稼働分析とは、人や設備の稼働状況を調査・分析し、生産性向上に役立たせる取り組みのことを言います。
何にどれだけの時間をかけているかを調査し、その比率を見る事で改善に役立てるといったイメージです。
この稼働分析の目的はあくまで生産性の向上となります。そしてこの生産性の向上という大目標を達成するために以下のような事をやっていきます。
1.人や設備が稼働していない時間を減らす
2.もっと詳しく分析して、重点的に改善すべき部分を明らかにする
3.作業の標準時間の設定をしていく
■意外と無駄な時間がある?
稼働分析をしてみると、人や設備が正常に稼働していると思っても、実際に調査・分析してみると意外と稼働していない時間があったりします。
いわゆる手待ち時間のほかにも、人が移動している時間であったり、設備が段取り作業などで停止している時間などがあり、稼働していない時間というのは意外にたくさんあるモノなのです。
こういった稼働していない時間は基本的に付加価値を生みませんので、なるべく削減していくのが望ましいと言えるのです。
■稼働分析をする際の時間分類
稼働分析をということは、稼働しているかどうかをまずは把握する必要があります。
そのために、まずは以下の3種類に分けて分類してきます。
1.価値時間
付加価値を生んでいる作業を行っている時間です。直接加工している時間などが該当します。
2.付随時間(準備時間)
直接付加価値を生んでいませんが、付加価値を生むための準備などをする時間です。段取替えの時間などが該当します。
例えば、なるべく段取替えを内段取りではなく外段取りにすれば機械を止めずに済みますので、付随作業の時間を減らすことができます。
3.無駄な時間
付加価値を生んでいない、明らかに無駄な時間というのもあります。例えば、手待ち時間。前工程の加工が遅れていてぼーっとしている時間や、材料が届かない時間などが該当します。
また、冷静に工程を観察すると意味のない作業が紛れ込んでいる可能性もあります。例えば、Aという材料を不必要に動かしていたり、作業上必要ないのに、場所を動かしているなどです。
また、典型的な無駄な時間としては探すといった作業です。探している時間は価値を生じていませんので削減する必要があります。
この時間に分類されるような活動は、どうにかして削減する必要があります。例えば、必要な道具や材料を整頓しておけば、探すと言った作業はなくせます。そして削減できれば、その分だけ生産性が改善します。
忙しいよー忙しいよー
どうしたんですか?走り回っちゃって?
忙しいから忙しいのよ。売り場を走り回って、あちらこちらから商品を集めて、配達しないといけないから…
ファンシーショップで出前なんて聞いたことがありませんが…でも、どうして売り場を何度も往復しているんですか?
はっ!たしかに、よくある注文の商品をレジのそばに置いておけば改善するかも知れないわね。
■定義が重要です
さて、この稼働分析をする際には分類をしていくと上で書きましたが、どのような作業がどの類型に分類されるかを最初に決め得ておく必要があります。
何が価値時価にあたり、何が無駄な時間なのかを明確にしておかないと、稼働分析をするたびに結果が変わってしまい、どれだけ改善したかを把握することができなくなります。
このようにしっかりと定義して置かないと、価値時間(稼働時間)と無駄な時間等(非稼働時間)がどのくらいの割合なのかが分かりませんので、改善ができません。また改善後の効果測定もできません
そのため、稼働分析を行う際には定義が重要となるのですね。
■稼働分析は製造業だけではない
この考え方は、製造業の専売特許ではありません。特に飲食店など加工の要素がある業態の場合は業務に無駄がないかどうかを考えることは、事業の改善につながります。
調査手法
解説で出てきた用語・関連用語
内段取り
手待ち時間付加価値
生産性