いつもの朝、いつもの街並み
ココは、町はずれのファンシーショップ。80年代の香りが今なお残るちょっと時代に取り残されたお店です。
ファンシーショップという業態。結構昔の業態かなぁと思いきや、最近でも割とあるみたいです。
とはいえ、このお店は、新しい感じではなく、それなりに年季の入ったお店になります。
あれだよね…ポプラ堂の方が安くて良いよね。
イヤイヤ、アカシヤ屋の方がもっと安かったよ。
でも、マロニエ商会も良いと思うよ。
なんだか、おなじみの面々は、お買い物の事で盛り上がっているようです。
僕らが外にでたらまずいよねェ(ましてやお買いものなんて…)
大丈夫だよ。
オーナーさんに連れて行ってもらえばさ。
ぎーカランカラン
ふー、色々買っちゃったわ。
やっぱり、カエデ屋が一番よね。
そんなに安いわけじゃないけど、雰囲気もサービスもいいから。
イイモノをしっかり選んで買う事ができる、賢い消費者の私は、いつか、丸の内で働いて、キラキラ光るオフィスビルで、
仕事の出来る私は世界的な企業のCEOに。そして、素敵な執事に囲まれて(はぁと)
おーい、オーナーさん。帰ってきてよ。
あら、いけないわ。私としたことが、つい。
で、何を買ってきたの?
ふふふ、お裁縫のセットよ。
これでね、キミたちの付属品を作って客単価をあげるのよ。
客単価って、なんだかちゃんと商売っぽいお話をするんですね。
そうよ、私はできる女なのよ。
で、付属品って何を作るの?
何を作ってくれるの?
新しいシャケを作ってもらえば?
これは、シャケじゃなくてニジマスなんだよね…
うーん、おさかなに詳しくない僕には、ブラックバスにも見えるかなぁ…
まあいいや、で、どうして客単価をあげる必要があるんです?
そうね、もっと宣伝をしてお客さんを増やせばいいじゃない。
確かに、お客さんの数が増えれば売上高は多くなるわ。
でも、残念ながら新しいお客さんを取りこむのはなかなか難しいのよ。
この小さな町で、古びたファンシーショップが行列のできるお店になるのは難しいのよ。
確かにそうですね。
お店の前で、迷っている人がいたから、来店してくれるようにと笑いかけたらさ…
回れ右をしてお客さんが帰っちゃったんだよね。
どうしてなんだろうね…
(そりゃあ、ぬいぐるみが勝手に動くお店は怖いよね)
何か言ったかい?
とにかく、ぬいぐるみが勝手に動くお店といういわれのない非難を受けているので、あんまりお客さんの増加は見込めないのよ。
こういったのはレピュテーションリスクね。
それで、客単価の上昇に舵を切るのね。
良いと思うよ。だって、売上高は客数×客単価で計算できるから
客単価を増やせば、売上は上がるんだよね。さらに言えば、客単価は販売数量×商品単価に分解できるから
ぺらぺらぺら
で、何を作るんですか?
付属品ってことは、かわいい帽子とか作ってくれるんですね!?
いいな、僕も帽子が欲しいな。
シャケの帽子をかぶると『さかなクン』みたくなっちゃうよ?
だから、シャケじゃなくてニジマスだから。
うふふ、出来てからのお楽しみよ。
その日の営業時間終了後
オーナーさんがみんなに作った付属品を披露しています。
じゃーん
ざわざわ
思いのほかクオリティが高いのでお店がにぎやかになってきました。
すごいね。
すごいね。
そうね、二回すごいねって言っちゃうほどすごいね。
でも、こんなに手の込んだ商品をいくらで売るんですか?
うーん、客単価を増やしてと思っていたけど、思いのほかよくできたから、売るのが
もったいなくなっちゃったわ。
お店に飾っておこうと思うの。
のんきなオーナーさんですが、なんとかやっていける程度の適正な利潤は得られているようです。
で、何を作ったかですって?
それは秘密です。知りたい方は、ご来店くださいませ。
ストーリーで解説経営用語