所要運転資金とは経常運転資金とも呼ばれ、企業が通常の営業活動を行っていくにあたって必要とされる資金の事を言います。
ここで、必要とされる資金といった通り、儲かるとか儲からないといった利益概念とは全く関係のなく、会社を存続させるための純粋な資金繰りの問題として把握する必要がある考え方です。
(これが不足するといわゆる資金ショートを起こしてしまいます。)
一般的に商品を仕入れて、販売し、それを回収して入金するまでには時間がかかります。また、かといって仕入れてスグにお金を払うわけでもありません。(こういった考え方を回収サイト、支払サイトなどと表すこともあります。)
このように、通常に営業していてもお金の入金と支払いにはズレが出てきます。そして、そのズレを埋めるためにいくらお金が必要かを所要運転資金という概念で説明するのです。
■いくら必要なの?
と、通常に営業活動を行うにあたって資金が必要であると言いましたが、具体的にはいくら必要なのでしょうか?
一般的には入金と支払のズレを明らかにするため、以下の計算式を用います。
【所要運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務】
それではこの式を使って、具体的に見ていきましょう。
例えば、毎月平均的に100万円の売上を上げる企業があるとします。この企業は原価率50%で商品を仕入れており、仕入先には仕入の1カ月後に支払い、販売後2か月後に現金を回収します。
また、在庫として、月商の一か月分を常に保持しているとします。
その場合、必要な各要素は以下のように計算できます。
売上債権=100万円×2か月=200万円
(販売後、お金の回収に2か月かかります)
棚卸資産=100万円
(1カ月分の在庫を持つため)
仕入債務=50万円×1カ月
(1か月後に原価率50%で仕入れた商品の代金を支払います)
所要運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務
なので
所要運転資金=200万円+100万円-50万円=250万円
となります。
言い換えると、このようなサイクルを回すためには、250万円のお金を準備しておかないといけませんよといった考え方になります。