まんがで気軽に経済用語

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2015年01月

法務・支援施策
2015年1月30日

根保証 | あなたがサインしようとしている契約書があなたの人生を暗転させるかもしれません

根保証
根保証とは、特定の債務だけではなく、継続的に発生する債務を限度額と期間を定めて保証するという約束になります。

(無期限で無制限に保証するといった包括根保証という制度は2004年に廃止されましたので、限定根保証の説明を書いています。これから根保証の説明をしていきますが、さすがに無期限、無制限に債務を保証するというのは酷すぎると皆さんも感じると思います。)
 
簡単に言い換えると、極度額○○円までは将来にわたって保証します。だから追加で融資されたとしても、極度額までは支払いますという事です。コワイデスネ…
さて、「絶対になってはいけないよ」と年長者から諭される保証人という約束ですが、これは、保証した債務が無くなれば一緒にその保証契約もなくなるものです。(これを難しい言葉で附従性と言います。)

具体的は、「100万円の債務を保証してください」と頼まれて保証人となったとしても、借りた人が100万円の債務を返し終わればそれで保証契約は終わりとなるわけです。

また、この場合、最悪でも100万円を返せば保証人としての義務は果たしたことになるので、通常の保証人の場合、保証する額が自分にとって致命傷にならない額ならば保証人になってもいいと考えられます。

(もっとも、どこまで保証することができるのかについての線引きは難しいですし、次から断りにくくなるといった事もあるので、先人の言うとおり、「保証人にはならない」とするのが賢明だとは思います。)
  • 通常の保証人とは根本的に異なります(悪い方に)
さて、通常の保証人について見てきましたが根保証を受け入れてしまった場合、このような常識は通用しません。というか、理解に苦しむほど保証人にとって酷な条件が付きつけられてしまうのです。

まず、根保証をする場合、極度額と期間というものが決められます。これは、この範囲内ならば債務を保証しますという意味です。

「ん?」と思われた方は鋭いですね。そうです、『具体的な●●という債務を保証する』という一般の保証人とは根本的に異なる契約形態なのです。条件としてはもっと酷で『いつからいつまでは、極度額までの債務を保証する』という契約になるのです。
  • 具体的には?
具体的に説明すると、上の例で「100万円の債務を保証します」という契約を結んだとしても、それが根保証の契約で、極度額が1,000万円だった場合、あなたが保証したのは100万円ではなく、1,000万円の枠になります。

そのため、保証を頼んだ人がいつの間にか1,000万円借りていて、その債務を払えなくなった場合、あなたに1,000万円の返済義務が生じるのです。

どうでしょう?厳しいですよね?「保証人でだまされたって言うけれども、いくら保証するかわかっているハズなんだから…」と思う方もいるかもしれません。

確かに、根保証でなければ、その通りなのですが、(よく読まなかった契約書に)根保証と書いてあったら思ってもみない額の債務を保証しなければならなくなるかもしれないのです。
  • 制度を運用する側(主に金融機関)の言い分は
さて、どう考えてもひどいやり口ですが、金融機関側にも一応言い分があります。それは、「毎回保証人契約をもらっていたら煩雑ですからね…」という事です。

通常の保証人の場合、債務を返済し終わったら保証契約は終わりになります。その為、再度お金を借りようと考えた場合、再び保証人に印鑑を押してもらう必要が出てくるのです。

そのような煩雑さを避けるため、『根保証』として、「極度額までは保証しますね」といった旨の契約をもらっておけばお互い楽ですよね?といった言い分なのです。

また、お金を借りる側にとっても、毎回ハンコを押してもらわなくて済むというのは非常に楽なのでそんなに悪くないと考えられます。

とすると、保証人だけが一人負けになる制度という事もできますね。 
  • 繰り返します
さて、本サイトは経営用語集なのですが、保証契約についてだけは客観的な立場ではなくみなさんに警鐘を鳴らす立場で書かせたいただきます。

というのは、当サイトは学生さんも良く読んでくれているので、この辺の致命傷になりかねない落とし穴については知っておいてほしいからなのです。残念ながら「知らなかった」では済まされないのが現実の世界ですからね。

(まんがで気軽に経営用語の中の人の、親しい人もこの根保証にやられてひどい目に遭いました。立派な銀行さんからの融資を保証したつもりだったのですが、根保証の契約だったのです。もちろんしっかりと契約書に目を通せば防げることだったとは思いますが、一体どれだけの人が契約書をしっかりと読んでいるでしょうか?)

金融機関も商売でお金を貸しています。そのため、基本的にはお金を貸したいんですね。そして、信用保証協会に債務の保証を頼んだり、不動産を担保にしたりと基本的に金融機関がリスクを負わないですむような仕組みは沢山あります。

また、国は経済を活性化させるために、無担保・無保証人でお金を貸すといった制度も色々用意しています。(マル経融資などですね)

しかし、これらの方策が使えない場合、保証人を探すようにお金を借りたいと思っていっる人に依頼するのです。

身も蓋もない言い方をすると、金融機関は、危なっかしくて貸せないような人や企業にお金を貸す場合に、人質として保証人を差し出すように要求しているのです。

あなたは、人質になるほどの恩義をその人に感じていますか?また、最悪の場合、自分の身代金がいくらになるか?(最大いくらの債務を保証するか)についてわかっていますか?

分かっていて保証人になるのならば、止めません。しかし、分かっていないなら一旦立ち止まって考えるべきです。そして、自分で判断することが難しければ(根保証と通常の保証の区別なんて普通はつきませんからね)専門家を頼ってみるべきだと思います。


普段はこのような事は書きませんが、本記事に限っては若い皆さんに読んでいただきたいと思っています。もし よろしければ共有していただけると嬉しいです。

商売をしていると保証人になって負った負債を返すのにいくら売り上げ増が必要かを姉妹サイトで解説してみました。
保証人にはなるなと良く言われますが、何がいけないのかを解説します
 
組織論
2015年1月29日

モデル賃金 | 平均的な従業員が詳細にわたってどのような報酬を得られるかを示した図です

モデル賃金
モデル賃金とは、ある人が新卒で起業に入社した場合において、いわゆる標準的な昇進や昇格をしていった場合のお給料の推移をモデル化したモノを言います。

イメージとしては、いわゆるその企業で一般的な働き方・貢献をした人がどのような報酬を得るのかを将来にわたって示すようなものです。

例えば、「自分は新卒でこの会社に入るけれども、どの程度の報酬を得られるんだろう?特に優秀でもないけれども、特に劣っているとも思えないので平均的な推移をするはずだ。」といった人がどのような報酬を受けるのかがモデル化されるのです。

もっとも、このモデル賃金全体が押し上げられるようなベースアップが行われたり、定期昇給が行われず、モデル賃金上の低い年齢のままでお給料が停滞する。また、会社自体の業績が芳しくなく、モデル賃金通りにいかないといった事はあり得るので、参考値にしかならない場合があるので注意が必要です。

この数値をあまりあてにし過ぎてしまうと「そうか、30代後半になれば年収が700万になるから、それを当て込んで住宅ローンを…」などという意思決定を行ってしまう可能性が出てきてしまいます。

しかし、このモデル賃金通りに自分の賃金が推移するかどうかは別に会社と約束しているわけではないので、それ程あてにすることはできません。

そのため、上の例のようにそれを当てにして将来の支出の計画を立ててしまうと後々、苦境に立たされる可能性が出てきてしまうのです。

関連用語
賃金カーブ 
生産管理
2015年1月27日

3R | 廃棄物を削減するために3Rと簡単に言いますが、順番も大切です

3R_001
3Rとは、削減、再使用、リサイクルの3つの英単語、reduce、reuse、recycleの頭文字から作られた言葉です。そして、この3Rは環境に配慮した社会を作るために配慮すべきことを並べたものになります。

そして、こういった用語はECRSのように並び方にも意味があります。ECRSの場合、何かを改善する際に、E:やらないことを決め、C:一緒にやることはいっしょにやり、R:やる順番を考え、S:単純化するといった考え方なのですが(詳しくはこちらを参照してください:ECRSの原則)、3Rについても上にあげた、reduce、reuse、recycleの順番で取り組むと効果的なのです。
  • まずは、削減:reduce
さて、ECRSでもそうなのですが、何かを改善する際には『削減』、『やらない事を決める』といった事が一番最初に来ます。

どんな改善を図る時でも、先ずはその対象を減らすことが効果的です。そして、環境にやさしい生活をするためにも、削減をすることが重要なのです。

例えば、「いらないモノは買わない!」という考え方を最初に徹底すれば、後から再使用やリサイクルについて頭を悩ませる必要はそもそも減ってくるのです。

また、廃棄物を削減するために、必要な修繕を適宜行い、長く使うといった事も大切になってきます。

廃棄物を減らすことが主目的ではありませんが、設備やモノを長持ちさせるための保全活動については以下のように様々な種類があります。

計画的にメンテナンスを行い、故障が起こる前に対策を行う「予防保全
故障が起こりにくくなるように改良を行う「改良保全
保全自体を行わないことを目指す「保全予防
設備の導入から廃棄までのコストの最小化を目指す「生産保全
  • 次に再使用:reuse
再利用とも言いますが、リサイクルとニュアンスを変えるためにあえて再使用としました。さて、再使用ですがこれはモノの形状を保ったまま、再度使うといったイメージとなります。リサイクルはモノを資源として利用するといったイメージになるので明確に違うのですね。

そして、使えなくなるまでは使うという発想でリサイクルの前に再使用が来ているのです。

例えば、ラムネの瓶などを洗浄して(モノはそのままですよね?)再度ラムネを充填して使う。きれなくなった洋服をフリーマーケットで売却したり、親せきに譲る(お古というやつですね)などしてそのまま着てもらうといったモノです。
  • 最後にリサイクル:recycle
そして、いよいよモノとして使えなくなった場合にはリサイクルが待っています。リサイクルとは上でも述べた通り、モノを資源として利用するといった考え方になります。

例えば、上の例では再使用してボロボロになった洋服を繊維にまでばらして利用したり、究極的には焼却して熱エネルギーを取り出すといった事です。

また、ラムネのビンはそのままで使えなくなれば、溶かして再資源化し、再びラムネのビンになったり、ガラス製品となるのです。 

関連用語
ライフサイクルアセスメント
ゼロエミッション
 
法務・支援施策
2015年1月26日

授権資本 | 取締役会決議で発行可能な株式数です(定款で定められます)

授権資本
授権資本とは、定款に定める株式の範囲内ならば、会社は取締役会決議で株式を発行することができるという制度です。

このように説明すると「あれ?株式を発行すれば会社は自己資本が増えるから、会社にとってはいいことなんだよね?だったら別に定款で定める必要なんかあるのかな?」と思われる方がいるかもしれませんね。

しかし、定款であらかじめ発行できる株式の総数を定めておくという事はある種の利害関係者(ステークホルダー)にとっては非常に重要なことなのです。
  • 株式が自由に発行できた場合
さて、株式が自由に発行された場合に困る人は誰でしょうか?

債権者はどうでしょうか?この人たちは自己資本が充実すれば、債権を回収し損ねる可能性が減るので特に困りませんよね?それでは、従業員はどうでしょう?また、課税当局は?取引先は?この人たちにとっても特に影響はなさそうです。

このように、株式が自由に発行されたとしても、あまり影響はなさそうですが、困る人たちもいるのです。

それは、企業の株主さんです。この人たちは自分の持っている株の価値が薄まるという可能性があります。(希薄化といいます)

しかし、株主の保護に主眼を置いて、ワザワザ株式の発行の度に株主総会を開催しなければならないとなると、資金調達が迅速に行えなくなるといった弊害が出てきます。

そのため、授権株式制度というものを作り、資金調達を取締役会の決議で迅速に行えるようにしつつ、株主の利益を守るといった方策が採られているのです。

財務・会計
2015年1月25日

流動性リスク | 見逃しがちですが売ろうと思った時に売れないというリスクがあります

流動性リスク
流動性リスクとは、資金が必要になった際に手持ちの資産を売却しようとしたにもかかわらず、思うように換金できないようなリスクを言います。

例えば、あなたの会社が1億円相当の株式を持っていたとします。そして、月末に控えた支払いのため、その資産を現金化しようとしたとします。

しかし、売ろうと考えたけれども、買い手が現れなかったらどうでしょうか?資金ショートを引き起こす可能性が出てきてかなり困ったことになってしまいますよね?

また、このような状況では、「1億円は出せないけれども、8千万円なら出すよ」といった資産価値よりも低いオファーでも場合によっては受け入れる必要が出てきてしまいます。
  • 原因は
さて、十分な取引量がある資産だったらこのような事は発生しないと思いませんか?

例えば、同じ株式でも程度の数量が売買されていれば売れないというリスクは低くなります。また、取引量が多ければ、時価からあまり乖離した価格を受け入れなくとも、直に近い金額で取引をすることが可能となります。

逆に言うと、取引量が十分でない金融資産を持っている場合、流動性リスクが生じる可能性があるのです。
  • まとめると
と、色々書いてきましたが、一言で言うと、売るに売れないリスクがあるという事です。そして、仮にあなたの会社が持っている株式が我が国を代表する市場へ上場している銘柄だとしても油断はできません。

市場に突発的な問題が生じて取引量が著しく減少したり、そもそもあなたの会社が持っている株式の銘柄の取引量が少ない可能性もあります。

また、一般的に不動産などの固定資産も流動性が高くない資産であると言われています。

関連用語
法務・支援施策
2015年1月23日

TPP | 太平洋を取り巻く国々で自由貿易圏を作りましょうという発想です

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TPPとは簡単に言うと太平洋に面する国々が集まって、モノやサービス、投資などがもっと自由に行えるようなルールを作り、また関税の撤廃などを行っていきましょうという条約のことを言います。TPPを言い換えれば、太平洋に面する国々が(環太平洋)、自由に貿易して一大経済圏を作り上げるために(戦略的経済連携)行うために結ぶ約束事(協定)のことですね。

このTPPを日本語で言うと、環太平洋戦略的経済連携協定。英語で表記するとTrans-Pacific Partnershipとなります。この英語名を略してTPPなのですね。
  • 関税の撤廃だけではありません
さて、TPPの話が出ると、「だって関税を撤廃するんでしょ?だったら国内の農業が…」といった事が言われることが多いと思います。

確かに、自由貿易圏を構築するために関税の撤廃が原則となっています。(もちろん少数の例外は認められます)

しかし、このTPPは関税の撤廃だけを目的としているわけではなく、投資やサービスの貿易についてのルール、環境基準や労働についての約束事についてもルール化されていくのです。

そしてその結果として、輸出額が増大し(本当だと思いますか?)日本経済にとって様々なメリットをもたらすことができると言われています。

一応、経済学的には関税があると不効率が発生して(例えば、関税が無ければ購入できるはずだった人が、関税分モノの値段が上がって購入をあきらめるといった不効率です)全体的には富が減少するとされています。

但しTPPへ参加する国にも、「食料は自国で確保しなければならない」とか「我が国は製造業が担っているんだ」「あの国がもっとウチの作物を買ってくれれば…」といった、色んな価値観・思惑がありますから「関税を撤廃することによって富が増える。ばんざーい」とは簡単にはいかないのです。
経済学
2015年1月22日

ヴェブレン効果 | 高い方がモノの効用が高まるという考え方があります

ヴェブレン効果
ヴェブレン効果とは、高いモノであればあるほど、モノ自体の効用が高まるという効果のことを言います。英語ではVeblen Effectsと表記されます。

さて、ここで言う効用ですが、使用した際の『使用価値』ではなく、使用した人が感じる満足度の事を示します。

例えば、ペンを考えてみましょう。100円のペンも、5万円する高級ペンも、文字を書くという使用価値にはそれほど差がありません。(どちらも本質的には文字を書く道具であり、その機能は100円のペンでも十分に満たします。)

しかし、100円のペンを5万円のペンでは使用した人が感じる満足度には差がありそうですよね?

もちろん、すごく差を感じる人もいれば、ほとんど感じない人もいるかもしれません。しかし、いずれにしても満足度に多少の差は感じるはずです。

逆に言うと5万円のペンは、5万円であるという所に価値があり、逆にそれが1000円に値下げされてしまっては、価値が損なわれてしまうのです。

なんだか、誇示的消費といった内容に近い言葉ですね。また、こういった価格の付け方は心理的価格政策でいう所の威光価格と呼ばれるものです。(参考:価格のシグナル効果
  • 歴史について
さて、このような効果が提唱されたのはアメリカ、それもアメリカの景気が非常によく見せびらかすために消費を行うような人たちが多くいた時代の事です。

この時代、幸運にも富を得た人たちは、自らの経済力を誇示するためにあえて値段の高いものを買い求めました。

そして、このような消費行動を説明するためにアメリカの学者さんであったヴェブレン氏(Thorstein Veblen)が提唱した理論なのです。そうなのです、人の名前なんですね。

(日本人が仮にこのような効果について提唱していたら、山田効果とか、岡崎効果、伊集院効果といった風に呼ばれていたのかもしれませんね。)

関連用語
スノッブ効果 

原典に当たりたいという熱心な方のために
 
店舗管理
2015年1月21日

固定客 | 何度も来てくれる大切なお客様です

固定客
固定客とは、自社の製品やサービスを繰り返し、長期にわたって購入してくれるようなお客さんの事をいいます。いわゆるお得意さんといったイメージになりますね。

さて、みなさんも「商売をするうえで固定客はこの上もなく大切だ」といった事をきいたことがあると思います。「あそこのお店は、味が変わって今までいた固定客が来なくなってから業績が…」とか、「あのお店は固定客がついているから成功するよ」といったようなお話です。

この会話では、固定客の有無がそのままお店の業績の良否につながるという風に言っています。

さて、それはどうしてなのでしょうか?別に固定客がいなくとも、売れていれば問題ないですよね?例えば、観光地で観光客相手に相場よりも明らかに高い商品を売っているお店があるとします。

このようなお店は、あまり固定客がついていないと考えられますが(私なら常連にはならないですが、どうでしょうか?)立派に運営しています。

しかし、毎回、たまたま立ち寄るといったお客を集めるのは非常に大変なことです。この例のような観光地ならば、観光地自体に固定客がついているから良いのかもしれませんが、通常はチラシをまいたり、交通広告屋外広告を出したり、口コミを狙ったりと様々な努力をしなければなりません。

そして、努力をしなければならないということは、それだけコストがかかるという事なのです。

(一般的に、一度顧客になってくれた人を繋ぎ止める事の方がコストはかからないと言われています。このような、顧客を繋ぎ止めるための考え方をリテンションマーケティングと言います。)

と、なんだか色々書きましたが、結論としては固定客はとても大切な人たちなのですという事です。
店舗管理
2015年1月20日

定番棚 | 定番品を置くための棚が、目立たないけれどもお店を支えているのです

定番棚
定番棚とは、ゴンドラ什器(ゴンドラ陳列に用いる什器)のうちで、エンド棚に挟まれている面、横に長い面の事を指す言葉です。

と、これは言葉で書いても伝わらないと思うので、以下の図をご確認ください。
定番棚
このように、大きな通路に面するエンド棚(エンド陳列を行う棚)の側面に続いている棚の事を定番棚と呼ぶのです。
  • 何を陳列するの?
さて、定番棚との名前だけでは何を陳列するかイマイチイメージがしにくいかもしれませんね。しかし、名は体を表すとも言うので、名前と全く異なるようなものが陳列される可能性は低いと考えられます。

そして、お気づきだと思いますが、いわゆる定番品を陳列するのがこの定番棚なのです。
 
(定番品とは、メジャーなブランドや、なければ困るような商品、そのお店で常に売られており、売れ行きが安定しているような商品が該当します。)

このような定番品は、コンスタントに売れるものであり、お客様はそのものが欲しくてワザワザ通路の中まで入りこんで買ってくれます。(上の図のとおり、定番品を買うためにはメイン通路から奥まったところに入らなければならないですよね?)

このような定番品を陳列するための棚を定番棚と呼ぶのです。
生産管理
2015年1月19日

ライフサイクルアセスメント | 生まれてから廃棄するまでの流れでどれだけ環境負荷をかけるかを測定します

ライフサイクルアセスメント
ライフサイクルアセスメントとは、製品・サービスがどの程度環境に対して影響を与えるかを評価するための方法一つです。英語ではそのままLCA,Life Cycle Assessmentと表記されます。

一般的に言って今日では「環境にやさしい製品です」と謳えば売上に好影響を与えることができます。多少高くなったとしても環境にやさしい製品やサービスを選びたいと考える人は多いですし、値段が変わらなければなおさらです。

しかし、環境にやさしいとは一体なんでしょうか?廃棄物が少ない事?製造にエネルギー消費が少ない事?有害物質を排出しない事?

なんだか定義はいろいろありそうですよね?

更に、いくら環境にやさしい商品と言えども、地球の裏側からワザワザ運んできたのであれば環境への負荷はその分余計にかかりそうですよね?

こういった疑問に答えるため、製品を作るために行われる資源の採取、製造、輸送、販売、製品の利用時、再利用・再使用時、廃棄時といった製品が生まれてから廃棄されるまでの全体(ライフサイクル全体で)どの程度環境に影響を与えるかを定量的に(数字で)評価(アセスメント)するための手法が生まれました。
  • ライフサイクル全体で見ないとどうなるの?
それでは、ライフサイクル全体で評価しないとどのようなことが起こるのでしょう?例えば分かりやすい廃棄物の分量を持って環境への影響を測ったらどうなるでしょうか?

上で述べた通り、ワザワザ地球の裏側から運んできたとしても、廃棄が簡単であれば環境にやさしい、販売時や使用時に莫大な電力を用いたとしても、廃棄物が出ないから環境にやさしい。

資源を採取する際に、資源を採取する鉱山の周辺環境に重金属での汚染といった致命的な汚染を引き起こしたとしても、廃棄物が少ないから環境にやさしい。

なんだか、環境にやさしいとの言葉を冠するに値しないような例が沢山ありますが、廃棄物に着目すれば、(廃棄物が少ないから)環境にやさしいと言えてしまうのです。

ちょっとおかしいですよね?その為、製品が生まれるための活動から、最終的に廃棄されるまでの全体を見て環境への負荷を評価しましょうというライフサイクルアセスメントという考え方が生まれたのですね。
マーケティング
2015年1月17日

バンドワゴン効果

バンドワゴン効果
バンドワゴン効果とは、みんなが使っているから、欲しくなるといった現象のことを指す言葉です。英語ではBandwagon Effectsと表記されます。

「○○君も持っているから欲しい」とか「この製品は普及していて、安心感があるなぁ。だからこの製品にしよう」といった心理ですね。

このバンドワゴン効果を端的に言うと、長いものにまかれる的な消費行動です。定番品は定番になる理由があるはずで、だから良いものだといった考え方ですね。
  • 一理あります
さて、このバンドワゴン効果ですが、流行がさらなる流行を呼ぶといった現象の理由となりえます。すなわち、みんなが使っているから、更に普及が進むといった事です。

ワザと行列を作り出したり、品薄にすることによって需要が集中していることを顕在化させて(要は、任期があるという事をアピールして)さらなる需要を生み出すといった事にも使える効果ですね。

ただ、消費者としては、様々な製品でうまく流行った方がディファクトスタンダード(事実上の標準)になる事を経験的に知っているため、規格同士が争っている際には、より普及している方の製品を選ぶ方が合理的である場合があるのです。

また、普及すればするほどネットワークの価値が高まるというメトカーフの法則や、ある程度の普及率を超えたら一気に普及が進むという、クリティカルマス。普及が進むとそれによって普及に弾みがつくといったネットワーク外部性など、このバンドワゴン効果と同じ結果をもたらす経営用語は沢山あります。

関連用語
マーケティング
2015年1月16日

グーテンベルグ仮説 | 値段が上がっても下がっても売れ行きが変わらない価格帯がある!

グーテンベルグ仮説
グーテンベルク仮説とは、消費者にとっては、価格が多少変動してもあまり需要に影響を与えないような価格帯があるという考え方です。

一般的に、価格が上がれば需要は減少し、価格が下がれば需要は増加します。平たく言いかえれば安くなれば沢山売れるし、高くなれば少ししか売れなくなるという事ですね。

そして、このような一般的な傾向はあるものの、細かい値段については、心理的価格政策といったテクニックがあります。

例えば、端数価格と言ってほんの少し値下げして非常に安く思わせる(1,000円ではなく、980円にするといった感じです)、あえて高い値段をつけて良いものだと思わせて需要を喚起する威光価格(参照:スノッブ効果)といった方法です。
  • 価格の上下が需要を上下させません
こういったお話に加えて、グーテンベルグ仮説によると、値段が多少上がり下がりしても需要に影響を与えない価格帯があるという事が言われています。

そして、このような価格帯では、値段を下げても需要は増えず、値段を上げても需要が減らないので、可能な限り高い値段を付ける事が望ましいと考えられます。(売上を最大化できますからね)

例えば、「この種のTシャツは2,600円ぐらいかな?」といった感覚が定着しているのならば、2,500円にしても、2,700円にしてもそれほど需要が増減しないというイメージです。(この時の2,600円という感覚を参照価格と言います。)

また、参照価格が定着しているケースとしては缶ジュースが挙げられます。「缶ジュース?値段は見ていないけど130円ぐらいだよね?」といった風になんとなく相場観がありますよね?

そして、この相場観から多少値下がりしても「えっ!?缶ジュースが120円だって?じゃあ買わなきゃ!」とはなりませんよね?こういった風に、値段が多少下がっても需要はあまり変わらないような状況を示すのです。

(もっとも、缶ジュースの場合、値下がりしてもあまり需要が増えないけれども、値上がりすると極端に需要が落ちるといった慣習価格という感覚が定着していると言われています。)

経営
2015年1月15日

アカウンタビリティ | 説明責任というもっとも基本的でとても大切な責任があります

アカウンタビリティ
アカウンタビリティとは、説明責任のことを指す言葉で、利害関係者(ステークホルダー)に対して自らの行動を説明させる責任のことを指す言葉です。そして、企業にとってのその説明は主に財務会計といった形を取って行われます。

このアカウンタビリティは、アカウンティング(会計)とレスポンシビリティ(責任)という2つの言葉かあら生まれた言葉となりますので、会計的に、利害関係者にたいして説明する責任といったニュアンスがありました。
  • どうして説明しないといけないの
今日の株式会社は、活動範囲が広範にわたっており、またその額も多額になっています。そして、その結果、企業を取り巻く環境に対して与える影響は非常に大きくなっています。


そのため、「会社?会社は株主のモノだから株主にだけ説明しておけばいいんだよね?」といった風にはいえません。

なぜかというと、利害関係を持つ人は広範にわたるためそれらすべての人に対して責任責任(アカウンタビリティ)が生じるためです。

そのため、「お金を借りている債権者にだけはちゃんと説明しないとね…」、「税務署の人が来たら大変だから適正に申告をしよう」といった風に、株主以外の利害関係者にも説明責任を負っているのです。

この例のほかにも、取引先や、顧客、消費者、従業員、事業所の存在する地域の住民といった風に、考えていくと利害関係者は非常に広範囲に存在することになります。
  • 説明する責任があります
さて、そういった様々な利害関係者に対して、企業が誠実であるために、できることはなんでしょうか?

株主に還元すべく、余剰資金はすべて配当することでしょうか?でもそうすると、債権者は借金の回収が難しくなりそうですよね?

では、従業人に還元するために、ギリギリまで労働分配率を高めますか?でも、そうすると、株主へ対する利益の分配は減少しますし、会社にお金が無くなると、債権者の権利も害されますよね?

このように、金銭面の配分では、どこか特定の集団に対して為になる事をやったとしても、なかなかすべての利害関係者に報いることは難しいのです。

しかし、すべての利害関係者に対して同時に為になる事もあります。それは正確な情報を適宜開示し、対外的に経営陣が責任を果たしているかを知らせる事です。

その結果、利害関係者はその企業に対して判断材料を得ることができるのです。
  • 不透明だと…
さて、株主と経営陣の間には、経営陣の方が会社についての多くの情報を持っているといった、情報の非対称性が存在しています。株主にとっては経営陣が自らの信頼を裏切るかもしれないといった、エージェンシー問題が存在しているのです。

その対応策として、歴史的に株主は経営陣に情報開示、とくに財務情報の開示を求めてきたのです。(この辺の知恵が財務会計という領域に結実しているのですね。)

そして、今日では経営の透明性を高める必要性が叫ばれている関係もあり、株主のみではなく、様々な利害関係者(ステークホルダー)に対して情報開示を進んで行うようになっているのです。

そして、このような情報開示を行う責任をアカウンタビリティと表現するのです。
  • アカウンタビリティは拡張されています
当初は、財務会計の情報開示の側面が強く出ていたこのアカウンタビリティという言葉ですが、近年ではステークホルダーに対して説明責任を負うと言った側面が強くなっています。

アカウンタビリティの対象が地域住民や顧客、従業員まで拡張されてくると「お宅の財務会計の情報はわかったけど、でこの問題について何をどうしてくれるの?」といった疑問が生じてきます。

言い換えれば、あなたの住んでいる地域に工場があり、騒音問題を引き起こしているときに、財務諸表を提供されても何の説明にもならないということです。

このことから、会計情報以外の情報の開示もアカウンタビリティに含まれています。

ただし、情報を開示しただけではアカウンタビリティを果たしたとみなされなくなっている点注意が必要です。
  • 責任の側面
どういうことかというと、アカウンタビリティは説明責任だけでなく、実行する責任まで問われ出しているためです。

例えば、上の例で工場の騒音問題で「これこれこういう理由で、騒音が出ています。」と説明すれば『説明責任』としてのアカウンタビリティは果たしています。

しかし、アカウンタビリティ自体は果たしていないと考えられます。どういうことかというと、実行(この場合は改善する)責任を怠っているからです。

そのため、アカウンタビリティを果たすためには、騒音が出ている理由を説明した上で、改善する責任まで果たす必要があるのです。
  • 結果に責任を持つことまでがアカウンタビリティだが
この意味で、今日のアカウンタビリティは結果責任まで内包した言葉になっています。

しかし、この方向に進みすぎると説明するためのコストばかりかかってしまい、製品やサービスを利用する人と提供者が受け取るべき経済的利益を圧迫してしまいます。

もちろんアカウンタビリティが重要である事は論を待ちません。しかし、バランスを逸脱した説明責任、実行責任を社会が求めるならば、その対価も社会が支払う必要が出てきてしまうのです。


関連用語
コーポレートガバナンス
組織論
2015年1月14日

メンター制度 | 上司プラス組織内の導き手で(良い意味で)新人を徹底マークします

メンター制度
メンター制度とは、組織に新しく加入した人をサポートするために「お手本」となるような専任の担当者を付け、サポートしようとする制度のことを言います。

新しく組織に加入した人に対しては、上司が指導をしてくれるのが一般的だと考えられますが、その上司のほかに専任の担当者がサポートするといったイメージになります。
  • 組織は、一石二鳥の効果を狙う
さて、メンターが付いた新人さんは、専任の担当者がサポートをしてくれるので安心できます。(本当に安心できるかは、担当のメンターによると思いますけどね…)

組織としては、メンターさんの存在を媒介として、新人さんが素早く組織になじむことを狙い、ひいては、離職率の低下やモチベーションのアップ、素早い育成などを目的としているのです。

さらに、組織はメンターとなった人の育成も考えています。すなわち、新人を指導したり相談にのることによってメンター自身のスキル向上に役立つといった面を狙っているのです。

誰かを指導したり、相談にのったりすることは自分自身の気づきを促す事になるのは、経験している方は分かると思います。

このように一石二鳥的な効果を狙ってメンター制度を導入するのですね。
  • あれ? 思ってたのと違う?
どうでしょうか、巷で言われているメンターのイメージとはなんとなく異なりませんか?メンターというと、既に成功している人が若手を導くみたいなイメージがありませんか?(このように感じる人は、意識高い系の視点に染まってるかもしれませんね)

ただ、そこまで卓越した人材を自前で揃えるのは難しいでしょうし、その辺は目をつぶって運用しないといけないので、専任の担当者といった風に考えるのだと思います。

関連用語
経済学
2015年1月13日

スノッブ効果 | 人と同じモノを持つなんて嫌だという心理から生まれる効果です

スノッブ効果
スノッブ効果とは、手に入りにくいモノほど余計に欲しくなり、逆に、みんなが簡単に手に入るモノはあまり欲しくないという現象のことを指します。英語ではSnob Effectsと表記されます。

「みんなが持っていないから欲しい。」とか「なかなか手に入らないから、たまたま見かけた時に衝動買いする」といった風に、モノそれ自体が持っている『使用価値』以上に希少であるといった事に価値を感じるといった心理です。(意味的消費記号的消費誇示的消費に近い考え方かもしれませんね。)

さて、このスノッブ効果は端的に言うと、「自分は他人とは違う」という事を示したいという心理から生まれるのです。その結果、そのモノを消費している人が増えれば増えるほど、自分がそのモノを消費した際に得られる満足が減少するといった結果をもたらします。

「他人と同じモノは嫌。他人が持っていたり使っていないモノを所有したり使いたい!」と言った事を、みなさんも経験したことがあると思います。このような感覚をちょっと硬く言うと上のような説明になるのですね。
  • 具体的には
さて、具体的にどのようなことなのでしょうか?例えば、豪華な夕食が食べられるくらいの金額を費やして、ちょっと高級なペンをあなたが購入したとします。

このとき、隣の席の同僚やクラスメートが同じものを使っていたら少しがっかりしてしまいますよね。

逆に、周りを見回して誰もそういったモノを持っていなかったら満足感が高まると思いませんか?(ちょっと嫌らしい心理ですね。まあ、スノッブという言葉自体に「知識・教養をひけらかす嫌な奴」といったニュアンスがありますからね。)

また、ある画期的な商品が発売された際には嬉しくて持ち歩いていたにもかかわらず、みんなが使うようになると、かっこ悪いような気がして、使わなくなるといった感じも近いかもしれませんね。

ただ、決してそのように感じる人が天邪鬼なのではなく、個性を出したいと願う自然な心の動きであると考えられます。

関連用語
組織論
2015年1月12日

コンティンジェンシー理論 | どんな状況にもあてはまる最強のリーダーシップ・管理方法は存在しないのです

コンティンジェンシー理論
コンティンジェンシー理論とは、リーダーシップや管理方式の理論の一つで、どのような状況にも適合するような最良のリーダーシップ・管理方法は存在しないという理論のことを言います。英語ではContingency theoryと表記され、条件適合理論、状況好意性理論などとも呼ばれることがあります。

そして、最良のリーダーシップや管理方式の理論が無いので、組織の状況によってリーダーシップや管理の方式を柔軟に変更していこうというのがこのコンティンジェンシー理論の内容となります。

さて、何のことを言っているかよく分からないですよね?それでは、思い切って極端な例えを出して考えてみたいと思います。
  • 最強の理論を探せ!
リーダーシップや管理方法を研究する中で、様々な理論が提唱されてきましたが、その中で「じゃあどれが一番強いのか」という少年マンガ的なノリの疑問が生まれてきました。色んな強い奴が出てきたら、互いに戦わせるのが少年マンガの王道ですからね。

でも、実際に戦わせてみると、条件によって強い理論が異なっていることが判ったのです。

少年マンガ的に例えると、リーダーシップや管理方法の世界は、単純に腕力の強い奴が勝つ、伝統的なバトルマンガの世界ではなく、キャラクターは様々な能力を持っており、状況に合わせて一番クレバーに振る舞ったキャラクターが勝つマンガだったという事です。

(○リーザ様最強とか、魔●ブ●が最強といった話ではなく、広○康○君や吉○○影、ブチャ●ティが状況次第で最強というわけです。うーん年がばれますね。)

そのため、界○拳10倍やスー○ーサイ○人3といった風に馬力で押し切るのではなく、状況を探りながら、適切なス●ンドで敵を叩くといった事が必要というわけです。(あ、このくだりは半分冗談ですよ?)

さて、あまりふざけた事ばかり書いていると、読者に怒られてしまうかもしれませんので本題に戻ります。
  • 最強の理論はないから状況に合う理論を適用しよう
フィードラー(F.E.Fiedler)という学者さんが行った研究から、どのような状況にどのようなリーダーが望ましいかについての示唆が得られています。

このフィードラーさんは、リーダーのタイプと状況について次のように考えました。

(1)リーダーのタイプ
「リーダーにも人間関係の好き嫌いがあるはず。でも、それを素直に表して、嫌いな人に冷たく接する人だけではなく、嫌いだけど我慢して寛大に扱う人がいるハズ。それを指標化してタイプ分けしよう」と考え、リーダーの行動をLPC(Least Preferred Coworker: 一番嫌な同僚指数)という指標で捉えました。

この指標に従い、LPCが高いリーダーは、一番嫌な同僚とも上手くやっていくので、『人間関係志向』、LPCが低いリーダーは、一番嫌な同僚と上手くやることにこだわらないので、『職務志向』であるとしています。

(2)状況のタイプ
「状況と漠然と考えてもわからないから、次の3つの点が良いか悪いかで分けよう。」と考えて、次の3つの基準を設定しました。

すなわち、
①リーダーが支持されているか
②仕事は構造化されてイレギュラー対応が少ないか
③リーダーに大きな権限が与えられているか
の3つです。

そして、このリーダーのタイプと状況のタイプを組み合わせて、どの状況でどのようなリーダーシップが効果的かを調べたのです。
  • 結論は
さて、この調査の結果次のようなことが判りました。

(1)状況がリーダーに好意的な場合
(①リーダーが支持されており、②仕事は構造化されており、③リーダーに大きな権限がある場合)

LPCが低い、『職務志向』のリーダが高い業績を上げた。

(2)状況がリーダーにとって悪い場合
(①リーダーが支持されておらず、②仕事は構造化されておらず、③リーダーに大きな権限がない場合)

LPCが低い、『職務志向』のリーダが高い業績を上げた。

(3)状況がリーダーにとってはどちらともいえない場合((1)(2)の中間の状況)

LPCが高い、『人間関係志向』のリーダが高い業績を上げた。
  • いかがでしょうか?
直感に合致する結果でしたでしょうか?人間関係志向の成熟したリーダーの方がいずれの場合でも高い業績を上げると思いませんでしたか?

でも、この実験では、このように状況によって有効なリーダーシップや管理方法は異なるという結果が出ているのです。

このように、どのような状況にも適合するような最良のリーダーシップ・管理方法は存在せず、このことを指摘したのがコンティンジェンシー理論なのですね。
似た用語
財務・会計
2015年1月11日

財務会計 | 企業外部に情報を適切に伝えるための方法論です

財務会計
財務会計とは、主に企業外部の利害関係者に対して報告を行うための手法です。報告のための手段、外部向けの会計といった風に理解すれば大丈夫だと思います。英語ではfinancial accountingと表記されます。

と、ここで外部向けと強調して書いたのには理由があります。それは、外部向けの会計に対して、企業内部のための会計という考え方がある為です。

そして、この企業内部向けの会計を(企業)管理に役立つ会計という意味合いから、管理会計と呼びます。
  • どうして外部に報告するの?
さて、財務会計ですが、先ほど企業外部のための会計といった風に言いました。それではどうして企業外部にワザワザ報告をしなければならないのでしょうか?

この疑問に答えるため、企業を運営するために何が必要かを考えてみましょう。

まず、企業を運営するためにはお金が必要です。そしてそのお金は、他人から調達、自己資金いずれの場合でも別の誰かのモノです。

(自己資金(自己資本)であっても株式会社の場合株主がもともとは出したお金ですし、自分で稼いで内部留保しているようなお金も、株主に帰属します。)

また、企業が儲けるためには社会全体のインフラを利用しているわけですから、その対価として税金を支払う必要もあります。

このように、企業を様々な人たちが利害関係を持って取り巻いているのです。(こういった人たちをステークホルダーと呼びます。)

そして、そのステークホルダーに対して情報提供を行う事。経営者自身が責任を果たしている事を報告することが必要となってくるのです。
  • 細かいルールがあります
さて、外部に伝達する事が財務会計では大切だと書きました。それでは、外部に伝達するときに大切なことはなんでしょうか?

正確なことですか?適宜報告される事ですか?誰が見てもわかる事ですか?これらの事はどれも大切ですよね。ただ、いずれにしても、一定のルールに則って報告されていないことにはこれらの要件を満たすことはできなさそうですよね。

そのため、財務会計は管理会計と比較して細かいルールに則った対応が必要となるのです。
  • 情報提供が機能しないと
「別に、そんな細かいルールなんか気にしなくてもいいんじゃないの?」と考える方もいるかもしれませんね。そこで、財務会計の報告機能がしっかりと機能していないとどうなるかについて考えてみたいと思います。

例えば、あなたが会社に対してお金を貸して運用したいと考えているとして、このまんがのようなルールに則っていないあやふやな報告書が出てきたらどうでしょうか?ちょっと、リスクが高そうに感じますよね? 

そして、リスクが高い借り手には通常よりも高い金利を付けないと、とてもじゃないけど貴重な資金を投じることはできません。

その結果、真面目にやっていて、リスクの低いと考えられる企業も、(報告の方式が整備されていないがために)リスクが高いとみなされて高い金利を要求されてしまいます。

その結果、本来低利で借りられたはずの企業も高い金利に苦しむこととなるため、その市場から負債(他人資本)としての資金調達を諦めるといった結果になります。

しかし、リスクの高い企業にとっては、いずれにしてもその市場からの資金調達は必要となるため、市場には質の悪い企業があふれかえってしまうのです。

このような事を逆選択といい、情報が適切に提供されないなどの情報の非対称性があると発生すると言われています。(アカロフのレモン市場とも言います。)

財務会計のルールがしっかりと整備されていないとこういった大きな問題が発生するのですね。
財務・会計
2015年1月10日

売上高総利益(粗利率) | いわゆる粗利率で、これが低いとなかなか儲かりません

売上高総利益率
売上高総利益率とは収益性の分析の一種で、販売している商品の利益率が高いかどうかを示す指標です。粗利益率とも言います。この指標は売上高から売上原価を控除した売上総利益を用いて算出します。

そしてこの指標は高ければ高いほど、望ましいという事ができます。

この売上高総利益率は【売上高総利益率=売上総利益÷売上高×100%】という計算式で求めます。この式はその企業の売上高で売上総利益を除すという構造になっているため、売上高や売上総利益の大きさが異なっていても比較することができます。

例えば、100万円の売上で30万円の売上総利益を確保する企業の場合、売上高総利益率は30%となります。
  • 一概に○%以上とは言えませんが、傾向は重要です
さて、高い方が良いという売上高総利益率という指標ですが、一般的に○%以上あればよいといった風に言う事はできません。

売上高総利益率の水準は、どういった商売を行っているかによっています。例えば、自社で商品を一から製造し、販売しているような垂直統合が進んでいるような事業では粗利率は高くなる傾向がありますし、販売を専門の企業に任せているような場合は、低くなっていきます。

このため、同業他社と比較しても、この数値の水準は異なる事が普通ですし、低いからよくないとは一概には言い切れないのです。

しかしながら、この数値がだんだん低くなっていくような傾向が表れているような場合、営業力、商品力が以前よりも悪くなっている、販売管理が適切でないため、見切り販売による値下げロス、廃棄ロスが発生している等の原因が考えられるので、何らかの対策を採っていく必要があります。

関連用語
売上原価
売上高経常利益率
情報
2015年1月9日

TBD | 先送りは悪い癖ですが、決めるべきことが判っているだけ、ましかもしれません

TBD_001
TBDとは、(to be determined)「今は未定だけど、将来決定する」という事を示す表現です。

現在は未定だけど、後で決定するという事なので、プロジェクト型の案件を実施するような場合に、○○という項目についてTBDとされることがあります。

但し、少なくとも○○についてはTBDと言えるので、決まっていないことがわかっている。何を決めなければならないかは分かっている状態であるという事はできます。

なんだか、『無知の知』(知らないことを知らない連中よりも、知らないことを知っている(無知を知っている)分だけ私の方が賢いと言った、古代ギリシアの哲学者ソクラテスのエピソード)みたいなお話ですね。

もっとも、TBDという言葉が沢山あるような計画書は危険です。但し、決めなければならない、決めるべきことがあるという事はわかっているので、一歩進めて、『いつまでに決定するか』についても決めておけば最悪の事態は避けられるかもしれません。

TBDを文字通り「今は未定だけど、将来決定する」とだけ意識しているのではなく、実際に仕事をしていくうえでは、一歩進めて、「●●については決まっていないけど、○○日までに決定する」と考えておく必要があるのですね。

なお、近い言葉でペンディングという言葉もあります。こちらは保留という意味ですから、決めるべきことが決まっている分だけTBDの方が話が進んでいるのかもしれませんね。
マーケティング
2015年1月8日

顧客エンゲージメント | 顧客の満足ではなく、愛着を得られるように貪欲に製品・サービスの水準を磨くのです

顧客エンゲージメント
顧客エンゲージメントとは、顧客が自社の提供する製品やサービスに強い愛着を持っている事を言います。

エンゲージメント、というぐらいですから、顧客は単なる満足を超えて、非常に強い愛着を自社の提供するサービスや製品に抱いていると言えるのです。

この水準にまで至った顧客は、自社のサービスや製品を積極的に宣伝してくれたり、繰り返しサービスなどを利用してくれたりします。

例えば、あなたが利用していて満足した製品やサービスについて友人に勧めた事はあるでしょうか?もしあるのならば、単なる満足を超えた水準の愛着を感じている製品やサービスならなおさら友人に勧めてみたいと思いますよね。

逆に、もし友人に勧めないとしても、自分だけは継続的にその製品やサービスを利用したいと考えるはずです。

さらに、今日ではWeb上での情報発信が非常に低いハードルで行えるようになっています。そのため、直接友人に勧めないとしても、Web上で発言していわゆる『拡散』に務めたりと愛着を持っている製品やサービスの提供元に取って有利になるような行動をとってくれることが期待されるのです。

関連用語
リテンションマーケティング
LTV
顧客ロイヤルティ 
店舗管理
2015年1月7日

在庫金利 | 金利を考えないと誤った意思決定をしてしまう可能性があります

在庫金利
在庫金利とは、在庫を持つことによって発生する(と見なされる)金利の負担のことを言います。実際に金利が発生していなくとも、発生しているとみなすという考え方です。そして、実際に発生していないので管理会計上で用いられる考え方になります。

この在庫金利には機会費用的な考え方として、在庫に投入している資金を銀行に預金していたら得られていたであろう利息収入を在庫金利と考える方法や、実際に負債として調達していると考えて、その調達金利を在庫金利として考えるような方法があります。

「仕入値が今は安いから、たくさん仕入れておこう」といった意思決定がなされてしまう可能性がありますが、在庫を持っていると見える費用としては倉庫代などの在庫費用が発生します。また、なかなか目立たない費用としてこの在庫金利もあるのです。

いずれにしても、在庫は持っている事自体でコストが発生するのでそれを意識づける事を目的とした考え方です。

このまんがのように、いくら安かったからと言っても仕入れ過ぎてしまうと、在庫金利等の在庫費用が沢山発生してしまい、売上原価は安くなったとしても全体的に見てみると経常利益を圧迫するような結果になってしまいます。
経済学
2015年1月6日

労働分配率 | 賃上げを要求するときには良く聞くキーワードですが、景気が悪くなると必然的に上昇します

労働分配率
労働分配率とは、企業が生み出した付加価値のうち、どれだけを労働者に還元したか、すなわち『労働』者に『分配』した『率』を表す言葉です。

この労働分配率は以下の計算式で求められます。

労働分配率=人件費÷付加価値額×100%

もっとも、この付加価値の計算がくせ者です。この付加価値の考え方はコチラで詳しく解説しているのですが、『企業などが活動した結果、生み出された価値のことを言います。言い換えると、外から買ってきたモノやサービスに、自社が活動することによって付け加えられた価値のこと』を付加価値と言うのですが、これをまずしっかりと求めない事には労働分配率の計算はできないのです。
  • 労働分配率を実際に計算してみよう
さて、労働分配率を具体的に計算してみたいと思います。ある企業が100万円の付加価値を稼ぎ出したとします。

そして、この企業の人件費は80万円だったとします。

この場合、労働分配率は

労働分配率=80万円÷100万円×100
労働分配率=80%

となります。

なお、付加価値の額の中には以下のように必ず人件費が含まれている事も指摘しておきます。(日銀方式)

付加価値=経常利益+人件費+金融費用+賃借料+租税公課+減価償却費
  • 労働分配率を人件費の指標に用いるケースもあります

さて、この労働分配率を人件費の指標に使うという考え方があります。企業が生み出した付加価値のうち○%を人件費として従業員に分配するといった考え方ですね。

この場合、不況期や自社の業績が悪化した場合、分母となる付加価値額が低下することが考えられます。

この結果、労働分配率が向上するので、あらかじめ決めてある労働分配率に戻そうとした場合、人件費を減らすという意思決定になるのです。

但し、人件費といった給与は動機づけ要因・衛生要因という理論では、衛生要因に位置付けられ、満たされないと不満の要因となるが、非常に多くなっても満足をあまり高めないとされています。

このため、単純に人件費を単純に削ると、従業員の士気が下がりさらに業績が悪くなるという悪循環に陥る可能性があります。
経済学
2015年1月5日

資本取引(経済) | 国際的な資本の流れを示す言葉です。同じ言葉で企業会計用語もあります。

資本取引(経済)
資本取引(経済)とは、外国との金融取引を示す言葉で、モノやサービスを媒介とせず、直接に資本のみが動くことを指します。

通常の貿易では、モノやサービスを売り買いすることによってその対価としてお金(資本)が動きます。しかし、資本取引の場合、こういったモノやサービスの対価としてお金を動かすのではなく、直接お金のやり取りをするという事です。

例えば、外国の人と株式や社債などの金融証券を売り買いしたりするものとなります。

この場合、別に財(モノ)やサービスの対価としてお金をやり取りしているわけでなく、単に資本をやり取りしているだけなので、資本の取引(資本取引)としているのですね。
 
また、株式や社債などをやり取りするだけでなく、金融派生商品を用いた取引や、現金の預金、貸付等も含まれます。これから成長が見込める国の企業の株式を購入する、高利回りが見込める債権を購入するといった投資行動をマクロでみると資本取引に分類されるのですね。

なお、このまんがにもあるように、資本取引という言葉は会計でも使います。それはコチラ(資本取引 企業会計)を参照してくださいね。

経営
2015年1月4日

経営方針 | 経営理念と具体的な経営計画の間をつなぐ重要な考え方です

経営方針
経営方針とは、経営理念を実現させるために、どのように行動するかの方針の事です。イメージとしては、企業がどうあるべきかの哲学的な概念である経営理念に対し、その経営理念を実現するために具体的にどのような方向を目指すかといったモノになります。

そして、この経営方針に従って長期経営計画中期経営計画短期経営計画に落とし込んでいきます。

まさに、経営の方針なのですね。

例えば、あるパン屋さんを考えてみたいと思います。このパン屋さんの経営理念が「地域の健康に貢献する」とあるのであれば、経営理念である「地域の健康に貢献する」ために、自社がどのような方向に向かうのかを考える必要があるのです。

何といっても、経営理念だけが漠然としてあったとしても、これをどのように事業活動に結び付けていけばいいのかが分からないですからね。

そこで、経営方針として、経営理念をもう少し具体的にしていくのです。今回の例では「今後、地域で採れる自然の素材を活用していく」といった方向性を決定し、具体的な経営計画に落とし込んでいくこととします。

例えばこの経営方針を元に、「今年は、地元の農家さんの勉強会に参加する」とか「今年は前年比で5%ほど収益性を向上させ、そのお金を原資に研究開発を行う」といった感じの具体的な行動計画を立てていくのです。

こういった意味から、経営理念を元にどのようなアクションにつなげていくかを考えて、言葉にしていくのが経営方針という事ができるのですね。

関連用語
経営計画
経営
2015年1月3日

リストラ | 本来の意味は違うなどと言われても、今更ですし、本来の意味で使っている保証もありませんよね…

リストラ
リストラとは、本来的には再構築といった言葉、restructuringのリストラクチャリングを日本的に略した言葉です。

そして、日本的に略した時に、再『構築』というニュアンスも省略されてしまい、単に人減らし、不採算事業の切り捨てといった要素が残ってしまい、人員削減とほぼ同義語になってしまっています。

本来的な意味では、事業の再構築ですので、不採算事業からの撤退をするのであれば、その撤退で生じた経営資源を今後成長が見込める分野へのテコ入れに用いたりするといった意思決定がなされたりします。

また、合理化策としてリストラという言葉を使うのならば、自社グループの間接業務を各社が行うのではなく、専門の組織を立ち上げて、シェアードサービスを実施する等の方法も考えられます。

このように、リストラ=解雇ではないのですが、どうにも解雇のニュアンスが強くなってしまっているため、本来的な意味のリストラを検討している企業の場合、リストラの言葉を避けるケースもあります。

選択と集中、コアコンピタンスといったキーワードが少し前に叫ばれていましたが、それを実現するための方法論として、『リストラ』というのが、 本来の使い方なのでしょう。しかし、何といっても、生活の糧を得る道が脅かされるといったニュアンスがある言葉なので、「我が社はリストラを検討している」などと言われると士気が下がりそうですからね。
経営
2015年1月2日

安定株主 | 経営が安定するという意味合いですが、どうにも経営陣目線が感じられます

安定株主
安定株主とは、企業の株主の中で、その企業の業績等に左右されずに長期間にわたって株式を持ってくれる(であろう)株主のことを指します。経営者の一族や、当該企業の役員、取引先、従業員持ち株会等が挙げられます。

目先の利益に左右されずに株式を安定的に持ってくれるという株主なので、企業の敵対的買収(敵対的TOBなど)への対策になるといった面があります。

また、経営陣が考えた通りに経営するために、ある程度の議決権を確保することが必要もあり、こういった面でも安定株主は経営の安定に寄与します。経営陣に協力してくれる株主集団という側面があるのですね。

この事を、悪意を持って言い換えると、経営陣に都合の良い株主という事ができるかもしれませんね。そのため、安定株主対策が必要であるとか言われるのです。

但し、近年ではアクティビストというモノを言う株主集団が登場してきており、自ら積極的に影響力を行使し、企業価値を向上させ、インカムゲインキャピタルゲインを獲得していこうという人たちもいます。

この人たちは、長期間にわたって株式を持ってくれるという面では安定株主なのですが、必ずしも経営陣に都合の良い株主とは言い切れないので注意が必要です。

なお、安定株主の確保目標としては、以下のような水準が目指されます。

・総議決権の3分の2の特別決議ができる水準

・総議決権の過半数の普通決議ができる水準

・総議決権の3分の1の特別決議を防ぐことができる水準

もちろん、上に行けばいくほど経営陣にとっては都合が良いのですが、安定株主だけで大きな金額を調達することは難しいという面もあるのでバランスが大切です。
  • 支配権が重要です
さて、この安定株主ですが中小企業の資本政策としては極めて重要な利害関係者となります。

善し悪しは別として、中小企業においては経営者が支配権をしっかりと掌握することが重要となるため、まずは経営者自身が十分な株式数を保有する事が目指されます。

特に最近では事業承継(つまり会社を引き継ぐこと)がフォーカスされているため、社長が3分の2以上の株を持つことが推奨されています。

しかし、必ずここまでの株式保有が上手くいくとは限りませんので、次善の策として安定株主対策を考えていく必要があるのです。

この際の安定株主は、(経営に口を出さない)親族や、(経営に口を出せない水準の保有にとどまる)従業員持ち株会などが候補としてあげられます。

また、取引先などに株式を持ってもらうと言うことも考えられます。

いずれにしても、支配権を十分に発揮するためには、経営に口を出してこない層を安定株主として向かい入れていく必要があります。
  • とはいえガバナンスが効きにくくなります
と、安定株主に多数の株式を持ってもらえばもらうほど良いように書きましたが、物事には善し悪しがあります。

それは株主が経営に口を出さないと言うことは、株主のチェックが働かない経営となりがちといった事を意味します。

その結果、社長が会社を私物化したり、そこまで行かなくとも株主価値を高めるような果敢な投資を行わなくなったりします。

その結果、資本コストを無視したような経営が行われ、企業価値が高まらなかったりします。(長期的に見ると生産性の向上が阻害され、従業員にとっても損をする意思決定です。)

関連用語
経営
2015年1月1日

株式持ち合い | 株式をお互いに持ち合えば、面倒な事を言う株主の影響力を排除できます

株式持ち合い
株式持ち合いとは、株式会社が相互にそれぞれの株式を保有しあっている事を言います。(互いに)株式を持ち合うから株式持ち合いと言うのですね。

そして、事象としては、株式を互いに持ち合っているだけなのですが、この株式を持ち合う事によって様々な効果が表れます。

お互いに株式を持ち合っているので、相互に安定株主を確保できる、取引関係の強化(資本提携と呼ばれることもあります)といった事が図れるという利点があります。

特に、安定株主としては重要で、企業の敵対的買収(敵対的TOBなど)への対抗策や、経営陣にとって都合の悪い株主提案等を否決することにつながってくるのです。

(自分がうるさい事を言うと、株式を持ち合っている相手もうるさい事を言ってくるので黙っていようという発想です。)

但し、株式を持ち合っている状態で、相手先企業の業績が悪化すると、株価の値下がりの影響を受けますし、株式の流動性も低くなってしまいます。

また、株主からのチェック機能が効きにくくなるため(うるさい事を言う株主が少なくなるため)非効率な経営が温存され、長期的に企業価値が損なわれる可能性があるという可能性もあります。

さらに、一般的には株式持ち合いの株式は、収益性がそれほど高くないので、収益率を引き下げ、自社のROAROEに対して悪影響を与える可能性が高いといった問題もあります。
 
株式持ち合いで安定株主対策をしていたと思いきや、そこをアクティビストに指摘される可能性もあるのですね。(一般の株主にとっては、経営陣の都合で収益率が下がっている状況は望ましくないですからね。)
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