まんがで気軽に経済用語

「知らないから動けない」をなくしたい。 中小企業診断士が、現場視点で経営用語をまんがでわかりやすく解説しています。 読むことで、生産性が上がり、心に余裕が生まれ、社会全体がちょっと良くなる。そんな循環を目指しています。

2011年09月

経営
2011年9月30日

OJT (on the job training)

OJT_001
OJT(on the job training)とは、仕事の場面で、『計画的』『継続的』『意識的』に指導し、知識、技術、技能を身に着けさせることを言います。

よくある誤解として、新人を仕事の場に配属し、先輩や直属の上長が場当たり的に仕事を教える事をOJTと考えることがあります。

しかし、これでは『計画的』『継続的』『意識的』に指導していませんし、指導する人の能力や指導にかける意欲などによって効果のばらつきが大きくなってしまいます。

その意味で、計画なきOJTは育成ではなく単なる選抜や放置と同義語だったりします。そんな人材育成を受けた記憶がありませんか?そんなことからはなるべく脱却したいものですね。

今回のまんがでは新入生を1コマ目でOJTで育成すると宣言しています。それをうけて、2コマ目でまず新入生の現在の力量を見積もっています。

そのうえで、3コマ目で現状を認識し一定期間後に達成したいレベル感を決めて、具体的な育成計画を作成していっています。

最終コマでは、『計画的』『継続的』『意識的』に行った指導の効果が表れてレベルアップしています。こころなしか新入生が大きくなった気がしますね。

■OJTを成功させるためのポイント

OJTは計画的、継続的、意識的が重要ですと示しましたが、ここが抜け落ちているOJTが横行しています。

そうならないようにするためには、相手の習熟度合いを確認しつつ教えることが重要です。

例えば、楽器の練習では計画に従って徐々に難しい曲に取り組むと考えられますが、これは習熟度合いを確認しながら進んでいくことが重要です。

仕事でも、目的を明らかにして、何を経験してもらうかを計画して実施することが重要です。そして、計画に従って業務を経験してもらい、習熟度を定期的に測定していくことが重要になってきます。

その意味で、計画には習熟度のチェックも入れておくことが重要になってきます。よく学校などで定期的にテストを行うのも合理的な考え方なのですね。(不合格だとちゃんと補習をやってくれるような学校だと更に合理的です)

また、指導者側に立つ人と信頼関係を構築することも重要になります。安心して簡単なことでも質問できるような雰囲気を作ることも指導者側のしごとのうちです。

そのため、一昔前によく聞いたような「一回教えたら覚えてくださいね。何度も聞かないでくださいね」みたいな指導スタイルは良くない指導スタイルになります。

あくまでOJTは仕事を教えるためのプロセスではなく、人を育てるためのプロセスになるので、わからなかったら何度でも気軽に聞くことができるのが重要だったりするのです。

関連用語
理解を深めるストーリー:意識が高くてもちゃんとした計画が無ければそのOJTは単なる名ばかりOJTです。
Off-JT
自己啓発 
インターンシップ

店舗管理
2011年9月27日

島陳列

島陳列_001
島陳列とはお店の通路内に平台(平らな台です)を設置して、あたかも、通路に浮かぶ島のようにして商品を陳列する方法です。

島のようになっているためお客様は四方から手を伸ばすことが可能です。そのため、この陳列方法の長所として、手に取りやすく衝動買いを誘発する効果があります。

しかし、この陳列方法では通路幅をしっかり考慮しなければ狭くなってしまいますし、あまり高級なイメージの訴求も難しくなっています。

このまんがでは、1コマ目で先生が秋の味覚フェアを開催したいと言っています。

それを受けての準備作業を2コマ目、3コマ目で行っています。

2コマ目では台の置く場所が狭くなりすぎないようにとの注意が、3コマ目では商品を高く積み上げすぎないようにと注意がされています。
このまんがのように、島陳列を行う際にはお客様がうまく回遊できるように通路幅を確保する事、商品を取りやすくしておくことがポイントとなります。

また、島陳列ではいわゆる目玉商品や催事の商品を販売すると効果的です。最後のコマでも催事がうまくいって行列ができるほどお店が繁盛しています。

■島陳列と他の陳列方法の違い

島陳列は、通路の真ん中に島のように置く陳列方法です。この方法だとお客様はどこからでも商品を取ることができます。

回遊性が高く、お客様は四方から手に取ることができるため、催事やプロモーションしたい商品などの陳列に便利です。

ただし、通路はちゃんと幅を確保しないと歩きにくくなりますし、災害時など危険ですから気をつけて配慮する必要があります。

これに対してエンド陳列といって、ゴンドラの端っこに置く陳列方法があります。こちらはお客様の注目を集めやすい陳列方法となります。

こちらは、見やすく、訴求力をもつ陳列補法となります。

このように、エンド陳列は視認性を(要は目立たせたい商品を陳列)島陳列は非日常性を活かして目的に応じで使い分けることが大切です。

関連用語
カットケース陳列
ジャンブル陳列
量感陳列
ゴンドラ陳列
組織論
2011年9月26日

ホーソン実験 | 人間関係が生産性向上に重要である事が判明した重要な実験です

ホーソン実験_001

ホーソン実験とは、心理学者レスリスバーガーと精神科医メイヨーによって、アメリカのシカゴにあったホーソン工場で行われた実験のことです。

実験の結果、生産性には人間関係が影響するという事が判明し、生産性向上のための重要な知見が得られ、人間関係論といった考え方が生まれるきっかけとなった有名な実験なのです。

■作業環境が良ければ生産性が上がるはず

従来は、工場内の物理的な作業条件で生産性が増減すると考えられていました。非常に直感的に理解しやすい考え方で、作業しやすければ生産性が上がりますよね。といった発想です。

そのため、この実験は当初、物理的な作業条件と実際の作業能率の関係を調べる目的で行われました。

まず、「明るい方が作業がしやすいでしょう」と仮説があり、工場内の照明を明るくしたり暗くしたりして作業能率を測定したところ、照明を明るくしたら実際に能率が上がっただけでなく、その後照明を暗くしても能率が高くなってしまったのです。

とすると、明るい方が作業がしやすいといった仮説は成り立ちません。

また、様々な条件を変えながら(賃金、休憩、温度・湿度など)複数の人が共同して働く組み立て工程について実験をしたところ、だんだん作業能率が上がっていきました。

このことも、作業環境が生産性の向上に決定的な役割を果たすという仮説に合致しない結果です。

こういった実験を繰り返した結果、作業者の能率は客観的に把握することができる物理的な外部の環境ではなく、人間関係などに大きく影響を受けるのではないかとの仮説が導き出されたのです。

■生産性の向上と人間関係が関連付けられました

生産性の向上にあたっては、人間関係などの要素が重要であるとの仮説が導き出されて、『人間関係論』が提唱されました。

ホーソン実験とは人間関係論が提唱されるきっかけになった実験であると押さえておくと良いです。

そして、この人間関係論からその後の様々な経営理論が導き出されて行きました。従来の経営理論が科学的管理論を主流としていたのですが、人間関係も重要ですといった風に経営学の流れが変わったのです。

管理が生産性向上のための秘訣である
人間関係が生産性向上の秘訣である


今日では、仕事において人間関係が決定的に重要であるといった事は広く受け入れられていますが、その人間関係と生産性の関係性は1930年代にはすでに判明していたことなのですね。

そしてこの人間関係は先日解説したインフォーマル組織が影響するものと言われています。

onnanoko_bustup
生産性アップのために実験するよー

kitsune
まずは明るさを変えて、作業のやりやすさを見ますね。でも明るさを変えても戻しても生産性はだんだん上がっていきましたよ。

kitsune
次に、いろんな条件を変えてみんなで協力して作業してみます。これも、条件を変えても戻しても、時間がたつと生産性が上がっていきました。

kitsune
面談調査もしたら、なんか職場での人間関係でやる気が左右されるって言っていましたよ。

kitsune
みんなで働いてもらったら、なんか周りを見て生産性をセーブしてる人がいたけど、作業を見てる人との関係で生産性が変わってきました。後は、生産性の高さと個人の能力ってあんまり関係なさそうでした。

onnanoko_bustup
うーん、とすると人間関係が生産性に影響してそうね…

kitsune_odoroki
確かにそうですね!人間関係が重要なのかー気がつかなかったなー。

neko_akire
なんか、経営学の教科書に載ってるみたいな事をやってるなぁ。ホーソン実験のこと空気を読まずに教えたら、嫌な顔するだろうな…



■人間関係をよくできれば生産性が上がりますという古くて新しい視点

このことは、人間関係の大切さを維持する仕組みを作ることは生産性の向上をもたらすと言っています。

「職場の雰囲気が悪くて…」などといった悩みは、放置していい問題ではなく、企業の業績に直結する悩みなのです。

■ハラスメントを行えない企業にすることは生産性アップの秘訣です

この観点に立てば、ハラスメントをする従業員は熱心だなどと賞賛される対象ではなく、自らの感情もコントロールできず職場の雰囲気を悪化させるだけの人間であるとなります。

オーナー経営者がハラスメントをおこなうならば、業績悪化の責任は自ら負う事になるので経済的には自己責任です。(もちろん他の責任は免れませんが)

しかし、管理職などの一従業員がそのような振る舞いをすることを許すのは、その従業員よりも上級の管理職や経営者にとっては会社に損害を与えているため、株主に対しての背任行為です。

もちろんせっかく働くなら働きやすい職場の方がいいのは言うまでもありませんが、ハラスメントをして職場の雰囲気を悪くするような従業員がでないように啓発活動を行う、企業内部でのけん制機能を働かせるといった事は、この観点からも重要なことなのです。

■まんがの解説


このまんがでは、1コマ目で練習の効果をあげるために照明を明るくしています。ホーソン実験でも、工場の証明と作業能率との相関関係を調査しています。

2コマ目では、休憩の頻度を色々と変えています。ホーソン実験では、このほかに部屋の温度や湿度などの条件も変えて調査しました。

3コマ目では、色々な条件をもとに戻してみましたが、練習の効果はそのままでした。実際のホーソン実験でも作業環境をどのように変更しても実験の進行とともに能率は向上していきました。

最終コマでは、結局は人間関係(インフォーマル組織)がやる気の源泉だと言っています。

繰り返しになりますが、この実験以前はテイラーの科学的管理法を代表とする考え方が主流でしたが、この実験を契機に職場の職場の人間関係が作業能率に大きく影響するとの人間関係論が発展していったのです。

解説で出てきた用語・関連用語
インフォーマル組織
組織論
2011年9月25日

インフォーマル組織

インフォーマル組織_001
インフォーマル組織とは、組織内に人間関係などで発生する非公式な組織の事です。

公式な組織であるフォーマルな組織が様々な目的を達成するために、管理者が意図的に作り上げられた組織であり、組織図で表現できるものに対して、インフォーマル組織は自然発生的に生じた組織であると言うことができます。

言い換えればインフォーマル組織は組織内に発生した仲良しグループのイメージです。

このまんがでは、吹奏楽部の公式な組織を1コマ目に示されているような組織図として表現しています。

しかし、この正式な組織図にかかわらず2コマ目、3コマ目のように普段の行動はインフォーマルな組織で行っています。

そして、人間関係論という学問では、インフォーマルな組織が組織に所属する人々の士気に大きな影響を与えていると指摘しています。

例えば、組織内に発生しているインフォーマルな組織が一生懸命練習をすることをよしとするような文化を持っていれば、練習の効果が上がります。

逆に練習をまじめにやる人を排斥するような文化を持っていると、どんなに正式な組織を練習に適するように整えても効果には限界が出てしまいます。

■インフォーマル組織のメリットとデメリット

インフォーマル組織は仲良しなグループのようなものです。どのような会社でも同僚同士や上司と部下の間に私的な関係が構築され、通常の指揮命令系統では流通しないような情報がそういった非公式の組織で流通します。

その結果、メンバーのモチベーションが上がったり(人間関係の良い職場のほうが働きやすいですからね)、意思決定が迅速になったりと様々な良い面が生まれます。

この意味で、「職場の懇親会なんかには出ておいたほうが良いですよ」といった実際的なアドバイスがされたりするのです。(非公式の情報の流れというのがどんな組織にもあるのです。そして、その流れにアクセスするためには、処世術として懇親会に全く不参加で貫くというのはおすすめしません)

■デメリット

と、「良さそうな機能があるので会社側からも大歓迎です。」とはいかないので注意が必要です。

情報が非公式の組織で流通するということは、いわゆる派閥が発生したり、仲間外れなど人間の負の面が発生します。

また、悪い場合はインフォーマル組織(非公式組織)の方の価値観が強まり、会社とか組織などのフォーマル組織(公式組織)の方針と乖離してしまうリスクもあります。

「職務上は決裁権が無いけど、事前にベテランの〇〇さんに相談すること」等といった、よくわからない職場のローカルルールなんかが生まれれば、非効率の温床となりますし、組織が壊れる原因となります。

そのため、マネジメント層はインフォーマル組織を健全に活かすといった視点が必要です。特に与えていない権限を僭称する組織構成員が出ないかどうかに、目を光らせておくことが重要です。

せっかく採用した従業員が定着しない職場には、その種の非公式なボスが、組織の意図とは別に過剰な負荷をかけている可能性がありますので。


ただし、繰り返しになりますが、インフォーマル組織は上記のようなメリットも大きいため、排除するのではなく健全に活かす工夫が求められます。
生産管理
2011年9月23日

3S

3S_001
3Sとは標準化(Standardization)、単純化(Simplification)、専門化(Speciakization)の頭文字をとったもので業務の改善のための考え方の一つです。

以前ご紹介した5Sの「清潔」と「しつけ」をとって3Sとすることもあるのですが(たぶんこちらの使い方の方がメジャーです)、今回はこちらの3Sをご紹介します。

「標準化」とは、繰り返し行う業務を標準化し、それに基づいた管理を行うことです。ひとたび標準化されていれば、標準の手順に従うことにより誰がやっても同じ効果を導き出せるという効果があります。

「単純化」とは、業務の複雑さを排除して単純にすることです。この単純化という視点はECRSの原則でも出てくる視点です。単純化して言うと『シンプルにやりましょう』ということです。

「専門化」とは、特定の機能に特化させることです。ある機能に特化して業務を行えば習熟するのも早くなりますし、専門的なノウハウの蓄積が容易になるという効果があります。

このまんがでは男の子が一人で仕事をしています。その原因は3コマ目で指摘されているように、お弁当の補充作業が、どうやら標準化されておらず複雑やりかたをしているようで、誰も手伝えないという事らしいです。

4コマ目で3Sの考え方を使って改善しなさいと言っています。おそらく、複雑さを排除した標準補充手順を作成してみんなで作業をできるようにするといった改善がなされるのでしょう。どうやら男の子が専門化するとの考え方で専門補充要因に任命される可能性が高そうですが。

■3Sの考え方で職場を改善する

3Sの考え方は様々な事柄に活用できます。例えば、標準化すれば誰がやっても同じ結果を出すことができます。

学校などの組織においても掃除を標準化すれば誰でも同じように綺麗にできるようになります。単純化すれば、行事のための準備をすぐに行うことができます。専門化すれば学校で数学を教えるのが得意な先生が数学を教えてくれるようになります。

このように、3Sを推進することで、誰でも同じ品質で行動できるようする仕組みを作っていくことができます。

標準化をすれば、属人化を防げます。単純化すれば、無駄な工程を減らすことができます。また、専門化すれば素早く業務に熟練することが可能となります。

このように、生産性の向上と従業員の負担軽減を両立することができる考え方なのです。

■実際の考え方

例えば、チェーン店系の飲食店では調理マニュアルが決まっていて(標準化)誰が調理しても一定の味を出せるようになっています。

また、食材の発注などは発注フォームが統一されていて(単純化)簡単に発注できるようになっています。

また、ホールの従業員や調理担当などに分業されており(専門化)素早く業務に習熟できるようになっています。

このように、3Sの考え方にしっかりと取り組むことは、事業をより良くすることにつながるのです。

店舗管理
2011年9月21日

ゴールデンゾーン

ゴールデンゾーン_001
ゴールデンゾーンとは、ターゲットとする顧客にとって最も目につきやすく商品を手に取りやすい高さのことです。このゴールデンラインは最も目につきやすく商品を手に取りやすい高さであるため、売れ行きの良い高さと言うことができます。

一般的に、床から80センチから140センチの間であると言われていますが明確な規定はなく、ターゲットとする顧客の肩の高さから腰の高さをもとにしています。例えば子供向けのお店だった場合、このゴールデンゾーンの高さは低くなりますし、体格のいいスポーツ選手向けのお店だった場合は、このゴールデンゾーンの高さはもっと高くなります。

ゴールデンゾーンはもっとも売れ行きの良い高さであるため、売りたい商品を陳列するといったことが考えられます。

このまんがでは、1コマ目では特にこのゴールデンゾーンを意識せずにお弁当を陳列していました。

しかし、2コマ目で補充のしやすい棚(肩の高さから腰の高さに位置する部分、つまりゴールデンゾーン)の売れ行きがよい事に気がついています。

その気づきを受けて3コマ目ではその高さに売りたいもの(新商品や利益率の高い商品)を集中して陳列することにしました。

すると、最終コマではクラブ始まって以来の売上と利益を上げられたといっています。

経営どうが「ゴールデンゾーン

ストーリーで解説経営用語
第1話 お客さんの目につきやすい高さにある商品は売れ行きが違います
マーケティング
2011年9月20日

マーケティング・コンセプト

マーケティング・コンセプト_001
マーケティング・コンセプトとはマーケティングの基本的な考え方で、経営理念を具体化したものです。

このマーケティング・コンセプトは以下のような変遷を経てきました。ここでは、お弁当という製品を例にとり解説を行います。

1.生産志向
学食で食事を十分に供給できないため、どんなものであれ食べ物を提供すれば売れるという状態です。品質などは二の次として、単純にお弁当の供給量を増やすことを考えていれば十分です。

2.製品志向
学食の食事供給量がある程度充足したため、作っただけでは売れ残る可能性がある状態です。製品の品質を向上させるというアプローチをとります。ただし、お客のニーズよりも作り手のこだわりを優先するという考え方となっています。

お弁当の例では、品質を向上させ地鶏のから揚げや、有機野菜を提供するなどこだわりを持ったものを提供するようなイメージです。

3.販売志向
学食の食事供給量がある程度充足したため、作っただけでは売れ残る可能性がある状態です。製品志向とは異なり、販売方法を変更し、売りに行くというアプローチをとります。この考え方が極端になってしまうと、押し売りに近い販売方法となってしまいます。

お弁当の例では、お弁当の品質よりもいかにして買ってもらうかを考えるようなイメージです。

ここまでの3つの考え方は作り手の都合を優先したプロダクトアウト的な考え方となっています。

4.マーケティング志向
顧客のほしがるものを作るという考え方です。顧客のほしがるものを調査し、それを製造するというアプローチをとります。市場のニーズを見つけてそれを充足させるといった考え方となっています。顧客志向ともいうことができます。

お弁当の例では、アンケート調査をして人気のあったハンバーグや、から揚げなどを製造するイメージです。また、ほしがる価格帯も調査することにより、品質にこだわり過ぎて価格が高くなりすぎることにも注意を払います。

5.社会志向
顧客のほしがるものを作るが、それは社会にとって長期的に役立つものでなければならないとする考え方です。市場のニーズを見つけ充足させることを目指しますが、さらにそれは社会的に有益なものでならなければならないとします。

お弁当の例では、お弁当に必ず野菜をつけ、その野菜は地域のものを使用するなど、買ってくれる人の健康や地域活性化、輸送に伴う二酸化炭素排出削減など環境問題にも気を配るといったイメージです。

この4.5.の二つはニーズが先に来ますので、マーケットインの考え方と言えます。

このまんがでは2コマ目でプロダクトアウト的な発想でやっていったら、売り上げが伸び悩んだが、3コマ目のマーケットイン的な発想でやっていたら売り上げが伸びたと言っています。
マーケティング
2011年9月19日

社会志向

社会志向_001
社会志向とは生産志向製品志向販売指向マーケティング志向社会志向といったマーケティング・コンセプトの一つで「顧客のほしがるものを、社会に役立つ形で提供する!」という考え方です。

■社会思考は理想論?

本記事の初公開は2011年でしたので、「ちょっと理想論なんじゃないの?」と少し懐疑的な空気もありました。しかし2025年現在、社会志向は企業経営やブランディングにとても重要な柱を提供しています。

■敢えて商品を提供しない?

この社会志向は例え顧客が欲しがったとしても、顧客や社会の長期的な利益に合致しないような製品を作らない。企業は社会のなかで存在しているため、社会のためにならないような活動はしないという考え方を取る場合他あります。

例えば、現在の顧客がどんなに欲しがったとしても、燃費がとても悪く真っ黒な排気ガスをもくもくと吐き出すような乗り物は作らないといったことが考えられます。

燃費が悪くて燃料をばらまいて、爆音を立てて走っているような車であっても、かっこよければほしいですよね?でも、社会志向からすると、そのような車はあえて売らないといった考え方になります。

■マーケティング志向と社会志向の違い

このまんがでは、求められているものは肉やデザートでした。また、量の多さも重要だと調査からはわかっています。

マーケティング思考であれば、これらの顧客のニーズに答える商品を提供すればバッチリだったわけです。

しかし、社会志向の場合は、一歩進んで学生さんの健康を考えて野菜を付け合わせとして提供するといったことが考えられます。

つまり、社会志向とは消費者のニーズ、消費者の利益、企業の利益、社会の利益の4つを調和させるようなマーケティングコンセプトとなります。「私達が提供する価値が社会や未来にとっても有益か?」という視点を追加するのです。
たとえば、肉やデザートなど甘くて脂質たっぷりで量も多い料理は多くの顧客、とりわけ学生さんに求められるかもしれません。すごく売れるかもしれません。しかし、そのような商品を「企業としてそれだけを大量に売り続けることは果たしてよいのか?」といった道徳的観点が必要になってくるのです。

■様々なマーケティング・コンセプトの簡易まとめ


志向名 中心的な考え方 主体 顧客視点 社会性
生産志向 作れば売れる 企業側 無視される 無視される
製品志向 良いモノを作る 技術側 無視されがち なし
販売志向 売り切る! 営業側 欲望中心 なし
マーケティング志向 顧客満足重視 顧客側 高い 限定的
社会志向 顧客×社会の両立 顧客+社会 高い 高い(調和)


■社会志向が支持を集めるケースも多い

「そりゃそうだけど、ビジネスってのは綺麗事じゃないんだよ」などと、2011年当時は思ったかもしれませんが、2025年現在において、社会志向で「健康志向」や「環境配慮」といったキーワードが差別化要因になって業績を挙げている企業を読者の皆様も沢山ご存知なはずです。

つまり、世の中が成熟してきており、世のため人のためという感覚が経済的に報いられるようになってきたのです。

なお、小規模事業者さんはこの社会志向を強烈に打ち出すことで他社と協力に差別化するといった戦略で上手くいっているケースがたくさんあります。街を歩いてみれば、そのような社会志向のご商売を目にすると思いますので、ぜひ探して、ご自身のご商売に応用できないかを考えてみてください。

例えば、地元の飲食店が「無添加メニュー」「フードロス削減」などの取り組みを看板に掲げ、地元客から支持を集めている。そんな例も珍しくないですよね。
マーケティング
2011年9月18日

マーケティング志向

マーケティング志向_001
マーケティング志向とは生産志向製品志向販売指向マーケティング志向社会志向といったマーケティング・コンセプトの一つで「顧客のほしがるものを提供する!」という考え方です。

生産志向、製品志向、販売志向と決定的に異なる点は、こちらの売りたい製品を作って売るのではなく、顧客のほしがるものを発見してその需要を満たす事に集中するという点です。

市場や顧客の声をもとに製品を作っていくこの考え方をマーケットインといいます。

それに対し、生産志向、製品志向、販売志向のように作り手の都合で「売れるであろうものを作って売る!」といった考え方をプロダクトアウトといいます。

以前のようにいいものを作れば売れるといった考え方が通用しにくくなったためこのような考え方が生まれました。

このまんがの最終コマで「お客様が何をほしいと思うか?からスタートしてみよう」と言っていますが、この考え方は2コマ目の製品志向や、3コマ目の販売志向の際にはなかった考え方となっています。

■マーケティング志向が生まれた背景と現代の意味

作れば売れる時代。これは企業にとっては良い時代だったかもしれませんが、消費者にとってはあんまり望ましい時代ではありません。

色々な会社が同じような同じような商品を作れば、品質や機能性という重要な競争が起こりにくくなります。

そして、作れば売れる時代が続けば最終的には生産量が過剰となって、どの会社の売れ行きも良くない時代が訪れてしまいました。

先進諸国においては1950年代以降にはこのような状況に陥ってしまい、「良いものを作れば売れる」といった製品志向やとにかく売り込むのが重要だという販売志向という考え方ではうまく行きにくくなったのです。

そこで、「消費者が欲しがるものを作って売る」というマーケティング志向が確立されていきました。

この考え方は、現在でも通用しており(というか、基本的な考え方です)、最初に消費者調査を行って商品化をすると言った事が行われています。モノではなく、モノが生み出す価値を届けるという発想なのですね。

なお、マーケティング志向では徹底して追求しても消費者自身が気がついていない革新は生まれにくいとされています。

そのため、ある意味開発者主導の製品志向と組み合わせて考えていくことが行われています。

マーケティング
2011年9月17日

販売志向

販売志向_001
販売志向とは
生産志向製品志向販売指向マーケティング志向社会志向といったマーケティング・コンセプトの一つで、「売る努力をすれば売れる!そのため、いかに売るかを考える!」という考え方です。販売力こそが価値の源泉となっています。

製品は売れたのではなく、売ったと考える考え方です。需要の水準に供給の水準が追いついた場合、せっかく作ったものが売れ残る可能性が出てきます。そのため、売れないのならば売ってくる!といった発想が生まれました。

しかし、この発想では顧客の満足にまで思い至っていないため、顧客の満足よりも目先の売上を求めてしまいがちです。焼畑農業的なイメージで市場が荒廃するような販売方法をとったりする可能性もあります。

たとえが適切かどうかはわかりませんが、一昔前の生命保険や自動車販売、投資用マンションの勧誘、百科事典の販売などの、購入する方の要望よりも販売者側の都合で売りつけられるイメージです。(現在は顧客の事を考えたりっぱな営業活動が行われてるはずです。念のためフォローしておきます。)

このまんがは1コマ目で販売強化月間を宣言し2コマ目3コマ目で積極的な販売促進活動を行っています。その結果売り上げは上がったようですが、やはり最終的には売上は伸び悩んできてしまっています。

■販売指向の顧客満足のズレ

販売指向はとにかく販売することが重視されます。そのため、お客様が何を求めているか。とか長期的なお客様との関係構築はひとまず置いておき、とにかく短期的な売り上げが重視されます。

その意味で、長く継続的な取引関係を軽視する危険性があるのです。

例えば、本当は似合っていない洋服でも「お客様にぴったりですよ」とおすすめして売ってしまうようなイメージです。

確かにその時は売れるかもしれませんが、長期的な信頼感を毀損するあまりよくないやり方だったりします。

このように、販売指向の考え方は、とにかく売れればいいという短期的な発想になりますので、顧客の満足度を損なう結果に成りがちです。

そして、この顧客満足度を損なう行動が積みあがっていくと、長期的な売り上げが損なわれる危険性があるのですね。

マーケティング
2011年9月15日

製品志向

製品志向_001
製品志向とは生産志向製品志向販売指向マーケティング志向社会志向といったマーケティング・コンセプトの一つで、「いいものを作れば売れる!」という考え方です、。このコンセプトでは、品質こそが価値の源泉となっています。

需要の水準に供給が追いついてきた場合、前述した生産志向では支持を得ることが難しくなります。顧客は製品間の比較をしますので、このまんがの2コマ目のように製品を改良し品質を向上させることが競争力につながります。

生産志向より一歩進んだ考え方といえますが、「こんな良いものが売れないなんて、お客が分かっていないんだ!」などといった、ひとりよがりな考え方に陥る可能性があります。

例えば、業界で一番耐久性が高いといった点を協調しても、顧客は価格とのバランスが取れていないとその製品に魅力を感じないといった例が考えられます。それにもかかわらず、まだまだ耐久性が不足しているのが売上が伸びない原因であると誤った判断をし、さらに耐久性を追求するなどといった意思決定がなされる場合があります。

ただし、その品質の高さから確固たるブランドを確立した製品である場合などには、今なお、この製品志向コンセプトが有効となるケースがあります。

品質をひたすら追求した唯一無二の商品ならば、極めて強い魅力を放つことも可能なのです。

ただし、その製品の良さを訴求することは難しいため、このまんがでは4コマ目にあるように、またいきづまってしまったようです。

■製品志向の限界と次のステップ

良いものを作れば売れる。ある意味真理ではありますが、「良いもの」というのはコストと品質のバランスから生まれる相対的なものです。

例えば、素材や加工、デザインに徹底的にこだわって作った1億円のスプーンは相当な好事家しか買わない商品になってしまいます。(極めて魅力的な商品なのかも知れませんが、一般に売るのは難しいでしょう)

一般的な商売として考える際には、どうしても顧客のニーズに目を向けてお客様が欲しがるバランスの取れた商品を開発していく必要があります。

上の1億円のスプーンは製品の一つの究極の到達点としては魅力的かも知れませんが、売れるものを作るという観点からは、そのような製品志向から脱却する必要があります。

良いものを作れば売れるはずというナイーブな考え方で企業が存続できる時代もあったのかも知れませんが、社会に物資を供給するという企業の存在意義からすると少し本質からズレてしまっているのです。

そのため、企業が存在し続けるためには適正な利潤を確保する必要があるため、製品志向から脱却して行く必要があるのです。

その結果、ちゃんと売れるものを売れるだけ作るという発想になっていくのですね。

このように多くの企業は、市場の成熟に伴い、「販売志向」や「マーケティング志向」へと移行していくことになります。

販売志向は、販促活動を重視して売上拡大を諮る考え方ですし、マーケティング志向は自動的に売れる境地を目指す考え方となっています。
組織論
2011年9月12日

アイオワ実験

アイオワ実験_001
アイオワ実験とは、アメリカの心理学者レヴィンの指導の下どのようなタイプのリーダーが優れているかを調べるために行われた実験です。

小学生を集め、次の3つのリーダーのタイプとその成果を実験しました。

1.専制的リーダーシップ
このまんがの2コマ目のように、リーダーが勝手に何でも決めてしまう行動です。短期的には高い成果を得られますが、長期的には組織構成員の反感が増大して生産性が下がってしまいます。

2.自由放任的リーダーシップ
このまんがの3コマ目のように、リーダーは何の制限も加えず勝手に行動させてしまいます。組織にまとまりが生まれず、生産性も全く上がらないです。

3.民主的リーダーシップ
組織の構成員に直接影響を与える要素へ組織の構成員を参加させることによって、構成員の創造性の発揮を期待し、組織の一体感を増します。短期的には1.の専制的リーダーシップに比べて生産性が低かったですが、長期的にははるかに高い生産性と組織構成員の高い士気が得られました。

この実験の結論はこのまんがの4コマ目のような、民主的リーダーシップが長期的に高い生産性を上げるといったものです。 

関連用語
コンティンジェンシー理論
 
法務・支援施策
2011年9月8日

契約

契約_001
契約とは相対する2つの意思表示の合致によって成立する法律行為の事を言います。

このまんがの例のように、基本的に契約はメガネの先輩の「ジュースをください」という【申込】に対し後輩の「いいですよあげます。」という【承諾】の意思表示の合致で成立します。

民法には契約の典型例を13種類定めており、これらの契約類型を典型契約といいます。以下その13の類型を挙げます。
・贈与(片務、無償、諾成契約)
・売買(双務、有償、諾成契約)
・交換(双務、有償、諾成契約)
・消費貸借(片務、無償、要物契約)
・使用貸借(片務、無償、要物契約)
・賃貸借(双務、有償、諾成契約)
・雇用(双務、有償、諾成契約)
・請負(双務、有償、諾成契約)
・委任(片務、無償、諾成契約)
・寄託(片務、無償、要物契約)
・組合(双務、有償、諾成契約)
・終身定期金(あまり利用されていない)
・和解 (双務、有償、諾成契約)

これら以外の契約形式(リース契約、出版契約など)も認められており、それらは非典型契約と呼ばれています。

■契約が無効・取り消しになる場合

厳密には無効と取消は違うのですが、説明の便宜上合わせて説明します。

基本的に契約は両者の意思が合致すれば成立しますが、ちゃんとした意思出なかったらどうでしょうあか?例えば騙されていた場合や、年齢が低く判断できない年齢の子供に高額の商品を売りつけたような場合です。

また、成年後見人がついているような人についても、正しく判断することが難しいことから、これらの契約は無効や取り消しとなる可能性があります。

つまり、騙されていた、脅されていた、意思能力がかけていた等の場合には契約をなかったことにできる仕組みがあるのです。

これは、弱い立場の人を守るための仕組みであり、取引をする場合は相手方がちゃんと意思表示をできるかどうかを確かめることが重要なのです。

■契約書は必須?

さて、実務的に契約書は必須かどうかという話もあります。こちらも原則としては両者の意思が合致すれば口約束でも契約は成立します。つまり、契約書はあってもなくても契約自体は成立するのですね。

例えば、あの商品がほしいとAさんが言って、Bさんが売りましょうとなれば契約自体は成立するのです。

ただし、高額の商品やサービスの場合は後で言った言わないのトラブルを避けるため契約書をちゃんと作るのが通例です。

取引を安全に進めるというのもひとつの重要なお仕事になりますので、多少の手数料を払ってでも第三者に介在してもらったりするのが知恵だったりするわけです。

特に不動産の取引などは仲介手数料を払ってでも不動産業者に間に入ってもらったほうが安全だったりします。


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