まんがで気軽に経済用語

「知らないから動けない」をなくしたい。 中小企業診断士が、現場視点で経営用語をまんがでわかりやすく解説しています。 読むことで、生産性が上がり、心に余裕が生まれ、社会全体がちょっと良くなる。そんな循環を目指しています。

2013年11月

店舗管理
2013年11月28日

定温倉庫 | 一定の温度で保存することに意味があるのです

定温倉庫
定温倉庫とは、温度や湿度などが変化することによって品質が低下するような商品を、一定の温度や湿度で保管することが可能となる倉庫のことを言います。英語ではfixed temparture warehouseと表記されます。

一定の温度でモノを貯蔵することができるので定温倉庫と呼ばれているのです。(一定の温度→定温というわけですね。)

そして、同じ読み方の日本語に低温倉庫というものもありますが、こちらの定温倉庫は一定の温度でと言っているだけで、別に低い温度を要求されているわけではありません。また、こちらはlow temparture warehouseと表記されます。

さて、この定温倉庫はどういったモノなのでしょうか?一定温度と言っても、イマイチわかりにくいですよね?

例えば、お米などを収穫後どのようなところに保存しておくと思いますか?もちろん、野ざらしというわけにもいかないので、倉庫にしまっておきますよね。

では、その倉庫は温度管理がなされていない、暑い日は40度を超え、寒い日は氷点下まで下がるような小屋みたいなところでしょうか?

また、湿度も管理されていない様な所で、条件次第で結露を起こしたりカラカラに乾燥するようなところに置いてあるのでしょうか?

なんだか、そんなところに保存していたら、表面が割れたり、最悪の場合カビが生えたりして、たちまち美味しくなくなりそうですよね?

このため、一定の温度や湿度に保たれた定温倉庫に保存されることがあるのです。

そして、この定温倉庫は摂氏10度から20度程度の一定の温度で保存するというイメージで、商品に適合した一定の温度で貯蔵するというものになります。

上記のお米以外では、コーヒーとかフルーツなどがこの定温倉庫で保存されます。また、ワインなどもこういった倉庫で保存されます。

どれも、冷やしておく事はないけれどもちゃんと温度管理をしておきたいような商品ですよね?
店舗管理
2013年11月25日

低温倉庫 | 低い温度で保存する倉庫ができて世の中が変わりました

低温倉庫

低温倉庫とは、生鮮食品などを外気より低い温度で保管し品質を長期間維持するための倉庫です。
この記事では、低温倉庫の仕組みや導入効果、価格安定や食品ロス削減への役割をわかりやすく解説します。

<簡単な説明>

低温倉庫とは生鮮食品のように、品質を保つためには低い温度で保存する必要がある商品を、外気よりも低い温度で貯蔵する倉庫のことを言います。

この低温倉庫は、倉庫内部を外気よりも低温に保つため、エアカーテンや防熱扉などを設置し、倉庫内部の温度を低温に保つように配慮されています。

さて、このような低温倉庫の存在により、従来は保存の難しかった生鮮食品を保存することが容易になりました。

このため、農産物が収穫されたり、水産資源が採取された後、ある程度の期間は品質を保ったまま保存することができるようになり、生産者側のみならず、消費者側も価格が安定するといった効果を享受するようになりました。

大げさな言い方をすると、低温倉庫が誕生して世の中が変わったのです。 

■低温倉庫のエネルギー管理とコスト最適化

このような重要な低温倉庫ですが、低温倉庫をずっと冷やし続けるには、たくさんの電気が必要です。

しかし、電気代などのエネルギーコストは倉庫の収益性を圧迫する要因になってしまいます。電気代が高すぎるとお店や会社は困ってしまいますよね?

そのため、低温倉庫は冷却機器の稼働時間や能力を制御するためにIoT温度センサーなどを活用しています。これによって外気温や庫内温度の変動に応じて冷却負荷を最適化し、電力消費を削減します。外の温度や天気に合わせて冷やし方を調整するイメージですね。

さらに、庫内の断熱性能向上(高断熱パネル、低放射ガラス)、エアカーテンによる冷気漏れ防止、蓄冷材の活用などによりピーク時電力を抑制する工夫も随所に存在します。

このような設計の結果として、運用コスト低減と温室効果ガス排出削減を同時に実現できます。

■低温倉庫とコールドチェーンの関係

低温倉庫と言うと、コールドチェーンという言葉を連想する方も居ると思います。

この、コールドチェーンとは、「冷たくしないといけないものを、冷たいまま運ぶ仕組み」のことです。生鮮食品や医薬品など温度管理が必須の製品を、製造・加工から消費まで一貫して低温で流通させる仕組みのことなのですね。

たとえば、お刺身やアイスクリームは温度が上がるとすぐに品質が落ちます。また、一部の医薬品なども常温になると品質が落ちてしまいます。

低温倉庫はこのコールドチェーンの中間拠点として機能し、産地から市場、加工場から販売店への中継時に温度を維持する機能を担います。

特に国際物流や広域配送では、冷蔵トラック・冷凍コンテナなどの輸送手段と低温倉庫の組み合わせが必須となります。

低温倉庫が存在しないと、工場や港からお店までの間でずーっと冷蔵トラックで運び続ける必要が出るため効率が悪くなってしまいます。

■低温倉庫と中小企業の活用

このようなとても効果的で有効な低温倉庫ですが、建設・運営コストがとても高くなります。(ただの倉庫だけでも大変なのに、温度管理機能まで必要になるのですから高くなるのもある意味当然です)

そのため、中小企業が単独で所有・維持するのはかなり難しいですし、そのような経営判断はいわゆる「社運をかける」レベルの重い判断になりがちです。

他方で、低温倉庫の規模はエネルギーコストに跳ね返ってきます。大きな倉庫と比較して中小規模の倉庫は体積に比べて壁や天井の面積の比が大きくなるため、冷気が流出する比率が高くなります。その結果、冷やし続けるエネルギーコストが高くなりがちです。

いわゆるスケールメリットが重要となってくる設備ですので、せっかく整備を行っても、コスト競争力は確保しにくいのです。

そのため、自治体や漁協・農協などが運営する共同利用型低温倉庫が各地で整備されています。

これにより、生産規模が小さい事業者でも鮮度保持技術を活用でき、販売可能期間の延長や販路拡大(遠隔地への出荷)が可能になります。

そのため、中小企業においては低温倉庫を整備する側ではなく利用する側に回って、どのように活用するかを考えるほうが現実的であると考えられます。

■低温倉庫の防災・停電リスク対策

低温倉庫は結局は電気だよりとなります。そのため、停電になったり、機器が故障すると中の温度が上がってしまい保管している商品が一気に毀損するリスクがあります。

そのため、事業継続計画(BCP)の観点からは非常用電源を備えておくことや機器の多重化(このあたりはITと発想がそっくりですね)が重要となってきます。

特にコールドチェーンの場合、低い温度が保たれていても(仮に氷点下だったとしても)、定められた温度を超えた段階でOUTになりますので、これらの対策が必須となってきます。

長期間の停電への対応は難しいかもしれませんが、IOTを活用した温度監視などを組み合わせることでこれらのリスクを低減することが可能となってきます。

また、近隣の低温倉庫との相互利用協定を結んでおいて、災害発生時の代替策を整えておくのも有効となってきます。


関連用語
定温倉庫
財務・会計
2013年11月21日

獲得資本 | 資本も獲得することができるのです

獲得資本
獲得資本とは、企業が本来の活動によって生み出した利益からなる自己資本の増加分事を指します。

例えば、期首に総資産1000万円、負債600万円、純資産400万円の企業があったとします。
その企業は会計期間を通じて努力した結果、期末には総資産1100万円、負債600万円、純資産500万円となったとします。

このような際に、純資産の増加分100万円が獲得資本のイメージとなります。

具体的な勘定科目としては、利益準備金やその他利益剰余金などがあげられます。

となんだか難しめに書いていますが、簡単に言うと、文字通り、事業を行った結果本業で獲得してきた資本金といった感じですね。

■他の自己資本との違いは

自己資本は会社を営むための「元手」ですが、簿記をちょっとかじった方は資本の掲載されている「純資産の部」は色々と記載が別れていることに気がつくと思います。

このように、わざわざ分けて書くからには違いがあるのです。

まずは出資者から直接払い込まれた資本である「払込資本」があります。これは出資者が出資してくれたお金にあたり文字通りの意味で元手となります。

また、資産の評価替えで生じる「評価替資本」といったものも存在します。

そして、本業を頑張った利益の蓄積で形成されるのが今回のテーマである「獲得資本」になります。

獲得資本は本業の頑張りで蓄積されるものなので企業活動の成果の歴史が詰まっていると言うことも可能です。無味乾燥な貸借対照表かも知れませんが、よく眺めてみると、資本金と一言で言っても色々な性質があることが見えてくるのです。

関連用語 
受贈資本
財務・会計
2013年11月20日

受贈資本 | 他者から贈られた資本ってどういう事でしょう?

受贈資本
受贈資本とは、企業が外部から資産を提供される事や債務の免除を受けることによって、発生する自己資本の増加部分の事を言います。

例えば、総資産1000万円、負債600万円、純資産400万円の企業があったとします。

この企業に債権を持っている債権者が「あの借金200万円はもう返さなくてもいいよ…」という意思表示をしたとすると、どうなるでしょうか?

総資産1000万円は変わらないですよね?(借金を免除されても、手元の現金などは増えないですよね?)

でも、負債は600万円から400万円に減少します。

この時、純資産は200万円増えて、600万円になります。(総資産から返さなければならない負債(他人資本)を差し引いた部分が純資産(自己資本)となります。)

そして、この増加した200万円の部分を受贈資本と言うのです。贈られた資本といったイメージですね。

■資産をもらった場合に生じる受贈資本

この他にも、資産を無償譲渡された場合にも発生します。例えば、地方自治体の誘致に応じたことによる土地建物の無償譲渡や、親会社などからの資産移転等が該当します。

どちらの場合も、会社にとっての資産は大きくなりますよね。


ところで、そして実は貸借対照表の右側、負債の部や純資産の部は資産の調達源泉を示しています。

では、無償でもらった資産については負債でしょうか?それとも純資産でしょうか?少なくても誰かに後で返さないといけない義務は存在しませんよね。その意味で純資産(資本)に該当するのです。

そして、もらった資本なので、湯受贈資本ということができるのです。これは最終的には債務免除と同様の位置づけとなります。

関連用語
払込資本
評価替資本 
獲得資本
財務・会計
2013年11月18日

評価替資本

評価替資本
評価替資本とは、企業が保有している資産を評価替えすることによって発生する、自己資本の増加部分の事を言います。

例えば、取得原価が100万円分の資産を持っていたとします。貸借対照表上はそのままでずっと計上していたのですが、評価替えをする必要が出てきたとします。

この際、現在の時価では500万円になるとすると、差額の400万円が資本金の評価益となります。そしてこの評価替えによって発生した自己資本の増加分を評価替資本とするという考え方があるのです。

この場合、株主が「商売の元手を出すよ」といって出資するようなケースではなく(払込資本)もともとあった資産の評価額が変わって、結果として純資産の部分が増えるというイメージですね。

■評価替え資本の特徴

貸借対照表上は評価替え資本文だけ増えますが、お気付きの通りこのお金は内部留保のように見せかけ場のお金しかありません。

例えば、お家を100万円で買ったとして、しばらく経ったら値上がりして500万円の価値が出たとします。その場合でも、財産目録的な貸借対照表を作れば純資産は100万円が500万円に増えた分だけ財産は増えます。

しかし、その差額の400万円は実際に家を売らないと使うことができません。これと同じように、純資産が増加したとしても現金が増えるわけではありませんので、配当原資とはなりえません。

このように、評価替え資本は見かけ上の資本の増加であるというところに注意が必要です。しっかりと配当可能だったり、その他に活用することができる現金収入とはわけて考える必要があるのです。

関連用語
受贈資本
獲得資本
財務・会計
2013年11月17日

払込資本 | 株主が実際に払い込んだ部分を払込資本というのです

払込資本
払込資本とは、資本金のうち株主によって出資されて生じた自己資本の増加額の部分を言います。また、別の言い方では拠出資本金とも言います。

具体的に言うと、資本金の部分に資本剰余金(これは『資本準備金』と『その他資本剰余金』からなります)を加えた部分がこの払込資本とされます。

さて、簿記を学習した事のある方ならなんとなく、「ああ、そういう事ね」と分かってもらえるかもしれませんが、一般的にはどういう事かよく分かりませんよね?
  • そもそも資本金って
資本金とは、資金の調達源泉のうち、自前の資金(返さなくても良いお金)になります。この反対に、他人から調達して来て返済の必要があるようなモノを負債(他人資本)と言うのです。

そして、その自己資本は大きく分けて、『株主が払い込んだお金』と『稼いできたお金』に分けられます。

このうち、『株主が払い込んだお金』は「今度商売を始めるんだって?だったら100万円出資するよ」といった感じで、株主から払い込まれた商売の元手といったイメージとなり、『稼いできたお金』は「一年間頑張って、200万円の利益が出たよ」といった感じの稼いできた部分になります。

この会社の場合、元手が100万円で、稼いできたお金が200万円なので、300万円の自己資本を持っているというわけです。

そして、このうちの元手部分(株主が出資した部分の100万円)が払込資本の当たるのです。

と、いろいろ書いていますが、結局のところ「株主が払い込んだ資本金」なので『払い込み』資本なのですね。

関連用語
受贈資本
獲得資本
経営
2013年11月16日

リクープ | 何かを取り戻すといった感じの言葉です

リクープ
リクープとは、費用や当初の出資分などを回収するといった意味合いの言葉です。英語ではrecoupと表記され、取り戻すといった意味の単語なのですね。

と、なんだかあいまいな感じですね。まあ、こういった言葉は正確な定義はないので、使われる文脈からどういう意味で使われているのかを判断するしかない感じです。

この言葉は、損失を取り戻すという意味合いで使われることもありますし、出資した分が返ってくる(返す)という意味合いで使われる事もあります。

例えば、100万円出資したあるプロジェクトが上手くいって、当初の出資金分が回収できたとします。そういった際に「あのプロジェクトはリクープできたよ。」などと使われたりします。

いずれにしても、聞きなれない言葉が出てきたり、自分の知っている使い方とニュアンスが異なる使われ方をしている場合、それとなく、どういった意味合いでその言葉を使っているかを確認しておくと良いと思います。

■リクープの使い方と注意点

リクープという言葉は映画やイベントなんかで使ったりします。お金を取り戻すという使い方ですから、投資額を取り戻すと言った文脈で使います。

例えば、制作費300万円の演劇の舞台なら、作成費をリクープしたなんて使ったりします。こういったビジネスは基本的には売上≒貢献利益となりますので(売上原価はほとんど発生しない)売上を制作費と同じだけ上げれば投資が回収できたと考えていいのですね。

とはいえ、定義があやふやな言葉ですから、人それぞれのリクープ基準ができてしまいがちです。そのため、リクープという言葉を収益分配時のトリガーとすると問題が生じがちです。

そのため、「リクープできたら収益を配分する」なんてあやふやな言い方ではなく、「利益が出たら配当します」などと由緒正しい誰でも計算できる基準を用いるといかも知れませんね。

経済学
2013年11月13日

選択的消費 | 選択の余地がある消費行動の場合、人はどのように行動するのでしょうか?

選択的消費
選択的消費とは、個人の判断で調整することができる支出の事を言います。

簡単に言うと、食費や家賃など生活を営むために最低限必要な支出ではなく(食事をしない事や住居に住まない事は通常はできませんよね?)、生活を営むために別に必須ではない支出といったイメージです。

この選択的消費の例としては、教養のために読む本に支出するとか、世界遺産を見るために日光へ旅行するために支出するといった事です。(とても大切な支出ですが、なくても当面の生活はできますよね?)

そして、こういった支出には一つの特徴があります、というのは、支出するかどうかについては選択の余地があるという事です。

読むための本を買うかどうかは、個人の意思で選ぶことができますし、日光に旅行に行くか、軽井沢にいくか、それとも旅行に行かないかも選択することができます。

という事は、所得水準が低下した際には、こういった支出からどんどん削られていくという事もできます。

収入が減少し、支出を抑えることが求められた場合、どのような支出から抑制しますか?食費とか家賃が抑えられたら良いのですが、こういった支出は抑制しようがないので(こういうのを基礎的消費と言います。エンゲル係数なんかが有名な指標ですね)選択的消費である、旅行とか書籍といった費用から抑制されるのです。

■景気が悪くなると減るのが選択的消費です

この選択的消費は景気が良くなればどんどん増えていきます。どんなに景気が良くなっても米やパンの消費量はあんまり変わらないですよね。(好景気だから米を2倍食べる人なんかあんまりいませんからね)

でも、選択的消費としての贅沢消費はどんどん増やすことができます。

でも逆に考えれば、景気が悪くなればこの種の選択的消費は削られる運命です。景気が悪くなって生活を防衛しないといけなくなった場合、使っても使わなくてもいいような消費を抑制するのが堅実な消費者だったりします。

その意味で旅行業などは景気敏感株だと言われたりするのです。景気が悪くなれば一気に消費が絞られる分野だと考えられますからね。
経済学
2013年11月12日

基礎的消費 | 最低限を生活を営む上で必要な基本的な消費です

基礎的消費
基礎的消費とは、最低限度の生活を営む上で通常は必要となる消費のことを言います。英語ではbase consumptionと表記されます。

「最低限度の生活を営むための消費?」と思われた方もいるかもしれませんね。というか、最低限度の生活を営むための消費ですから、具体例を挙げていった方が分かりやすいかと思います。

例えば、生活していくうえで最低限必要な食品(食べないと生きていけません)、水道光熱費(水道や電気のない家には住みたくないですよね?)、住居費(家賃とかを払わないと家から追い出されます)、被服費(裸で暮らすわけにはいきませんからね)といったモノです。

簡単に言うと、生きていくうえで通常は必ず消費する必要があるモノのことを言います。
 
そして、このような消費は、たとえ所得がゼロであっても、消費が行われるのです。企業でいうところの固定費に近い考え方ですね。

■基礎的消費は変動します

生活必需品という言葉から、これに分類される消費は普遍的であるような気がします。例えば、上で述べていた食品や水道光熱費、住居費、被服費は基礎的消費であり続けたし、これからもあり続けると考えられますよね。

でも、冷静に考えてみれば水道光熱費、特に電気の消費はどうでしょうか?電気を利用できない時代が長くありましたよね。そのため、電気が基礎的消費でない時代がずっと続いていたのです。

また、文化的にも基礎的消費が規定される場合があります。例えば、外出するときに必ず私達は靴を履いています。そのため、靴の費用は我々には基礎的消費となります。

しかし、靴をはかない文化圏の人たちがいればその人達にとって靴は基礎的消費にはならないのです。

これと同じように、インターネットや通信は今や社会参加に必要不可欠と見られています。その結果、基礎的消費に近い扱いを受けているのです。

このように、基礎的消費は動的に動いていく概念なのですね。

関連用語
選択的消費
マーケティング
2013年11月9日

経験的消費 | 体験とか経験したことによって生まれる感情が大切なのです

経験的消費
経験的消費とは、消費者が商品やサービスを消費する際に、それを使用することによる感情面での効用に着目した消費行動のことを言います。

感情面といった言葉が入っているように、機械のスペックが優れているといった風な客観的な事柄が重要なのではなく、商品やサービスを消費した際に受ける感情面の主観的な事柄が重要であるという考え方です。

例えば、あなたが車を購入しようと考えているとします。この時、一つの考え方としては「エンジンが強力で300馬力で…」とか、「燃費が良くてリッター30キロは楽に走るよ…」といった風にスペックに着目する選び方があります。

一方、「この車に乗るのが非常に楽しかった」とか、「自分の美意識に合致した美しい車である」といった風に感情面を重視して選択するような選び方もあります。

このような選び方をする場合、実際に車に乗るという体験(経験)によって生まれる感情を大切にして商品を選んでいると言えますよね?

そして、このような選び方は、経験とか体験した際に生まれる感情を大切にする消費行動なので、経験的消費というのです。

■物質を消費する場合との違い

実際には物質も消費しますが、経験的消費と物質的消費の違いをちょっと整理します。

物質的消費は物自体に重要性を求めます。モノを持つために行う買い物といったイメージで、所有する喜びを追求します。その場合スペックや機能を重視していくのですね。そして、この物質的消費が一般的に考えられている消費行動になります。

これに対し、経験的消費は体験を楽しむために行う買い物といったイメージです。同じスペックや機能でも、物語性を楽しむ場合は感情的価値を持つので経験的消費になります。

趣味の世界では、スペック自体が物語性を持つケースが多く(最新型のグラフィックボードなんか、ロマン枠で多分実用性はほとんどの人は必要としないスペックですし、1960年当時世界初の〇〇を実装したカメラレンズというスペックも今となってはロマンを掻き立てる以上のものとしての価値は薄いです)その意味でスペックを見るならば経験的消費となります。

経験的価値は顧客の幸福度と巣日つきやすいとされていますので、商品を提供する際にこういった物語や感情的な価値を付け加えることが出来ないかを考えると商品の価値が上がるので望ましいです。

特に中小企業においては、生産量が少数になるといった弱点も、希少性といった物語を付与できれば強みとなるわけですから。

関連用語
シックスポケット

マーケティング
2013年11月8日

意味的消費 | 人は何らかの意味に価値を感じて消費活動を行う場合があるのです

意味的消費
意味的消費とは、消費者が商品やサービスを消費する際に、そのもの自体の実用的価値に着目するのではなく、自ら意味付けをしたものに対して消費活動を行うというものです。
 
このような消費行動を記号的消費とも言います。

今日では商品は非常にたくさん存在しています。そのため作れば売れるといった感じの生産志向の考え方は完全に時代遅れになっています。

作れば売れるという時代ではないという事は、何か売れるための理由付けが必要となります。

この理由として、品質であったり使用価値であったり、価格と価値のバランスであったりといった要素に着目し、それらの要素が他の商品より優れたものを選ぶという考え方があります。

このような考え方は、商品自体の価値に着目して消費行動を行うという発想が基になっています。このような捉え方は。良いものを作れば売れるという製品志向に近い捉え方ですね。

これに対して、モノの持つストーリーなどに着目して消費活動を行う場合もあります。例えば、皇室御用達の○○といったモノに価値を見出すといったイメージです。

この種の商品は、必ずしも商品の品質が抜群に優れているわけではありません。(世の中には知られていない名品というものもたくさんありますからね。)

しかし、このような商品を購入する人たちは、皇室御用達という意味付けに価値を見出して購入しているわけです。

■現代における意味的消費

近年では消費活動自体に意味を見出すといった人が増えています。「環境にやさしい商品」や「地域の持続可能性に貢献する商品」さらに最近多いのは「推しを応援するための消費」でしょうか。

この記事を最初にかいた2013年時点では「推し活」などはあまり一般的ではなかったですが、2025年現在においては一般的な活動となっています。その意味で意味的消費はどんどん増大しているということができるでしょう。

いずれにしても、消費活動を通じて、モノそのものの価値だけではなく、想いなどを大切にした消費活動です。そして、この種の消費活動は通常の消費活動よりも、より効用が高いと考えられます。

さて、事業者さんも、この種の消費者の消費行動を企業活動に生かすことが重要となります。特に小規模・中小企業においては商品提供数量が少なめになるのですが、「想いを込めて作っている」ととらえ方を変えられれば、意味的消費をとらえる力になります。

ぜひ、ご自身の商品やサービスにかける「想い」を発信してみて下さい。思いがけないところから賛同者が表れて熱心に応援してくれるかもしれませんよ。

マーケティング
2013年11月7日

記号的消費 | 記号論とかボードリヤールとか言うとちょっと賢くなった感じがします

記号的消費
記号的消費とは、商品やサービスを消費する際に、そのもの自体の実用的価値ではなく、社会的な意味付け『記号』に価値を見出して消費を行う事を言います。

例えば、あなたが車を購入しようと考えているとします。その際に、「車の価値は安全に目的地にたどり着けることだよね。」と考えていたとすれば、別に中古であってもデザインが微妙であっても、かまわないと考えるはずです。

このような場合、商品の実用的な価値に目を向けていると考えることができますよね。

一方、「○○というメーカーのクルマは、職人が…で、そもそも19世紀に…、また、デザインも…」といった風に個人の趣味や嗜好、こだわりなどに合致することに価値を感じて購入するような場合もあります。

こういった『こだわった』車は、しばしば通常の車よりも高額となりますが、商品の実用的な価値に大きな差異はあるでしょうか?

言い換えると、『安全に目的地に着く』という実用的な価値が、追加に支払う価格に見合うほど向上しているでしょうか?一般的にはそんなことはないですよね?

しかし、このような社会的な『記号』があるような商品は高く販売されます。そして、このように、『記号』に着目した消費を記号的消費と言います。

これに対し、消費の意味にこだわった消費行動を意味的消費といいます。(エコに価値を感じて多少高くても燃費の良い車を買うなどの消費行動のイメージです)

■現代における記号的消費

現代においては、記号的消費はより身近になっています。というよりもSNSを通じた消費は味ではなく、「流行り物」、「オシャレ」、等といった記号的な価値を求めていると整理すると企業側の売り方も変わって来ます。

ハイブランドのバッグなども、実用的価値はもちろんのことブランドという記号が重要となってきます。

その意味で、いくら知名度があったとしても一般的な価値観で眉をひそめられかねないような分離集団となりがちな人たちを広告塔にしてしまうと、記号的価値が損なわれると言ったマイナス面も出てきます。

■中小・小規模事業者の勝ち筋

中小・小規模事業者においては一般的に供給量が僅少になるといったマイナス面を抱えています。しかし、記号的消費の文脈から整理するとその希少性が記号となり得ます。

どのような記号が自社の経営資源で実現できるかを検討し、うまく記号をSNSで発信できれば通常よりも高価な価格設定でも十分に売ることができるのです。その意味で、差別化が行いやすい時代になりつつあるということができますね。

■記号的消費とマーケティング戦略の関係

視点 従来の消費 記号的価値に基づく消費 マーケティングの観点
購買動機 商品の性能・機能・価格 商品の象徴性や「持っていることの意味」 広告では「性能」だけでなく「体験・物語」を強調する
商品例 日用品、生活必需品 高級ブランド品、SNS映えする飲食物、希少な一点もの 機能ではなく「記号づけ」で差別化
価格設定 原価+利益 希少性や社会的評価により高額化が可能(むしろ高いほうがいいまである:ヴェブレン効果 小規模事業者は「希少性」が有効
消費者 コストパフォーマンス重視 自己表現・ステータス重視 ターゲット層ごとに訴求方法を変える
SNSとの相性 便利さ・コスパで拡散 写真・動画映えで「象徴性」が拡散 SNS戦略は記号的消費を意識して設計する

関連用語
スノッブ効果
マーケティング
2013年11月4日

快楽的消費 | 消費活動そのものに楽しみを見出す事があるのです

快楽的消費
快楽的消費とは、消費する事自体が目的となっているような消費活動のことを言います。
 
消費活動というと、何かの必要があって家具であったり、クルマ、雑貨類を購入するといった事を思い浮かべることが多いと思います。

例えば、箸を買うのは、ご飯を食べるためであり、車を買うのも移動手段を得るためという事が主目的であるという事です。

このことは、消費財を購入するにしろ、耐久消費財を購入するにしろ、消費そのものを目的としているのではなく、そのモノから得られる便益が大切なのであると言った感じの考え方になります。便利さとかを買うといったイメージですね。

しかし、果たして本当にそれだけしょうか?そういう考え方では、映画を見るであったり、スポーツ観戦して贔屓のチームを応援するといった行動を説明できるのでしょうか?

こういった疑問に対して、「決して実用性だけではなく、イメージとか感情も重要だよ。消費自体が目的となり、消費すること自体で便益を得られるような消費も考えられるよ。」という考え方が生まれてきました…と、なんだか難しく書きましたが、簡単に言うと「『楽しみとしての消費』もあるのではないの?」という事です。

例えば、映画を見るのも、スポーツ観戦をするのも、楽しいからそうするのです。また、別に使いもしないような雑貨を購入するのも買う事が楽しいから購入するのです。

このように、消費自体を楽しむという事を快楽的消費と呼ぶのです。
マーケティング
2013年11月3日

誇示的消費 | 高いものを見せびらかしたい!という消費行動が存在します

誇示的消費
誇示的消費とは、自らがお金持ちであると示すために(見せびらかすために)行う消費行動のことを言います。衒示的消費とも言います。

例えば、ステータスシンボルであると考えられているような高級車を、必要性よりもむしろ、周りに見せびらかしたいという意図で購入するような感じです。

「見せびらかすためにワザワザ高いものを買うの?悪趣味だね…」と考える人もいるかもしれませんが、世の中には多様な価値観があるのでそういった消費行動を行う人もたくさんいるのです。

そして、このような価値観を持っている人が沢山いるため、あえて高くすることで高級感を出し、価値を高めるという威光価格といった価格戦略も効果を持ってくるのです。

さて、世の中には上流階級と呼ばれる人たちがいます。かつては地域社会や国家の指導者層を形成し、生活を維持するための労働から自由になれるほどの富を持っている人たちです。

こういったいわゆる上流階級の人たちは、自らの社会的名声を維持・拡大するために誇示的な消費活動を行ってきました。(そういった活動が文化を作り上げてきたという面もあります。)

そして、現代ではこういった消費活動は社会的な階層に関わらず、広く実施されていくようになると考えられています。

例えば、あまり生活に余裕のない人でも、いわゆるブランド品を購入するといった消費活動を行う人は沢山いますよね。

このような消費行動を誇示的消費と呼び、決して富裕層に特有の消費行動ではなく、広く行われている消費行動なのです。
マーケティング
2013年11月2日

ファッド | 一時的に爆発的に流行るという現象のことを言います

ファッド
ファッドとは、一時的な流行や、一部の人たちだけに受け入れられる流行のことを言います。英語ではfadと表記されます。

イメージとしては、一瞬だけ流行ったような商品のことを言います。そして、一瞬だけの流行ですので、特に重要ではない流行の事を言います。

時代を作った流行といったモノがあり得ると思います。例えば、『たまごっち』とか『ビックリマンチョコ』のように、社会全体で議論を引き起こすような大きな影響力を持ったような流行です。

これに対してファッドは、「理由は分からないけど、クラスの中で一瞬だけ流行ったよね…」といった感じに、短命に終わり、また社会的にも全然重要ではないような流行のことを言います。

このファッドを企業側からの視点で見るのならば、通常の商品のように、導入期、成長期、成熟期、衰退期といった風に製品ライフサイクルの考え方に沿って需要が推移するのではなく、大きく成長して、短期間でいきなり衰退するといった感じとなりますね。

■ファッドとトレンド、ブームの違い

ファッドは一瞬だけの流行りです。これに似た言葉でトレンドやブームがあります。

ファッドはクラスで数日だけ流行る遊びのようなイメージです。これはあんまり売上には繋がらないので重要ではないとされます。(ただ、これから述べるブームやトレンドと『事後的』にしか区別できないのが問題なんですけどね)

それでは、以下似たような言葉をまとめて整理してみます。

区分 ファッド(Fad) ブーム(Boom) トレンド(Trend)
特徴 一時的・爆発的に流行してすぐ消える
流行った理由が不明
急速に冷める
比較的長い流行 社会的な大きな流れ
期間 数日〜数週間 数カ月〜数年 長期的
(5年以上続くことも多い)
一発屋の遊び・一瞬の流行語 たまごっち、ビリーズブートキャンプ SDGs、健康志向など
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組織論
2013年11月1日

サテライトオフィス | オフィスが自分の家の側に来たらうれしいですよね

サテライトオフィス
サテライトオフィスとは、本来の事業所から離れた遠隔地に、設置された最低限の機能を持った事務所のことを言います。

現在では、情報技術の進歩で、距離が離れていてもあたかもその場にいるようなオフィス環境を整えることが可能となっています。

例えば、日報の提出などは、情報システムを使えばどれだけ離れていても即時に行う事ができますし、チーム内の日程調整なども同様にどこからでも可能となります。

こうなってくると「あれ、ワザワザ都心のオフィスに沢山の時間をかけて毎日出社する必要なんかないのではないか?」という考え方も出てくるのですね。
  • 働く人にとって
働く人にとっては、多大な時間を費やし郊外から都心まで電車に揺られてやってくることは負担になります。

郊外にサテライトオフィスがあって、基本的にそこに出社すればよいとなれば、通勤の負担が軽減されて疲労感も減りますよね。
  • 企業にとっては
企業にとっても、このサテライトオフィスが上手く運用できれば効果的です。例えば、従業員の疲労感が軽減されればより生産的になってくれるかもしれませんし、有能な従業員に長く務めてもらう事もデキるかもしれません。

また、従業員の多くの人を都心のオフィスに出社させることと比較して、都心のオフィスの面積は小さくてよくなります。

こうなれば、企業全体で、働くスペースを確保するためのコストを削減することができるのです。(都心と郊外なら、郊外の方がスペースあたりの単価は安くなりますからね。)
 
更に、BCPにも役立つかもしれません。本社機能がマヒしても、郊外のサテライトオフィスが無事ならば災害があっても事業を継続することができるかもしれません。

このように企業にとっても利点が沢山あります。

ただし、遠隔地で務めている人たちの人事考課や労務管理を行う事が困難であるといった事から、なかなかサテライトオフィスが上手くいくとは限りません。

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