ミスタードーナツ。とても美味しいドーナツが食べられるので、我が家でも大人気です。そんな『ミスド』はうれしい事に、定期的にセールを実施してくれるのですが、セールの度に小さいドーナツを売っているといった『噂』が出てしまっているとの事です。
報道では
買い物客で行列ができる大好評企画だが、決まって話題になることがある。それは「小っちゃくなってないか?」というものだ。中にはセールをする度に小さくなっている気がする、などとツイッターで呟く人もいる。ミスドはドーナツの大きさは変えていないとし、あらぬ噂だと頭を抱えている。2015年8月25日J-CASTニュースなどと言われていますが、少しこのことについて考えてみたいと思います。
- ドーナツを小さくして大儲け?
しかし、このストーリにはちょっとした穴があるので、あまり現実的ではないと考えられます。
(製造工程でのばらつきもあるため、たまたま本当小さいドーナツを手にした可能性も否定はできませんが、会社ぐるみで、セール時にドーナツのサイズを小さくするという対応が考えにくいといった趣旨のお話です。)
- 小さくしてもそれほど原価は変わらない
この時、普段の価格が130円のドーナツを想定します。(ポンデリングとかですね。)その場合、このドーナツの原価は130×20%なので26円です。
ココで、仮にドーナツの大きさを5%小さくしたとします。その場合、原価は1.3円引き下がり、24.7円になります。(多分5%小さいと気が付く人が沢山出るはずです。)
但し、上の例で出したような、原材料費のみが原価を構成しているといった前提は非現実的です。例えば、サイズが小さくなっても工場で働いている人の労務費(人件費)の総額は変わらないでしょうし、工場自体の減価償却費等も変わりません。(製造原価は材料費と労務費、その他の経費で構成されます)
仮に、上の例で製造原価が占める割合のうち材料費が3分の1だったとすると、引き下がる原価額は0.43円になります。
このように、多少サイズを小さくしたからと言って引き下げられる原価は微々たるものであると考えられます。
- 原価が安くなっているのなら、それはサイズの問題ではなく、稼働率の問題です
しかし、このような場合、稼働率が上がった事で製造原価が引き下がっていると考えた方が自然です。
では、どうして稼働率が上がると製造原価が引き下がるのでしょうか。それは次の例を見ながら考えていきたいと思います。
※ミスタードーナツはお店でドーナツを揚げていますが、分かりやすい例として『工場』を想定します。
例えば100万円の減価償却費等の経費が発生する工場で、100万円の労務費(人件費)をかけていたとします。材料費が一個当たり100円の製品があるとして、
◆1万個製造した場合
総製造原価は100万円(経費)+100万円(労務費)+100円(材料費)×1万個=300万円
製品一個当たりの製造原価は300万円÷1万個=300円
◆2万個製造した場合
総製造原価は100万円(経費)+100万円(労務費)+100円(材料費)×2万個=400万円
製品一個当たりの製造原価は400万円÷2万個=200円
と、工場の稼働率が上がれば製品一個当たりの製造原価が引き下がるのです。
- お店も稼働率が上がります
このような稼働率の改善が見込めるため、ワザワザ、ドーナツを小さくするとはちょっと考えにくいです。
- 評判を損なうリスク
仮にドーナツを小さくする必要があるのならば、それを正式に公表して行えばよい事なので、セールの時だけこっそりとドーナツのサイズを小さくするとはちょっと考えにくいです。
いずれにしても、美味しいドーナツのセールは大歓迎ですね。