スクイーズアウトとは、企業買収などで少数株主を排除して、対象となる企業を完全子会社化する事を言います。英語ではsqueeze outと表記されます。
スクイーズアウトと言った言葉が締め出すといった意味であることから、合併の際に(少数株主を)締め出すといったイメージとなります。
■どうして完全子会社にするの?
さて、株式の過半数を保持していれば、取締役の選任が行えるので、会社の経営権が手に入ります。また、株式の3分の2以上を保持していれば特別決議が行えるので、定款の変更や事業の譲渡等が行えます。
そのため、ワザワザ完全子会社にしなくとも良いと考えられるかもしれません。
しかし、完全子会社化しておけば、株主を管理するコストも削減できますし、株主総会の招集手続きを省略することも可能となります。(持ち回り決議が可能となりますので)
また、親会社と子会社で利益相反が発生した場合、通常は子会社側が不利になるような経営判断がなされます。
しかし、少数株主が子会社側に残っている場合、少数株主の権利に配慮する必要が出てくるため、そのような思い切った経営判断が難しくなります。
企業をわざわざ子会社化したと言うことは、企業グループ全体での最適化を図ると言った目的があり、子会社の都合に配慮することで最適化が難しくなるのであれば本末転倒です。
そのため、少数株主を排除しておく必要があるのです。
■相手が売らなければそれまで?
とはいえ、株式ですから相手が売却に応じなければどうにもならないのでは?と考える方もいるかもしれません。
「どんなに高額の買い取り希望を出しても、相手が売ってくれなかったらそれまで」ですよね?
しかし、そんな事を言っていたらスクイーズアウトはかなり難しくなるため、方法が用意されています。
■定款を変更して
まず、親会社は多数の株式を持っていることが想定されますので、定款変更が可能となります。そして、定款変更ができるのならば、種類株の発行と全部取得条項付き種類株式方式を組み合わせて、少数株主が持っている株式を金銭を交付することによって取得する事ができるのです。
(もちろん定款変更には特別決議が必要なので議決権の3分の2以上を押さえていないとこの手法は採れません)
- 中小企業の事業承継の際にも
以前はあえて親族に株式を分散させる事が多く、株式を分散させた人の睨みがきいているうちは安定株主として機能していました。
しかし、事業承継が発生して後継者の代になった途端に株主としての権利を主張してくる(法律的には全く問題のない行為なのですが、実務上経営の安定が脅かされます)といったことが発生しています。
また、株式を相続した人や従業員に株式を持たせていたのがそのままになっているなど利害関係者が増えてくると、株主の管理も大変になりますので、事業承継を契機に経営者に株式を集中させる事が行われています。
特に、近年の事業承継では親族内での事業承継だけでなく、親族以外の人が引き継ぐことも多くなっているため、経営権の集中は重要となってきます。
解説で出てきた用語・関連用語
定款
二段階買収
安定株主