は行ってはならないとされています。現在では、公正取引委員会は独占禁止法を根拠に、課徴金(罰金のイメージですね)の納付を命じることができます。

■よくある濫用行為の類型(5つ)

取引関係ができると自ずと力関係の差が出てきます。そのさい、どのような行為がこの優越的地位の濫用に該当するかを知っておくことは有用です。

よく挙げられる類型は以下のとおりですが、優越的地位の濫用という言葉にピッタリの、力の強い側が弱い側に押し付けるイメージが掴めると思います。

1 不当な返品(売れ残り商品など)

2 無償での役務提供要求(棚卸し・陳列など)

3 一方的な代金減額(割引分の負担を供給者に強制)

4 支払遅延(資金繰りへの悪影響)

5 協賛金・広告費の負担強要

■優越的地位の濫用が発生しがちな取引関係

上記のような不当な要求が以下のような関係性で生じがちだと言われています。

例えば、『大手流通⇔中小メーカー』、『フランチャイズ本部⇔加盟店』、『出版社⇔著者・フリー編集者』、『ECモール運営会社⇔出店者』などです。

これもイメージ通りだと思いますが、このような取引関係を構築する場合の防御策も示します。

■守る側のポイント1:契約書が生命線

一度このような力関係ができてしまうとなかなか脱することが難しいですが、しっかりと「明文化された契約≒契約書の整備」を行うことで契約外の要求に対抗することが可能となってきます。

例えば、あるメーカーが大きな小売業に納品した際、「陳列はオタクがやってくれるんですよね?」と契約にないことを言われたときに、契約書を明確にしていれば対抗しやすくなります(対抗できるとは言っていません)

■守る側のポイント2:雇われ人の心理をつく

大抵の場合、大きな企業側の交渉相手はいわゆる雇われ人です。そのため、交渉相手の組織人としては極めて強い立場にいても、個人としては不適切な言動を行う事ができないという弱い立場にもあります。

ですので、あまりに理不尽な要求をしてくるようでしたら、組織としての要求であるか?をやんわりと聞いてみるとトーンダウンする可能性もあります。

■守る側のポイント3:組織リスクをほのめかす

組織ぐるみで理不尽な要求をしてくると、公正取引委員会がやっている「優越Gメン」といった組織もありますし、公表されたりすると組織自体の評判が著しく悪くなるリスクがあります。

結構大きなダメージになるため、このような公表は避けたいと考える組織がほとんどのはずです。

もちろん、このような伝家の宝刀を抜くのは現実的には難しいですが、交渉材料としてありうるということは覚えておくとよいです。

■攻めすぎた場合のリスク(購買担当側への注意喚起)

逆に購買担当側で優越的地位を濫用しようとしている場合、相手先はこのようなカードを切ってくる可能性もありますので注意が必要です。

あなたの交渉相手も立派なビジネスパーソンですし、あまり理不尽な要求をすると、あなたのキャリアを破壊する事も辞さない反撃をしてくる可能性もあります。

上に挙げたような反撃を直接上長にやられるとかなり厳しいですよね?特にあなたの要求が相手側に議事録等としてメモが残っていたりして、その上で公正取引委員会に告発などされると窮地に立たされる危険性があります。

ですから、相手を尊重した取引を行う必要があるのです。

■長期的には商品力・交渉力がカギになります

長期的には、力関係は「取引の継続性・取引量の依存度」、「取引の代替先を見つける困難性」などで生じてきますので商品力を磨いて、力関係を自社に有利な方にかたむけていく努力が重要です。

関連用語
争議権(雇用主の優越的地位への対抗手段)

初出:2012/09/11
更新:2025/06/17
生産管理
2025年6月16日

個別生産 | なぜ個別生産はコスト高になりやすいのか?

個別生産_001
個別生産とは、注文に応じてその都度生産を行う形式です。ロット生産連続生産と比較して注文一件当たりの金額が比較的大きくなりますが、生産量は少量になります。また、製品の仕様や納期も注文の都度異なってきます。

この個別生産形式を採る場合、注文の形式は主に受注生産となります。顧客の注文を受けた際に、毎回設計を行い材料を手配し、製造を個別に行います。

また、製造品種は多品種となり、数量は少量となるため、多品種少量生産という事ができます。

加工の流れから見てみると、この個別生産形式では、主に機能別レイアウト(ジョブショップ)型のレイアウトがとられると言われています。また、段取りの頻度が比較的多くなると言われています。

このまんがでは特別な注文が入ったため、いつもと違う料理を作っています。そのため最終的にはレシピを間違ってしまったようです。

今回の料理人さんは包丁を振り回して危ない感じですね。事故が起こる原因になりますので刃物は振り回しちゃだめですね。 

■個別生産は高コストになりがち

個別生産方式で製品を作る場合、多品種少量生産となるためスケールメリットが働きにくいです。その上、段取り替えがその都度発生したり、設計業務が発生したりと間接コストも多くかかりがちです。

また、作業も平準化できないため、稼働率が低下し作業者の手待ち時間が発生します。(何もしなくても人件費や設備のアイドルコストはかかりますので間接コストの発生要因です)

また、材料や部材なども都度発注(小口発注で高単価、最悪は余剰在庫になる)することになりますし、保管しておく場所も大きなスペースが必要となり、管理の手間も非常にかかります。

■個別生産は既製品家具に対する注文家具のイメージです

既製品の家具ならばある程度部品も共通でき、工程も共通化できるため大量二生産することができます。その結果、良いものを低コストで顧客に提供することが可能です。

しかし、注文家具の場合は注文者の要望を細かく聞いて、個別に材料を仕入れたりと非常に手間がかかります。そのため、既製品家具と注文家具を比べると一般的には注文家具のほうが高くなるのが普通です。

なぜならば、一つ一つの家具に対して、設計・税料選定・加工が発生し、そのすべてが少量対応となるためです。言い換えれば、世界に一つという価値を既製品よりも高いお金を出して買っているのです。

■原価は個別原価計算で集約します

このような個別生産方式となる注文家具の場合、注文ごとに原価(直接材料費・直接労務費・製造間接費)を集約するので、個別原価計算で製造原価を計算することとなります。

とくにオーダーメイドのビジネスモデルでは、この計算方法で計算された製造原価が経営判断の鍵となります。

初出:2012/02/03
更新:2025/06/16


店舗管理
2025年6月15日

在庫金利 | 金利を考えないと誤った意思決定をしてしまう可能性があります

在庫金利
在庫金利とは、在庫を持つことによって発生する(と見なされる)金利の負担のことを言います。実際に金利が発生していなくとも、発生しているとみなすという考え方です。そして、実際に発生していないので管理会計上で用いられる考え方になります。

この在庫金利には機会費用的な考え方として、在庫に投入している資金を銀行に預金していたら得られていたであろう利息収入を在庫金利と考える方法や、実際に負債として調達していると考えて、その調達金利を在庫金利として考えるような方法があります。

「仕入値が今は安いから、たくさん仕入れておこう」といった意思決定がなされてしまう可能性がありますが、在庫を持っていると見える費用としては倉庫代などの在庫費用が発生します。また、なかなか目立たない費用としてこの在庫金利もあるのです。

いずれにしても、在庫は持っている事自体でコストが発生するのでそれを意識づける事を目的とした考え方です。

このまんがのように、いくら安かったからと言っても仕入れ過ぎてしまうと、在庫金利等の在庫費用が沢山発生してしまい、売上原価は安くなったとしても全体的に見てみると経常利益を圧迫するような結果になってしまいます。


実務面からの加筆:
在庫ということは、現金が形を変えて企業の内部に滞留しているということを意味します。

ということは、その「現金を調達するための費用」がかかるということです。

例えば、100万円を年2%で借りてきてチョコレートを仕入れてきたとします。そのチョコレートが首尾よく売れればいいですが、1年間ずーっと売れなければ100万円が形を変えたチョコレートは在庫金利として毎年2万円のコストを発生させているのです。(100万円✕2%=2万円)

現金が動いたときにコストが発生していると感じがちですが、在庫があるだけでもコストが発生しているという意識が重要です。

このような考え方もあり、「在庫は少なく」と言われたりするのです。

実際にはこの他に、売れなければ陳腐化するリスクもありますし(この例の1年売れないチョコレートは陳腐化している可能性がありますよね)、在庫自体を管理するコストや、売り場を塞いでいる事によって発生する機会ロス(他の商品を並べていたら売れたかもしれない)などが発生するのです。

だから、時には赤字になっても大幅に割引販売して処分してしまうといったことが行われるのですね。

※なお在庫金利という言葉は厳密には金利だけを示しますが、実務的には上で上げたような様々なコストも含めて使うこともあります。また、在庫金利は経理上、在庫があることで仕訳を実施するようなものではありません。その意味で見えないコストですが、経営判断としては意識する必要があるのです。


初出:2015/01/07
更新:2025/06/15


財務・会計
2025年6月14日

自己資本

自己資本_001
自己資本とは株主に帰属する純資産のことを言います。資本金や、各種法定準備金、剰余金がこれにあたります。なんだか難しそうな説明ですが、簡単に言うと、自分のお金、つまり誰かに返さなくていいお金の事です。

株式会社では、主に株主から払い込まれた資金と、事業活動によって獲得した利益の内部留保分からなります。
BS

上記に示した、貸借対照表の純資産の部が自己資本にあたります。そして、この自己資本は負債のように返済することは不要です。そのため、長期安定的な資金源となるという事ができます。

このまんがでは、吹奏楽部の先生が販売クラブに出資しています。そして、この出資されたお金は自己資本にあたります。 

■お金の出どころで捉える

上の図の自己資本と負債の違いは何でしょうか?これは、お金の出どころを表しています。

負債は、「誰かから借りてきた」→つまり返済する義務がある

自己資本(純資産)は自前のお金→つまり返済する『義務がない』という切り口です。

■自前のお金の種類

この自前のお金ですが、事業を営んでいくと少しずつ増えていきます。(それが目的で事業をしていますからね)

そして、増えた時に最初に投資してもらったお金と増えた分を分けて考えていきます。

厳密にはもっと細かい分類もありますが、自己資本は

・資本金(自分たちが会社に払ったお金)
・利益剰余金(儲かったお金)

と分けていくことができます。

このマンガでは、先生が出してくれたお金は、返す必要がないお金です。なので、資本金としてこの貸借対照表に記載されてきます。なお、現物出資でお金を集めて会社を設立することも可能です(変態設立事項

■実務面からの加筆:

この自己資本は「返さなくて良いお金」といったことを捉えて、商売を始める際に出資(自己資本)で資金調達したがる人がたくさんいます。

しかし、実務的には「返さなくて良いお金」ではなく、『「返せない」≒「関係性を清算できない」お金』だという着眼点が必要です。

最終的には社長さん個人の価値観になりますが、私は創業の際に他人から出資を受けないほうが良いとアドバイスすることが多いです。

また、仮に出資を受けるとしたら、33%よりも低い比率、最悪でも49%までにしたほうが良いですとアドバイスします。

なぜならば、33%以上の株式を他人に握られると、株主は特別決議を阻止することができるため、その種の意思決定が自由にできなくなります。そこまでいかなくても、少しでも株式を持っている株主からは、適切でない意思決定の経営責任を追求されますし良いことはあまりないです。

そして、過半数を握られると、株主はいつでも社長の交代や取締役の解任が可能となり、経営権を獲得することができるようになるためです。(つまり社長を首にできる権利を与えることになります。)

たいてい、そこそこ上手く経営ができている間は、株主は何も言ってきません(言ってきても「配当してください」ぐらいです)が、会社が軌道に乗って大儲けの目が出てくるとあなたを首にして別の人間を社長にしようとか、良くてもお目付け役のNo2を送り込んできたりします。


出資を受けられるような事業計画ならば、たいていの場合は融資を受けられますので、融資で(負債で)資金調達をすることをオススメしています。

融資ならば返済は大変ですが、会社のコントロール権は社長が確保できますので。

初出:2012/04/16
更新:2025/06/14
財務・会計
2025年6月14日

変動費型ビジネス | 売上の減少が大きな損失につながりにくいビジネスです

変動費型ビジネス_001
変動費型ビジネスとは、比較的大きな変動費が発生しますが、固定費は小さいビジネスのことを言います。

工場を持たずに製造業を行うファブレスといった形態のビジネスがこの変動費型ビジネスの代表例となります。(工場を持たないので、発生する費用のほとんどが変動費になります。)

このような変動費型ビジネスは変動費が大きいため粗利率は低くなります。つまり、売り上げが沢山上がっても儲かりにくいビジネスという事ができるのですね。

と、こんな風に説明すると「売り上げが上がっても、儲かりにくいなんて意味ないじゃん。変動費型ビジネス=儲からないビジネスなのかな?」と考える人もいるかもしれません。

しかし。この変動費型ビジネスには、儲かりにくいという弱点を補う大きな利点があるのです。
  • 損をしにくい
この変動費型ビジネスは固定費型ビジネスと比較して、損をしにくいという特性があります。

一般的に言って、変動費型ビジネスは固定費をそれほどかけていないビジネスとなります。という事は、損益分岐点の売上高は低めになります。(つまり売り上げが下がっても赤字になりにくいという事です。)
変動費型
また、売上が減少してもそれほど急激に損失は拡大しません。(固定費型ビジネスに示した図表と比べてみてください。)

■変動費型ビジネスの例を幾つか

この他にも、外注費を中心に使うビジネスがあります。例えば、クラウドソーシングを使ったWeb制作業が考えられます。

この場合は受注してから外注を行うので固定費はかなり押さえられます。

また、ECサイトの中でもドロップシッピング型(在庫を持たないで注文だけ取って直送してもらう)ならばこの変動費型のビジネスモデルであると言えます。

■利幅が薄い以外の弱点

一見すると手堅いビジネスであるように見えますが、変動費型のビジネスモデルには弱点があります。

一つは、利幅が薄いというよく言われる弱点ですが、実務的にはもっと大きな弱点が存在します。

それは、漫然と行うと参入障壁を築くことがとても難しいため、売上基盤が脆弱になりがちであるということです。

極端な話をすれば、外注先があなたの会社と付き合うメリットを感じなければ、競合とパートナーシップを構築する可能性もありますし、外注先が直接受注することすらありえます。

そのため、外注先と長期的な信頼関係を築くような取り組みをする必要があるといった点も注意が必要です。

また、注文だけ取って実際の製造やサービスは外注するため、製造やサービスや商品の品質など一般的に差別化しやすい部分で自社のノウハウを蓄積できる余地が少ないです。

そのため、受注した内容をそのまま外注するのではなく、

引合→商談→提案→受注

といったふうに自社独自の提案を行えるようにノウハウを蓄積していき、自社独自の価値を乗せていく工夫ががとても重要となってきます。

また、外注先とビジネスパートナーとなるような関係性を深めることによってネットワーク資産を構築することも重要です。

いずれにしても、「自社だから提供できる価値」というビジネスの本質を作りにくいため、その点wくぉ意識することが重要となっているのです。

初出:2013/07/03
更新:2025/06/14


店舗管理
2025年6月13日

商圏

商圏_001
商圏とはお店に来てくれる人が住んでいる範囲の事を言います。小売業側から見ると「お客様を集められる範囲」、消費者側から見ると「行く可能性があるお店の範囲」ということができます。

一口に商圏と言っても取り扱う商品によってその範囲は異なってきます。例えば一般的に最寄品を取り扱うようなスーパーやコンビニの商圏は小さく、買回品専門品を取り扱う百貨店や専門店の商圏は大きくなります。

食料品を買うためにわざわざ隣町まで出かけることは稀だと考えられますし、楽器などの専門品は大きな町に出て買い物に行く事もあると考えられます。

また、同じ最寄品であるコメとか水といった商品でもちょっとした買い物なら近くのコンビニでもいいですが、利用目的が大量買いだった場合は、郊外の大型店まで足を伸ばすことになります。


このまんがでは学食と売店の選択肢があったようですが、男の子は近くにある学食に行ってジュースを買ってきたようです。

今回のジュースのような最寄品は商圏が小さいため、基本的には近いお店に行くことになります。

■商圏って距離の概念なの?

距離と移動時間は非常に近いのですが、実際の消費者は直線距離よりも時間で考えることが多いです。

例えば、800メートル離れているお店とは考えずに、10分ぐらいかかるお店といった感覚です。

そのため、消費者が自転車に乗って入れば徒歩よりも同じ10分でも商圏の範囲は大きくなりますし(お店は駐輪場を用意するという配慮が必要です)、車で来店するなら10分でもそれなりの距離が商圏となります。(同様に駐車場の確保が必要です)

ここから、駐車場のない商店がなぜ不利になるのかということが見えてきます。昔ながらの商店で駐車場がないと、車での来店が見込みにくいため、商圏が狭くなるのです。

■だったら移動時間が短ければいいの?

プラスで、気持ちの問題もあります。例えば、ものすごい勢いで吠える怖い犬がいる道は子供の頃通るのが嫌じゃなかったですか?

とすると、その道は心理的に通りにくいため、移動時間以上に商圏の範囲は狭くなりがちです。

また、駐車場があっても停めにくい駐車場の場合、運転があまり得意でない人からするとやはり遠いお店≒行きにくいお店になりがちです。


実務面からの加筆:
商圏分析なんて大変だーって声が聞こえてきますが、今はとても便利な道具を国が用意してくれています。最初に本記事を書いた2011年から2025年になって世の中は本当に便利になっています。

jSTAT MAPというとても便利なサービスが無料で使えますので、ぜひ使ってみてください。これはスグレモノで、

・車で○分圏内に住んでいる人口や世帯数
・年齢層や世帯構成の分布
・自店舗からの同心円/等時間圏マップの作成

などがすぐに分かります。

↓リンクはこちらです
https://www.e-stat.go.jp/gis/gislp/

とても示唆に富んだ良いレポートを出すことができますので、ぜひ本記事をご覧になられてご商売をされている方は、自分のお店を分析してみてくださいませ。

レポートを眺めていると、誰に向けたご商売をするとよいかが見えてくるかもしれませんよ。

■オンライン販売と商圏

従来は商圏とは物理的な距離で定義されていました。お店に訪れるのが前提だったのである意味当然だとは思います。

しかし、現在ではEC(ネット販売)が普及しているので、距離概念があんまり役立たなくなりつつあります。

また、従来のお店でも様々なサービス(Uber Eats、出前館、楽天デリバリーなど)の宅配サービスがあるため、配送可能な範囲≒商圏となってきています。さらに、遠方からでもSNSやグーグルのビジネスプロフィールなどで来訪する事も、注文することもできるのです。

その意味から、来店できる商圏という従来の商圏に加えて、配送できる範囲などのオンライン商圏も意識しておくことが重要となってきます。

初出:2011/11/19
更新:2025/06/13
財務・会計
2025年6月12日

経営分析(財務分析)

経営分析_001
経営分析とは、主に企業の財務情報を用いて企業の現在の状態を分析・把握し、将来の予測に役立つ情報を作り出す技法の事を言います。一般に経営分析は財務分析と同義語で使われる事が多いと言われています。

経営分析は、ただ数字を読むだけではありません。立場によって同じ数字の意味はまったく異なり、それが現場の判断を大きく左右します。

この財務情報を加工して作り出した様々な指標を業界平均や競合他社と比較することで、自社の特徴や改善すべき点が見えてきます。

また、取引先の与信管理に役立てて貸し倒れによる損失を防いだり、投資家として投資すべき企業を選別する際に用いたりすることができます。

この経営分析は大きく分けて次のように分けられます。

1.収益性の分析
企業がどの程度の利益を上げているかを分析する手法です。ROI等が指標として用いられます。

2.安全性の分析
企業の財務内容は健全であるかを分析する手法です。自己資本比率等が指標として用いられます。

3.生産性の分析
経営資源のインプットと付加価値として得られるアウトプットの関係を分析する手法です。労働生産性等が指標として用いられます。

このまんがでは経営分析の説明を聞いた男子生徒は逃げ出してしまいましたが、計算自体はほぼ、四則演算のみで行うことができますので、アレルギーを起こさずに取り組んでみるとよいと思います。

関連用語
自己資本
他人資本

実務面からの加筆:
経営分析、財務分析をどのように扱うかは悩ましいテーマです。

極論を申し上げると中小企業の財務で全く問題がないというのは稀です。そのため、財務分析をすると結構辛い数字が出てきたりします。

その時、自分のスタンスによって取りうる方策は変わってきます。

■与信管理のスタンス

主に与信審査担当、取引先を審査する方のアプローチを見ていきます。

この場合は、貸倒を避けることが任務になりますから、かなり厳格に数字を見ていく必要があります。

会計の格言で「費用は大きく、収益は保守的に見積もる」といった物があり、会計は用心深く行うといったアプローチがあります。(保守主義の原則といいます)

この観点から、財務諸表については安全性や流動性の指標を見るだけでなく、場合によっては「粉飾があるかもしれない」といった観点で数期分の数字の推移や同業他社との比較も行っていきます。

特に、利益が出ているけど、在庫や売掛金が著しく増えているなど不自然な動きをしていたら要注意です。

このように、どちらかというと性悪説的に、最悪の場合に備えて厳しく見ていくことが求められます。

■営業担当者のスタンス

取引先と取引をしたいわけですから、なるべく前向きに見ていくことが求められます。

とはいえ、貸倒になったらせっかく頑張って販売してもマイナスにしかなりませんので、細かく見るところは見ていく必要があります。

どちらかというと成長の余地や前向きな点を探し、社内稟議に備えていく必要があります。

■支援者(コンサルタント)など私達と同業者

現状をまずはありのままに把握します。意見は事実をもとに構築すればいいので、まずは現状がどうであるかを見ていくことが重要です。

その結果、あまり良くない数字だったとしても、どのような動きをすれば改善できるかという可能性も追求していく必要があります。

その意味で、与信管理者の厳しいスタンスで現状をみつめ営業担当者の未来を一緒に作っていくスタンスで希望を見ていくことが重要です。


なお、支援者が厳しく査定し会社のだめな部分だけを指摘するような態度はあまり望ましくないと考えます。会社の状況が良くないのは会社の人が一番ご存知ですので、そこを強調しても仕方ないのです。

支援者にとっての経営分析は企業を裁くための道具ではなく、企業と一緒に可能性を見出す対話の第一歩といったスタンスが求められるのです。

■動的分析とキャッシュフローの視点

経営分析における動的分析とは、単年度の財務指標だけを見るのではなく、複数期にわたるトレンドを把握する手法になります。

損益計算書の分析だけでなくキャッシュフロー分析も重要となり、、実際の資金の流れも分析対象にすることができます。

このキャッシュフロー分析を行う中で、営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)が安定していれば、本業で現金を生み出せているため、それを成長の原資として投資することが可能になるため、企業は持続的に成長できます。

逆に、営業CFがマイナスの場合は、投資CFによっては資金繰りに課題が生じやすくなりがちなのです。

そして、複数期をまたいでこのトレンドを見ていくことで企業の状況が見えてくるのです。

このように、財務分析にキャッシュフローの視点も取り入れることで、利益と現金について見誤らずに済むのですね。

初出:2011/10/31
更新:2025/06/12

経営
2025年6月11日

持続的イノベーション

持続的イノベーション_001
持続的イノベーション(sustaining innovation)とは自社を支える主な顧客の持つニーズを満たすために、自社の製品やサービス、またそれらを生み出す業務プロセスについてより良いものを生み出すために行うイノベーションのことを言います。

持続的イノベーションの「持続的」という言葉から単なる改善を繰り返すだけのイメージを持たれる方がいるかもしれません。確かに、改善を繰り返すということも非常に重視されています。

しかし、イノベーションという言葉も使用されており、この持続的イノベーションは単なる改善の域にとどまらず自社を支える顧客のニーズに基づいた抜本的な技術革新をも含む事があります。

ただし、この持続的イノベーションはあくまで自社を支える顧客のニーズに基づいた改善や技術革新です。そのため、既存の技術ではなく全く新しい価値を生み出すような「破壊的イノベーション(Disruptive Innovation)」が生じた場合、新興企業に取って代わられてしまうといった現象が生じることがあります。このような現象をイノベーションのジレンマと呼んでいます。

このまんがでは製品を日々改良し、お客様の声に耳を傾け続け何度も抜本的な技術革新にも取り組んだと言っています。このような既存の顧客のニーズに基づいて行うようなイノベーションを持続的イノベーションといいます。

■持続的イノベーションの具体的なイメージ:日本車の改良とハイブリッド技術

例えば、改善活動を繰り返して現在の顧客ニーズを満たしていくイメージです。エンジンを使った車を究極に突き詰めていく日本の自動車などが挙げられます。

より良い燃費で、より良い乗り心地、より安全な車といった顧客の要望する大切なことをカイゼンで突き詰めていく日本の車作りがこのイメージに該当してきます。

また、この持続的イノベーションの文脈で、ハイブリット車という顧客の期待を遥かに超えてくる素晴らしい乗り物を作っていきました。ハイブリット車も既存の製品群の延長線上にあるイメージで、高度な技術の蓄積がそれを可能としています。

このような取り組みを通じて市場シェアを維持し、ブランドイメージの構築や規模の経済経験曲線効果での低コスト(販売価格が安いとは限りませんが)を享受することで競合が参入しにくくなる参入障壁を築くことができます。

■持続的イノベーションの対比として:EVが切り開く可能性

他方で、顧客が予期しないニーズがあるかもしれません。本当に顧客はエンジンで動く乗り物に乗りたいのでしょうか?

例えば、顧客は単に自動車という利便性がほしいだけだと考えれば、エンジンを使う乗り物といった切り口ではなく、モーターで動くEV車という切り口も考えられます。

この切り口は、既存のエンジンで動く車が蓄積してきた価値観や市場構造を根本的に変える可能性があります。精巧なエンジンを作る技術やエンジンから動力を得る前提で作られた車体設計などの先行者の蓄積に基づく参入障壁などをスキップできるかもしれないからです。

この切り口が真のイノベーションであれば、顧客の価値観や市場構造を根本的に引っくり返すことができるかもしれません。(2025年現在ではEV車の失速が目立ちますが。)

■相対的に変化するイノベーションの評価:2030年からの視点で振り返る

ひょっとしたら2030年には、移動手段の概念が根本的に変わっており、EV車自体も「あれは自動車という概念から生まれた持続的イノベーションだった」と振り返られるかもしれません。あくまで印象論ですが、EV車は自動車という体験の延長でしかないように思われます。

このように、持続的イノベーションと破壊的イノベーションは絶対的な分類ではなく、相対的な考えであるという点にも注意が必要です。

最初にこの記事を書いたときは2011年だったのですが、2025年現在、当時すごい革新的だった製品の幾つかはすでに旧製品の徒花的なものだったと理解できていますので。


みなさんは、今「破壊的イノベーション」だと思われている製品のうち、10年後に「持続的イノベーションだった」と評価されるものには何があると感じますか?

関連用語
インクリメンタルイノベーション 


初出:2011/11/04
更新:2025/06/11
経営
2025年6月9日

Off-JT(OFF the Job Training)

Off-JT_001

Off-JT(OFF the Job Training)とは職場外で専門の指導者によって行われる教育訓練の事です。いわゆる社外での研修会のイメージとなっています。この訓練は一般化された知識や技能を学ぶことを主眼としています。

Off-JTの長所と短所は次の通りです。
長所
・特定の分野について体系的に指導することが容易です。

・受講生がある程度の効果を実感しやすい。

短所
・研修の結果を日常の業務に生かすかどうかは参加者各自に委ねられてしまいます。

・対象者を適切に絞らないと研修の内容が抽象的になり、実践しにくくなる場合があります。

このまんがでは、1コマ目でみんなを集めて研修を行うと宣言しています。

それを受けて、2コマ目で研修対象者を募集し、3コマ目で研修を実施しています。どうやらいつもの学校ではなく外部の会場で実施しているようです。普段の練習では身に付きにくい内容を体系的に指導するといっています。

ただし4コマ目で、学んだことの使い方が分かりにくいと嘆いています。これは日常にどのように生かすかが参加者各自に委ねられているためであると考えられます。企業の業務の進め方であるワークフローなんかをOff-JTで学んで現場へ配属なんてよく行われますよね。

関連用語
OJT
自己啓発
インターンシップ

■OFFJTは抽象的

どうしても、机上で学ぶといった観点からOff-JTは抽象的になりがちです。

というのは、様々なケースに対応できるようなトレーニングといった設計をする以上、ある程度抽象度を上げる必要があるからです。

この短所を補うため、OffJTで学んだことを実際に使うようにOJTを設計すると定着率が上がります。

学んだら学びっぱなしでは良くなく、上司や先輩からのフォローアップを行うことでこのOffJTの効果が高まるのです。

そのため、多くの組織では、研修後にレポートを書かせたり学んだことの報告会などをさせます。

研修を受けた人からするとめんどくさい限りですが、せっかく学んだことを「使ってみる」ようにするための設計になっております。

■対象者の業務水準から設計することも重要

せっかくの研修を効果的に行うためには、対象者の業務水準にあった形で設計する必要もあります。

ベテランさんに新人向けの基礎を改めて復習してもらうことに意義がないとは言いませんが、ベテランさんにはベテラン向けの高度な内容を提供するようにした方がより効果が上がってきます。

何を学ぶかを誰に学んでもらい、どのように使ってもらうかまでしっかりと設計することが重要です。

■Off-JTは効率的だけど、設計が重要

教える側にとってはOff-JTはとても効率的です。しかし、しっかりと活用イメージから設計しなければ、形骸化してしまいます。

業務でどのように活かすかまで設計することが、Off-JTを効果的にするポイントです。

関連用語
企業内大学

初出:2011/10/02
更新:2025/06/09

店舗管理
2025年6月9日

客単価

客単価_001
客単価とは、お店に来たお客様が使った一人あたりの金額の事を言います。文字通りお客様一人あたりの単価という事ができます。

これは売上高を客数で割れば求めることができます。言い換えると、お客様一人あたりの平均売上高の事ですね。

ところで、売り上げを上げる方法ってどんな方法があると思いますか?こんなことを漠然と質問すると、「それがわかれば苦労しないよ」といった声が聞こえてきそうですね。

それでは、このような漠然とした聞き方ではなく、売り上げをもう少し分解して考えてみたいと思います。

売上は、【お店に来るお客様の数】×【一人一人の使うお金】であるとしてみたらどうでしょうか?計算式に直すと下の通りになると思います。

売上=客数×客単価

このように少し分解してみれば、売上を増やす為のアプローチの方法として、お客さまの数を増やすか、客単価を上げるかといった風に考えることができると思います。

ここで、客単価はさらに【お買い上げ点数】×【商品の単価】と分解することもできます。こちらも式に直すと下の通りとなります。

客単価=販売点数×商品単価

客単価を向上させると決めたら今度は、もう一品余計に買ってもらうのか、商品の単価を上げるのかといった風に考えていくことができます。

良く行われている方法が、もう一品余計に買ってもらうという方法です。これはレジの横に、ガムやあめ、電池等をおいてついで買いを誘発したり、ネットショップなどでは、○○円以上で送料無料と謳ったり、レコメンドエンジンといって、これを買った人は一緒に○○を買っていますという風に自動的に勧めたりしています。

このまんがでは、客単価の高い人が来店した際に、更にいろいろ買ってもらうために商品を勧めています。このまんがではさらにもう一品買ってもらえるようにお勧めの商品について情報を提供しているようですね。


実務面からの加筆:
平均値を過信すると危険ということは覚えておくとよいです。9名のお客様が100円しか買っていなくても、一人が1,000円買ったとすれば、平均値は190円となり、判断を誤る危険があります。

もちろんここまで極端なことはあまり発生しませんが、基本的には客単価✕客数で戦略を考えていくため、「その客単価は本当に実態を示しているか?」とちょっと立ち止まって考えるとよいでしょう。

■高くすると回転率は・・・

さて、この他の考える指針としては、客単価と回転率は多くの場合トレードオフ(両立しにくい)です。

みなさんがお店に行くとして、安いお店なら食べ終わったらすぐに席を立つ(≒回転が早い)と思います。

しかし、高めのお店ならゆっくりしたいと考えるお客さんが多くなり、回転率は下がりがちになります。その結果客数はやすいお店ほどには獲得することが難しくなります。(客席が埋まっていたら新しいお客様は入ってこれませんから。)

これは良し悪しではなく、構造の問題となりますので、どのような価格帯を狙って、どれくらいのお客様をお迎えするかといった戦略が重要となるのです。

例えば、高級なお寿司屋さんと牛丼チェーンでは、客単価という指標を見るとお寿司屋さんのほうが高くなりますが、牛丼チェーンは回転率という武器があります。

そして

売上=客単価✕客数

となりますので、それぞれの戦略が全く異なるということができます。

■分けて考えることに意味がある

と、戦略ごとに全く異なるなら考える意味がないと思われるかもしれませんが、このように分解して考えることに意味があります。

売上を上げると漠然と考えると難しいですが、この記事のように分解して考えていくと色々と指針が得られるのです。

関連用語
バスケット分析

初出:2012/08/06
更新:2025/06/09

組織論
2025年6月8日

フォーマル組織 | このような言葉はほとんど使いませんが、インフォーマル組織を説明するときには使います

フォーマル組織
フォーマル組織とは、インフォーマル組織の反義語で、公式に定められた組織のことを指す言葉です。公式に定められている組織ですから、組織の目的を達成するために意図的に構築された組織であるという事ができます。

指揮命令系統が明確となるよう、組織内での職位によって上下関係を明確化し、誰がどのような権限を持っているかを公式に定めるような組織形態となっています。

と難しそうに言っていますが、通常の組織図で定めれらるような組織が該当します。例えば、社長の下に各部署を統括する部長が存在し、その下に課長、係長がいるようなイメージです。 

とはいえ、このような言葉は普段は用いません。というのは、組織を運営していく中である意味当たりまえの事であるからです。

そのため、この言葉は組織内に自然発生的に生じたインフォーマル組織を説明する際に、対比を強調するために使われたりします。

ちなみに、インフォーマル組織のインとは否定を表す言葉になります。そのため、フォーマル組織を公式な組織とするのならば、インフォーマル組織が非公式な組織となるのです。

(インは日本語の『非』とか『不』に該当する言葉でポッシブルが可能と訳されるのに対し、インポッシブルが不可能とされます。)

なお、マンガに出てきた直接部門とは直接的に売り上げを上げるような営業部や販売部といった部署、間接部門とは直接的には売上を上げない総務部や経理部といった部署のことを指す言葉です。

実務面からの加筆:
正式な組織、公式に設定された組織という意味の言葉です。

「何を当たり前のことを」とお考えになるかもしれません。

しかし、お勤めの方はあまり想像がつかないかもしれませんが、組織が体系的に整備されていない企業はとても多いのです。

組織が体系的に整備されるタイミングはどこでしょうか?

人がいればすぐに正式な組織ができるわけではありません。社長が起業し、人を雇い始め、従業員が増え始め、なんとなく役割分担を行い無理やり会社を回していく。

そして、それでは回らなくなって初めて組織づくりに着手するといったイメージです。

■組織を作るときが危険

上記のような社長が起業したときの仲間といい感じでやっていた会社が、組織の整備を図るとき、意に沿わない処遇を受ける人が生まれてきます。

ただ、古参や功労者だからといって特別扱いすると、今度は新しく入った人から不満が出ます。

このような難しい舵取りに、企業を大きくしようとするとどこかで直面することとなります。

■企業は大きくならないといけないのか?

と、ここで究極の疑問、「企業は大きくならないといけないのか?」といったものが生じます。

個人的には、すべての企業が従業員数の拡大とそれに伴う組織拡大を志向する必要はないと考えます。

人材を親族や知り合いだけに限定し、家業として長く続けている立派な企業も存在するのですから。

関連用語
第二次集団

初出:2015/10/15
更新:2025/06/08

マーケティング
2025年6月7日

生産志向

生産志向_001
生産志向とは
生産志向製品志向販売指向マーケティング志向社会志向といったマーケティング・コンセプトの一つで、「作れば売れる!」という考え方です。このコンセプトでは、生産力こそが価値の源泉となっています。

この生産志向という考え方は需要が供給を上回っている場合に有効です。例えば、食糧が欠乏しているような場合の食糧や、日本の高度成長時代のような場合には有効な考え方でした。

現代でも、生産コストが高いが市場拡大中の製品には当てはまるケースがあります。たとえば、太陽光発電パネルなどは当てはまるかもしれません。生産力を拡大し、安価に製品を提供できればそれは一つの価値となります。

このまんがでは、2コマ目でおなかのすいた学生さんたちが詰めかけています。それを受けて3コマ目で作れば作るほど売れると言っています。

しかし、このような考え方はひとたび需要が満たされれば
1コマ目、4コマ目のようにいきづまってしまいます。  

この生産志向の発想としてはコストリーダーシップを取りに行くといった感覚になりますので、経営資源がとても多い、いわゆる大企業なら勝ち目がある路線だとも言えます。

もちろん、この考え方が悪いわけではないのですが、漫然と対応すると激しい競争に巻き込まれがちという面に注意が必要です。

簡単に整理すると、いわゆるマーケティング志向と対極にある考え方で、我が国における大きな流れは以下のように推移してきたということを覚えておくとよいですね。

生産志向

販売志向

マーケティング志向


実務面からの加筆:
生産志向が一概にだめとは言えない点に注意が必要です。極めて強力な個性を持つ製品やサービスはマーケティング志向からは生まれにくいという現実にも目を向けると良いでしょう。

そのため、革新的な製品やサービスは顕在化したニーズに基づかずに開発されることもあるという点は押さえておく必要があります。

しかし、それを言い訳にして「うちの製品は世界水準だから売れるはず」といった思い込みで窮境に陥る事業も後を絶たないのが現実です。

「製品の品質がいい」と「売れる」は相関関係はあるかもしれませんが、因果関係はありませんので、良いものを作れ売れるといった思い込みは危険ですね。

■生産志向がハマっているケース

伝統工芸品など技術面の障壁が極めて高く需要は大いにあるけれども供給が追いついていないような市場についてはこの生産志向がハマってきます。

例えば、極めて趣味性の高い商品を取り扱ったりすると、このような生産志向の考えが行きてくるような市場に当たるケースもあります。

あなたや知り合いの趣味で、ニッチな良いものを提供している企業を思い浮かべてください。その人達はこの生産志向がハマる世界に生きているのかもしれませんよ。


初出:2011/09/14
更新:2025/06/07

生産管理
2025年6月7日

QCD(品質・コスト・納期) | 現状のまま全てを両立させよという命令は単なる精神論です

QCD_001
QCDとはQuality(品質)Cost(コスト) Delovery(納期)の頭文字をとったもので、生産の3条件とも言われます。つまりモノづくりには、もっと言うと仕事には、品質・コスト・納期が大切ですよという当たり前のことを言っている用語です。

これらのQCD3つとも大切ですが、これらすべてを同時に追求することは難しいことが現実です。たとえば、

1.品質を高めようとした場合
より精度の高い部品を用いることによって余分なコストがかかったり、慎重な作業を行うために完成まで時間がかかり納期長くなったりします。

2.コストを下げようとした場合
精度が若干劣るが許容範囲内の部品を用い、品質を許容範囲内で落とす。もしくは、工場の操業に余裕があるときに製造し納期は長くなります。

3.納期を早めようとした場合
こちらも許容範囲内で精度の低い機械を用いる、もしくは、コストをかけ時間外労働を行ってもらえば納期を早めることは可能です。

ただし、現実的には品質を下げるということは行われません。これは、QCDがこの順序で記述されることにも関係しています。ではなぜアルファベット順でCDQではいけないのでしょうか?

これはQすなわち品質が一番重要であるからです。これは、品質が低いものをいくら低コスト・短納期で作ったとしても、そのようなものは市場には受け入れられないからです。

また、仮に受け入れられる範囲の低品質のものを製造したとしても、

1.低品質であるが故のコストがかかる
歩留りが悪いため作り直しのコストがかかる、不良品に備え在庫を余分に抱えておく必要がある、検査工程に余分な資源を割く必要がある。

2.低品質であるが故の納期へ余裕を持つ必要がある
各工程の品質が不安定であると、必要数量を確実にそろえるために余裕を持った納期の設定が必要となる。

といったことが考えられます。

キャプチャ
  •  工夫の余地はあります
ただしこのトレードオフは『既存の経営資源・ノウハウ』で到達可能な範囲で生じています。経済学でいうところのフロンティアに近いような考え方です。

現在のまま品質やコスト納期などの要素のどれかを向上させようと思うと、トレードオフが発生します。

しかし新たな経営資源を導入し他場合(例えば非常に生産性の良い機械を導入するような場合)このQCD全てが改善するということもあり得ます


また経営支援を導入するのではなく、新たなノウハウに基づいて工程を簡略化するといったことが行われれば、コストや納期面で有利になります。

そしてコストや納期面で有利になった為生じた余剰経営資源を品質にふり向ければ、やはりQCD全てが改善するということもあり得ます。


実務面からの加筆:
QCDは原則論ですが、事業計画を作成する際には意識する必要があります。

特に製造業の方をご支援する際にはこのようなことをわざわざ言うことはないのですが、サービス業の方やその他の業種をご支援する際には一度目線合わせをしておくとよいです。

例えば、「良いものを早く安く提供したい」と考える社長は多いものですが、それらは一般的には両立せず、なにか新しい設備投資を行わないとできないといったことだけでも柔らかく伝え、理解してもらえれば、支援した甲斐があるというものです。

「すべてを両立できない中で、どのようなバランスで商品やサービスを設計するかが大事ですので、お客さんの声を聞いてみましょう」などとつなげていくと、良い支援につながっていくと思います。

社長は「うちは納期が早いことが魅力だと思うし、そうなるように心がけています」などとおっしゃっていても、実際にお客さんの声を聞いてみると、実は納期はそんなに重視していなく、品質の高さを魅力に感じていたといったことも起こるわけですから。(この場合、SWOT分析で自社の強みにあげるのは納期が早いではなく、品質が良いになります)

また、弱みを強みにしていくような商売もありえます。例えば、「職人の手仕事なので納期は遅くなります」というのは一般には弱みですが、それを訴求ポイントとしてより品質が良いものだと考えてもらうような売り方も存在します。

商売は自由なんですね。

・最後に
もちろん支援者側としては自分たちの身を守るためにも念頭に置いておく必要があります。特急対応を依頼された場合、コスト面か品質面が犠牲になるといったことを考えて断るか受けるかの選択をすることが重要です。

関連用語(QCDの上位概念です)
生産管理
IE(インダストリアル・エンジニアリング):在庫削減の考え方

初出:2011/07/20
更新:2025/06/07


経営
2025年6月5日

アンゾフの成長ベクトル | アンゾフの成長ベクトルとは?図でわかる4つの戦略と実務での使い方

アンゾフ成長ベクトル_001
アンゾフの成長ベクトルとは企業の成長の方向性を考えるための戦略フレームワークになります。「どの方向に成長するか」を何を売るかという製品の軸と何処でうるかの「市場」の軸で整理して4つの戦略パターンを考える枠組みです。

<用語解説>
アンゾフの成長ベクトルとはロシア生まれの経営学者、アンゾフ(Ansoff)が提唱した経営戦略上の意思決定の実用的枠組みです。今後の成長の方向性を分析・評価するために用います。

この成長ベクトルとは、製品と市場の二軸を取った表を作成し、成長戦略をそれぞれ①「市場浸透」②「市場開拓」③「製品開発」④「多角化」と分類して考えます。以下その4つの類型について簡単に説明していきます。

アンゾフ成長ベクトル

1.市場浸透戦略
現在の製品、現在の市場に対して他社との競争に勝利し売上増大や市場シェアの向上を目指す戦略です。一般顧客をロイヤルカスタマー化する事を目指す場合もあります。
用いる手段としては
 ・広告宣伝の強化
 ・価格の改定
 ・カスタマーリレーションシップ・マネジメント(CRM)の導入
等があります。

2.市場開拓戦略
現在の製品で新市場を開拓していく戦略です。新市場への投入の場合、しばしば新ブランドを立ち上げます。用いる手段としては
 ・国内市場から海外進出
 ・業務用から一般用への進出
等があります。
このまんがの例では、今まで販売していなかった付属中の職員へ同じ製品を売るということを言っています。

3.製品開発戦略
現在の市場に対して新製品を開発・販売する戦略です。用いる手段としては
 ・短いサイクルで新製品の投入
 ・製品のバージョンアップ
等があります。
このまんがの例では、同じターゲットに向けて海鮮サンドという新製品を開発すると言っています。

4.多角化戦略
新しい市場に新しい製品を提供していくという戦略です。例えば、IT企業がスポーツクラブを運営するようなケースです。用いる手段は様々なものが考えられます。

多角化戦略について詳しくは後日ご説明しますが、アンゾフは、多角化戦略の類型として以下のようなものがあると指摘しています。

すなわち、横に事業を広げるイメージの「水平型多角化戦略」、流通経路の川上や川下へ事業を広げる「垂直型多角化戦略」、技術、マーケティング分野について少なくとも既存の事業と片方が関係する方向へ進む、「集中型多角化戦略」、全く関係ない分野へ進む「集成型多角化戦略」です。

漠然と、成長を目指すと考えるよりも、このアンゾフの成長ベクトルといった考え方を用いると、考えが整理されますよね。

■実務面からの加筆:


中小企業の支援を行う際、この成長ベクトルはもちろん念頭に置きますが、実際に事業計画で効果的だと認められる(≒融資や補助金獲得に結びつく)ものは、

①の市場浸透戦略(現製品✕現市場)
②の市場開拓戦略(現製品✕新市場)
③の製品開発戦略(新製品✕現市場)

となります。いずれも既存の経営資源を土台としており、実現可能性が高いと判断しやすいものです。

■④の多角化について

一方④の多角化(新製品✕新市場)は原則おすすめしません。唐突な印象を与える事業計画は実現性や成功可能性が低いと判断されがちですし、実際に補助金等の採択は難しくなります。

仮に多角化を志向する場合は、その企業なりの必然性が必要です。

例えば、上の例から持ってくると、IT企業がスポーツクラブを運営するようなケースを上げていますが、

実は社長が大学の体育会の出身でコーチなどとのツテがある、トレーニング理論に精通しているとか、トレーニング支援アプリを開発している等

といった経営資源を活用できることが重要です。

■事業再構築補助金という補助金

少し前に事業再構築補助金といった補助金がありましたが、あの補助金は新規事業進出という多角化を求めて作られている補助金でした。

建設業がカフェをやりたいなど、唐突な印象を受ける事業で「補助金が取れないか?」といった相談を受けたものでしたが、その企業なりの必然性があるかどうかがとても重要でした。

必然性があれば、事業計画の作成支援はとてもスムーズに行きましたし、逆に必然性がない場合は相談の段階で「この計画で事業を行うことはオススメしません」とはっきりとお伝えしていました。


初出:2011/07/27
更新:2025/06/05
経営
2025年6月5日

シナジー

シナジー_001
シナジーとは異なる経営資源を組み合わせることによって1+1が2以上になる効果の事を言います。

このような効果は経営資源間の相乗効果によりもたらされます。このシナジーの源泉には販売チャネルや生産設備の転用、技術や人材など組織に蓄積された知識・知恵の活用などが考えられます。

例えば、新製品を発売する場合を考えてみます。一から販売チャネルを構築する、生産設備を用意する場合には相当の投資を行う必要があります。

しかし、この時に既存事業の販売チャネルや生産設備を用いることができれば、費用を低減することができます。

そして、このことにより一から事業を立ち上げる場合に比べてより大きな利益を得ることができます。

具体的には、店舗網をすでに持っている薬局が関連事業として介護用品を取り扱うようなケースが考えられます。

この場合、店舗網をそのまま利用できること、既存事業の顧客が介護用品事業の顧客になってくれる可能性があること、薬局事業で培った信頼性などのブランドを活用できることなど有利な材料がたくさん出てきます。

このシナジー効果は上記のとおり範囲の経済に非常に近い考え方であるという事ができると思います。

このまんがでは一つのパートで練習するよりも複数のパートで一緒に練習する方が効果が上がると言っています。


実務面からの加筆:
シナジー、相乗効果とも言いますが、限られた経営資源を最大限に活かすためのキーワードであり、事業計画を考える際には重要視して書いていくことが大切です。

特に補助金獲得を目的とする場合、「補助金で導入する新たな設備が既存のシナジーを生む」(相乗効果の強調)が鉄板のストーリーとなります。

■シナジーが生まれるとは限らない

とはいえ、シナジーは生まれるとは限らないという身も蓋もない現実も覚えておいてほしいです。

例えば、組織が連携するときはシナジーが発生するとほとんどのケースで言いますが、組織文化が違うとシナジーは生まれず、単に経営資源が重複して非効率を生むだけだったりします。(アナジーとか負のシナジーといった言葉も作られているぐらい、ありふれた事象です)

単なる寄せ集めからはシナジーは発生しにくいといったことは、なんとなく感じると思います。

■シナジーが生まれるような設計が重要

経営資源に余裕がない中小企業などでは、シナジーが発生するように設計することがとても重要です。そのためには、

・コストが発生する経営資源の共有(設備や人など)をうまく共有する
・売上拡大へ顧客基盤や商品への信頼感をうまく共有する
・組織全体をうまく統合する(特にインセンティブの設計をうまく行う)

など、多岐にわたって意識的に設計することが重要です。

もちろん、具体的な状況が異なる中で万能な正解はありません。そのため、このような「うまくやる」としか一般論ではかけないです。

しかし、、「どの経営資源を、どう組み合わせればシナジーが出るか?」という視点を持つことがとても重要なのです。

初出:2011/12/28
更新:2025/06/05

経営
2025年6月4日

短期経営計画

短期経営計画_001
短期経営計画とは、半年や一年くらいの比較的短期間を対象とした経営計画のことを言います。

比較的短期の計画ですので、長期経営計画中期経営計画の中身を具体的な数値に落とし込んだような計画となります。

例えば、中期経営計画でA地区の市場シェア一位を目指すという計画があったとします。

「目指せA地区市場シェア一位」と言われただけでは今年や今月、何をすればいいのかわかりませんよね?

でも、中期経営計画を一年単位の短期経営計画で「今年はA地区に一店舗出店し、さらに集中出店(ドミナント戦略)を行うために調査を行う」とされれば、具体的に何をすればいいかが分かりますよね?

このように、中・長期の経営計画で目指すべき姿を、短期経営計画で具体的な行動計画を決めていくような計画です。

そして、しばしば短期経営計画は予算計画といった形で決められます。

■短期経営計画を作ってみよう(事例:飲食業A社の場合)

ここまで短期経営計画の考え方を見てきましたが、実際にどのように作成するのか、具体例で見てみましょう。

■短期経営計画の位置づけ

まず位置づけを明確にします。例えば、

目的:中期経営計画に基づいて、今期の顧客基盤を強化する
期間:2025年4月から2026年3月
方針:「リピート率増大」による顧客数増大

といった感じで、なんの目標であるかを明確にします

■数値目標

売上高:1440万円(前年比10%増)
客単価:3000円(現状維持)
月間客数:400名
リピート率:60%(+5ポイント)

■行動施策

・販促
再来店を促すクーポン配布
地域イベントと連携し、周知を図る
・メニュー改善
旬のものを取り扱い、季節感を提供する
・運営
スタッフ研修による接遇力向上、接客品質の統一

このように、短期経営計画では「中長期の目標」を1年単位の行動と数値目標にブレイクダウンしていくことが重要です。



実務面からの加筆:
計画って社長の頭の中には存在していたりします。なので、コンサルを名乗る部外者が理想論を掲げた変な計画を持ち込むよりも、社長の思いをそのまま実行したほうがうまく行ったりすることも多くあります。

ただ、だからといって計画を見えるように書き出すことは無駄だと考えるのは早計です。

短期経営計画を見えるように書き出しておくことはとても有効なことなのです。


まず、手を動かして書き出すことで計画の中身がより深まります。

また、その日の気分に左右されてしまい、方針が徹底されないといったことも防ぐことができます。(どんな社長でも人間ですから)

そのため、仕事が忙しいとは思いますが、「経営計画なんて必要ない!」と思う社長さんこそ、ぜひ一度立ち止まってチラシの裏でもいいので書いてみてください。

きっと発見があって明日からの仕事に芯が通ることがわかると思います。


初出:2013/03/21
更新:2025/06/04

経営
2025年6月4日

中期経営計画

中期経営計画_001
中期経営計画とは3年から5年程度の中期計画であり、経営ビジョンを実現するための計画です。

この経営ビジョンとは企業があるべき姿を示しているので、現状とのギャップを中期経営計画を立てることによって認識することができるのです。

この中期経営計画は、一年単位の短期間では達成できないような目標を定めていきます。これは例えば、ROEや売上高などのように定量的な指標を設定する場合もありますし、定性的な事象について目標を立てることもあります。

一年では、出来ることは限られていますが3年から5年という期間ならばできることは増えていきます。例えば、工場や店舗で発生する減価償却費は一年では管理不能であるケースが多いですが、時間軸を変えて3年とか5年で考えると管理可能になる場合があります。(時間軸によって管理可能費と管理不能費は異なります。) 

このように、 少し長いスパンで企業のあるべき姿に近づいていくような計画を立てるのが中期経営計画です。これは、長期経営計画をもう少し短いスパンに書き直し、具体的で精度の高いものにしているという事ができます。(もっとも長期経営計画は作られないケースも多いのですが。)

このまんがでは、中期経営計画が先生から提示されたようでそれを元に、具体的な日々の計画に落とし込もうと言っています。

■中期経営計画のメリットとデメリット

中期経営計画はすぐにはできないけど数年かければできることを盛り込むことができ、短期計画では考えることが難しい、成長シナリオを考えることができる点にあります。

設備投資や人材育成など、短期経営計画だとほとんど有効にならないような施策を中期経営計画ならば考えていくことができるのです。

他方で、外部環境が短期経営計画に比べて大きく変化する可能性が出てきます。このため、変動を織り込んで進捗を点検しつつ、調整をしていく必要がある(こういったのをローリングプランといいます)といった点はデメリットとなってきます。


関連用語
短期経営計画

実務面からの加筆:
この中期経営計画は実際に立てる計画としては一番長い種類のものとなります。長期経営計画まで行くと、不確実性が高すぎて完全に絵に描いた餅になるケースが多いです。

それに対して中期経営計画であれば、なんとか見通しが立つ範囲で作ることとなりますので実際に作ることが多い計画だと言えます。

特に、補助金などで求められる3年から5年の計画は中期経営計画に位置づけられるような長さですので、売上や費用などを根拠を持って積み上げていくことができるのです。


初出:2012/07/11
更新:2025/06/04

経営
2025年6月3日

経営理念

経営理念_001
経営理念とは、企業という組織自体の存在する意義・目的を明文化したものです。簡単に言うと、「この会社は何のために存在するのか」を言葉にしたものです。

この企業理念は、企業の価値観を提供するもので非常に重要なものです。そして、意思決定を行う際に拠り所になる価値観であるということができます。

内部的には、経営理念が明確に示されていると目標が明確となりますし、働く人たちの目標も明確になって、共有されやすいといったメリットがあります。

例えば、「なんだかよく分からないけど、とにかく稼いで来る事が大切」な会社よりも、「お客様に価値を提供することが自社の目的である」と言われた方が、従業員がその経営理理念に共感する限り、従業員一人ひとりのモチベーションも高まるというものです。

また、外部的には、経営理念は株主や顧客等の様々なステークホルダーに対し自社の存在意義を伝えるといった大切な役割があります。

このような役割があるため、経営理念はその企業のアイデンティティであるという事ができると思います。

しかし、こういった大切な役割を持っているため、経営理念を定める場合ある程度普遍的で抽象的な表現を取らざる得なくなります。

そのため日常の業務を行うためには、この経営理念から導かれたビジョンや戦略・経営計画を用いる必要があります。

このまんがでは、学食で働いている男子生徒が何のために働いているかを見失ってしまったようです。先生に聞いたところ、経営理念を改めて教えてくれたようです。

この男子生徒は、学食の経営理念が心に響いたらしくやる気を取り戻しています。経営理念には、このような効果もあるんですね。

実務面からの加筆:
こんなふうにさらりと書いていますが、経営理念はめちゃくちゃ重要です。これは言い換えれば、組織はどうしたいの?どうなりたいの?という究極的な質問だからです。

また、「うちは経営理念なんか作っていないよ、小さな会社だからね」っておっしゃる社長さんに対しては、「社長はどうなりたいんですか?」ということを問うと、結構色々話してくれたりします。

実は言葉に落とし込んでいないだけで、どのような企業にも思いはこもっているのだと感じることが多くあります。

■どうして経営理念が大事なの?

すごく抽象的で漠然とした話になってしまいますが、社長や企業の価値観に合わない事業って勢いというか推進力がが出ないのです。

補助金を獲得できるからと言って始めたあの事業。どうしてうまく行っていないかというと、心にそれをやりたいと思う熱いものがないから。

そして、経営理念に沿った事業って、この熱い思いが生まれてくるから、困難にぶつかってもそれを乗り越える力が湧いてくるのです。

経営理念は、企業の羅針盤であり、芯です。迷ったとき、ぶれそうなとき、そこに立ち返れるような言葉になっているかどうかが大切です。

初出:2012/07/02
更新:2025/06/03


経営
2025年6月3日

意思決定の階層構造 | 日々行う意思決定ですが組織内の役割の違いで実施する意思決定にも違いが出ます

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組織での意思決定は、その組織に所属している人は皆行っています。といっても誰でも同じレベルの意思決定ができるわけではありません。

その意思決定を次の3つに分類したのがアンゾフです。

1.業務的意思決定
日常業務の効率的遂行を果たすために行う意思決定です。主にロワーマネジメントが行う意思決定です。

2.管理的意思決定
 仕事の流れや、組織形態等組織の構造に関する意思決定です。主にミドルマネジメントが行う意思決定です。

3.戦略的意思決定
 企業目標の決定やどんな事業に進出するかなどに関する意思決定です、主にトップマネジメントが行う意思決定です。

このマンガでは、
1.パートリーダーはロワーマネジメントとして、日々のパート練習の計画を立てる事でパートの技術の底上げを図るための意思決定をします。

2.吹奏楽部部長はミドルマネジメントとして組織を編成し目標を与えて実行するための意思決定をします。

3.顧問はトップマネジメントとしてどのような演奏会を開くかなどの意思決定をします。

曲目や演奏会の会場などがいまいちであった場合、どれだけ効率的に練習を行っても演奏会を成功させる事は難しくなってしまいます。その意味で戦略的意思決定が非常に重要となってきます。

キャプチャ


  • その意思決定は定型的か非定型か



意思決定について階層構造があることを見てきました。

さらに推し進めてその意思決定がどのような性格を持つのかについても触れていきたいと思います。

まず業務的意思決定はどちらかと言うと定型的な意思決定になります。

日々の業務で困ったことがあった時にどのように解決するかそういったことを考えていくような意思決定です。

これに対して戦略的意思決定は非定型的な意思決定となります。

企業を取り巻く環境が変化したり、企業内部の経営資源が変化したりすることがあります。

このような場合意思決定の前提条件が変わってしまうため、通常の意思決定プロセスではなく様々な経営資源を投入できる階層の人間が意思決定する必要があります。

つまり経営のトップ層がこの種の意思決定をする必要があるということです。

なお、管理的意思決定はこの2つの意思決定のあいだの性格を併せ持ちます。


実務面からの加筆:
何かを提案するときは、誰と話しているの?と問うことが大切です。ここで見た通り意思決定には階層構造があるので、いわゆる「決裁権」(決める権利)のある人に話さないと大抵のことは徒労に終わります。

逆に、決められるけど現場レベルのことを長々と管理者に話すのも相手の時間を奪いますので、その人が持つ権限に過不足のない提案が重要となります。

なお、実際の職位と組織内での権勢は別の概念になりますので、権限だけ見てキーパーソンを外して提案すると「私は聞いていない」という日本組織的な面倒が発生するので注意が必要ですよ。

また、フォロワーシップを育てていき、建設的な議論ができる組織にしていくことも重要です。


初出:不明(初期に作った記事なので結構古いはず)
更新:2019/11/10
更新:2025/06/03

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